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IS インフィニットストラトス〜黒騎士は織斑一夏〜 第三話
作者:AST   2012/07/05(木) 01:32公開   ID:GaMBFwOFFuY
押し倒した彼女の一糸纏わぬ裸体が一夏の眼に映る。

上気した彼女の頬

シャープな輪郭の顔

凛とした意志を感じさせる眼

ベッドの上に広がる濡れた黒髪

豊かな胸

ほっそりと引き締まった体のライン

くびれのある腰

しなやかに引き締まった脚

それらが集まり一つの芸術品であるかの様な美しさを醸し出している

そして目の前の彼女は初夜を迎える生娘の様に

「一夏・・・・」

その瞬間を待つように目を閉じる






第三話







話は放課後に戻る

本日の授業も終わり、授業の復習の為に教室に残っていた所へ、真耶がやって来た。

「ああ、織斑君。まだ教室にいたんですね。良かったです」

「何か?」

「えっと、織斑君が生活する寮の部屋が決まりました」

「・・・・・・自宅通い」

少なくとも一週間は自宅通いと言う事を一夏は聞かされていた

すると真耶はこっそりと耳打ちしてきた

「そうなんですけど、事情が事情なんで一時的な処置として、部屋割りを無理やり変更したみたいなんです・・・その辺りの事は政府から聞いてます?」

一夏は首を横に振った。しかし一夏は事情を理解した

本来なら女性にしか動かせないはずのISを動かした唯一の男性操縦者

その価値は計り知れないものだ

入学式になる日まで自宅の前にはマスコミがたくさん集まって来ていたし

解剖させてくれ、体を調べさせてくれ、等と言ってきたマッドまで居た

仕方なしに取材を受けた時の受け答え

「世界初の男性IS操縦者になった気持ちは?」

「どうでも良い」

「やはりあのブリュンヒルデの弟と言った所ですね」

「下らん、俺は姉の付属物では無い」

「何か一言を!」

「特にない」

「研究させてくれ!」

「貴様が永遠に呼吸しないで生きていたらな」

と最後に変なのが混じっていたが、いつもの調子で受け答えしていた

「と言う訳でして、政府の特命もあって織斑君を寮に入れる事を優先したらしいです。一か月もあれば個室を用意できるので、それまでは相部屋で我慢してください」

ふむ・・と一夏は顎に手をやってから気づいた

「荷物は?」

「それなら私が手配した。ありがたく思え」

「姉・・織斑先生が?」

荷物などは一週間後から運ばれてくる様になっていたが、どうやら千冬が手を回してくれたらしい

「相変わらず、何も無い部屋だったがな・・・・」

その言葉に真耶が驚いたように千冬に尋ねる

「えっ、織斑君って私物が少ないんですか?」

「ああ、昔からこいつは必要最低限の物しか持たん」

「じゃあ、趣味とかは・・・」

「強いてあげるとしたら、筋トレや料理や家事か?」

「それって一般の男子から離れているんじゃ・・・」

「家事が出来ない姉を持つとこうな、ぶッ!!?」

最後まで言い切る前に千冬のチョップが一夏の脳天に直撃していた

「人の個人情報を漏らすな」

「・・弟の個人情報は良いのか?」

「お前は私のモノだ。拒否権は無い」

誤解を生みそうな発言である

現に真耶は顔を真っ赤に染めて、イヤンイヤンと体をくねらせている

「・・・・・不条理だ」

「弟は姉に逆らってはいけないと決まっている」

常識だろう?と千冬は言い放った

姉が白と言えば何色であろうとも白、黒と言えば何色でも黒

それが織斑家の不文律であり、絶対の法則

姉と言う座から流れ出た法則である

『流出:絶対に君臨せし姉』である

「とにかく四の五の言っても何も変わらん。生活必需品だけで充分だろう?」

「俺のレシピは・・?」

その言葉に衝撃を受けたかのように固まる千冬

「くっ、不覚!この私がまさか一夏のレシピを忘れるとは・・・・」

そのレシピには今まで一夏が培ってきた料理だけで無く、マッサージ等の技術やテクニックまで書き記してある

正に一夏の技術が詰まった秘蔵の書である

別名、シスコン白書

全てが千冬の為に習得した技能であるのだが・・・・

彼女に養われていた一夏はせめて自分が出来る全ての事をしようと、彼女の為に出来る事を死にもの狂いで習得していったのだ

その話は置いておいて

一夏は真耶から渡されたメモ用紙に書いてある番号の部屋1025室へと向かっていた

