西暦1981年を迎え、おれは7歳になった。
世界情勢は確実に悪い方向に向かって行っている。
BETAとの戦い。
これが原因だ。
限られた情報しか入ってこないが、戦況は芳しくないようだ。人類の勢力圏はじわりじわりと削られ、BETAの浸食は確実に進んでいるらしい。
BETAと一口にいっても、一般人であるおれには詳細が全く分からない。
相手がどんな姿をしているのかさえ分からないっていうのは、かなり不安をあおる。
ただ分かるのはそのせいで徴兵制度が復活したってことくらいだ。
整備士のおとうさんはそのまま軍の整備班へと配属になった。
なんでも戦術機とかいう兵器の整備を担当することになったらしい。
おれの記憶にはそんな兵器なんてないのでこの世界特有の兵器なんだろう。どんなものかすごく興味がある。
今度おとうさんに聞いてみるか。
おれの方はというと、あの後うまいことまりもと仲良くなり、同い年なのをいいことに一緒に行動するようになっていた。
とはいっても状況は芳しくない。
というのも、まりもと仲良くなったからと言って、おれの持つ疑問の解消には至らなかったからだ。
おかげでまりもの死亡確定を取り消す方法については未だに闇の中だ。
因果律による死亡の確定を知らせる事項。おそらくその日その時がくれば確実にまりもの命はないだろう。
なんとかしないと、という焦りはあるが解決方法がまるで見つからない。
だがただ無意味に日々を過ごすのはあまりに愚かすぎる。
というわけで、おれは一先ずある方針を打ち出すことにした。
すなわち、まりもに襲いかかるであろう外部的死亡要因をぶちこわす強さを身につける。
その結果が、今のおれの状態だ。
基本情報
名前:立花 隆也
性別:男
年齢:7歳
身長:127cm
体重:29kg
順調に育っている。トレーニングは欠かしていない、どころかかなりハードな鍛錬を行っている。
身体能力情報
筋力:229(140+1000)
体力:382(140+1000)
俊敏:476(140+1000)
器用:220(140+1000)
感覚:324(592)
知力:809(888)
精神:772(982)
気力:302(140+1000)
うん、つっこみたいのは分かる。
分かるんだけども、今はとりあえずスルーしてもらいたい。
通常技能情報
・語学:1003
・家事:597
・文系勉学:727
・理系勉学:1087
・医療系勉学:292
・格闘術:298
・剣術:387
・教養:292
etc…
家事に関してはいつでもお婿にいけるほど上達してしまった。
勉学は気がついたら3系統に分かれていた。
もしかしたら、一定水準を超えると大枠の表示が系統ごとに分かれるのかもしれない。
特殊技能情報
・因果律への反逆
・自身状態閲覧
・自身状態管理
・思考制御
・思考高速化
・思考並列化:LV2
・他者状態閲覧
・他者状態管理(取得消費経験:10,000)
・気練成(感覚が300を超えたら勝手に取得してた)
・気制御(取得消費経験:10,000)
・身体強化:LV1(取得消費経験:1,000)
・気強化:LV1(取得消費経験:1,000)
・超回復(取得消費経験:10,000)
うん、おじさんちょーがんばっちゃった、てへ。
…なんか冷たい視線を感じるなあ。
とりあえず、新しく増えた特殊技能を見てみる。
まず一つ目の『他者状態管理』なんだけど、これは『他者状態閲覧』を取得すると新たに取得対象に追加された技能だ。
読んで字のごとく自分以外の状態をいじくることができる能力だ。
どうも特殊技能ってのは、ある特定の技能を取得することで、それに関わる新しい技能が現れるようになっているらしい。
そのいい例が3つめの『気制御』なんだけど、これは『気錬成』を取得したら勝手に取得対象に現れた。
気を練れないんだから当然気の操作なんてできるわけがないってことなんだろう。
その気ってのはなんなのかって言うと、どうも某国民的格闘漫画の気、とか小宇宙的なものらしい。
『気錬成』の取得条件は最低でも感覚が300以上あることなのは確実なんだが、その他の条件がよく分からない。
精神統一とか、精神集中が必要な武道系の技能を取得する必要があるのかもしれない。
なんせおかあさんも感覚が300超えているのに気錬成持ってなかったしな。
気については、こいつ単体ではあまり恩恵を受けることがないようだ。
簡単に気はガソリン、制御がエンジンの役割を果たすと考えるとわかりやすい。
つまり気を練成するだけでは意味がなく、制御し操作することで初めて効果を及ぼすことができるわけだ。
これが分かるまで少々苦労したが、今ではその恩恵を十二分に受けているのでよしとする。
その最たる物が、『身体強化』『気強化』だ。
『気制御』が解禁されたおかげで、この2つの技能が取得対象に現れ取得することが可能になったのだ。
せいぜい能力値が上がる程度だろうと思ったら、最大値がいきなり1,000単位で増えたのにはびっくりした。
おまけに能力値の上がりが早くなった上に、不自然にマッチョな体型になることもない。
この効果に思わずハラショーって叫んでしまったのは秘密だ。
最後の超回復っていうのは、筋トレとかで言うところの超回復の強化版といったところのようで、身体系の能力の成長が驚くほど伸びた。
高い買い物だけあって効果は抜群だ。
おかげで今のおれは、7歳にしてすでに高校生レベルの身体能力を保持している。
というわけで、とりあえずの目標である自身の強化については順調に達成されつつある。
そうなると次は、第二の目標、まりもの魔改造にも気合いが入ってくるってもんだ。
え?なにそれ、怖い?
しらんがな。
大体がまりもが強くなればそれだけ危険対処の幅が広がって、生存する可能性も芽生えてくるってもんだ。
したがって、まりもくん、君には選択の余地などないのだよ。