ここは学園都市。
東京都西部に存在する。
面積は東京の三分の一ほど。二三〇万人の人口の内ほとんどが学生である。
ここはただの学園ではない。
それは“超能力開発”をカリキュラムに組み込んだ教育機関である。
学園都市には能力開発と言う学生達の能力レベルを図る身体検査(システムスキャン)と言われるものを受けている。
その能力レベルはこうである。
無能力【レベル0】
測定不能な上条当麻やほとんど能力が無いに近い者の事。
低能力【レベル1】
スプーンを曲げる程度の能力。
異能力【レベル2】
このレベルでは一般的価値はまだ低く、実用性にかける。
強能力【レベル3】
価値が一般的に認められ、実用性がある。
世界チャンピオンのプロボクサーすらも、瞬殺できるレベル。
大能力【レベル4】
能力査定の上から二番目で白井黒子や結標淡希などが該当し、自衛隊の一個小隊とも渡り合える。
超能力【レベル5】
学園都市における最高能力レベルの事。
学園都市には7人しかいない。その7人にも強さ順位があり、その第3位こそが御坂美琴である。
レベル5(ファイブ)ともなると、軍の一個大隊よりも戦闘能力を有する。
だが上条当麻は無能力者【レベル0】。
だがそんな彼にも能力がある、いや能力がある。それは「幻想殺し(イマジンブレイカー)」と言われるもので、超能力・魔術問わず全ての超常現象を打ち消す事が出来る(この能力自体は超能力でも魔術でもないらしい)。
【7月18日・PM2:00・第7学区】
第7学区にある高校。
その校内のとある教室に男はいた。
その男の名は上条当麻(かみじょうとうま)。
小萌「ハイハーイ。皆さーん、これから体育の授業ですので更衣室で着替えてグランドに来てくださーい!」
今、元気よく挨拶したのは俺達の担任教師“小萌(こもえ)先生”。
教師で大人とは思えない程、ロリ体…いやもとい、幼児体型で短髪でピンク色が特徴の優しい先生だ。
だが正直の所、俺はなえていた。
体育と言うのは本当にダルい。疲れるだけだ。
だから俺は嘘をつくことにした。
上条「あのぉ〜小萌先生…」
小萌「はい、何ですかぁ?上条ちゃん☆」
その目映い笑顔に普通の人なら、嘘をつけまい。
しかし私(わたくし)、上条さんは違う。
今こそ心を鬼にしてこの笑顔の壁を乗り越えて見せる!
上条「実はお腹がぁ……」
小萌「嘘をつく暇があるならさっさと着替えやがれですぅ(^-^)」
その小萌先生の迫力ある発言と笑顔に私(わたくし)上条当麻は壁を乗り越える前に地割れが起き、崖底に突き落とされる感覚に捕らわれた。
上条「ハイ…すいません…」
小萌「頑張って下さいね(^-^)」
上条「ハイ…本当にすいませんでした…」
上条当麻、瞬殺!
諦めた当麻はブルーな状態で更衣室へ向かった。
【7月18日・PM2:10・男子更衣室】
上条「ハァーー」
「おんやぁ〜?どうしはりましたかな、当麻君!」
上条「ああ…土帝か…」
このケラケラ笑い、黄色い髪にピアスにサングラスを装着している男の名は土帝元春(つちみかどもとはる)。
俺の親友だ。
土帝「元気なさそうだにゃ〜。大方、小萌先生にズル休みをしようとして失敗したって感じだなぁ。」
上条「はは…何でもお見通しって訳ですか。」
土帝「まあな。何年いると思ってるんだかな。」
カーン!カーン!
