燦々と太陽が眩しく輝いているオーストラリアのとある場所のリゾート地の海岸付近。
インペリアルドラモンに乗ってオーストラリアにやって来た伊織、アルマジモン、丈、ゴマモンはリゾート地の砂浜に聳え立っているダークタワーの前に立っていた。
丈は明らかに怪しげな雰囲気を放って聳え立つダークタワーの周りの海辺では、気楽にサーフィンや日向ぼっこを行なっている人々を見回しながら、溜め息を僅かに漏らす。
「ハァ〜・・・これだけダークタワーが目立っているのに・・何で誰も疑問に思わないんだ?」
「仕方が無いと言うのも不味いんでしょうけど・・オーストラリアの人々はデジモンの事もダークタワーの事も知らないんですから・・事前にベンジャミンさんから貰った情報だとオーストラリアに現れたデジモン達は海系のデジモン達らしいですからね・・地上ではデジモン達が暴れてないから、尚更に危機感が沸かないのかもしれません」
「海って言う見えない場所にしかデジモン達がいないから、皆分かっていないということダギャ?伊織」
「そうかもしれませんね、アルマジモンも」
「なぁ、それよりも早くダークタワーを倒そうぜ。幾ら今はダークタワーが安定しているからって言ったって、何時またデジタルワールドへの扉が開くか分からないんだしよ」
「そうだな・・ゴマモンの言うとおり、さっさとダクータワーを破壊するか。よし、じゃ!ゴマモン進化だ!!」
「応ッ!!」
「ま、待ってください!!丈さん!!」
ゴマモンをイッカクモンに進化させようとしている丈を、伊織は慌てて止めた。
何故止めるのかと丈とゴマモンが伊織に目を向けると、伊織は辺りに居るオーストラリアの人々を見回しながら事情を説明する。
「幾ら何でもイッカクモンやアンキロモンはこの場所では目立ちますよ。いきなり巨体の二体が現れたら、流石にオーストラリアの人達も驚いて逃げ出してしまいます。そうなったら、すぐに警官が来て大変なことになってしまいます」
「あっ!そうか・・・・って事は自分達の手で引っ張って倒すしかないのか」
「このダークタワーを」
丈とゴマモンは伊織の説明に納得し、改めて高く聳え立つダークタワーを眺める。
「幸いにもしたは砂浜ですから、頑張れば何とかなると思います」
「でも、伊織・・・倒すって言ってもどうやってダギャ?ロープなんてオイラ達持って来て無いダギャ」
「それは・・・そうですね」
「ハァ〜・・こんな事だったら、インペリアルドラモンにダークタワーを破壊して貰って行くんだったぜ。昼間だからどうやっても目立っちまうしよ」
「仕方が無い・・何処かでロープを手に入れって・・・・しまった!?僕らオーストラリアの言葉なんて話せない!!」
自分達が居る国の事を思い出した丈は、いきなりの自分達のピンチに頭を抱えた。
ゴマモンとアルマジモンは進化する事が出来ず、ダークタワーを倒そうにもロープなどの道具が無い。
予想外の状況に丈達が頭を抱えていると、背後から四人の呼ぶ声が聞こえて来る。
「ハハハハハッ!!どうやら困っているだね。私が力を貸して上げよう」
『えっ?・・・サ、サンタクロースッ!?』
聞こえて来た声に丈と伊織が振り向いてみると、水着を着て白い髭を顎や口の周りに生やして、サンタクロースが被っているような帽子を被った男性が立っていた。
そのサンタクロースのような男性は持っていた先長いロープをダークタワーにキツく巻きつけ、外れないか如何かを確認するようにロープを何度も引っ張る。
「・・・よし、ちゃんと結んであるな・・・さぁ、早くダークタワーを倒してしまう!私がロープを海まで運ぶから、ゴマモンを海の中で進化させるんだ!」
「(もしかしてこの人は!?なら!)・・・丈さん!彼の指示に従ってゴマモンを海に!」
「分かった!!」
伊織と同様にサンタクロースの格好をした男性の正体を察した丈は頷き、ゴマモンを海の方に向かわせて潜らせると、そのまま自身のデジヴァイスを出して叫ぶ。
「ゴマモン!!進化だ!!」
「ゴマモン進化!!!!イッカクモン!!!」
丈の叫びと共に海の中に居たゴマモンの体が光り輝き、成熟期の姿であるイッカクモンへと進化を遂げた。
ゴマモンがイッカクモンへの進化を終えると共に、サンタクロースの男性はロープの端を輪にするように結び、海から僅かに顔を出しているイッカクモンの角に向かって輪投げのように投げつけて、イッカクモンの角にロープを通す。
イッカクモンは自身の角にロープが通ったのを確認すると、そのまま勢い良く前方に向かって泳ぎ出し、ダークタワーは意図も簡単に砂浜に倒れ伏した。
『やった!!!』
「流石はイッカクモンだ」
「やっぱり、貴方は」
