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遊戯王GX 正直者の革命 第二十六話 不在 (現実的で無いとアニメを見て言うのは批判になっていないと思う)
作者:レプラ◆23VAxH8p.bY   2013/04/02(火) 17:25公開   ID:BrBj.1iOdwk
「..................ふぅー、やっと終わった、か」

 既に時刻は二時をまわっている。wikiの編集をしていたら、こんな時間になってしまった。
 毎日30以上の記事を編集しているにもかかわらず、まだまだ編集したい記事は残っている。おかげで最近は睡眠時間をごっそりと削って編集している。他にも色々と、日常生活に支障をきたしてしまっている。
 だが、別に不満はない。当然だ。なんといったって、I2社の一大プロジェクトなのだ。
 その協力者として名を残せるなら、いや、たとえ名を残せなくとも、身を粉にして働くに決まっている。
 それにひきかえ先輩は............
 忙しそうにして、徹夜する時はある。あるのだが――――だいたいは、11時に寝て6時に起きるというものすごく健全な日々を過ごしているという。どこの小学生だ。
 「自分の企画ぐらいちゃんと頑張れ」と言ったことはあるのだが、「俺は毎日毎日労働に勤しんでるよ」という軽い返事が返ってくるだけだ。睡眠時間も何も、変わる様子はない。あんなのが重役でいいのだろうか、I2社は。

「まぁ、しょうがないか..................」

 人間としてはどうしようもないが、カリスマ性だけはあり余っているからな。俺もそれに魅かれてしまった一人だ。
 世の中なんて、所詮そんなものだろう。俺は自分を、無理矢理そう、納得させた。


                   ◇
 
 次の日。
 授業が始まる直前に、先輩からメールが来た。

『ちょっと本土行ってくるけど明日には戻って来るから泣かずにいい子で待ってろよ!』

 それを見て俺はイラッと――――――しなかった。
 俺が感じたのはむしろ、不安。
 先輩はめったに島を離れないのに........................
 悪い予感がする。
 

                   

 


 しかし、放課後まで、特に何も起きない。いや、むしろ先輩がいなくて、平和そのものだったと言える。あの人と付き合っていると、精神力がガリガリ削れるからな。

「マエストロークでダイレクトアタック!!」

「ぐぁぁああぁっ!」

 よし。これで今日のノルマは達成だな。
 新しい構築済みデッキのテストには、相当な時間がかかる。が、これもまた大切な仕事だ。蔑ろにはできない。
 
「ありがとうございました」

「ああ。いいデュエルだった」 

 カイザーとのデュエルはいつも刺激的だ。先輩に負けてからは、サイバー流に固執せず、色々なデッキを試しているようだ。デッキの調整にはすごく助かる。

「それじゃあ、俺はこれで。これからも、よろしくお願いします」

 少し名残惜しいが、時間を無駄にすることはできない。俺は足早に自室へと向かう。

 
 
 歩きながら、今日使ったデッキの問題点を洗い出していると、天上院さんが歩いてくるのが見えた。俺は彼女に声をかける。

「明日香さん、お兄さんの............」
 
 だが、完全に無視された。俺のことを、見もせずに。
 一瞬グサッときたが、すぐに、違和感を抱く。
 彼女は少々気が強いものの、礼儀正しい人間だ。普通なら、挨拶されたら無視はしないだろう。
 何かあったのだろうか。
 そう思い、少し保健室に寄ってみる。

「失礼しま〜す」

 特に異常はない。
 相変わらず、俺が戦った、元セブンスターズの天上院さんのお兄さんは、眠ったままだ。
 うーん、分からない。なぜ彼女が俺を無視したのか。まさか俺の存在感が薄すぎて見えなかったということもないだろう。ないはずだ。
 ..................自分で言っていて微妙に自信がなくなってきているのが、少し悲しい。
 まぁ常識的に考えて、何か考え事をしていたか、よほど気が沈んでいたか、そのどちらかだろう。

「これ以上はデータ不足だな」

 そう結論付けて背を向け、立ち去ろうとした時、背後から呻き声が聞こえた。
 
「ふ、吹雪さん!?」

「..........す......か」
 
 俺の制服の裾を掴み、起き上がろうとする吹雪さん。

「だ、だめですよ、吹雪さん。寝ていないと」
 
「......明日香が............危ないっ............」

 え?


