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リリカルなのはブレード 第一話 少年と少女と晩御飯
作者:鉄   2013/02/13(水) 06:38公開   ID:1egY.m3gOes
はじめまして、雑文書き再挑戦の鉄と申します。

この小説は、
魔法少女リリカルなのはを基にした改変二次創作小説であります。
オリジナルキャラが主人公です。
オリジナルキャラは数名出る予定です。
原作キャラとオリジナルキャラが睦あったりするかもしれません。
それでもよければ、どうぞごゆっくりと。


第1話
少年と少女と晩御飯


夕闇が世界を包みかける時分・・・少年は行き倒れかけていた。
「・・・都会は広いな・・兄貴・・・。」
6月から通う小学校は兄の家から通うので、勢い込んでいろいろ持ってきてしまったこともあったが、荷物は思ったよりも彼の小さな体を苦しめていた、まあ、他にも理由があるわけなんだが。

少し大きな家の庭の垣根の向こうに、洗濯物を取り込んでいた少女がいることに気付いた少年は、
「・・・すいません、ひとつ土地を訪ねたいんすけど・・・」
急に声をかけられた少女は少し驚きながらも、手元の機械を操作し自身の乗っている車いすを器用に垣根にむけた。
「・・・私でよければ、いいですよ〜」
と関西弁で人懐っこさそうな顔をしていた美少女だった。
一瞬目を奪われたが、教えてくれるというのであれば聞かなければと頭を軽く振るい、
「ここって、海鳴市の山上ってところですか?」
「・・・山上?ここら辺はそんな地名じゃあらへんで。この近所にはなかった気がするんやけど・・・。」
「・・・間違ったのか?兄貴のバカ・・・」
どさ。
ゆっくりと少年は垣根の前に膝をつくと倒れ伏した。
「・・・ちょっと、どないしたん!?」
「もう・・・・だめ・・・・」
手からぐちゃぐちゃになった紙がはらりと落ちる。そこにはものすごく大雑把に、海と山と丸で囲んだ海鳴市と書かれた文字の横あたりに、『ココ!』とだけ表記された地図だった。


少年が気がつくと、見たことのない縁側近くにいた。
ガバッと起き上がると。庭の入口から引きずられた跡のようなものが地面についている。
「ここは・・?」
「あ!ようやっと目を覚ましたん?」
声のもとに振り返ると、先ほど見とれた美少女が近づいてくる。
「え!?ここは!」
「玄関先からここまで引いてくるのは骨やったけど、ごめんなぁ、軒先までで。
どうしても重くて玄関にもあげれへんかったや。」
「いや、こちらこそありがとう。」
その場に正座して礼をする少年。
「こちらこそいややわぁ、わたしは引っ張ってきただけやで?
それに起きれるんやったら、上がってお茶でもどうです?」
「いや、そんな、おかまいな(ぐ〜)・・・く(照)」
少女は少年ににんまりと微笑む。
「どうやらお茶だけやないほうがいいようやね?」
彼は、少女の言葉に甘えることにした。

少年は流石にその旅装で中に入ることをためらい、重い荷物と外套を除した。
顔立ちは悪くなく、どちらかというと良い部類に入りそうな顔、ぼさぼさした真っ黒い髪の毛の後ろ側には一部長くなってるのかひとつにまとまっていた。
外套の下には、そんな少年。
でもまだ違和感のある左腕が残っていた。
肩は服の上から三角巾らしきものに覆われて、左腕から手にかけてはすっぽりと厚手の手袋をかけていたからだ。

少女は訝しげながら、
「なんや、寒い所からでも来たんか?」
「確かに寒い所だけど・・・ああ、これ?」
「うん。」
「これは、俺の相棒の離発着所さ。」
と笑顔で答えた。
「相棒?」
「うん。今ちょっといないけど・・」
と言うなり、あっさり手袋を外し「失礼します」と縁側から入ってくる。