伊織がそうサンタクロースのような格好をしていた人物に問いかけると共に、男性は付け髭と眉毛を外し、ベンジャミンとゲンナイと同じ顔を伊織達に見せて挨拶をする。
「初めまして・・私は『ユーカリ』。オーストラリアの選ばれし子供達をサポートする為に派遣された者だ」
「ユーカリさん・・・ベンジャミンさんと同じ顔なんですね?」
「あぁ、私達はゲンナイのコピーなんだ」
「どう言う意味ダギャ?」
「言葉どおりなのだが、今は説明をしている時間は無い。オーストラリアの選ばれし子供達が海に居るデジモン達を一箇所に集めている。船は用意して在るので合流地点に…」
『ヘルーープゥゥゥゥーーーーー!!!!!』
『ッ!!』
聞こえて来た助けを呼ぶ声にユーカリ達が海の方を振り向いてみると、海老を思わせるようなデジモン-『エビドラモン』と背中にヤドカリを背負ったようなデジモン-『シェルモン』、そしてイカを思わせるような白い体をしたデジモン-『ゲソモン』に追われている、小型の船に乗って金属のような光沢を持った甲殻を持った蟹のようなデジモン-『ガニモン』を連れた海パン姿の少年が追われているのを目にする。
エビドラモン、世代/成熟期、属性/データ種、種族/水棲型、必殺技/ツインネプチューン、ロブスターステップ
体の表面を覆う硬い殻と巨大な鋏を持つ、エビ型の水棲デジモン。種族はドラモン系に当たる為に、水棲系の中では異端児的存在。ネットの海の深海部に生息しており、体のサイズも小柄で見つかることも稀である。しかし、エビドラモンを侮って戦いを挑んでしまえば、ドラモン系特有の高い攻撃力の餌食となってしまう。必殺技は、2本のはさみで襲いかかる『ツインネプチューン』と、太い尻尾を相手に叩きつける『ロブスターステップ』だ。
シェルモン、世代/成熟期、属性/データ種、種族/水棲型、必殺技/ハイドロプレッシャー
海岸や浅い海底などに住むヤドカリのような姿をした水棲型デジモン。体は柔らかい為に体が入る物なら何にでも住み着いてしまう。体の成長と共に住処を変えるため、最後には小さな岩山程度の大きさにまでなるらしい。必殺技は、頭から強力な水流を相手に向かって撃ち出す『ハイドロプレッシャー』だ。
ゲソモン、世代/成熟期、属性/ウィルス種、種族/軟体型、必殺技/デッドリーシェード、デビルバッシング
海の深海部に生息しているイカの形をした軟体型デジモン。“深海の悪魔”と呼ばれ恐れられているが、頭が良く、自分から攻撃を仕掛ける事は先ず無い。しかし、自分の縄張りに侵入して来た者には容赦は無く、得意のヒットアンドアウェイ戦法で撃退する。必殺技は、食らえば体が麻痺してしまう毒の墨を吐き出す『デッドリーシェード』に、両手を合わせ、相手をバシバシと殴る『デビルバッシング』だ。
ガニモン、世代/成長期、属性/データ種、種族/甲殻類型、必殺技/シザーズエクスキューション
ネットの海中に溶け込んでいる金属データを体に付着させ、飛躍的に戦闘能力を向上させた甲殻類型デジモン。攻撃は巨大な刃を持つ左前肢と握力の強い右前肢が行ない、防御は攻撃してきた相手にダメージを与えるトゲ付きの表皮が担当している。必殺技は、左前肢で相手の首を狙う『シザーズエクスキューション』だ。
「あ、アレは!?」
「デジモンに追われているんだ!!」
「追われている子供は、オーストラリアの選ばれし子供だ!恐らくは海に居たデジモン達を連れて行こうとしたのだろうが、反抗にあったんだろう!!」
「このままじゃ危ない!イッカクモン!!助けに行くんだ!!」
「了解!!」
海の中に居たイッカクモンに向かって丈は指示を出し、イッカクモンは少年とガニモンを助ける為にエビドラモン達に向かって突撃して行った。
その間に丈、伊織、アルマジモンはユーカリが用意した船が停泊している場所に向かい出した。
そして先行していたイッカクモンは一番先頭を泳いでいたエビドラモンに向かって体当たりを行なって弾き飛ばす。
「オリャァァァッ!!」
「ガアァッ!!」
『ッ!!』
突然の奇襲攻撃にエビドラモンは苦痛の声を上げ、シェルモンとゲソモンは警戒するようにイッカクモンを睨みつける。
自身の注意が引かれたと感じたイッカクモンは、そのまま少年とガニモンに影響が及ばない地点にまで泳ごうと体を動かし、エビドラモン達はその後を付いて行く。
その間にユーカリが操縦する船が少年とガニモンの傍に近寄り、少年とガニモンを伊織と丈が救助し、ユーカリはエビドラモン、シェルモン、ゲソモンを相手に奮闘しているイッカクモンに目を向ける。
「ハイドロプレッシャーーーー!!!」
「クゥッ!!この!!パープンバルカン!!!」