                   ◇


「ここは確か、元、特待生用の寮、だったか?」
 
 噂では、闇のデュエルに関する研究をしていたとかいないとか、何人もの生徒が行方不明になったとかなってないとか。
 もっとも後者の方は、吹雪さんという実例がいるのだが。
 日はとうに暮れている。
 保健室に懐中電灯があってよかった。
 きっと電気なんてもう来てないだろうからな。

「ここに、天上院さんが?」

 俺は、背負っている吹雪さんにそう問いかける。自分も行くと言って聞かなかったのだ。

「ああ。僕には、分かる。明日香は、この中に..............ぐぁぁっ」

「ふ、吹雪さん、本当に、大丈夫なんですか?」

「ああ。大丈夫。ただ、何か、何か大事な事がここで...............僕は、思い出したくて、でも、思い出せなくて――――――――いや、そんなことより、早く..........」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 その時。
 旧校舎の中から、悲鳴が。

「!! 明日香!!」

 吹雪さんは俺の背中から降りると、勢い良く、中へと駆け込む。先程まで寝たきりだったとは思えないほど、力強く。
 俺も懐中電灯を点けて、急いでそのあとを追う。
 まるで天上院さんがどこにいるのか分かっているかのように、碌な明かりもないのに、彼は迷わず走る。
 それは兄妹の絆が為し得ているのか、それとも。
 彼の、思い出せない記憶というのが、関係しているのか。

 長い長い、廃坑のような廊下を進んでいくと、洞窟のような感じの広間に至った。
 そこに、人影。
 がっしりとした、長身の男だ。
 黒尽くめの服と帽子、まるで仮面舞踏会で身につけるような、銀色の仮面。
 そして、
 その手前には、ぶよぶよとした黒い何か・・に引きずり込まれている、天上院さん。
 
「明日香!」

 吹雪さんは、引きずり込まれていく彼女の腕を掴んだ。
 だが、じわじわと、彼も..............................

「クククッ、無駄だ。
 その女は、闇のゲームで敗北した。私を倒す以外に、その女を助け出す術はない」

 男が、口を開いた。
 不気味な、声。
 
「お前は誰だ!セブンスターズか!」

「そう大声を上げるな、三沢大地。そんなに闇のゲームが怖いかぁ?」

 黒尽くめが、俺を嘲る。
 だが、それは事実。
 天上院さんを、あの黒い、禍々しい何か・・を見た瞬間
 震えが、止まらなくなった。
 あの時の痛みが、衝撃が
 怖くて、たまらなくなった。
 
「図星、といったところか。
 だが、貴様がどう思っていようと―――――仲間を見捨て、逃げ出したいと思っていようといまいと―――――逃がすわけにはいかんなぁ」

 そう言って、黒尽くめは腕をふるう。
 すると、俺の脚に、黒い煙が巻き付く。
 それだけで、俺の脚は、動かなくなる。

「我が名はタイタン。セブンスターズの一人だ。
 さぁ、始めようか。楽しい闇のデュエルを!」

 くそっ、やるしかないのか。




「「デュエル!!」」


「先攻は俺が貰う」

「いいだろう。せいぜい足掻くがいい」
 
 タイタンは、余裕の表情だ。
 そんなに、自分のデッキに、プレイングに、自信があるのか。
 それとも
 それとも、何か、例えば、幻魔の扉のような、何かがあるのか。
 首筋を、冷汗が伝う。

「俺のターン、ドロー。スタンバイ、メインフェイズ。
 俺は手札から、セイクリッド・シェラタンを守備表示で召喚」

 まずは、安定のセイクリッド・シェラタンを出しておこう。
 守備力が1900もあるのは、かなり心強い。さらに、

「セイクリッド・シェラタンの効果を発動。
 このモンスターが召喚に成功した時、デッキから「セイクリッド」モンスター一体を手札に加える事ができる」

 優秀なサーチャーでもある。少し、オーバーパワー気味だと感じないことも無い。
 これで手札にトラップの一つでもあればもっと良かったが、贅沢は言ってられない。

「俺はデッキから、セイクリッド・カウストを手札に加える。
 俺はこれで、ターンエンド」

「ククク、私のターン、ドロー。
 ふむ..................私は、カードを5枚・・セット!」

 5枚!?

「ターンエンドだ。
 さぁ、かかって来い。何もできないまま、お前を絶望の底に叩き落してやろう」
 
 ..................なるほど。
 この言い方だと、カウンターデッキだろう。
 それなら、一応、やりようはある。

「俺のターン、ドロー!」

 ドローは――――――――ミラーフォースか。悪くない。

「三沢!!」

 と、その時。
 十代とカイザーが、駆けこんできた。

「大丈夫か、三沢!」

「カイザー、十代。
 俺のことはいい。それより、吹雪さんと天上院さんを!」

「!! ああ、分かった!」

 既に吹雪さんまでもが、左腕を残して、上半身が沈みこんでしまっていた。
 それを二人が、なんとか引き上げる。
 だが、ただの時間稼ぎにしかならないだろう。

「スタンバイ、メインフェイズに入る。
 俺は手札から、セイクリッド・ポルクスを召喚。
 このモンスターが召喚に成功したターン、俺は通常召喚に加えて一度だけ、「セイクリッド」モンスター一体を召喚できる」
 
 さぁ、どうくるか。
 これを止めるか、否か。

「ふむ、レベル4、攻撃力1700か―――――――いいだろう」

「ならば俺はさらに、セイクリッド・カウストを召喚」

 ........................これにも何もしてこないか。
 もしかしたら、攻撃反応型のトラップしかないのか?

