歴史は退屈だ。そして、嫌いだ。何故、年号とやらを頭に詰め込まなくてはならないのか。
どうやら、隣人も同じ考えらしい。というのは、私の隣人は、彼(隣人は男子だ)の目の前に標高5cmほどある消しゴムの山をいくつも作っていたからだ。 私はすでに、さっきも言ったように、「やる気」を失っていたため、その山≠見て、
(これだけの山≠作ったのだから、消しゴムは相当減っただろう)
と考えながら、隣人を見やった。しかし、相当、という私の言葉も、追いつかないほど消しゴムは減り、隣人は新たな消しゴムを出さなくてはならなくなっていた。
その時、他のみなはノートを取っていて、教室は静寂そのもの、鉛筆で紙をひっかく音と消しゴムで消す音などのほかに、静寂を破る音はなかった。いや、あった。隣人の出す、消しゴムの包装をはがす音だった。 嫌な予感がした―――、そして、それは、運悪く、的中した・・・。
「皇!!律!!何をしている!!」
やっぱりな。あ、言うのを忘れていたが、私の名前は「
皇 怜悧」だ。(ちなみに女子)
隣人も、隣人のままではかわいそうなので本名を言う。「律 修児」だ。
ろくに勉強もできないのに――といえるほどの私ではないが、「修児」という名前が似合わぬ隣人、じゃなかった、律よりかは幾分か成績は上だ。
だから言うが、歴史は嫌いだ。けど、成績はそこそこだ。それでいいんだと思う。だって、あんまりいい成績をとると母に
「
怜悧、あんた気味の悪い伝染病にでもかかったんじゃあないでしょうねぇ」
と、アニメや漫画の中のようなせりふを言われかねない。私は、だから勉強をしないのだ。
そして、コレはやらなくてはならない復習二回分のうち、一回を削る言い訳にもなっている。それだから、寛容にも、こんなにも失礼な(!?)母の言うことにも耳を貸さないようにしている。
だって、万が一「それはない」と一言でも反論したならば、私は、部活動やなんやらが終わって家に帰り着いた後の時間を、まったりとくつろげなくなり、そしてそれは私の、ただでさえ、つまらない授業でたまったストレスを、もっと増えさせることになるのだ。
きっとこれは皆にとっても私にとっても、正論である。(少なくとも私にとっては)
「それで!それで、お前はこんなに消しかすを作るほど落書きを続けていたというのか!!」
そして、火花は当然―――
「お前もだ!皇!!隣がいたずら書きをしているというのに止めなかったのか!?それでいて、話を聞いているわけでもなくボーっとしていたと!?」
あの、非常に言いづらいんですが、律に言うときには
落書き」て言っていて――
「先生?何でオレには落書きって言って、
怜悧にはいたずら書きって言ったんですか?オレ、いたずら書きの方が聞こえがいいと思うんです。落ちないから」
(り、律!!何言ってんの!?)
「律!今、なんと言った?」
ああ、もう!何で私の考えが律や先生とシンクロしてんの!?嫌になるよ!!
「でもって授業は先生が律を怒ってて終了。ほんとあいつの隣は最悪だよ〜(泣!?)」
授業が終わってすぐ、友達に愚痴る。本当にやなわけじゃあないけど、ちょっぴりやな気分であるのは本当だ。でも、これで今日の授業は終わり。後は部活のみ!
ちなみに、私は書道部だ。字が上手いということで勧誘を受けた。
一年のときは吹奏楽だった。よく、「途中で変わるなんてあんまないよね〜」といわれる。確かにそうだ。友達の中で、一年から二年にかけて、部活を変えた人はいない。
きっとうちのクラス、いや、学校全体で私と後もう一人いたら奇跡ってとこだろう。
書道部に勧誘されたのには多分二つ理由があると思う。
一つは部員数が危険水準にあったことだ。
二つ目はおそらく、去年の書道の県大会で優秀賞をとったことだろう。
そうこうしているうちに部室に着いた。そして、そこではとんでもない光景が繰り広げられていた・・・。