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悪魔と同棲生活(仮) 第3話『見える人には見える!私って、そんな特別な存在なのだ!』
作者:蜜蜂親衛隊   2010/12/29(水) 23:24公開   ID:YzyN.C0uTWM
※ 今回はレーヴィ視点です)

……おなか減った
えっと、今は……朝の9時、ねぇ……
徳はまだ寝てるし、どこに何があるか分かんないし……


「ねぇ、起きてよぉ」

「……〜〜〜……」


寝返り打って、そっぽ向かれちゃった……
……よくよく見て見ると、徳の顔つきって、ちょっと女の子よりなのかふぎゃ?!


「〜〜〜〜?!」


また寝返り打ったと思ったら、その勢いで頭ぶたれた
え、何?
徳、寝てる時は心が読めるとか?


「……と、とにかく起きてって!」

「……〜〜〜……」


ゆすってみても起きる気配なし……
……ふふん?私が悪魔って忘れてない?
寝てる相手を起こすくらい、然したる問題じゃないんだよ?


「じゃあ、まずは……」


さっきより強く揺さぶってみる
……それでも反応なし、か
じゃあ、悪魔ならではの起こし方を披露しますか


「……フーーー」

「……ん〜〜〜……」


……可愛い
耳に息吹きかけただけで、こんな可愛い反応すると思わなかった

じゃ、じゃあ……
ちょっとこの美味しそうな耳を舐めて──


「……………」

「……………」

「お早う、レーヴィ」

「お早う、徳」

「早速だが聞きたいことがある」

「聞かないでくれると嬉しいんだけど……」

「ならいい……レーヴィ、今からお前には一切の拒否権はないことだけ伝えておく」


……すっかり忘れてたけど、今私たちの顔の距離って、尋常じゃないほど近いんだよね……
そんな状態でそんなこと言われると……


「赤面するな、鬱陶しい」


鬱陶しい?!
いやいやいや、徳さん?
女の子の顔がこんなに近くにあったら、あなた普通はドキドキするもんでしょ?!

……あれ、右手で私の頭掴んで何する気?
頭グリグリじゃないだけ嬉しいような気も──


「ふぎゃああああ!!」

「俺の頭がちゃんと覚醒するまで、このままな」

「く、砕ける砕ける!握力強すぎて、頭蓋骨割れるぅぅ!!」

「悪魔に頭蓋骨なんかあるわけ無いだろ」


いやいやいや!!
そりゃ、人間程度が作った機械には映らないけど、悪魔にもれっきとした骨格ってありますよ?!

……って、本気で砕けるって!
頭グリグリも嫌だけど、頭鷲掴みも嫌ァア!!


「んー……なんか、耳がむず痒いな……レーヴィ、心当たりないか?」

「にゃ、にゃひ……(訳:な、ない……)」

「そうか、あるのか」


ひぎゃぁぁぁあああ!!!
ち、力がさらに強くなって──
って、もう完全に起きてるじゃん!


「ひゃ、ひゃにゃし……(訳:は、放し……)──」

「あ、そこのタバコとってくれるか?」


あ、悪魔だ……
この男、私以上の悪魔だ……


「んぁ?ああ、そうか、レーヴィはタバコの煙が嫌いだったんだな」

「ひょ、ひょんにゃことひょり(訳:そ、そんなことより)──」

「なら俺が自分でとればいいんだな……よっと」


あががががが!!!
あ、頭を掴んだまま移動するなあ!!
く、首が捻じれて……し、死ねる?かも……


「ふぅー……目も覚めてきたな」

「ひゃ、ひゃにゃしてくりゃしゃい……おにぇぎゃいしまひゅ……(訳:は、放してください……お願いします……)」

「何て言ってるのかさっぱりわからんが、まぁいいか」


よ、ようやく解放された……
あ、あれ?視界がぐらぐらする……


「それで、何をしようとしてたんだ?」

「い、いやあのその……お腹が空いたから、ご飯を──」

「無いぞ」


…………………………え?
あのー……聞き間違いですよね?
な、何かちょっとした物くらいあるでしょ?


