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魔法少女リリカルなのは『灯の紡ぎ手』 プロローグ「総ての始まり」
作者:Moon Grass◆91HuPZYTLGI   2012/09/28(金) 02:15公開   ID:jwahdMdOovE



      プロローグ「総ての始まり」












―――突然だが、人というものは受け入れがたい事実に直面すると大抵が思考停止してしまうものだ。

かくいうこの俺、月野 亮助もその中の一人だった。

「…まてまて、さっきまで俺はバイトが終わった脚で向かった駅近くのカードショップにいたはずだ、なぜこんなことにっ」

あたり一面が白に包まれた世界。間違っても特定人種の喧騒に包まれたあの店ではないはずだ。

「所持品は問題なし、デッキケースもちゃんとあるしサイフも入ってる。体は動くし変なところは無い。」

「…」

「携帯は…圏外っていうか、画面すら映っちゃいないし…もしやの充電切れか?新機種に変えたばっかりなんだがなぁ…」

「ぉ――い」

「もしやこれは何かの事件に巻き込まれたのか?後が面倒だなぁ、戻ったときの取材やらなんやら的な意味で。」

「おーい、聞いているのか?」

「…こんな怪しげなところで聞こえてくる声など幻聴に違いない、落ち着いて考えるんだ。こう言った時には素数を数えるのがいいんだよな。 よし2、3、5、7、11…」

「…君は、意図的に僕を無視しているのかね?」

落ち着こうと一生懸命に素数を数えている俺に対して無作法にもいきなり話しかけてきたのはこれまた白い服に身を包んだ白髪の男性だった。

「普通の人間ならば、近くに人がいるなら事情を聞くなどしてこの現象の解決を図ろうとするがね。」

「おあいにくさまな事に育ちがようござんしてね、知らない人に話しかけられても気を向けるなとの親からの教えで。」

「まったくもって珍しい人間に出会ったものだ、この状況下で恐れや緊張がほとんど見えない。」

そういって白髪の男は感心した風に俺に近づいてくる。

「で、君に何が起こったのか聞きたくは無いのかね?」

「素直に聞かせてもらえるならありがたいね。ついでにあんたの事も。」

この言葉に男は愉快そうに顔を歪めると意気揚々と語り始めた。

「まず始めに、君は死んだのだよ先程…そして私はその死と生を司る者。 君たちの言葉に直すと『神』というものなるのかね。」

そしてその男の口から飛び出てきたのはあまりにも仰天で馬鹿げた台詞だった。

「何故に君を殺したかって?なあに只の気まぐれさ気にしないでおくれ。」

気まぐれと言った自称『神』の軽い物言いに怒りを覚えそうになるが、底に押し込め次の台詞を待つ。

「そう、気まぐれにそこにいた君たちに死と塵の因果を与えたはずなのに君とコレだけが原形を留めていたのさ。それに興味を抱いてしまってね。」

そういって男が取り出したのは魔法の書を思わせるデザインのカード、「Magic The Gathering」だった。

「君とコレの繋がりが僕の因果の力を不完全ながら払い除けている…今までになかった事例だ、気まぐれの割には面白い結果を見せてくれた。そしてその繋がりを僕にもっと見せて欲しいと思ってね。」

『神』は話しながら両手を組んで胸の前で輪をつくると言葉を続ける。

「その力ならばきっとどんな因果に対して面白い結果を見せてくれると僕は感じたのさ。だからこそ君たちには僕をもっと楽しませる権利がある!!」
「ちょっとまて、話の中身が見えないぞ!!どういうことだ!!」

掴みかかろうとした寸前、足元から地面の感覚が無くなり重力によって落下感が全身に齎される。

「故に僕は君を他の因果に送る!!きっと今までに見たことの無い事になるだろうからね!!」
「ふざけるな!!何の説明も無いままで!!お前を楽しませるだけに俺は行かされるのか!!」
「大丈夫だよ、心配など要らない。だってこの因果は君の大好きな『魔法の世界』なんだからね!!」

体の周りを包む無数のマジックのカード。
落ちていく中にある光を突き抜けた時―――俺は再び、意識を失った。












―――男が消えた真白の空間にて『神』は一人、微笑む。
「さあて、今度はどのような物語を見せてくれるのかな。期待しているよ、『プレインズウォーカー』よ。」





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