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Cross†Destiny〜死を誘う音楽〜 【エンディング】
作者:泉海斗   2013/01/16(水) 22:54公開   ID:PPoQrEUnCiY
 事件は解決した。
 その事件は正義が刑事として初めて担当したものであったが、あまりにも後味の悪いものになってしまった。
 犯人である馬場敏彦は逃走を図り、両手の使えない状態で階段を降りた際、足を滑らせてそのまま落下。頭を中心に全身を強く強打したために死亡した。
 彼の死に顔はなぜか恐怖に引き攣ったものだった。
 死ぬ間際に彼が一体何を見たのか、おそらくは母子の幽霊を見たのではないかと正義自身は考えているが、それは今となっては分かりようがないことだ。
 だがはっきりと言えることがある。
 あの子どもの幽霊は現れないということだ。
 彼が死んだ後もあの四番線で悲劇を繰り返していたのは、その時の死への恐怖、生への渇望が強かったため、それとも犯人である馬場敏彦への恨み、憎しみが強かったためなのかは分からない。
 事件解決のきっかけを齎した須藤も言うように、相当強い思いが彼のことをあの場にとどまらせていたのだろう。
 それは彼の母親も同じで、はっきりとは写真に写りこんでいないが、地縛霊としてそこにいたというのは間違いないだろう。そうでなければ女装した馬場がはっきりとした常態で写りこむことなどありえなかったから。
 母子の魂が救われたのか、そうでないのかはあれっきり見ることのない正義には分からないことである。そもそも死人に口なしと言うし、幽霊と会話することができる技能があるわけでもない。
 ただ救われてほしいと願うしか、事件を通してかかわった正義ができる唯一のことだった。
 事件解決後から、あの四番線にある子どもの幽霊についての噂は風化し、まったく聞かれなくなった。模倣犯などの出現が危惧されていたが、半月がたった今も事故一つ起きずに、安全な運行が成されているそうだ。
 それに一昨年から減少する一方であった利用客が少しずつ右上がりになるなど、少しずつ以前の活気を取り戻しつつあるようだった。
 事件を解決したということもあり、正義は亜梨子とともに表彰されることになった。
 表面上では嬉しそうにしていていたが、内面では複雑だった。
 当然ほぼ単独での調査という行動をとってしまったために、組織としての行動ができていないと上から厳重注意をされた。
 周りに対してもけっして良い印象ばかりを与えたわけではなかった。
 しかし今日も正義は憧れの刑事として仕事に励んでいる。
 亜梨子は教育係の役割を終えたが、良い相棒としてお互いに事件解決のために奔走している。

「正義くん、事件よ!」
「了解! 今日も頑張りましょう!」

 そんな二人を、守護霊たちはそっと見守っている。


【キャラクター】


名前:菅原正義【すがわらまさよし】
年齢:二十二歳
性別:男性
職業:刑事・巡査部長
アルカナ:戦車【行動力・自分勝手】
守護霊:ヴェリタス【真理を見極める程度の能力】
特徴:この春から念願の刑事になることができた青年。刑事ドラマなどの影響を強く受けているためか、それが行動に現れることがある。憧れの刑事になることができたことでやる気十分であるが、それが空回りすることもある。

名前:篠原亜梨子【しのはらありす】
年齢:二十五歳
性別:女性
職業:刑事・巡査部長
アルカナ:女帝【包容力・感情的】
守護霊:プライム【指針を示す程度の能力】
特徴:正義の教育係を任せられた女性。ドイツ人の父親と日本人の母親を持つハーフ。生まれが周りよりも特殊であるために、誰に対しても敬語で話すようにしている。誰に対しても優しさをもって接するが、その場の出来事に対しての感情に流されてしまうこともある。

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■作者からのメッセージ
はじめての方は、はじめまして。
いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
作者の泉海斗です。
少しずつですがPVの方が増えているのを見て、呼んでくださっている読者のみなさまには感謝してもし切れません。本当にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いします。


今回のCross†Destinyは「人間と守護霊が力を合わせる」というのがテーマであるシリーズものでした。
シリーズものといっても、現在投稿部屋で執筆させていただいている〜凍てつく魂〜と今回の〜死を誘う音楽〜が場所も時代も違うというように一話一話が異なる物語で存在しています。細かな設定は異なっていますが、大きなテーマは同じとなっています。
しかし〜死を誘う音楽〜ではあまり守護霊について触れることができなかったことが残念に思っています。さらに結局唯一登場した銀狐のフラグを回収できなかったのは、そのあたりのプロットの練りが甘かったのだと反省しています。今回の反省は今後の作品作りに生かしていきたいと思っています。
また主人公である菅原正義の口調を安定させられなかったのも反省しています。もう少しそのあたりも今後しっかりとしていきたいと思います。

早足で完結させた作品でしたが、いかがでしたでしょうか?
一言、二言でもかまいませんのでご感想やご意見がありましたら書き込んでいただけると幸いです。
まずは現在執筆中の〜凍てつく魂〜を今回の反省を生かしつつ完結を目指していきたいと思います。
また、東方異聞録PERSONAについては凍結にしたいと思います。何度もプロットを練ったものでしたが、申し訳ありません。
またどこかでペルソナや東方の作品は書いてみたいと思っています。

それではこの作品のあとがきはこのあたりで。
この作品を読んでくださった読者のみなさま、本当にありがとうございます。
今後とも泉海斗と作品たちのことをよろしくお願いします。
それでは!!
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