「な、何でもいいからご飯が食べたくて──」

「無いぞ」

「ま、またまたぁ……御冗談を」

「何で敬語なんだよ、お前」


……本当だ、なんで今敬語で喋ったんだろ?


「ともかく、昨日(?)俺とレーヴィの二人で食ったラーメンが、この家の最後の食糧だ」

「な、何にも無いの?」

「なーんにも無い」


ぐぅぅぅぅうううううううう


「自重しない空腹音だな、おい」

「だってぇー……」


お腹が空いたんだもん、仕方ないじゃん!


「……ハァ、ならこれ着ろ」

「わぷっ!」


何……?
温かそうな服……?


「飯を食いに行くんだ、レーヴィは何も用意するもの無いし、せめてそれだけ着てくれ」

「……なんで?」

「何でってお前……」


腕組んで考え込んじゃった……
でもさ、私にも訳分かんないんだよ、徳?


「簡潔に説明してやるとだな……」

「うん」

「見た目露出狂兼コスプレ好き小学生と一緒に飯を食う度胸が無えんだよ!」


……何その酷い字面
って、まだそんな目で見てたの?!


「あ、それなら心配無いよ?基本的に、普通は私たちの姿なんて見えないはずだから」

「あン?じゃあ何でおれには見えてんだよ?」


……やっぱり、説明しないといけないかな
でも、ねぇ……?


「黙ってないでさっさと喋る」

「喋る喋る!だから、こっちに向けて手を伸ばさないで!!」


すっかり禁断症状になっちゃったじゃない!
他の面子になんて言い訳したらいいのよ!?


「長くなるよ?」

「なら、飯でも食いながら聞くか……あ、でもなぁ……」


腕組んでどうしたの?
ご飯食べるんでしょ?
何か問題でもある?


「普通の人間には、お前ら悪魔の姿は見えないんだよな?」

「うん」

「つまりは、だ……俺は、“俺の服”と飯を食ってるように見えるんだよな」


…………………………あ


「失念してたな?」

「あ、でも、ほら……そこのところは何とかなる──」

「本当にか?」


……ひぐっ


「泣くな!」








……………………

…………

……








ふぅ、食べた食べた
でもご飯ものじゃなかったのが残念かな……?
何て言ったっけ、この──


「ばんらーぐ?」

「ハンバーガーだ、阿呆」


むぅ……また馬鹿にされた


「それで?」

「それで……って?」

「どうして俺には悪魔の姿が見えるのか、話してくれるって言ったよな?」


…………………………忘れてた
いやだって、あんな機械に乗せられて、物凄い速度で連れて来られたら、そりゃ……


「……バイクが気に入らないんだったら、歩いて帰れよ?」

「……乗せてください」


だって歩くの、面倒なんだもん♪


「……で──」

「分かってる分かってる!えっとね……じゃあ、徳に3つ質問するけどいい?」

「名前で呼ばなきゃいい」

「えーーー!」


名前で呼ぶの禁止って……
じゃあ、何て呼べって言うの?
……ダーリンとか?


「痛っ!……き、急に何?」

「何か不気味なこと考えてるような気がしたから……」


……徳って、格闘技とかやってるの?
握力とかの腕の力強いし……
現に、今もデコピンされたけど、すっごい音したよ?!


「それで?質問って何だ?」

「あ、うん……まず一つ目は、霊感とかってあるかってこと」

「霊感?んー……思い当たる節は無いな」

「そうなの?」

「あぁ……強いて言えば、何年か前に墓場で肝試しした時に、じーさんの幽霊が三人ほど集まって、今の不況問題について嘆いてたのを聞いたくらいか?」


いやいやいやいや!!!
十分すぎるほど霊感強いから、それ!?

って、今の幽霊は何を話してるのよ?!
そんなくだらないこと話してるなら、私たちの仕事で──
っと……これ以上は愚痴になるから、今はいいや


「じゃ、じゃあ次ね?次は……死にかけた・あるいは一瞬でも死んだ経験があるか」

「……また、随分と重い質問だな……」


そうなのよねぇ……
この質問と次の質問、否が応でも“死”が関わってくるもん

あからさまに徳の声のトーンも下がっちゃった
そりゃまぁ、こんな時間帯に、こんな場所で、こんな内容のこと話してたら、そりゃ仕方無いか……


「……記憶には無いんだがな?」


……え、あるの?