どうやら壮行している内に予鈴がなってしまったみたいだ。
俺と土帝は急いでグランドに向かった。
グランドについた俺達は、あることに気付いた。
何か揉めてるようだった。
体育教師と何者かが揉めてるようだ。
上条「なんだなんだ?」
土帝「ケンカですかい?」
とりあえず興味はあったが同時に何か言い知れぬ不安がする。
だけどちょっとだけなら…様子だけでも見てみよう。
俺は回りの生徒を掻きながら、前の方へと行った。
そうすると女の声がしてきた。
「だから当麻はどこって聞いてるんだよ?」
体育教師「だからお前は当麻の知り合いなのか?と聞いている!」
上条は足を止めた。
上条の不安感知センサーが警報を鳴らしたのだ。
上条「悪い…土帝。やっぱ俺休むは。」
土帝「え?ちょ…上やん!?」
当麻はそそくさと逃げようとしたが、揉めてるいる女は気付いた。
「あ♪当麻ぁー♪」
上条はギクッとし、足を止めた。
そして諦めたかのように後ろを振り替えながら苦笑いで手を上げた。
上条「よ…ヨゥ…インデックス(汗)」
【7月18日・PM2:15・グランド】
インデックス「当麻ぁ、やっと見付けたよぉ。」
いま俺に話し掛けながらテクテク歩いてくるこの銀髪で白い着物を来た小柄な女性の名はインデックス。
まるでペットにつけるような名前…いやそれ以上だろう。
しかし、それを本人の目の前で言うとこの可憐な少女はたちまち悪鬼のような表情となり噛み付いて来るので、聞かれないようにしている。
そしてこの少女は、ひょんなことから俺の家に居候することになっていて、それが皆にバレると大変なのは言うまでもない。
ならどうする!?
当麻は、現在バンジージャンプをする際に地面にぶつからないか、紐がきれないかと思ってしまうような緊張感に襲われていた。
やはり何とか誤魔化すか!まずはこの少女の不用意な発言を何とかしないと!
上条「そうかそうかぁ!探したのか!?それは悪いことをしたなぁ!とりあえずお母さんと一緒に自分ん家で待っててくれないかな?み…美鈴!(汗)」
インデックス「当麻?
何を言ってるの?
私は当麻がお昼ご飯を用意していってくれなかったから事情を聞きに来ているんだよ?
それに私にお母さんはいないし、家は当麻のお家でしょ?
さらに言うと、私はインデックス!美鈴って誰?
詳しく教えてほしいかな、当麻!」
チーン!
上条「………(^-^)(汗)」
う、打ち返されたぁー(汗)
上条当麻、一世一代の言い訳が全て打ち返されて来たァー!
しかも、インデックスに変な誤解を生むことにより、よりややこしい事に!
生徒A「おい聞いたか、今の。」
生徒B「当麻の奴、あの小さな女の子と一緒に家で暮らしてるのか?」
生徒C「しかも食べ物を与えてないみたいじゃない…」
生徒D「えぇ…上条君がそんなことを…」
生徒E「…監禁…」
生徒F「…拉致…」
上条「あは…あはは(涙)」
あぁ…どうやら私は明日から石壁に囲まれた場所で味の薄いご飯を食べに行かなければならないのか…ふ、不幸だ……
上条がダークになってる時、グランドの奥から人の声がしてきた。
他生徒A「どいてくださーい(汗)」
ん?やけに慌てた言葉つきだな。
上条は声がする方をみた。
そうするとサッカーボールが上条の目の前まで飛んできていた。
上条「う、うわぁー!(汗)」
インデックス「当麻(汗)」
その瞬間、インデックスは変な言葉を言った。
インデックス「K・Z・Y」
その瞬間、突風が吹き荒れ上条当麻に向かって飛んできていたボールはその突風に巻き込まれ空高く飛ばされた。
上条「インデックス…今の…(まさか魔術を…)」
インデックス「け、ケガはない(汗)当麻(汗)」
俺のことを本気で心配してくれている…ワガママでうるさい時もあるけど、やっぱインデックスは優しい女の子なんだな。
当麻は少し笑って、インデックスの頭を撫でた。
上条「ありがとな、インデックス。」
インデックス「ふぇ(照)と、当麻(照)?(汗)」
インデックスは照れていた。
その後、小萌先生が駆け付けてくれ、俺とインデックスは従妹でたまたま遊びに来ていると説明してくれた(もちろん嘘だが)。