シェルモンが口から吐き出したハイドロプレッシャーをイッカクモンは避けると同時に、頭の角をミサイルのように撃ち出した。
エビドラモン達は自分達に向かって来ているパープンバルカンを海の中に潜ることでかわし、そのままイッカクモンを取り囲むように泳ぎ出す。
その動きにイッカクモンは苛立ちを覚え、思わずエビドラモン達に向かって叫ぶ。
「クソッ!!お前ら!!これ以上暴れるんだったら!食べちまうぞ!!」
『食べる!?』
「そうだ!!シーフドカレーにして食ってやる!!」
思わず的なイッカクモンの叫びに対してエビドラモン達は動揺したように動きを止めてしまう。
それを目撃した丈はエビドラモン達の動揺した姿に策を思いつき、船の先の方に走ってイッカクモンのようにエビドラモン達に向かって叫ぶ。
「よし!!おい!!エビドラモン達!!これ以上暴れるんだったら!!シーフドピザにしてやるぞ!?」
『シーフドピザッ!!』
「そうダギャ!!シーフドピラフにしてやるダギャよ!!」
動揺しているエビドラモン達に向かって、更にアルマジモンが叫んだ。
エビドラモン、ゲソモン、シェルモンは自分達を楽しげに見つめるイッカクモン達の姿に恐怖を覚え、沖の方に向かって逃げ出す。
『イヤァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!!』
「よし!!このままエビドラモン達を合流地点に誘導するぞ!!」
ユーカリはそう叫ぶと共に船を操縦して、イッカクモンと共に逃げていくエビドラモン達を追いかけて行く。
その間に落ち着きを取り戻した少年-オーストラリアの選ばれし子供である『ディエゴ』と伊織達はユーカリに通訳をお願いし、辺りに珊瑚礁が見え始めた瞬間、突然に海中から巨大な影がイッカクモンに襲い掛かる。
「シャアァァァァァァァッ!!!!」
「な、グアッ!!!」
「イッカクモン!!」
「あ、アレは!?」
「『アノマロカリモン』だ!!!」
イッカクモンに襲い掛かった影の正体に気がついたユーカリは叫び、丈達はイッカクモンに襲い掛かっている古代の生物であるアノマロカリスを思わせる姿をしたデジモン-『アノマロカリモン』を目撃する。
アノマロカリモン、世代/完全体、属性/データ種、種族/古代甲殻類型、必殺技/スティンガーサプライズ
古代生物の調査や発掘を行っている研究所のデータバンクにコンピュータウィルスが感染し、古代生物のデータを取り込み進化した古代甲殻類型デジモン。コンピュータウィルスが感染し、古代生物のデータを取り込み進化した。古代に食物連鎖の頂点にいた生物同様、旺盛な食欲と、高い補食能力を身につけている。頭部から生えた触手を器用に使って敵を捕まえ、尻尾から生えた鋭いブレードで仕留める。戦況が不利になると海底の土を鋭い触手で巻上げて身を隠す。だが、逃げるのではなく頭部から突き出ているレーダーアイは暗視装置のように敵を捕捉し、逆転の機会を狙う。必殺技は、左右の前肢をクロスさせて、衝撃波を放つ『スティンガーサプライズ』だ。
「何であのデジモンはイッカクモンに襲い掛かったんだ!?」
「・・・恐らくはイッカクモンが縄張りを荒らしに来たと『アノマロカリモン』は思ったんだろう・・不味いぞ!奴は獰猛な完全体デジモンだ!もしも本格的に暴れ出したら、この辺りの珊瑚礁が破壊されていまう!!」
「クッ!!だったら、イッカクモン!!完全体に進化だ!!!」
「応ッ!!イッカクモン進化!!!」
デジヴァイスを輝かせながら叫んだ丈に応じるように、イッカクモンの体が突然荒れ出した海の中に飲み込まれた。
そしてアノマロカリモンの前に盛り上がるように水柱が出現し、その中から巨大なハンマーを握り、背中に甲羅を背負ったデジモンが現れた。そのデジモンこそイッカクモンが完全体へと進化を遂げた姿。その名も。
「ズドモン!!!!」
ズドモン、世代/完全体、属性/ワクチン種、種族/海獣型、必殺技/ハンマースパーク
イッカクモンと言うデジモンが規則的進化をしたデジモンで、2足歩行が出来るようになった海獣型デジモン。ツノは再生できなくなってしまったが、ノコギリのようになり、攻撃力がアップした。筋肉も徹底的に鍛え上げ、怖いものなしと言った感じを放つデジモンだ。太古の氷から掘り起こされたクロンデジゾイド製の武器『トールハンマー』を武器にしている。必殺技は、トールハンマーを振り下ろした時に巻き起こる衝撃波や火花を敵にぶつける『ハンマースパーク』だ。
「アルマジモン!!僕らも行きますよ!!」
「了解ダギャ!!」
『ガニモン!!僕達も!!』
「うん!!」
イッカクモンが完全体のズドモンへの進化を終えると共に伊織とアルマモン、ディエゴとガニモンも自分達の進化を開始する。