部屋に入ると、そこら辺のホテルとは比べ物にならない程の設備だった

取り敢えず自分の荷物の入ったダンボールを確認した直後

「ああ、同室の者か。こんな格好ですまないな。私は篠ノ之ほう・・き・・」

シャワー室からバスタオル一枚の姿で出てきた箒の姿が・・・

「「・・・・・・」」

バスタオルを体に巻いているのではなく、体に押さえつけている状態の為、結構きわどい所まで見えていた

まず目に付くのは、バスタオルで隠しきれていない程の豊かな胸の膨らみ

幼少の時に見た幼女の裸では無く

成熟した体つきとアジア系の未熟な顔つきという

アンバランスであるが故の魅力があった

随分と女らしくなった成長したものだな・・・・

と、約2秒でここまでの評価をした一夏を凄いと言うべきか

箒は、そんな一夏を見ながら肩を震わせている。

「・・・寒いのか?」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

悲鳴を上げると同時に、箒は部屋に置いてあった竹刀を取り、一夏に向けて振り下ろす

躱す素振りさえ見せなかった一夏は、そのまま脳天に一撃を受けて倒れるかに思えた

が、ここに居る一夏はただの一夏では無い

バシィ!と右手で竹刀を掴んで受け止めると、勢い良く自分の方へ竹刀を引き寄せる

同時に竹刀を握っていた箒もそのまま引き寄せられ一夏の胸にダイブする

その勢いのまま箒を抱き寄せ半回転して、彼女をベッドに押し倒す

両腕を押さえつけ抵抗できないようにする

「落ち着け」

そう言って彼女の姿を改めて見る

バサッと幾分か水分を吸って重くなったバスタオルが落ちた音が響く


そして冒頭に戻る。


「一夏・・・」


何かを待つ様に目を瞑る箒を見て


流石の一夏も何をすればいいか分かっていた



「箒・・・」



チュッという音が彼のキスした所から聞こえた



彼女の頬から・・・・

「ふぇっ?」

箒は自分が予想していた場所とは違う所にキスをされて、驚いた様にも、残念そうな様にも聞こえる声を上げたのだった。

「落ち着いたか?」

一夏は彼女の顔を覗き込みながら聞いた

「あ、あう・・」

プス・・プス・・プシュゥ〜と先刻と同じ様に顔が真っ赤に染まり蒸気を噴き上げる箒

一夏は顔が近いから話しづらいのだろうと思い、顔を離した

成熟した箒の体を改めて見ると大人顔負けのプロポーションである事が分かる

箒の全裸、二つの母性の頂点とか下腹部の成長具合と言った

本来隠されているべき場所までしっかりと見ていた

まあ最近では色々と解禁されているから、直接的な描写が無ければ問題無いだろう

と、一夏がメタな事を考えた瞬間、部屋のドアが開かれ

「なんか凄い悲鳴が聞こえたけど、大丈夫!?」

「何、どうしたの!?」

「何があったの!?」

箒の悲鳴を聞きつけた女子生徒達が突入してきた

「「「「「「「「あ・・・・・」」」」」」」」

その場にいた全員の声が重なる

今の一夏と箒の状況を見て、第三者はどう思うか?

制服姿で全裸の女子を押し倒し、抵抗できない様に腕を抑えている男子

状況証拠的に言い逃れは出来ない状況である

このままでは一夏が性犯罪者となってしまう!!

と、約0.2秒で判断した箒は無我夢中で口を動かしていた

「ち、違うんだ!これは・・・私と一夏の訓練だ!!」

その発言がどれほどの誤解を生み出すのかも知らずに・・

一夏と箒の親密さは休み時間の様子から、即座に学園中とはいかないが同学年の生徒たちの間では広まっていた

そして明らかに性犯罪としか見えない状況で言い訳しているのが男では無く、女の方

それらを加えて彼女たちが下した判断とは

「「「「「「し、失礼しました!!どうぞごゆっくり〜〜〜〜」」」」」」

「だから、誤解だァァァァァァァッ!!!」

無慈悲にもドアがバタンと閉められた

 “これで明日には、一夏と自分はこういう仲だと学園中に広まってしまうのだな・・”

そこまで考えた箒は「おや?」と考える

 “あれ?むしろ、これで私と一夏は公認の仲になったのでは?”

と、乙女的思考回路が神速の如き速度で答えを導き出した

  “し、しかし、なし崩し的に一夏とそういう仲になるのは如何か?”

と、今度は箒の良心が咎める
 
 “彼女自身は一夏に告白された訳でも無いのに、彼と付き合う事になっても良いのか?”

