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英雄のセカンドライフ 第2話 天使と悪魔
作者:絶望   2012/11/27(火) 21:50公開   ID:LmHmamFwEzE
ムラサメは目を細め羽を生やした人間の2人組を見た。
1人は整った顔立ちの優男で純白の羽が4枚あり、金髪に碧眼。
2人目は女でこちらも整った顔立ちだが、キツそうな性格が顔にでていて台無しになっている。
そして男とは対照的に歪な黒い羽が4枚あり灰色の髪に赤い眼。
(・・・まるで光と闇だな)
それがムラサメから見た羽を持つ2人組の印象だった。
ムラサメが思案している時、隣に立っているアクアとドレイクが呟くように話していた。

「夢見てるみてぇだ・・・」
「私も・・・」

一方、2人組はこちらを一瞥すると門の前に移動した。
死者達は困惑しながらもその2人組の様子を見ていた。
2人組が門の前につくと男の方が一歩前に出て、女が一歩下がった。
その後、男は咳払いをするとハッキリとした口調で話しだした。

「初めまして、死者の皆さん。
そしてようこそ、神界へ。
私は死者の案内役を務める能天使のアランと申します。
以後お見知りおきを」

能天使のアランは言い終わると深くお辞儀をした。
しばらくすると死者達は歓声の声を上げざわめいた。
ムラサメも例外ではなかった。
(黄泉はつまらない所と思ったが・・・)

「面白くなりそうだ」

ムラサメは狂気の笑みを浮かべ呟いた。
死者達を見渡した能天使、アランは満足げに見ると後ろに下がった。
それと入れ替わるように女が一歩前に出た。

ムラサメは騒いでいる死者達を無視し、ただ天使達の方を見ていた。
ふと誰かが服の裾をひっぱてるのに気づき下を向いた。

「夢みたい・・・私達、本物の天使を見てるんですよ!」

突然大声をだし興奮している少女、アクアは黒人の男、ドレイクに宥められ顔を赤くしうつ向いていた。
その後なぜかアクアがこちらをチラチラと見ながらドレイクと話をしていた。
その様子を見ていると二人がこっちに向かって歩いてきた。

「兄ちゃん、アクアがさっきの事を謝りたいんだとよ」

それを聞いたムラサメはアクアの方を見た。
ドレイクがアクアの肩を押し前にだした。
アクアは深呼吸すると顔を赤くしたまま呟くように言った。

「あ、あの・・・さ、さっきいきなり叫んだりしてごめんなさい・・・」
「別にいい・・・わざとじゃないならな」

ムラサメの言葉にアクアは首を何度も振った。
その様子を後ろから見ていたドレイクは高らかに笑いながらアクアの肩を叩いていた。
それを見た後視線を天使達の方に戻した。

ムラサメの視線を戻したとき、ちょうどもう一人の黒い羽の女が話そうとしていた所だった。
が、周りが騒がしく聞こえない。
女の方も騒がしくて苛立っているのか顔がひきつっている。
また何か言ったようだが、やはり死者達は聞く耳を持たない。
その様子を見て女は手のひらを死者達の方に向けた。
その後手のひらを向けたまま女は何かを呟いていた。
(少し離れた方がいいな・・・)
ムラサメは女から殺気を感じその場から離れた。

離れた所で後ろから足音が聞こえ振り向いた。
そこにはアクアとドレイクがいた。
どうやら俺の後ろを追ってきていたようだ。

「どうかしたんで」

アクアが最後まで言う前に後ろの方から爆発音が聞こえた。
同時にパチパチと音をたてながら死者達の悲鳴が響いた。

「どうなってんだ・・・」
「酷い・・・」

ムラサメ達が振り向くとそこは地獄絵図さながらの光景が広がっていた。
ところどころに黒こげになった死体、体に火がつき悲鳴をあげながら暴れまわる死者達。
そしてそれを起こした女は愉快そうに笑っている。
それをアランが咎めていたようだが、女は特に気にしてないようだ。

「昔見たような光景だな・・・」

ムラサメがそう呟いていると隣にいたアクアが驚いた顔で話しかけてきた。

「何で・・・笑ってるんですか」
「笑っている?」

ムラサメは顔に触れた。
(・・・気づかなかったな)
戦国の世で狂気的な人生を送っていたムラサメにはその光景は何かの享楽にでしかなかった。
無意識に微笑んでいた自分に変わらないなと思いながらもアクアの方を向いた。

「悪かった、不謹慎だったな」

そう言うとアクアは複雑な表情で頷いた。
その後ムラサメは天使達を見た。
アランは止めているが女は無視し見下ろすように笑っていた。

「これで静かに話ができるわねぇ」

いまだに笑い続けてる女にアクアが叫んだ。

「こんなことして何になるんですか!」
「え、何にもならないわよ」
「な、何で!」

悪びれることなく言い切った女に半ば呆然としたとしながらもアクアは言いはなった。

「アタシ、別に天使じゃないし」
「じゃあ、何なのよ!」

女は笑いながら大声で言いはなった。

「全員よく聞きなさい!アタシはソロモン72柱の66番目、リリス!
この優男と同じ死者の案内役よ。
悪魔限定のね」

そういい終えるスカートの裾を持ち上げ礼をする真似をした。
ムラサメは呟くように言った。

「なるほどな・・・」

それを聞いたアクアはムラサメに聞いた。
「知ってるんですか、お兄さんはソロモンって・・・」
「俺は知ってるぜ」

横からドレイクが口を挟んだ。

「ソロモンの72柱っていや−、ソロモン王が何かを72体を封じたからそう呼ばれてるって聖書にあったぜ」
「え、それって・・・」

アクアが最後まで言う前にムラサメが言った。

「悪魔だ」




















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■作者からのメッセージ
第2話書きました。
やっぱりオリジナルは難しいですね。
相変わらずの駄文ですが読んでくれると嬉しいです。
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