「デジメンタルアップ!!!」
「アルマジモン!アーマー進化!!サブマリモン!!!」
伊織が叫ぶと共にディーターミナルから『知恵』のデジメンタルが飛び出し、アルマジモンはアーマー体の潜水艦を思わせる『サブマリモン』へとアーマー進化した。
ディエゴもそれに続くように自身のデジヴァイスをガニモンに掲げ、ガニモンの体は光り輝き、成熟期体へと進化する。
「ガニモン!!進化!!シーラモン!!」
ガニモンの体を覆っていた光が治まった後には、古代から生きているとされている生物であるシーラカンスを思わせるような姿をした白い魚のようなデジモン-『シーラモン』がいた。
シーラモン、世代/成熟期、属性/データ種、種族/古代魚型、必殺技/ヴァリアブルダーツ
ガニモンが進化した硬質な外皮と、巨大な鍵爪を持つ古代魚型デジモン。ネットの海で発見されたデジモンで体の構造が非常に原始的であり、手足のように発達したヒレを持っている。この事からネットの海で発生した原始デジモンは幾多の進化を経て陸生形態になり、さまざまな種類へとその数を増やしていったと考えられる。必殺技は、巨大な鍵爪で敵に襲い掛かる『ヴァリアブルダーツ』だ。
シーラモンは進化を終えると共に船から飛び降り、伊織を乗せて先行しているサブマリモンの後を追って行く。
その間に海中に戦いの舞台を移していたズドモンとアノマロカリモンは、海中で互いに一進一退の攻防を繰り広げていた。
アノマロカリモンは左右の前脚を敏捷に動かし、時には巨大な尻尾を叩きつけてズドモンを追いつめて行く。
ズドモンはそれに対して自身の愛用の武器であるハンマーを使って攻撃や防御を行ない、時にはアノマロカリモンの甲殻を打ち砕こうとするが、アノマロカリモンは敏捷に体を動かしてズドモンにその姿を捉えさせない。
「アノ!!」
「グァッ!!クゥ、つ、強い!コイツ!!かなりの戦いをこなして来ているな!だけど、負けるか!!オォォォォッ!!」
「シャァァァァァッ!!」
ズドモンの叫びに応じるようにアノマロカリモンも獰猛な雄叫びを上げ、更に苛烈な戦いを繰り広げて行く。
その時、ズドモンの視界の中に自分達の方に向かって来ているサブマリモンとシーラモンの姿を目撃する。即座にズドモンはサブマリモンとシーラモンに向かって頷くと共に握っていたハンマーを放り出し、そのままアノマロカリモンの体を両手で押さえつける。
「ウオォォォォォッ!!」
「シャッ!?」
「今だ!!!」
「オキシジェントミサイル!!!」
「ヴァリアブルダーーーツッ!!」
ズドモンの声に応じるようにサブマリモンは数発のオキシジェントミサイルをアノマロカリモンの背に発射し、それに続くようにシーラモンが凄まじい速さで近づき、アノマロカリモンの前脚を巨大な鍵爪で切り裂いた。
二つの攻撃を受けたアノマロカリモンは苦痛に呻き、ズドモンはそれを逃さないと言うように瞬時に海底に落ちていたハンマーを拾い上げ、アノマロカリモンの体に叩きつける。
「これで終わりだ!!ハンマーースパーークッ!!!!」
「シャァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!・・・・」
ズドモンのハンマースパークをその身に受けたアノマロカリモンは悲鳴を辺りに轟かせ、そのまま力無く水中に浮かび出した。
力無く水中に浮かんでいるアノマロカリモンの姿を目撃した伊織は、思わずアノマロカリモンの姿に叫んでしまう。
「まさか!?アノマロカリモンは!?」
「心配するなダギャ、伊織・・・アノマロカリモンは気絶しているだけダギャ」
「良かった」
(・・・良かったか・・・・今回は運が良かっただけなんだがな)
気絶しているアノマロカリモンを持ち上げながら、伊織とサブマリモンの会話を聞いていたズドモンは、伊織の様子に不安を僅かに抱いた。
先ほどズドモンがアノマロカリモンに叩きつけたハンマースパークは紛れも無く、全力を込めた一撃。アノマロカリモンの実力が高かったおかげでアノマロカリモンの命は助かったが、失敗していればアノマロカリモンは死んでいた。
アノマロカリモンが助かったのは運が良かっただけでしか無かったのだ。もしも自身がアノマロカリモンを殺していたら伊織はどうしていたのかとズドモンは僅かに不安を覚えながら、海面に上昇して行く。
この後、アノマロカリモンの襲撃によって逃げられたエビドラモン達を連れて来た他のオーストラリアの子供達と合流し、オーストラリアに現れたデジモン達を伊織達はデジタルワールドに帰したのだった。
フランスの首都パリ。
