作者:佐藤C
2012/07/01(日) 16:56公開
ID:fazF0sJTcF.
※重要なお知らせ 現在、シルフェニアはサーバー負荷軽減のために小説投稿掲示板が幾つかに分割されております。
よってここから先、15話以降をお読みになる場合は、
「○最新作品集」「○作品集(12/11/12)」「 ○作品集(12/07/06)」「 ○作品集(11/08/14)」のうち、いずれかをクリックしてページを移動してください。
読者の皆様にご迷惑をおかけする事となり、誠に申し訳ありません。
どうかこれからも、「ネギま!―剣製の凱歌―」をよろしくお願い致します。
『しまった、騙されました!!』
『ごめんネギ!このかが攫われちゃった、どうしよう!!』
『え、えぇっ!?』
『くっ、私とした事が!!すぐに"気"の跡を辿って……!!』
「―――いた!!」
三人は、眠る木乃香を抱えてホテルから走り去る着ぐるみの背中を追った。
第二章-第14話 修学旅行一日目・下
夜だというのに明かりも点いていないそこは、少年期に使っていた士郎の自室だ。
押し入れが一つと、木製の箪笥、和室用の低い机、燈台が置かれている十畳一間の畳部屋。窓は硝子と襖の二重窓になっている。
士郎は一年前の正月にも京都に帰って来たが、その時も今と同じで、この部屋には埃ひとつ見当たらなかった。巫女達が定期的に掃除してくれているのだろう。
そんな和室の畳にごろんと横になり、士郎は頭の後ろに手を組んで横になっていた。
「…………なんの冗談だよ」
ぽつりと口を突いて出た独白に、返す相手も今はいない。
発端は、「この世界の」衛宮切嗣……士郎の実父の過去だ。
士郎は四年前にウェールズで失血死しかけた際、剥離した魂を引き寄せられ―――〈剣の丘〉で赤い英霊、〈アーチャー〉に出会った。
そのとき与えられた「とある英霊の生前の記憶」には、その人物の父親……「あちらの世界の」衛宮切嗣についての情報も記憶されていた。
……その、向こうの切嗣とこちらの切嗣の人生。
その在り方は―――余りに似過ぎていた。
「並行世界」という理論上、それは不思議な事ではないのだが………「ここ」と「向こう」はもはや、異世界と言っていい程の隔たりがある。同じように考えていいものか。
そして……士郎を苛む一つの考えがあった。
「………俺も、そうなのか……?」
俺と〈アーチャー〉……〈エミヤシロウ〉が似てるとは、俺は思わない。
彼と俺は別人だ。
そう思ってた。
“でも本当に、そうなんだろうか?”
〈エミヤシロウ〉はどうやら、俺と同じくらいの歳の頃に戦場に身を置いた……らしい。
いつか俺も、そうなってしまうのか?
いつか『彼の記憶』に影響を受けて、何かが変わってしまうのではないか?