「俺は、レベル4のセイクリッド・ポルクスとセイクリッド・カウストをオーバーレイ。二体の光属性モンスターで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!
 その放つ光は、何物をも寄せ付けない――――――セイクリッド・オメガ!」

 セイクリッド・オメガには、1ターンに1度オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、自分の場の全ての「セイクリッド」モンスターがそのターン、魔法マジックトラップの効果を受けなくする効果がある。
 しかもこの効果は、相手ターンでも発動できる。
 伏せカードで粘るデッキには、辛いだろう。

「ククク、馬鹿め。それを待っていた!
 リバースカードオープン。カウンタートラップ 神の警告!
 2000ポイントのライフを支払うことで、モンスターを特殊召喚する効果を含む効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか一つを無効にし破壊する!」

タイタン:6000→4000

「さぁ、手札を消費していくらでもエクシーズモンスターを召喚するがいい。
 もっとも、お前が損をするだけだがな。ぐはははははははははは」

 そういうスタンスか。
 これならいける、かもしれない。

「俺は、カードを一枚伏せて、ターンエンド」

「ならば私は、速攻魔法 サイクロンを発動。お前の伏せカードを破壊だ!」

 くっ。
 まぁ、いいか。
 俺の場にはまだ、セイクリッド・シェラタンがいる。
 普通のカウンターデッキなら、簡単には突破できない。

「さらに私は、トラップカード トゥルース・リインフォースを発動」

 トゥルース・リインフォース?
 聞いたことのないカード。
 ん?んん??いや、まさか。

「デッキから、レベル2以下の戦士族モンスター一体を特殊召喚する。
 なお、このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
 私はデッキから、レベル1戦士族、インフェルニティ・リローダーを特殊召喚」

 ..................................................................................................................sennpai bukkorosu
 くそっ、まさか、ここまで下種な人間だったとは。
 カミューラの時とは、事情が全く違うんだぞ。

 思い出すのは――――――インフェルニティ・ゼロ。
 ライフが0になっても負けないという、ふざけた能力(といっても、条件がかなり厳しかったが)。

「そして私のターンだ。ドロー。
 私は手札から、スナイプ・ストーカーを召喚し、カードを一枚セット。
 これで私の手札は、ゼロだ」

 0
 零
 ゼロ
 インフェルニティ・ゼロ―――――――――――特殊召喚するときに、手札を全て捨てる。

「これにより、インフェルニティ・リローダーの効果の発動条件が整った!
 効果を発動!
 1ターンに1度、手札0のとき、自分のデッキからカードを一枚ドローする事ができる。
 そして、この効果でドローしたカードをお互いに確認し、モンスターカードだった場合、そのモンスターのレベル×200ポイントのダメージを相手ライフに与える。
 魔法マジックトラップカードだった場合、自分は500ポイントダメージを受ける」

「手札0で発動する効果!?」

 そんな効果、狙って発動できるとは思えない。
 しかし、目の前で実際に発動している。

「ドロー。ドローしたカードは、トラップカード インフェルニティ・バリアだ。私に、500ポイントのダメージ」

タイタン:4000→3500

「私はカードを一枚セットして、ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー、スタンバイ、メインフェイズ」

 ドローは大嵐。
 これを使えば、タイタンの伏せカード四枚全てを吹き飛ばすことができる――――はずだ。
 だが――――不気味。
 あの伏せカード。
 カウンタートラップということは視認できた。
 だが、効果までは確認できなかった。
 バリアだから、攻撃の無力化のようなカウンタートラップなのか。
 あるいは、「インフェルニティ」を守るものなのか。
 うかつに大嵐を使うのは........................

「ぐぁぁぁっっ」

「十代!!」

 カイザーの声に、振り向く。
 再び、吹雪さんの身体が、いや、それどころか、十代の体までもが、沈み込んでいく。

「さぁ、どうした。もたもたしていると、大事なお友達まで、飲み込まれてしまうぞ?クククッ」

 くそっ、迷ってる暇は無い!

「俺は手札から、魔法マジックカード 大嵐を発動!
 フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する」

「クハハハハ、そんな安直な手が通用するか!
 私はカウンタートラップ インフェルニティ・バリアを発動!
 手札0で、自分の場に「インフェルニティ」モンスターが表側攻撃表示で存在する場合に発動する事ができる。
 相手が発動した効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する!」

 これは、インフェルニティ専用の、神の宣告!?