その地に訪れた太一、アグモン、タケル、パタモンは、パリに住むタケルの祖父であるミッシェルが来るのを街灯の下で待っていた。
「さ、流石にフランスは冷えるな」
「えぇ、少し厚着して来て良かったですね」
「あぁ・・・で、タケル・・パリに住んでいるって言うお前のおじいさんはまだ来ないのか?」
「多分、もうそろそろだと思います。地球の危機だって伝えて於きましたから」
「そうか・・・出来るだけ早く来て貰いたいぜ」
「フランスにはベンジャミンさんのようなゲンナイさんの仲間が居ないからね、太一」
「あぁ」
アグモンの言葉に太一は頷きながら左右の道路を見回す。
太一達がタケルの祖父であるミッシェルが来るのを待っているのは、簡単に言えば道案内と通訳の為である。フランス語など太一、タケル、アグモン、パタモンは話せない。
ミッシェルと言うフランス人の祖父が居るタケルにしても、殆どミッシェルが日本に来る事の方が多かったのでパリの道案内は愚かフランス語も話せない。
土地勘の無い場所で行動しようものなら大変な事態を招いてしまう可能性が高い。何よりも太一達は不法入国に近い形でフランスに来ているので、尚更保護者となれる人物が必要なのである。
そして今か今かと太一達がミッシェルが来るのを待っていると、右側の方からクラクッションの音が鳴り響き、サイドカーに乗った男性-タケルの祖父ミッシェル-がやって来る。
「おじいちゃん!!!」
「はははは!タケル!久しぶりだな!」
「うん!!」
「ハハハハッ!!ジュワイノエール」
「えっ?」
「フランス語で明けましてと言う意味の言葉じゃ」
ミッシェルはそう言いながらサイドカーに太一、タケル、アグモン、パタモンに乗るように促し、そのままパリ市外の方に向かって走り出す。
「それでミッシェルさん?何か異変は起きていますか?」
「いや、パリの街は静かなものじゃよ」
「太一さん、丁度パリは夜だったから、まだフランスの人達はダークタワーに気がついていないのかもしれません」
「そうかもしれないな・・でも、朝になったらダークタワーが在ることに気がつくだろうし、デジモン達にも気がつくだろうから、何としても夜の内にデジモン達を帰さないとな」
「はい!!」
「・・・・・・・・ムッ!!!」
ーーーギギギギッ!!!
サイドカーを走らせていたミッシェルが何かに気がついたようにブレーキをかけて、サイドカーを止めた。
いきなりのミッシェルの行動に太一達は面を食らい、ミッシェルの視界の先を見てみると、フランスで有名な『ベルサイユ宮殿』の門が開いているのに気がつく。
「可笑しいぞ・・『ベルサイユ宮殿』の門がこんな時間に開いておるのは?」
「ねぇ、太一?『ベルサイユ宮殿』ってなに?」
「いや、俺も良く知らないんだけど」
「タケルは?」
「フランスで有名な場所だって言うのは知っているけど・・・・って!!おじいちゃん!!」
何時の間にかサイドカーから降りて『ベルサイユ宮殿』に入ろうとしているミッシェルに気がついたタケルは叫ぶが、ミッシェルは構わずに『ベルサイユ宮殿』の中に足を踏み入れる。
「こんな真夜中に門が開いとるのは如何考えても可笑しい!少し調べて来るぞ!!」
「待ってよ!おじいちゃん!!」
「おい!!タケル!!」
「パタモン!!僕達も!」
「うん!!」
ミッシェルに続くようにタケル、太一、アグモン、パタモンは『ベルサイユ宮殿』の中に入って行った。
そして『ベルサイユ宮殿』内部を進んで行くと、何処からとも無く楽しげな笑い声が聞こえて来る。
『キャハハハハハハハハハハッ!!!!』
「今の声?・・もしかして!!太一さん!!」
「あぁっ!!先に行ってみよう」
ミッシェルを先頭に続くように太一、アグモン、タケル、パタモンは『ベルサイユ宮殿』の廊下を前へと進み、笑い声が聞こえて来る部屋へと辿り着く。
そして扉を僅かに開けて透き間から内部を覗いてみると、テーブルに並べてある豪華な食事を楽しげに食べている三体のデジモンの姿を確認する。丸い体に小さな手足をつけたデジモン-『マメモン』に、その『マメモン』が機械的な体となって、左腕が『サイコブラスター』となっている『メタルマメモン』。
そして『マメモン』が巨大化したような容姿をしている『ビッグマメモン』の三体が、テーブルに並んでいる料理の数々を楽しそうに食べていた。
マメモン、世代/完全体、属性/データ種、種族/突然変異型、必殺技/スマイリーボム
過酷な環境の元で進化した突然変異型デジモン。見た目の可愛さとは裏腹に恐るべき破壊力を秘めている。小さな体についている巨大な手は、それ自体が強力な爆弾になっていて取り外しが可能。愛称は“スマイリーボマー”。必殺技は、自身の巨大な手を敵に向かって飛ばし、敵に当たった瞬間に大爆発する『スマイリーボム』だ。