いや、もう既に影響されているのかもしれない。
俺の使う戦術・魔法は『彼の記憶』から読み取ったものを基にしているのだ。
思考や思想も影響されていて――――おかしくない。
「…………ああ、くそっ……」
俺は、俺なのか。
俺は、彼なのか。
俺は、どちらだ。
(…誰だお前は)
――――――――――――――
俺は、誰なんだ――――。
◇◇◇◇◇
木乃香を攫った呪符使いの女は逃亡に専念する方針を変え、しつこく追って来るネギ達を迎え撃つ事にした。
戦場は、"人払い"の呪符によって人っ子ひとり居なくなった、京都駅出口の大階段。
仮契約カードにより「
魔法使いの従者」の専用武器「アーティファクト」を手にした明日菜は、その能力で式神達を問答無用で送り還す。
明日菜が一人で式神を相手取れるようになったことで、フリーになった刹那が呪符使いの女に迫る。
しかしその行く手を、護衛として雇われた神鳴流剣士の少女・
月詠が遮った。
幾度も入れ替わる形勢と攻防の中、呪符使いとの戦いは――――決着を見ようとしていた。
「
風花・
武装解除!!!」
「んなぁ〜〜〜〜っ!!?」
追い詰められた呪符使いはあろうことか木乃香を、ネギの攻撃の盾にしていた。すると彼が手出しできなくなったのをいい事に付け上がった彼女を―――ネギの武装解除が襲う。
女の服と共にほぼ全ての呪符を花弁と散らし、そのとき発生した突風が彼女と木乃香を引き離す。
式神は消し飛び、月詠が突き飛ばされた。
―――つまり呪符使いの女にはもう、為す術はなく。
「このかから………!!」
「お嬢様から―――……!!」
遠慮も躊躇も不要だった。
「「―――――――離れろッ/離れなさいッ!!!!!」」
「へぶーーーーーーーーーーーーっ!!」
残った式神を刹那に倒され完全に無防備となる。次いで明日菜のスチール製ハリセンに馬鹿力で殴打され―――女は勢いよく吹っ飛ばされて遥か後方の壁に激突した。
……全裸の女性が宙を舞って吹き飛んでゆく光景は、中々にシュールである。
「ぐ……な、なんでガキがこんなに強いんや………!!」
「あわわ、メガネメガネー」
僅かに残された呪符でダメージを軽減した彼女は、痛めた体を抱きながら呻くように言葉を吐き出す。
月詠は刹那に眼鏡を吹き飛ばされて視力を失い、辛くも地面を這って女の元へ近寄った。
(見習いの神鳴流剣士、式祓いのできる素人、赤髪の魔法使いのガキ……。
……こりゃこいつらのコト調べといた方がええな………!)
「
猿鬼2!!」
《――ウキッ!!》
なけなしの最後の呪符で呼び出した、猿の着ぐるみの様な式神が高く跳ぶ。
一味はその式神に掴まってこの場から逃げ去った。
「覚えてなはれーーーーーーー!!」
「あっコラ待ちなさいよ!!」
「いえ深追いは禁物です。それよりお嬢様を!」
「そう言えばアイツ、薬とか呪符を使うとか言ってたよな…?このか姉さんは大丈夫か!?」
「!! ……まさか!?」
カモの発言で一同の顔が青ざめる。ネギ達は慌てて木乃香の下へ走った。
「こ、このか!!大丈夫!?このか、このか!!」
「このかさん…!!」
「お嬢様!しっかりしてください!!このかお嬢様!!」
刹那が木乃香の肩を抱き、ネギも傍らで彼女の名前を呼び続ける。
明日菜はその様子をオロオロしながら見つめていた。
「ん………? あれ…?せっちゃん………?」
うすぼんやりとした意識の中、木乃香がゆっくりと瞼を開けた。
「!!お嬢――」
「あ――…せっちゃん、ウチ変な夢見たえ…。
変なおサルに攫われて…でもせっちゃんや、アスナやネギ君が助けてくれるんや………」
「…!このか!!」
「よかった、このかさん!!」
「……良かった…もう大丈夫です…。このかお嬢様………」
ホッと息を吐いて刹那は、安堵から穏やかな笑みを零した。
……それは……。
「よかったあ………!! せっちゃん、ウチのコト嫌いになったんやなかったんやなあ……」
それは刹那が木乃香に対して見せた、久方振りの笑顔だった。
「え…」
泣き笑いを浮かべながら言う木乃香に、刹那は言葉を詰まらせた。
(…そのように思われていたのですか………。…い、いやでも)
「そ、そりゃ私かてこのちゃんと話し…ハッ!?」
刹那は思わず出た自分の本音に驚き、そして思い出したようにハッとする。
彼女はいきなり木乃香から身を離し、跪いて頭を垂れた。
――ズザーーーっ!!
「し、失礼しましたっ!!」
「え、せっちゃん?」
「刹那さん……」
「私はこのちゃ…いえお嬢様をお守りできればそれだけで幸せ……いやそれもひっそりと影からお支えできればそれで…あの………!
