「織斑君、おはよ〜」
「ああ、おはよう谷本さん」
練習を終えて教室に来た一夏は席に座ろうとした時にクラスメイトの谷本さんに話しかけられる。
「そういえば聞いた? 2組に転校生が来るんだって」
「転校生?」
四月だというのに転入性というのは珍しい。
一夏は首をかしげる。
「もしかしたら例の男子メンバーかもしれないでやんす」
「でもそれはまだ先だって・・・・」
平次と一夏がそう言っていると、夜竹さんがこう言う。
「中国の代表候補生らしいよ」
「中国の」
「代表候補生でやんすか」
一夏はう〜んと言った表情になる。
「一夏君?」
「中国・・・・」
「代表候補生の転入・・・・わたくしの存在を今更ながら危ぶんだのかしら」
悩む一夏の隣でセシリアがドヤ顔でそう言う。
「・・・・」
「一夏様? 先ほどからどうされたのです?」
「何か気になることでもあるのか、一夏」
悩む一夏に箒とセシリアが話しかける。
「ああ、実は中国と聞くと思いだすやつが一人いてさ・・・・もしかしたら・・・・」
一夏は何かを思い出すように空を見る。
「ま、どんな人が来ようと織斑君には頑張ってもらわないとね!」
「フリーパスがかかってるんだもんね!」
「フリーパス・・・・そんなものが景品になるって軽い学校でやんすね・・・・」
平次が呆れたように女子組をみる。
「厳しいところもあれば娯楽もあるってことか・・・・」
「金のかけどころがよくわからないでやんすね」
その時廊下の扉が開く。
「あら、噂の転校生かしら」
見慣れない生徒がいるのを見てざわつきだす。
「なにかしら、宣戦布告にでもいらっしゃったのかしら」
「宣戦布告・・・・でもある」
転校生は1組の中へと入ってくる。
《カタッカタッカッ》
そうして一夏の前でとまる。
「宣戦布告にきたよ。一夏」
「お前・・・・本当に・・・・鈴音!」
一夏は驚いたように立ち上がる。
「SHRが始まるから2組に戻る・・・・また昼にね・・・・一夏」
そう言って鈴音は2組に帰って行った。
「まさか本当に鈴音が・・・・」
「今考えていたっていう知り合いが本当に来たんでやんすか!?」
「今の方は誰ですの?! 親しい仲だったようですが」
「誰だあの女の子は。私は知らないぞ・・・・」
一夏を中心に少女たちが騒ぎだす。
これだ第二章の幕開けである・・・・
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「昼休みだ」
「でやんす」
今回は鈴音にあうために女子の食堂に来ている。
「それで結局何なんですのあの方は」
「幼馴染といえば私だろう」
「どういう関係なんでやんすか?」
一夏は質問攻めにあっていた・・・・
「とりあえず食堂に行こうよ。食堂にさ」
「いや、もう食堂でやんす。テンパッてるでやんす」
そう言いながらカウンターに食事を注文に行く。
「待ってたよ一夏・・・・」
「食券機の前は邪魔だぞ、鈴音・・・・」
目の前に立ちふさがったのは話題の女性、鈴音であった。
「あ、ごめん・・・・」
鈴音は手元にお盆に載せた酢豚定食をもっていた。
「酢豚・・・・か」
「向こうのテーブルで待ってるから・・・・」
そう言って鈴音はそそくさとテーブルに向って言った。
「・・・・さて、注文するか・・・・」
そう言って一夏は食券機のボタンを押す。
「カツカレーうどん定食?」
「ああ、どうも興味がある感じでね」
そう言って一夏は注文した品物を受け取りテーブルに向った。
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「来たんだね一夏・・・・なにそれ」
席にいた鈴音は一夏の持ってきた定食を見てそういう。
「カツカレーうどん定食さ」
うどんの上にカツが乗りその上にカレーがかかっていて、ご飯と味噌汁が別に付いている。
何度も二度手間のかかりそうな料理である。
「それにしてもまさか、鈴音が来るとはね・・・・」
「ふふふ・・・・」
鈴音は一夏を見て笑う。
「それで、そろそろどういう関係か教えてもらおうか」
「まさか一夏様の彼女ではありませんでしょうね!」
席に座りながら箒とセシリアが一夏をじっと見ている。
「まだ付き合ってないよ」
「「「まだ?」」」
鈴音の言葉に箒、セシリア、平治が食いつく。
「そうだね。オレ達はただの幼馴染だよ」
「幼馴染・・・・?」
箒が首をかしげる。
「覚えてないのも無理ない。知らないんだからな」
「なに?」
箒は一夏のほうを向く。
「箒が小学4年生の時に引っ越しただろ、そのあとに入れ替わりで転校してきたんだ」
「そう言うこと。これからよろしく」
そう言って箒の前に手を差し出す。
「そうだな。よろしく」
そう言って二人は握手を交わす。
「な、なんですのこの蚊帳の外は・・・・」
「セシリアちゃんなんか日本語に詳しくなりすぎでやんすね・・・・」
蚊帳の外の二人はその状況を見ているだけだった・・・・
続く