メタルマメモン、世代/完全体、属性/データ種、種族/サイボーグ型、必殺技/エネルギーボム
“スマイリーボマー”の異名を持つ『マメモン』が更に強力になったサイボーグ型デジモン。相変わらず見た目は可愛いが、体の9割は機械化されているので戦闘能力は飛躍的に上昇している。必殺技は、左腕に装備されている『サイコブラスター』から絶大な威力を持ったエネルギー弾を発射する『エネルギーボム』だ。
ビッグマメモン、世代/完全体、属性/データ種、種族/突然変異型、必殺技/ビッグスマイリーボマー
『スマイリーボマー』の愛称を持つマメモンの親玉的存在の突然変異型デジモン。通常のマメモンは幼年期デジモンと同等のサイズで、見た目の姿からは想像もできないほどのパワーを持っているが、ビッグマメモンはその名の通り、マメモンの何十倍、何百倍ものサイズである。しかし、それだけの大きさを持ちながら何故か『マメモン』の名前がついている。実は多くのマメモンの集合体ではないかとも言われている。必殺技は、子分のマメモンそのものを武器にする『ビッグスマイリーボマー』だ。
『キャハハハハハハハハハハハハッ!!!』
「あいつら!!『ベルサイユ宮殿』でパーティーなんぞ開きおってからに!!」
「落ち着いて、おじいちゃん!!」
パーティーを楽しんでいるとしか思えないマメモン達の姿にミッシェルは怒りをあらわにし、タケルはミッシェルを落ち着かせようとする。
その間に部屋の中を透き間から覗いていた太一、アグモン、パタモンは、マメモン達以外に椅子に縛られている綺麗な女の子と、その横に同じように縛られている花のような顔をしているデジモン-『フローラモン』が居る事に気がつく。
フローラモン、世代/成長期、属性/データ種、種族/植物型、必殺技/アレルギーシャワー
パルモンと同じく爬虫類的に進化したが、分類上は植物型の珍しいデジモン。顔全体が花の形をしており、普段は花びら型外殻をヘルメットのようにして頭部を守っている。外敵がいない時や、機嫌が良い時は頭や両腕の花びらを大きく開いている。必殺技は、両腕の花からアレルギーを引き起こす花粉を発生させ、大型のデジモンでさえも戦意を喪失させてしまう『アレルギーシャワー』だ。
「太一!もしかしてあの子達!!」
「あぁ、多分フランスの選ばれし子供とそのパートナーデジモンに違いない」
「捕まっているみたいだよ!助けよう!!」
「待つんだ、パタモン。相手は完全体が三体だ。そんな連中が暴れ出したら、この『ベルサイユ宮殿』が跡形もなくなっちまう。何とかしてアイツらを表に移動させるんだ」
「よし!じゃ、太一!僕が表に出てグレイモンに進化するよ!近くに巨大なデジモンが現れたら、アイツらだって驚くだろうし」
「それで行くかって!?ミッシェルさん!!!」
「おじいちゃん!!待って!!」
扉を開けて部屋の中に入ったミッシェルの姿に太一とタケルは叫ぶが、ミッシェルは構わずにマメモン達の前へと進んで行く。
「其処の奴ら!!!この場所を『ベルサイユ宮殿』でと知っての行いか!?」
『ん?』
「すぐに其処のお嬢さんを解放するのだ!・・お嬢さん、すぐにこのフランスの貴公子ミッシェルが御救いいたします」
「アッ」
ミッシェルの言葉に少女-カトリーヌは僅かに顔を赤らめた。
マメモン達は自分達のパーティを台無しにしてくれたミッシェルに怒りを覚え、攻撃しようとそれぞれ構える。
だが、その前にミッシェルに注意を向いている内に横合いから隠れて進んでいたアグモンとパタモンが飛び出し、マメモン達に体当たりを食らわす。
『オリャァァァァァァァッ!!!』
『マメッ!?』
突然の奇襲をマメモン達は避けることが出来ず、マメモン達は窓ガラスを突き破りながら外へと吹き飛ばされた。
アグモン、パタモンはそれに続くように窓ガラスからその身を外に躍らせ、太一はデジヴァイスを、タケルはD-3を輝かせながら叫ぶ。
「アグモン!!」
「パタモン!!」
『進化だ!!!』
「アグモン進化!!グレイモン!!!」
「パタモン進化!!エンジェモン!!」
グレイモン、エンジェモンへと進化を終えた二体は、自分達を睨みつけて来ているマメモン達を見据える。
そしてグレイモンは口に力を集め、エンジェモンは右拳に力を集めると、マメモン達に向かって必殺技を放つ。
「メガフレイム!!!」
「ヘブンズナックルッ!!!」
「エネルギーーボム!!!!」
グレイモン、エンジェモンが放った必殺技に対してメタルマメモンが左腕の『サイコブラスター』からエネルギーボムを撃ち出し、グレイモンとエンジェモンの攻撃を相殺した。