―――御免!!」
「あっ、せっちゃんーーー!!」
刹那は顔を赤くしながら、階段を駆け下りて京都駅に逆走して行った。
「刹那さん……」
「うーん、いきなり仲良くしろって言っても難しいかな…」
(やっぱそう簡単にはいかねーべ)
「…よし!
桜咲さーーーん!!明日の班行動一緒に回ろうねーーーー!!約束だよーーーーーっ!!」
走り去る刹那の背中に、明日菜はありったけの声で呼びかける。
すると刹那は一度立ち止まり、後ろを振り向いて………再びその場から駆けだした。
「アスナー……。」
「大丈夫だってこのか。安心しなよ」
「アスナさん…」
不安そうな木乃香の肩をぽんと叩き、明日菜は顔を上げて息を吐く。
京都の夜空を眺めながら、彼女は今日という波乱の一日が終わった事を感じ取った。
「色々あったわねー、今日。……そう、まだ一日目なのよね今日………。
ホントどーなっちゃうのよこの修学旅行は…」
「はぅっ!そうだ、僕も長さんに親書渡さなきゃ………はぁ」
「なーなー。てゆーか何でウチ、こんなトコにおるん?」
(このか姉さんがいると喋れねーんだよな俺っち……)
―――長い長い一日が終わる。
修学旅行はあと、四日間――――。
◇◇◇◇◇
「ごくろーさん、猿鬼」
《ウキッ》
闇夜の中、京都市内を駆けてゆく黒い影が、とあるビルの屋上で動きを止めた。
「うー、メガネ―――」わたわた
「ああもう、ウチの眼鏡貸したるさかい、しゃんとしいや。ウチは眼鏡なくても動けるから」
「おおきにー。うー、度が合いまへん……でもなんとか歩けますー」
何も見えていない目を細め、何かを探るように慌ただしく手を動かす月詠を見かねて、呪符使いは自分の眼鏡を彼女に差し出す。
視界を幾分か回復して月詠がホッと笑うと、呪符使いは悔しそうに拳を握った。
「にしてもまさか子供に邪魔されるとは……。くっ、あのガキども…次は本気でいきますえ!!」
――ドッ!
《ム゛キッ!?》
「!」
「!?」
月詠は目を見開き、女は理解が追い付かなかった。
闇から飛来したそれに貫かれた式神は、煙を捲いてその存在を消滅させた。
『…悪いな、今イライラしてるんだ。手加減はできそうにない』
「!? 誰や!?」
「あはー、なかなか心地いい殺気ですわ――♪」
『存分に、八つ当たりさせてもらう』
布のはためく音が鳴る。黒いコートを靡かせて、衛宮士郎が彼女達の前に降り立った。
「人の妹に手を出して、タダで済むと思うなよ?」
「っ月詠はん!!」
言うが早いか、女が指示を出すと同時に月詠がコンクリートを踏み抜いた。
「行きますえー、色男はん」
「
投影、開始」
――――ギィンッ!
二対二刀、計四つの刃が交錯し、月下の闇夜に金属音を響かせた。
「あら〜、お兄さんも二刀ですか〜」
士郎の両手に現れたのは、水波模様の白い短剣と亀裂模様の黒い短剣。
鉈の様な刀身を持つその夫婦剣は「干將・莫邪」。
―――ギ…ギギ……ッ!
奇しくも月詠がその手に握る得物も、太刀と小刀による双刀。四つの刃が鍔迫り合いを演じて震える。
月詠は熱い視線で士郎の眼を覗き込んで、妖艶に舌舐めずりした。
「ふふ…楽しめそうですなぁ……♪」
「悪いがこっちには殺し合いの趣味はない。さっさとそこを―――
退いて貰おうか!!」
―――ギィンッ!!