すでに、とっぷりと日も暮れている時間だ。
「少し待っててな。」
と言われて、早20分。
食卓に並べられたのは、炊き立てのご飯とみそ汁と焼き魚。
空腹には堪えるかかおり。
席を向かい合わせるように座る少年。
「・・・すいません、見ず知らずのしかも行き倒れた俺にこのような振る舞い・・・」
「私が好きでしとるんよ、気にせんでいいて・・・それに有るものしか出してないし。
っとそういえば、お名前聞いてなかったなぁ?差支え無ければ聞いてええ?」
「あああ、すみません!すっかり忘れてました!!」
やっちまった的に顔を手で覆い愕然とする少年。
しかし、少女は温和そうな表情を崩さず、
「ええて、私も話さなかったし。」
「えーこほん、俺の名前は石羽(せきば)ケンジと申します。年は9つ。」
「私は八神はやてって言います。同い年やね。」
「はやてさん?」
「はやてでええで?ひらがなではやてって変な名前やろ。」
「いえ、かわいいと思います。」
「ほんまか、そんなん男の子に言われたの初めてや。」
真顔で言うケンジに、少々頬を紅潮させるはやて。
それに気付いたケンジも少し紅潮させて、
「いやいや、深い意味は無いですよ!ただ、縁深いなぁと思ったし、柔らかい響きがはやてにぴったりだなぁと感じたし!!」
「そうなん?なんか嬉しいわぁ、名前ほめられるのも〜。
・・・ああ、ご飯冷めよるね。食べよか?」
うなずくと二人、まるで示し合わせたようなタイミングで「いただきます」と揃い、ゆっくりと夕食を楽しむのであった。

みそ汁はネギに豆腐とベーシックなものだったが、ケンジはついつい声に出して
「うまい!」
「喜んでもろて嬉しいわ〜♪」
「ご飯も、ちょい片目で俺好み〜!」
「それはよかったわ〜。ゆっくり食べて〜な?」
食事をし始めてまじまじとケンジの姿を眺めるはやて。
同じ年頃の少年にしては精悍な顔立ち、ぼさぼさの頭、左頬に絆創膏。
その黒髪は、しばらく手入れしていないのか、男の子としては伸びきっていた。
服は、外で来てた外套の下で普通のシャツにGパンで、左肩に三角巾のようなものが巻いてある以外は、普通だった。
特に目立つ物と言えば、左手首に山吹色に鈍く光る銅のブレスレットくらい。
そんな少年がはやての前で、はやての料理を食べて、おいしい言いながら満面の笑顔でほおばってる姿を見て、胸が温かくなった。
(なんやこれ・・・こんな気持ちはじめてなんやけど・・・。)

味を楽しんでいると、ケンジの頭に声が響いた。
(若殿、どこに行きました!?若殿!!)
瞬間ケンジのそれまでおいしい料理に満悦な顔だったのに、若干の影が落ちた。
(・・・首尾は?)
(おお、若殿ご無事でしたか?)
(ああ、無事だ。今は色々あって一般人の家で厄介になっている。で、首尾は?)
(駄目です。あの地図ではさっぱりで。さらにこう暗くなられては、人の顔もよくわからぬ故・・。)
(・・・今日は無理そうだな。また明日探そう。俺の居場所把握できるか?)
(念話をたどれば・・・・・・はい、把握できました。戻ります。)
(御苦労。わかった。)

と、ケンジが箸を置く。
「なんやなんや、もう食べたんか。まだ、ご飯とみそ汁だけやったらおかわりあるで?」
「いやいや、相棒が来たようなんでさ。下ろすだけ下ろしてやらないとね。」
「・・・相棒?そういえばさっきも言っとったけど、いったい何のこと?」
「今来るから、ちょっと待ってて。食事時なのに中座してごめん。」
と言うと、一礼して入ってきた縁側に向かう。
自分の泥だらけのブーツを履き、左手に厚手の手袋をつける。
庭に出て満天の星が瞬く、空を見上げるケンジ。
そして、左手を伸ばす。

「みてて、はやて。」
そうはやてに背を向けながら話す。
はやては食事を中断し、縁側近くに車椅子を進めると暗闇のケンジを見た。
ぼうっとケンジの左手が光る。
いや、光ってるのは手袋の下にある一部分だけのうように見えるが。

「ピィーー、ピィーー」

突然、甲高い子猫のような鳴き声とともに暗闇の中を、ゆっくりと一羽の鳥がケンジの左手に舞い降りた。鳥は翼がとても大きく見えたが畳んでみると、それほど大きなサイズではないのがわかったが、ケンジに対しては少し大きい気がした。
舞い降りた鳥をゆっくりと胸元近くにもっていき、
「御苦労」とケンジが声掛けると応えるように「ピィー」と鳴く。