その事実にグレイモンとエンジェモンは警戒するようにマメモン達を見つめ、『ベルサイユ宮殿』の中から戦いを見ていた太一とタケルも僅かに眉を顰める。
「流石に完全体が相手じゃ、成熟期のままじゃ不味いか」
「太一さん!!」
「アァッ!!グレイモン!!進化だ!!」
「応!!グレイモン!!超進化!!!」
太一の叫びに応じてグレイモンは叫び、その身を一回り巨大化させると背中に翼が広がり、左腕と頭部と胸部分に光が走り、機械的な装甲に覆われて行く。
その姿こそグレイモンが完全体へと進化を遂げた姿。その名も。
「メタルグレイモン!!!」
メタルグレイモン、世代/完全体、属性/ワクチン種、種族/サイボーグ型、必殺技/ギガデストロイヤー
グレイモンの体が半分以上を機械化しているサイボーグ型デジモン。メタルグレイモンに進化するためには、襲い来る強敵を倒し、勝ち抜いていかなければならない。また、メタルグレイモンの攻撃力は核弾頭1発分に匹敵すると言われ、その一撃の前ではレベルの低いデジモンなど跡形も残さず消滅してしまう。必殺技は、胸の部分にあるハッチから有機体系ミサイルを発射する『ギガデストロイヤー』だ。
「エンジェモン!君もだ!!」
「分かった!!エンジェモン!!超進化!!ホーリーエンジェモン!!!」
エンジェモンの体が光り輝き、光が消えた後には左腕に盾を備え、右手に剣-エクスキャリバーを持ち、背中に八枚の白き翼を生やした大天使デジモン-完全体のホーリーエンジェモンが姿を現した。
マメモン達は現れた二体の完全体デジモンの姿に警戒するように見つめ、ビッグマメモンが隣に居たマメモンの体を掴むと、迷わずにメタルグレイモンとホーリーエンジェモンに向かって投げつける。
「ビッグスマイリーーボマーーッ!!!」
「マメェェェェェェェェェェェッ!!!!」
『なっ!?』
マメモンを武器とするようなビッグマメモンの攻撃に、メタルグレイモンとホーリーエンジェモンは面を食らったような声を上げるが、すぐに体を横に動かしてマメモンの突進を避けようとする。
しかし、メタルグレイモンとホーリーエンジェモンの間をマメモンが通り過ぎようとした瞬間、マメモンは左右の両手を広げて、メタルグレイモンとホーリーエンジェモンに向かってそれぞれ左右の手を放つ。
「スマイリーボムッ!!」
「ガァッ!!」
「グゥッ!!」
予想外のマメモンの奇襲攻撃をメタルグレイモンとホーリーエンジェモンは避けることが出来ずにそれぞれ食らい、苦痛の声を漏らした。
その隙を見逃さず動きが止まってしまったメタルグレイモンとホーリーエンジェモンにメタルマメモンが連続でエネルギーボムを放つ。
「エネルギーーボム!!!」
『クゥッ!!』
メタルマメモンの連続攻撃に対してメタルグレイモンとホーリーエンジェモンは防御の構えを行なって耐える。
その様子を『ベルサイユ宮殿』の中で縛られていたカトリーヌとフローラモンをロープから助けながら見ていた太一は、マメモン達のコンビネーション攻撃に顔を険しくする。
「クソッ!伊達に三体一緒に居た訳じゃ無いって事か!!!」
「いえ、三体ではありません。まだ、マメモン達以外にもデジモンは居ます」
「えっ!君日本語が話せるのか!?」
「はい」
太一の質問に椅子からカトリーヌは立ち上がりながら答え、自分が知る情報を太一達に話し出す。
「私の名前はカトリーヌ。こっちはフローラモンです」
「僕は高石タケル」
「俺は八神太一だ・・・それで、マメモン達以外にもデジモンが居るって言うのは?」
「はい・・私とフローラモンが川に現れたダークタワーを破壊に向かった時の事です。突然に空から爆弾のような物が落とされ、私達は気絶し、気がつけばこの場所にいました。その時見たデジモンの影はマメモン達とは違うんです」
「って事は、マメモン達以外にもデジモンが他に居るって事なのか?」
「ケケケケケケッ!!!!いちゃ、わりいのか?」
『ッ!!!』
聞こえて来た声に太一達が振り返ってみると、足が無く丸い体から手とツノを生やし、右手にチェンソーのような物を持っているデジモン-『ギロモン』が楽しげに宙に浮かんでいた。
ギロモン、世代/完全体、属性/ワクチン種、種族/機雷型、必殺技/デッドリーボム、ギロチェーンソー
フワフワと空中に浮きながら、コンピュータネットワーク内をパトロールしている機雷型デジモン。敵と判断すると、持てる全ての攻撃で敵を撃退し、窮地に追い込まれると自ら自爆して進入者を消滅させてしまうと言われている恐ろしいデジモンだ。必殺技は、超強力な手投げ爆弾『デッドリーボム』と、右手に持つチェーンソーで相手を切り裂く『ギロチェーンソー』だ。