均衡を破るのは士郎。
力で強引に干将莫耶を振り抜くと、月詠の刀は弾かれ、彼女の細腕はバンザイしたように拡げられて無防備になる。
「――ほっ」
しかし気の抜けた声と共に月詠はその場を飛び退き、戻した腕で振り下ろした士郎の莫耶は空を切った。
(―――。)
士郎は、月詠に対する評価を修正した。
お惚けた表情をして眼鏡をかけた、薄黄緑色の長髪の少女。
ゴスロリファッションな服装をして、小回り良く二刀を振るう京都神鳴流剣士。
だがそれだけではない。
腕力で勝る士郎の剣に腕を振られ、体勢を乱されて尚、月詠は容易く斬撃を躱してみせた。
同じ事を士郎がやっても、ここまで簡単にはいかない。
あわや斬られる寸前から脱したばかりというのに笑みを浮かべ、ずれた眼鏡を直しながら士郎を見つめる少女の様には。
(…純粋な剣術だけなら、この娘の方が上か)
(なら……!)
――ダンッ!!!
コンクリートの床が砕ける勢いで、士郎が瞬動で突進した。
「あぁ…強いですなぁお兄さん、わかりますえ。こないに楽しい斬り合いは久しぶりですー…♪
くすくす…お兄さん。ウチをもっともっと楽しませてください…♪」
「断る!」
叫ぶと同時、士郎は左手の干将を月詠に投擲した。
「あら〜、剣を捨てていいんですかー?」
体の重心を僅かにずらして彼女は、回転しながら自らに迫る黒刃の直撃軌道から外れる。
「
壊れた幻想」
――唸る轟音。突如としてビル屋上に吹き荒ぶその烈風。
"壊れた幻想"。宝具が内包する魔力を爆発的に開放する、文字通りの魔力爆弾。
その突風は、月詠の背後でこっそりこの場から去ろうとしていた呪符使いを屋上の壁に打ち付け、そして―――
「わぷ…。わ――?」
腕を交差して目を守る、月詠の眼鏡をずり落とした。
視界を閉ざされた彼女は慌てて、位置を整えようと眼鏡に手を掛ける。
「あ」
月詠の眼前には、翳された士郎の左手があった。
「『
魔法の射手・
戒めの火矢』!!」
零距離で放たれたそれは、炎の縛鎖となって二刀使いの少女を縛り上げた。
火属性とはいえ捕縛呪文なので、その炎が対象者を傷つける事はない。
炎の鎖は少女を腕ごと雁字搦めにした上で、コンクリートの床に彼女を縫いつけていた。
「あ〜ん非道いですぅ〜。お預けなんて殺生ですえ、ようやっと楽しくなってきましたのにー。
……でもお兄さん、あんさんもしかしてー…」
「ああ、
神鳴流剣士の事はよく知ってる。
"神鳴流に飛び道具は効かない"からな、この距離から躱しきるのは流石に難しいだろう。
大人しくしているんだな、
戦闘中毒者」
「はぁん……(うるうる…)」
欲求不満に目を潤ませる彼女の横を素通りし、士郎は呪符使いの女を睨みつけた。
「………はっ、月詠はんをこんな簡単にあしらうなんてなぁ……。
血は繋がってないとはいえ、流石は長の息子や」
「…そこまでわかってるなら諦めろ。お前の負けだ」
呪符をネギの武装解除で失い、最後に残った式神を倒され、護衛の月詠は無効化した。
だというのに彼女はまだ余裕を失っていない。
まだなんとかなる。そういった表情だ。
それを不審に思いながら、士郎は彼女を追い詰める。
「フフフ、そない言われて諦める程度なら、最初からこないなことしとらんわ。
それより………ウチは知ってるんやえ?アンタの本当の父親は…
あの『衛宮切嗣』やって」
「………!!」
夜の暗闇、加えて眼鏡を月詠に貸していた彼女は、士郎が目を瞠った事に気づかなかった。
「アンタの親父さんは、ウチらみたいな西洋魔術師を恨んどる人間にとっては英雄や。
どうや?あんさんも親父さんと同じ道を歩いてみいひんか?」
「…冗談は格好だけにしとけよ痴女」
「な…!!」
ネギの武装解除を喰らった彼女はいま素っ裸である。
呪符使いは両手で体を隠しながら、羞恥と怒りで顔を赤くした。
(―――英雄、だと?)
