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英雄のセカンドライフ 第1話 死後の世界
作者:絶望   2012/11/24(土) 03:33公開   ID:46FR3JEYgrg
「時は来た!今こそ徳川を討ちこの石田三成の名を天下に轟かせるのだ!」
「オオー!」

三成の激励に足軽達は蜂起した。
1600年10月21日の美濃国関ヶ原。
この場所で最後の戦いが始まろうとしていた。

夜野やの殿」

西軍の大将の一人毛利元就が話しかけてきた。
それに、同じく大将である夜野やのムラサメは振り向いた。

「何か?毛利殿」
「いや、少し話をと」
「良いですが、手短に頼みますよ」
「それは承知しています」

そう言うと長いアゴヒゲを触りながらしゃべりだした。

「西軍は勝てると思いますか」
「それが分かったら苦労しませんがね」

ムラサメは無愛想に返した。
その答えに少なからず不安顔になる男にため息をついた。
(大した大将だな・・・チッ、仕方ない)
良い方に話しておくか。
ムラサメはですがと言葉を続けた。

「徳川軍はおよそ7万と聞いています。
それに比べこちらは8万。
余程の事がなければ負けませんよ」
「そうでしょうそうでしょう!夜野殿」

そう言うと安心したのか高らかに笑い定位置に戻っていった。
その様子を見ながら大丈夫だろうかと再度ため息を吐いた。

「全軍!用意はよいか!」

三成が仕掛ける気のようだ。
ムラサメも自分の軍の位置につき三成の合図を待った。
三成が最後の叱咤激励を行い高らかに言い放った。

「全軍!出陣!」
「オオー!!!」

足軽や大将の怒声が響き戦いが始まった。

西軍は高台を全て陣取り鵺翼かくよくの陣を敷いていて有利な状況だった。
鵺翼の陣とは翼を広げたような陣形をとったもの事だ。
この陣を用いることで自軍の被害を押さえることができそれに加え攻めてきた敵に集中攻撃できるという利点がある。
(地の利もこちら側にある・・・が最後まで気を抜かない方がいいな)
万が一不測の事態が起こり負けたなどという事になれば石田三成と大将(ムラサメ含む)が斬首されるのが手に取るように分かった。
だが、戦いは何日も平行線を辿っていた。
三成や他の大将達もあまりにも同じ状態が続き痺れを切らしていた。
足軽達にも疲れが目に見え始めていた。
それから数日後戦局が動いた。

その時三成の元に敵情を視察していた足軽が戻ってきた。
足軽は青い顔で報告をした。
それを聞いた三成は怒りのあまり扇子を折りどなり散らした。

「小林川のどら息子め!
この戦局で裏切るとは!おそらく徳川の差し金であろう。
あのタヌキじじいめー!」

その様子を静かにムラサメは聞いていた。
(これで西軍は終わりだな)
戦局も明らか、このまま西軍についても待っているのは斬首か牢獄だけだ。
が、ムラサメは東軍に寝返るつもりはなかった。
ムラサメは死刑囚だ。
この戦いのために殺されず生かされていた。
だから勝とうが負けようがムラサメにはどうでも良かった。
どちらにしろその先にあるのは死のみ。
それならば・・・

「いっそ、道連れを増やすだけだ」

呟くように言った後、静かにその場を立ち去った。
顔には狂気じみた笑みを浮かべながら・・・

戦局は予想通りに進んだ。
ムラサメの読み通り小林川の裏切りに続くかのように西軍の間で裏切りが起こった。
それにより西軍と東軍の戦力差は8対2。
そして西軍の選択肢は2つに絞られた。
降伏か特攻か石田三成は悩んだ。
悩んだ末にこちら側に残った数少ない大将に相談する事にした。

「・・・どちらが良いだろうか」
「・・・」

他の大将も無言だった。
どちらにしろ大将格は降伏すれば斬首、特攻すれば戦死しかない。
生き残るという選択肢はすでにこの場にいる全員無い。
しばらくするとムラサメは手をあげ立ち上がった。

「特攻に賛成する」

その返事に次々に特攻に賛成し決まった。
三成は最後に武士に恥じない戦いをしようと言うと解散した。
その後、徳川軍、10万に対し石田軍2万の特攻が始まった。

「全軍!これより最後の戦いとなる!
あのタヌキじじいに爪痕を残し武士の誇りを見せてやろうぞ!!」
「オオオオオオーーー!!」

今まで以上の戦意の高まりを見せガチャガチャと音を鳴らし敵陣に突っ込んだ。
ムラサメも刀を抜き敵陣に向かった。

切る、切る、キル・・・
ムラサメはひたすらに刀を振るった。
すると敵がなぜかこっちを見て恐怖で顔がひきつっているのが見えた。
自分でも狂気じみた笑顔になっているのが分かる。
敵は悪鬼の如くの攻め、死を恐れないその男に異様な恐怖を感じていた。
気づけば辺り一面は血のカーペットのようになっていた。

「東軍は腰抜けが多いようだな」

挑発すると今まで遠巻きに見ていた足軽が刀を構え向かってきた。
ムラサメの身体中ボロボロだったが構わなかった。
(死ぬならできるだけ道連れにしてから死んでやる)

「黄泉の世界は何人連れていけるか・・・」

そう呟くと同時に足軽との戦いを再開した。

気づけばムラサメは倒れていた。
身体中血だらけで動けない。
そこに東軍の足軽がやってきた。
(これで終わりか)
薄く笑い目を閉じた。
心臓に刀を刺さるのを感じながらムラサメはこの世に別れを告げた。




声が聞こえる。
死んだというのにまだ意識があるのか・・・
そう思いながらも目を開けた。

「・・・」

ムラサメは言葉が出ないほどの驚愕した。
目の前に巨大な門があった。
きらびやかな装飾がされており鉄でできているように見えた。
いや、それ以前にどうやったらこれ程までのが作れるのかと疑問に思った。

「あのー・・・」

ムラサメは突然の声に振り返った。
今まで目の前の扉に夢中で人がいるとは気づかなかったな。
そこには金色の髪に青い目の少女がいた。
またムラサメは驚く事になった。
こんな人間は見たことがない。
ふとムラサメは死んだことを思い出した。
(ということは・・・)

「天使か?」
「えっ?」
「違うのか?」
「いや、あのその」

顔を赤くして慌てだした少女は誰かを呼んだ。

「ドレイクさーん!」

その言葉に黒い皮膚の男がこっちに向かってきた。
改めて辺りを見渡すとかなりの人がいた。
少なく見積もっても数百人はいるだろう。
考えているとドレイクと呼ばれた男が少女に話しかけていた。

「アクア、どうかしたか?」
「いや、こ、この人に今の現状を説明してほしいの」

少女の言葉に男はこっちを見た。
少し驚いたように見た後、話しかけてきた。

「兄ちゃん、ここの現状を知りたいんだって」
「頼んでないが確かに知りたいな」

そう言うと男は髪のないあたまをかきながら答えた。

「俺もよく知らないが、ここは死後の世界らしい」
「という事はここが黄泉の国か」

内心冷静に考える。
ここがどうあれ死後の世界に違いない。
それによく見ると雲のような地面で天に昇ったことが分かる。
(よく考えると話が繋がったな)
ムラサメが顔を上げたと同時に目の前に羽の生やした人間が降り立った。




















「」

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■作者からのメッセージ
第1話書きました。
かなりの駄文ですが、読んでくだされば幸いです。
少しづつ投稿していきますのでよろしくお願いしまーす。
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