そして何とか誤解は解けた。俺はインデックスを家に送ると言う事で特別に早退する事が出来、学生寮のとこまで来ていた。
帰る途中インデックスにメシを食わせ、忘れたお詫びに遊んでいたらもう夜になってしまっていた。
だがインデックスは満足しているようだった。
費用にして8000円の出費を余儀なくされたが、喜んでくれているインデックスを見ると「ま、いいか。」と言う感情が出てきた。
ちなみにどうでも良いことだが、出費8000の内5000はインデックスのお昼ご飯である。
全く、あの華奢な体のどこに食料は収納されているんだか。
【7月18日・PM6:30・第7学区・学生寮前】
上条「あ〜、やっとついた。我がオアシス!上条さんは今感涙中です。」
インデックス「むぅ…当麻!そんなに私といるの詰まらなかった!」
上条「いや、そんなことはないよ。ただ疲れただけだよ。」
インデックス「ふーん…なら良いけど…」
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【学生寮・上条の部屋前】
上条「ただいま〜」
俺は扉の玄関を開けた。
そこにいつもの光景があると思って。
だけど、俺は見事にカウンターパンチを食らった。
俺の部屋は戦場の跡と化していた。
上条「なっ…(驚)」
インデックス「うわぁ〜。何やら大変なことになってるね(汗)」
当麻の部屋はボロボロだった。
カーテンを破かれ、ベッドの布団や毛布等があり破かれていて、机の上にある物を落ちていた。
まるで泥棒に荒らされたかのように。
上条「な、何事ですか、これは?!(汗)」
インデックス「あぁ…(汗)」
だがその現状の原因を何か知ってるようだった。
インデックス「…(まさかスフィンクス?)」
スフィンクスとは、ひょんなことから飼うはめになった捨て猫のことだ。
名をつけたのは、インデックスである。
インデックス「スフィンクス、おいで…」
上条「インデックス…私は気付いてしまいましたよ。犯人はスフィンクスだな。」
インデックス「な、なんでそれを…?(汗)」
上条「よく見ると破かれた後がスフィンクスの爪によってなされたものだとよくわかったからな。」
インデックス「な、なるほど…流石は当麻だね(汗)」
上条「ハァ…まあいいや。俺は部屋を掃除するから、インデックスはコンビニでダニアースを買ってきてくれ。スフィンクスのダニがうようよしていると思うからな。」
インデックス「う、うん(汗)ダニアースだね!行って来るよ!」
インデックスは当麻からお金500円を貰い、慌てて部屋から出ていった。
そして残された当麻は。
上条「ハァ〜。不幸だ…」
当麻不在の為、ナレーションは通常の地の文となります。
【7月18日・PM7:00・第7学区・コンビニ】
インデックス「えと…ここがこんびにと言う所だね!」
インデックスは今ご機嫌だった。
なぜならインデックスは一人で当麻に買い物を頼まれた事がないからだ。
だから、当麻に認められてる、信じられてると思い内心嬉しいのだ。
そしてインデックスはコンビニに入る前に白い着物の内ポケットから500円玉を取り出し、確認した。
インデックス「この金色のコインをお店の人に渡してダニアース下さいって言えば良いんだよね!(汗)」
インデックスは若干、緊張していた。
それもその筈。信頼されるって事はそれなりの責任が課されるって事で、基本的に失敗は許されないからである。
ましては、インデックスは当麻の事が好きな為(恋愛の好きかどうかは不明)、失敗はしたくないのである。
インデックス「よし!し、しし失礼します(汗)」
インデックスは言わなくても良いあいさつをして、コンビニの自動ドアを入って行った。
そうすると中のレジの人が元気よく「いらっしゃいませー!」と挨拶をしてきた。
その声にビックリしたインデックスは恥ずかしくなり、より緊張が増した。
インデックス「い、いらっしゃいました(汗)」
女性店員「あ、はい(⌒‐⌒)ご丁寧にありがとね、お嬢ちゃん(⌒‐⌒)お買い物かな?」