だが、怒りという点で言えば…士郎の方が遥かに沸点を越えていた。
(巫山戯るな…親父がどんな思いだったのかも知らないで。
……親父の苦悩も知らないで、親父をそんな風に扱うなよ………!!)
「ふ、ふふ………そろそろやな。」
「…!?」
――――チャプ……。
『緊急事態ですか?千草さん』
そんな声と共に、いつの間にか現れた水溜りから一人の少年が顔を出した。
(――水の…
転移扉!?)
ザザザ、と音をたてる水流を身に纏い、少年の全身が露になる。
それは制服の様な薄藍色の服装をした、珍しい真白い髪の少年だった。
(ち、さっきの会話は時間稼ぎか…)
だが問題ない。この少年を倒せば、千草という呪符使いを今度こそ無力化できる。
――――そう、思っていた。
目の前の少年と―――目を合わせるまでは。
「…誰かな。アナタは」
―――――――――――――――――――違う
(そんな生半可な相手じゃない……
こいつは下手したら師匠に迫る…いや同等クラスの存在だ……!!)
感情が見えない無機質な、機械的な瞳が放つ不気味さが、ラカン以上の威圧感で士郎の全身を圧迫した。
(本気で、殺す気で戦らなければ――――)
――――――死ぬ。
こいつは―――――――――――――――――――化け物だ。
「―――
全工程投影完了!!
全投影連続層写―――――――――――――!!!!」
魔術を隠匿するためのラテン語詠唱すら忘れ、士郎は全力の投影を白い少年に向けて放った。
一本一本が膨大にして強大な魔力を秘めた掛け値なしの魔剣であり宝具たち。
それら二十七の剣群が――敵を貫かんと飛翔する―――!!
―――ドッ!!
銀閃が、少年の額に突き刺さった。
同時に左腕、左脇腹、右太腿にも幾多の剣が突き立てられる。
頭蓋ごと脳髄を刺し貫かれた少年の小さな身体は、慣性に従って体を反らして吹き飛んでいった。
――――パシャッ
その体が水に変わって消えていく。
士郎はその光景に目を見開き、そして瞬時に理解した。
「水の
幻像!?馬鹿な、いつ――」
『驚いたね、この力は間違いなく神代の魔装兵具に匹敵する。当たっていれば僕の魔法障壁すら貫いたかもしれないね。
これほどの魔剣を何本も所持しているなんて…アナタは一体何者だい?』
弾けた水へと変わってゆく少年の幻像が、静かに士郎に語りかける。
『今のはまるで"千の刃"の「
千の顔を持つ英雄」………そうか。貴方は彼の―――』
言い終わる前に、少年の幻影は完全に姿を消した。
気づけば千草も月詠もいない。少年と共に転移扉で逃げたのだろう。
「………何だアイツは……!?クソッ…!!」
あそこまで追い詰めた状況から、完全な逃走を許してしまった。
それは士郎の、敗北を意味していた―――。
<おまけ>
新田「ではそろそろお開きにしましょうかな」
瀬流彦「そうですね、もう日付も変わりますし。明日も大変でしょうからね」
数少ない男性教諭に宛がわれたホテルの一室で、新田先生と瀬流彦先生はビールとツマミで酒呑みをしていた。
しかしもう夜も遅い。二人はビニール袋にゴミをまとめて片付け始めた。
新田「しかしまさかこの歳で、女子校の修学旅行を引率する事になるとは」
瀬流彦「肩身狭いですよねー。入浴時間も気を遣いますし」
瀬流彦(それに僕は生徒達を関西呪術協会から護衛しなきゃいけないし。でも優秀な魔法生徒が多いからなーこの学年は。…要注意生徒もいるけど。 ネギ君はどこまでやれるかな?)