「まだ……母さんの腹の中にいた時に、一回俺の心臓が止まったことがあるらしい……詳しいことは知らないがな」

「へー……じゃあ、最後の質問……の前に、ちょっと一口」


このジュース、物凄く美味しいんだもん
ちょっと怪訝な目で見られてるけど、気にしない気にしな──


「……お待たせしました」

「ん」


……怖いよぉ
仮にも私、悪魔だよ?
その悪魔を怯えさせるって、徳って本当に人間?!


「最後なんだけど……これは、無いとは思うんだけど……」

「何だよ?」

「誰かを──自分の意志が有ろうと無かろうと──殺したことがあるかどうか」

「…………………………」


だ、黙りこくっちゃった……
そりゃそうだろうけど、無表情のまま、こっちを見つめないでくれる?
ちょっとくらいは、視線を動かして、後生だから!


「……………ない、な」

「……そ、そう……」


今の間……何だったんだろう?
訊ける雰囲気じゃ無かったから訊かなかったけど、あれって──








……………………

…………

……








「行くぞ、レーヴィ」

「あ、うん」


……何にも、それ以上何にも言わないの?
会計済ませて、早々と店から出ちゃったけど、徳の方は訊きたいこと無かったの?
……本当は、そう言いたかったんだけど、無理だった

だって、私がバイクに乗った時、掴まろうとした徳の背中
朝、ここに来るときに掴まろうとした徳の背中とはまるで違ってたから……


「……どこ、行くの?」

「あぁ……丁度開く時間だから、近くのパチ屋に」

「パチ……?」

「レーヴィは来ない方がいいぞ?タバコの煙は蔓延してるし、何より音が煩いだろうからな」


へー……徳、私のことを気にしてくれるんだ
思いっ切りニヤけてやろっと♪


「我儘言われる前に、先手を打とうとしただけだ……なんだ、その気味の悪い笑顔は」

「またまた〜♪徳ったら優しいいいいい痛痛痛っっ!!!」


りょ、両手の握力で頭を潰そうとしないりぇぇぇえええ!!
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!
悪魔でも死ねるって!!


「バイクに乗る前に、ヘルメットをかぶらなかったレーヴィが悪い」


そこ?!
いやいやいや、徳さん?
まだ動かしても無いのに、体を態々180度こっちに向けて、被ろうとしてた赤いヘルメットを引っ手繰った上で、この万力の刑を執行してるんですよ、あなた?!
と言うか、本気でやめれぇぇえええ!!!





……って、毎回こんなオチの予定?!
さ、さ、作者ぁぁぁぁあああ!!!!


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■作者からのメッセージ
ガチャピンα「気がつけば、もう年末だよ、この野郎」

蜜蜂親衛隊「……何、その綺麗な五・七・五?」

ガチャピンα「いやぁ、どこかの誰かさんのせいで、投稿が一週間も遅れたからなぁ……」

蜜蜂親衛隊「……誰のせい?」

ガチャピンα「本気で言ってるなら、俺は金輪際、この物語は書かん」

蜜蜂親衛隊「えっと、その……申し訳ございませんでしたorz」

ガチャピンα「これを投稿するのが、12月29日……なのにお前、一昨日まで北海道まで遊びに行ってたとか……」

蜜蜂親衛隊「いやぁ……昔の友人からお誘いがかかって……」

ガチャピンα「……せめて、プロットくらい、メールで送れ」

蜜蜂親衛隊「本気で申し訳ないです、はい」

ガチャピンα「もういい……それより、今回の視点変更についてだが」

蜜蜂親衛隊「うん、試験的にやってくれてありがと!」

ガチャピンα「ちなみにだが……視点変更は、あんまりやらないぞ?」

蜜蜂親衛隊「エー!なんでなんで?!」

ガチャピンα「読む側も書く側もしんどい……今回みたいに、核心に迫るような回だったら、まぁいいかな?」

蜜蜂親衛隊「なるほど……勉強になります」

ガチャピンα「どの口が言うか……」
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