風来の闇 第零話 奇跡の始まり
作者:霧露
[Home] 2009/06/28(日) 21:28公開
ID:yE552F4UG.E
ギィンッ!
刃同士が交わる金属の音が響き渡る。辺りは濃い血の臭いに包まれている。ここは、戦場だ。
紅蓮の衣をまとった一人の青年が、敵陣深くにて武勇を振るっていた迷彩の青年に声をかける。
「佐助! 調子はどうだ?」
「旦那!? ちょっと、あまり戦場で余所見しちゃ駄目でしょ!」
そうお互いに会話をしながらも敵と刃を交え、攻撃する手は止まらない。
"天覇絶槍"真田幸村。
"蒼天疾駆"猿飛佐助。
紅蓮の鎧に身を包んだ若き青年――通称甲斐の若虎――を真田幸村、迷彩の衣に身を包み、軽やかに戦場を駆ける忍を猿飛佐助という。
二人とも武田信玄が率いる武田軍に所属している。今はかの第六天魔王、織田信長との戦の最中である。
南蛮から取り入れられた火器――鉄砲が多用されているこの戦に武田側は苦戦している。二人とも幾度か撃たれそうになったり、実際に撃たれたりしている。
いかに二人が戦で武勇を振るう武将とはいえ、飛び道具にはかなわない。
苦しい戦には変わりなかった。
「くそっ……キリがないな……」
チッと舌打ちとともに呟くと、佐助は忍術――いわゆる、分身の術を使い、相手の雑兵たちに斬りかかる。ただでさえ実力のある佐助が三倍になったのだ。あっという間に骸が生まれていく。
「……旦那、行くよ」
「承知!」
佐助が最後の門番兵を倒すと、二人の兵《つわもの》は織田信長がいるであろう場への門をくぐっていった。
「織田信長ぁっ! お命頂戴いたす!」
「
小童がぁ……来るがよい!」
幸村が一直線に信長に駆けていく。信長がニヤリと笑うのに佐助は言い知れぬ嫌な予感を覚えた。
――そのとき。
「――旦那、危ない!!」
キラリと光った茂みにとっさに目をやると、そこには無数の鉄の弾を出す火器があった。
反射的に幸村の元へと走る。忍の足は弾丸よりも速く――
「佐助ぇっ!!」
その身に、無数の弾丸を浴びた。
佐助の意識はゆっくりと闇に沈んでいった。
最後に幸村の絶望的に歪んだ顔を映して。
- ■作者からのメッセージ
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初めまして霧露です。
バサラとリボーンのクロスオーバーの序章です。……まだリボーンキャラは出てきませんが。
勘の良い方は分かったと思いますが……
佐助がトリップします。
原作沿いに行こうと思ってますのでお楽しみください。
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