そして、ケンジは振り返りはやてに紹介を始める。

「はやて、これが俺の相棒の『左近(さこん)』だ。」
と、笑みを浮かべながらはやてに話すと、はやても
「この子がケンジ君の相棒?かわいい子やね。」
と会釈する。ここまでは普通だった。
「左近、この子は八神はやて。現在一飯をいただいてる恩人だ。粗相のないようにな。」
「この度は、我が殿をお助けいただきありがとうございます。
はじめまして。若殿の騎士の左近と申します、よろしくお願い申しあげます。」
と、丁寧にお辞儀をする鳥。

「・・・・・・!」
はやては、鳥が人語を話すのに吃驚した。
「あれ?はやてが、ハトが豆鉄砲食らったような顔してるぞ。」
「きっと、左近の雄姿に驚いたのでしょう。」
「んなわけあるか。お前のその怖い顔に驚いたんだよ。」
「ははは、何をおっしゃいます若殿。左近の顔は怖くはありません。普通の鷹の顔です。」
「それが普通の人には怖いんじゃないのか?」
と、はやてが何について驚いてるのを論争し始める二人(一人と一羽?)。
はやては・・・。

「・・・・・なんで鳥が喋るん!?」
とりあえず、フツーにツッコんでみた。
「あー、そっちだったか。んじゃ説明するけど、ご飯食べながらにしよう。」

ケンジは、はやてを席に戻すと、はやての向かい側の席に再び座り話しだした。
左近は縁側で少し疲れたのか、丸くなり始めた。

ケンジは語る。
相棒・左近は家に代々伝わる騎士の霊で、代々次期当主のお守り役をしていること。
鷹の姿をしているのは、色々と都合がいいということ。
そして、ついでに行き倒れた理由も。

「・・・地図が駄目だっただけやなくて、東北の実家から歩いてきたやて?!」
「そうそう。兄貴が、人生修行の一環だから歩いて来いって。」
「・・アカン、かんがえられへん・・」
「でも、ギリギリついた。」
「倒れたくせに・・」
「だから感謝してる、ありがとうはやて。」
「・・・次はしたらあかんで?」
「なんで?」
「心配だからや。」
「・・・ありがとうはやて。」
「・・・・おかわりあるよ?」
「ああ、お願いします・・いや、自分で盛ってくるよ!」
「ええのに〜」という言葉を背に受けながら、席を立ち、ゆっくりとご飯とみそ汁を盛り始める。
実は、少し顔が赤くなっていた。
(若殿、心拍数が上昇していらっしゃいますな・・・?)
(!!・・なんでもない!)

「そういえば、ケンジ君はなんでお兄さんところに行きたいの?」
盛り終えて、三度席に戻ってきたケンジに尋ねる。
「色々あって、聖祥学園って小学校に入ることになって、
ちょうど近くに住んでるからっということで、兄貴の家に住む事になってたんだけど・・・」
「・・それが見つかって・・・ない?」
「そう。・・・」
沈黙が二人を包む。
でもそんな静かな空気を破ったのは、
「よし!決めたで!!」
はやての声だった。
「ケンジ君、おにいさんちみつかるまで、うちにいてもええで!」
「ちょ、ちょっとまって、はやて!」
「春先でも、まだまだ肌寒いし、雨なんか降ったら、探すどころでもあらへん!
まかしとき!部屋やったら、使ってない部屋片せばなんとかなる!!」
「いや、だからそういうことではなくて・・・」
「それとも・・・なにか?」
焦るケンジにはやては甘えたような表情で、
「ケンジ君は心配してる私の気持ちとかは、しらへんというのか?」
「・・・・・・!」

その言葉と表情に迷うケンジ。そんなケンジに縁側で丸まっていた左近は頭を上げながら、
(若殿、負けです。ここで折れないと、痛い目見ますぞ。)
「・・・・わかった。ありがとうはやて。ご厚意ありがたく頂戴します。」
若干、顔を赤くさせながら話す。
「よかったわ〜。うちもハラハラせんでよくなるわ〜。」
「でも、親御さんとかに話さなくていいの、はやて?」
「あ〜、そこをまず話しとかなあかんよね。」
「?」首をかしげるケンジ。
はやては、ゆっくりと語りだした。今度は自分の話を・・・・。


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■作者からのメッセージ
みなさんはじめまして。
昔、にじふぁんにて投稿していたものです。
はじめてこの作品を上げたのも、2009年1月だと記憶しております。

向こうが完全に消えたので、こちらに試しで上げてました。
作者がチキンハートなので、また逃げ出すかもしれませんが、生温かい目で見守っていただければ幸いかと思います。
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