彼女の中の天使がそう言う
 
 “でも、そうすれば一夏は自分の物だ”

彼女の中の小悪魔がそう囁く

「むうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜」

彼女の中では良識の天使と乙女心の小悪魔が大論争をしており

文章で表すと大した事が無い様に思えるが、

当の本人にしてみれば、壮絶な大戦争が繰り広げられている

例えるなら、水銀ニート神と黄金の総軍の決戦位である

そして事の原因の少年はと言うと

「明日にでも説明すれば良いか・・」

いつも通りのマイペースだった・・・



 それを見た途端に彼女の中のDies irae、ラグナロク、終末の日は

 女神で天然で巨乳の金髪碧眼フランス娘に終了させられたのだった。

決して、育てられた環境のせいで世渡りが上手く、高い人気を誇る尽くしてくれる系の男装美少女では無い



部屋の外に出た一夏は箒が着替えるのを待っていた
 
 少し時間が経ってからドアの向こうから箒の声が聞こえた

「入れ・・・」

ドアを開けて、部屋に入ると剣道着を来た箒が立っていた

その顔はかなり真っ赤に染まっており、体が震えている事から相当な羞恥心に身を焼かれているのだろう

まぁ、意中の男に風呂あがりの姿どころか、フルヌードを見られてしまったのだから、無理も無いだろう。

こうして顔を合わせるだけでも、必死で耐えている事が分かる

対して、一夏は表情を変える事も無く

「すまなかったな、箒」

深々と頭を下げるのだった

「・・・・・・・・・・・・」

・・・・・沈黙が二人の間を支配する

未だに頭を下げたままの一夏、何を話せばいいのか迷っている箒

二人の間で時間だけが過ぎ去ってゆく

「とりあえず、頭を上げろ・・」

箒がそう言うと一夏は頭を上げ箒を見る

彼女は顔を紅く染めたままだった

「さっきの事は水に流そう、それの方がお互いの為だ・・」

「そうだな・・」

このままでは何時まで経っても、お互いにギクシャクしたままだ

ならば水に流してしまった方が良い、と箒は考えたのだった

かなり惜しい事をしたとは思うが、これからの生活で一夏との仲がギクシャクして話し辛くなるよりはマシだ

それに同室で一緒に過ごすならば、まだまだチャンスはある
 
 “モッピー知ってるよ、一夏はこんな18禁ハプニングでは揺らがない男だってこと“

箒の脳内に座す軍師モッピーは己の知識を総動員して、状況を判断し、箒にとっての最善の決断を導き出したのだ

( 感謝するぞ、モッピー! )

形容し難い笑みを浮かべるデフォルメキャラに礼を言う箒

 “箒にとって最善の未来を導くのがモッピーの役目だって知ってるよ”


そんな声を残してモッピーは己の内に帰って行くのだった・・

二人はとりあえずベッドに腰掛ける

「お前が私の同居人なんだな・・」

「嫌か?」

何て事も無いように聞いてくる一夏に箒は

「別に嫌と言う訳では無いんだ・・しかし“男女七歳にして同衾せず”と言うだろう?」

軍師モッピーの助言で幾分か素直になったらしい

「ああ・・俺もそう思う」

だが、と一夏は続ける

「国からの要請だ。仕方無い」

やはり一夏は大人だった

「それに幼馴染であるお前と一緒の方が落ち着く」

「そ、そうか、私と一緒の方が落ち着くのか・・・・嬉しいものだな」

そう呟いた箒の笑みはとても優しげで、綺麗だった

「何故だ?」

「昔から一夏には助けられてばかりだった・・・だからお前に頼られるのは嬉しい」

「そうか・・・」

何時しか二人の間には春の陽だまりの様に優しい空気が流れていた









と、ここまでならいい話で終わったのだろうが・・・・









ふと、視線を感じた一夏がドアの方を見ると

じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、ドアの隙間から見ている乙女達が居た

自分の部屋に戻っていたかと思いきや、最初からニヤニヤと二人の甘酸っぱい青春劇をゆっくり鑑賞していたらしい

主に同じ乙女である箒の方ばかりだが・・・

この劇の主役は一夏では無く彼女の方だったらしい

「・・・・鍵をかけ忘れたな」

「________きゅう」

流石に羞恥心の限界を突破したらしい箒は珍しく可愛らしい声を上げて意識を手放したのだった。

「篠ノ之さんも乙女よねぇ・・・」

「「「「うんうん」」」」」

三年生の先輩の一人の言葉にみんなが同意した


“やれやれ、だな・・・”

一夏は仕方ないとばかりに箒をベッドに寝かせると彼女の頭を慈しむ様に撫でる

“少しは成長したと思ったが、まだ未熟な子供だな・・”

まるで彼女の兄か父親の様な事を思いながら、彼は来客者の相手をするのだった



どうやら神は意外と恐怖劇以外の演出もするらしい


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