「俺様達のパーティーを良くも壊してくれたな!!!」
「何を言っているのだ!!貴様らこそフランスの大切な文化遺産である『ベルサイユ宮殿』で勝手にパーティーなんぞ開きおってからに!!」
「ケッ!!んなことは俺様達が知るかよ!!パーティーを台無しにしてくれた礼だ!!お前らを消させて貰うぜ!!」
「フローラモン!!」
「えぇ、フローラモン進化!!」
カトリーヌの叫びに太一達を護るようにフローラモンが立ち、その身を輝かせて進化を開始する。
そしてフローラモンを覆っていた光が消えた後には、二足歩行で長い嘴を持ち、頭部の部分から葉を生やしている古代鳥型デジモン-『キウイモン』が立っていた。
「キウイモン!!」
キウイモン、世代/成熟期、属性/データ種、種族/古代鳥型、必殺技/リトルペッカー
絶滅したと思われていた古代鳥型デジモン。羽は退化したが、頭部の葉で光合成をして栄養を補給。温和な性格のため襲われやすく、それ故に数が減ってしまい、絶滅してしまったと思われていた。必殺技は、体内に隠れているチビキウイモンを口から放ち、敵をくちばしで、つついたり、自爆させたりする『リトルペッカー』だ。
「成熟期程度が俺様に勝てるかよぉ!!!」
「勝てなくても!表には出せます!!キウイモン!!」
「リトルペッカーーー!!!」
「何ッ!?」
突撃して来たギロモンに向かってキウイモンから口から数十匹のチビキウイモン達を放った。
自身に群がって来るチビキウイモン達に向かってギロモンは右手に握るギロチェーンソーを振り回し、チビキウイモン達を引き離そうとする。
そしてギロチェーンソーと一体のチビキウイモンがぶつかりあった瞬間、爆発を引き起こし、続くように他のチビキウイモン達も爆発してギロモンを窓から外へと弾き飛ばす。
「ドァッ!!!」
「今の内に私達も外へ!!」
「あぁっ!!」
カトリーヌの指示に太一は頷き、ミッシェルとタケル、そしてキウイモンも通路を走り出し、外へと向かおうとする。
そしてキウイモンに外へと出されてしまったギロモンは、油断して成熟期のキウイモンにしてやられた事実に苛立ち、即座にキウイモン達を追いかけようとする。だが、その直前に『ベルサイユ宮殿』からギロモンが飛び出して来るのを目撃していたメタルグレイモンが、ギロモンに向かって機械化した左腕-『トライデントアーム』を全力で振り抜く。
「メタルスラッシュ!!!」
「なっ!?この!!!」
メタルグレイモンの振り下ろして来た鋭い機械的な三本の爪をギロモンは慌ててギロチェーンソーで受け止め、辺りに甲高い金属音が鳴り響いた。
何とかメタルグレイモンの攻撃を防いだギロモンだったが、圧倒的な体格さ故に徐々に追い込まれ、ギロモンを弾き飛ばす。
「ハァッ!!」
「ガァッ!!クソ!!マメモン達!俺様援って!?」
マメモン達に援護を頼もうとしたギロモンだったが、マメモン達はホーリーエンジェモンによって既にかなりのダメージを負っていた。
「確かに中々のコンビネーションだったが、私達もかなりの戦いを経験している」
「デジタルワールドに戻って貰うぞ!!」
「クソッ!!お前ら!一先ず撤退だ!!」
『マメッ!!』
ギロモンの指示にマメモン達は頷き、そのままセーヌ川の方へと逃げて行く。
メタルグレイモンとホーリーエンジェモンはその後追うように飛び立ち、太一達はミッシェルのサイドカーに乗って追いかけて行く。
「よし!このままセーヌ川の方へと追い込むんだ!」
「セーヌ川にはダークタワーが在る筈です!その場所がフランスの選ばれし子供達の集合地点になっています!!」
「おじいちゃん!!黒い塔が見えたら其処に向かって!!」
「分かった!!」
タケルの指示にミッシェルは頷くとサイドカーのスピードを更に上げて、メタルグレイモン達の後を追って行く。
そしてギロモン達を追いかけて行くと、セーヌ川に聳え立つダークタワーを発見し、メタルグレイモンは胸部の装甲を開いてギロモン達に二発のミサイルを撃ち出す。
「ギガデストロイヤーーー!!!!!!」
『ギャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!!!!!』
メタルグレイモンが撃ち出したギガデストロイヤーをギロモン達は避けることが出来ず、空中で大爆発が起きた。
ギロモン達はそのままセーヌ川に落下して行き、川に浮かび上がる。それを目撃した太一達はメタルグレイモンとホーリーエンジェモンにギロモン達を回収するように頼む。
そして後にフランスに現れたデジモン達を連れて来た選ばれし子供達と合流し、フランスに現れたデジモン達もデジタルワールドへと戻って行ったのだった。