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風来の闇 第壱話 異世界
作者:霧露  [Home]  2009/06/28(日) 22:08公開   ID:yE552F4UG.E
「……さ、すけ?」
 突然目の前でおきた不可解な出来事に幸村は呆然と立ち尽くす。
 地に倒れるかと思った佐助が、突然目の前で――
 光の中に消えたのだ。
「…………」
 呼びかけても、空から声が返ってくることは無かった。




 朦朧とする意識の中、佐助はゆるゆると目を開け、慌てて飛び起きる。
 周りは明るく昼間だということが容易に分かった。だが辺り――室内と思われる場所は見慣れない物で埋められている。灯りを放ち、天井から吊るされている物。絵がたくさんついた書物。円盤状のキラキラと虹色に光る物体。何もかもが見たことのない物たちで埋め尽くされていた。佐助は警戒した様子で室内を歩き回る。時折ズキリと鈍く痛む傷口は包帯で丁寧に巻かれていた。
 いつもより軽い体に不審に思い自らの体を見下ろすと、武器である手裏剣が無くなっていた。
「……ここはどこだ……? ていうか俺様よく生きてたなー」
 暢気にそう言い、一人でカラカラと笑う。心の中は不安や警戒で一杯だが、そうでもしないと落ち着いてなどいられなかった。
 狭い室内をウロウロと歩き回り、部屋中に散らばっている物を観察していると"ガチャリ"と音を立てて扉が開いた。
 佐助は警戒して、自分の足元にいつも隠しているクナイを素早く取り出し、現れた相手の首筋に突きつける。
「――アンタ、誰? 俺をどうする気?」
 低い自分の声に内心苦笑して、だが相手への警戒を怠らず問う。
 佐助の低い声に相手は硬直してしまう。佐助は持っているクナイを更にグッと相手の首筋に押し付けて、再度「俺を、どうする気?」と問う。
「ど、どどどうする気って……傷口を消毒しようと……!」
 かなり動揺した相手の声に、佐助は未だ扉の影に隠れている相手の胸倉を掴み、自分に勢いよく引き寄せる。相手はつまづいてしまい佐助の胸に頭を押しつける。その頭を掴んでグイッと乱暴に顔を見る。
 少女のような顔に、フワフワの茶の髪をした少年は泣きそうな顔で佐助を見上げていた。
「――誰?」
 佐助の低い声に相手はビクッと体を硬直させる。
「さ……沢田、綱吉です……」
 少女のような少年はそう小さな声で名乗った。


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■作者からのメッセージ
 第壱話です。
 ようやくトリップしますがツナとしか出会いません。
 次のお話で並盛トリオ出せたらいいなーなんて。
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