その女の店員は愛想よく、インデックスに話し掛けてくれたお陰で緊張が少しほぐれていた。
インデックスもこの人に、探している物を聞いてみようかな、と思い店員に話し掛けた。
インデックス「あ、あの!(汗)」
女性店員「はい(⌒‐⌒)どうされましたか?」
インデックス「えと…ダニアース下さい(汗)」
そういうと女の店員は、レジを抜け店内に行き、ダニアースを取って来てくれた。
女性店員「298円になります。」
インデックス「これで!お願いします!(汗)」
インデックスはポケットから500円玉を取り出し、店員に渡した。
女の店員はそれを受け取った。
女性店員「500円、お預かりしますね。はい、202円のお釣りです。」
女の店員は丁寧にダニアースを袋に入れてくれた。
更にビニール袋にお釣りも入れてくれ、インデックスに渡した。
インデックス「ありがとうございます!」
女性店員「どういたしまして(⌒‐⌒)落とさないようにねー」
インデックス「うん♪」
インデックスは優しい店員さんに巡り会えた事と、目的の買い物が出来た喜びでウキウキしていた。
インデックス「ふんふふん♪ふんふふん♪当麻、喜んでくれるかなー」
それから20分後、インデックスは当麻の家についた。
インデックスは店員さんが詰めてくれた袋を片手に、上気分で帰ってきていた。
【7月18日・PM7:30・当麻の部屋前】
インデックスは当麻の部屋の扉を開けて入ってきた。
インデックス「ただいまー(^-^)当麻、当麻!頼まれた物、ちゃんと買って来たよ!」
上条「おぉ、そうか。割りと早かったなインデックス。」
インデックス「うん♪」
インデックスは満面の笑顔だった。
そしてインデックスはようやく気付いた。
つい30分程前までは、まるで泥棒に荒らされたかのように、朽ち果てていた部屋が綺麗に片付けられていることに。
カーテンは破れた所を上手く切り、短めのカーテンとし、布団の破れた所はそのカーテンの切った布で裁縫をすることで切れ目を隠し、その他の汚れや壊れていた物などはちゃんと片付けられていて、輝いていた。
インデックスは目が釘付けになった。
僅か30分の間でこれをやった上条当麻、恐るべし。
インデックス「す、スゴく綺麗になっちゃったね…(汗)」
上条「ん?そうかぁ?夜遅いから急いでやったつもりなんだけど。」
インデックス「これで急いで…?(汗)」
上条「にしても驚いたな。」
インデックス「え?何が?」
上条「いや、インデックスがお菓子とか食べ物買ってきてないのが。てっきり、余ったお金で買って来るんじゃないかと思ってたからさ。」
インデックス「むぅ!私はそんな食いしん坊さんじゃないよ!」
果たしてそれはどうか?と言葉が当麻は喉の辺りまで出てきたが呑み込む事にした。
上条「そうか。インデックスも成長しているんだな。」
インデックス「えっへん」
インデックスは両手を腰に手をやりふんぞり返り、えっへんと言った。
当麻はややうけた。
そして、当麻はある決心をした。
今日は金曜日、つまり明日は土曜日と言うことで学校が休みな訳である。
だから当麻は、インデックスを“学舎(まなびや)の園(その)”へ連れていってやろうと思っていた。
上条「なあ、インデックス。今日は買い物もちゃんと出来たし、素直に言うことを聞いてくれたから、明日遊びに連れていってやるよ。」
インデックス「え!ホントー♪♪」
インデックスは過剰に喜んだ。
インデックス「じゃあじゃあ!明日の準備をしないとダメだね!」
上条「いや、それは明日でも…(汗)
あ、それと今回はスフィンクスも連れていくからな。」
インデックス「あ、また荒らされたらやだもんね。うん、わかった!私がちゃんとお世話をするよ!☆」
インデックスの目はキラキラ光っていた。
上条「明日は8時起きだからな。」
インデックス「うん♪」
その後、当麻はダニアースを撒き、台所でインデックスと一緒に夜ご飯を食べ、交代でお風呂に入り、少しテレビを見てから眠った。
【7月18日・PM10:00・就眠】
『to be continued』
そして、第一章の続きは第三章へ続く。