新田「ですが、一番手のかかる3−Aの大半が疲れて寝てしまったのは意外でしたね。
まぁあの子達らしいといえばそうですが」
瀬流彦「ははは、そのぶん余計に騒ぎそうで明日が怖いですねー」
瀬流彦(……ん?いま何か変な気配が…)
新田「どうかしましたかな瀬流彦先生?」
瀬流彦「あ、いえ何でもないです」
同じ頃、木乃香が呪符使い・千草に攫われていたと彼は知らない。
…仕事しろ魔法先生・瀬流彦……。
〜補足・解説〜>『しまった、騙されました!!』
ネギサイドは原作通りと言えばてっとり早い(笑)
一部ダイジェストっぽい描写になってしまったのはどうかご勘弁を。
>士郎の自室
Fate原作の士郎の自室に似ています。でも歴史ある寺社の一部なので、柱や天井、調度品に至るまでが黒漆塗りの高級品。襖や窓を開けると外も見えて実に風流。
>独白に、返す相手も今はいない。
士郎、一番誰かに居て欲しい時に独りです。
エヴァーーー!!茶々丸ぅーーーー!!!
>
俺は、誰なんだ
アイデンティティの崩壊。自分が何者なのかを見失った人間は、その心理の根底を失い、自分が何をしたいのかすら分からなくなる。
「自分の足下が音をたてて崩れていくような感覚」、または「地に足の着いていない感覚」と呼ぶに相応しいだろう。
ただし、「自分が何をしたいのか」だけは見失っていない士郎は、アイデンティティの「喪失」には至らず「崩壊」で留めている模様。
はたして彼がそれに気づくのはいつの日か。それはきっと次々話辺り(えっ
>「行きますえー、色男はん」
原作士郎は童顔ですが、ウチの士郎は「イケメンかフツメンかは人次第」という程度の顔。しかし顔立ち自体は整っていて精悍な表情をしているので、まあイケメンみたいに扱われます。羨ましい。
>(…純粋な剣術だけなら、この娘の方が上か)
総合的な戦闘力は士郎の方が(現時点では)数段上です。後に差を詰められたり引き離したり。
>『
魔法の射手・
戒めの火矢』
=IGNEM CAPTURAE.ラテン語の直訳で「捕獲の火」。
「
戒めの風矢」の火属性互換呪文。ただし、アエール・カプトゥーラエが「捕獲の風」を意味するのに対し、イグネム・カプトゥーラエは直訳でない場合には「引火、発火」という違った意味になるので注意。
>
神鳴流剣士の事はよく知ってる。
刹那さんという幼馴染みが士郎君にはいるのですよ。
>呪符使いは両手で体を隠しながら、羞恥と怒りで顔を赤くした。
白髪の少年が呼んだことで、ようやく千草という本名が判明。「呪符使い」といちいち打つのは面倒だった。
というか、この状態の千草は「赤面しながら片手で手ブラ、片手で股を隠した全裸」状態。…やばい、エロいわ。あと千草は眼鏡なしの方が美人だと思うのは私だけではないハズ。
……眼鏡ナシ状態にして麻帆良に寄越して、士郎'sヒロインに加えるのもアリかもしれん…!実は二人は過去に会ってるし!(過去話Tに書いた《裏設定》を参照)
>転移扉
「転移門」と書くと厨二臭さが増すのは何故だろう?ww
ちなみに作者は「血界戦線」が好きです。
>そんな生半可な相手じゃない…!!
現時点での戦闘力は
フェイト白い髪の少年>士郎だが、戦い方によっては士郎も充分勝てる。ただし一度使った手は二度目以降に通用せず、一度勝てても次は勝てるとは限らない。
>………そうか。貴方は彼の―――
士郎の素性、悟られました。
何気に「
千の剣」という二つ名持ちだと忘れずに。
>おまけ
新田先生の口調が地味に難しかったです。
彼は同僚の教師には(子供のネギにさえ)敬語で話すので、生徒に対して「コラァ!」とか「私はネギ先生のように優しくはないぞ!」など、普段の彼の特徴を含む台詞がこの<おまけ>では書けないんですよ。会話の相手が瀬流彦先生ですから。
そんな訳でただの敬語じゃ新田先生らしさが出せず、「〜ですかな」とか、ちょっとお年寄り臭さを加えてみました。
次回、「ネギま!―剣製の凱歌―」No.26
「第二章-第15話 タイトル未定」
たぶんキス騒動辺りを書きます。
それでは次回!