「ふっ、これで終わりかぁ?」

「いや、まだだ!
 俺は墓地の光属性モンスター、セイクリッド・オメガを除外し、霊魂の護送船ソウル・コンヴォイを手札から特殊召喚。
 このモンスターは、墓地の光属性モンスター一体を除外することで、特殊召喚できる。
 さらに、シャインエンジェルを召喚」

 とにかく、ドローソース、インフェルニティ・リローダーだけは落とす!

「バトル、シャイエンジェルで、インフェルニティ・リローダーを攻撃」

「ちっ」

タイタン:3500→3000

 よしっ!

「続けて、霊魂の護送船ソウル・コンヴォイでスナイプストーカーを攻撃!」

「なめるな!私は速攻魔法 死者への供物くもつを発動。
 フィールド上の表側表示モンスター一体を破壊する。
 破壊するのは当然、霊魂の護送船ソウル・コンヴォイ!」

 これ以上ダメージは通らないか。
 だが十分。
 ドローソースがなければ、相手は手札0に保とうとするデッキ。
 ジリ貧だろう。
 しかも確か

「死者への供物を使用した場合、次の自分のドローフェイズはスキップされる」

 そう。
 これなら、相手は、スナイプストーカーの効果を発動できず、セイクリッド・シェラタンを突破できない上に、次のターンの守りも疎かになる。

「俺はこれで、ターンエンド「ならば私は、トラップカードを発動させてもらおう」

「!? まさか、またトゥルース・リインフォースか!?」

 だとしたら、全てが水の泡。
 いや、その可能性は考えておくべきだった。

「ククク、いいや、違うとも。
 私が発動したのは、トラップカード 無謀な欲張り。
 デッキからカードをニ枚ドローする。だが、これから2ターン、私はドローフェイズでドローできない」

 くっ、なるほど。
 あのデッキなら、そういうカードも有りか。
 このドローでインフェルニティ・リローダーを引いたかどうか。
 それが問題だ。
 戦士族のキーモンスターなのだから、増援で持ってくる可能性もある。

「さぁ、私のターンだ。ドローは当然できない。
 貴様に地獄を見せてやろう。
 私は、スナイプストーカーの効果を発動。
 手札を一枚捨て、フィールド上のカード一枚を選択して発動。
 サイコロを振り、1・6以外が出た場合、選択したカードを破壊する。
 私は、セイクリッド・シェラタンを選択」

 黒いぶよぶよとした何か・・が空中に出現した。
 それが立方体となり、勢い良く回転しながら飛ぶ。
 床や壁、果ては天井にまで何度もぶつかり
 突然、俺の目の前に落ちてきた。出た目は――――四。死?

「これでセイクリッド・シェラタンは破壊。貴様の場には、攻撃力1400のシャインエンジェル一体きりだ」

「だが、お前の場には、スナイプストーカーのみ。
 その残りの手札一枚がモンスターであったとしても、たいしたダメージではない。
 しかも、伏せカードは一枚。返しのターンで対応可能!」

 俺のライフはまだ、初期値の6000ポイント。
 余裕で受け切れる。
 ちらっと、後ろを見る。

「ぐっ、三沢、早く........しろ。くっ」

 カイザーももう限界寸前だ。
 少しずつ、少しずつ、闇の中へ。
 
「ククク、ククククッ」

 嗤っている。
 邪悪な笑みを浮かべて。
 耳につく、不気味な声で。

「まだ、自分以外を気遣う余裕があるのか............ならば、貴様に
 地獄を見せてやろう。
 私は、手札を一枚伏せ、リバースカード、永続魔法 インフェルニティ・ガンを発動ッ!!!!」

「永続魔法!?」

 しかもあれは、最初のターンに伏せてあったカード。
 今頃何を。

「インフェルニティガンには、二つの効果がある。
 一つは、1ターンに1度、手札から「インフェルニティ」と名のついたモンスター一体を墓地へ送る事ができる効果。
 そしてもう一つは――――――――手札0の時、このカードを墓地へ送る事で、墓地から、「インフェルニティ」モンスターをニ体まで特殊召喚できる効果だ!」

 !?
 インフェルニティ・リローダーを蘇生するのか!

「ククッ、だが、蘇るのは、インフェルニティ・リローダーだけではない。
 さあ、舞い戻れ、インフェルニティ・リローダー、インフェルニティ・デーモン!!」

「くっ、スナイプストーカー!」

「その通り。こいつの効果で、私はインフェルニティ・デーモンを手札から墓地へ送っていた。
 そしてここで、インフェルニティ・デーモンの効果を発動!
 特殊召喚成功時、手札0なら、デッキから「インフェルニティ」と名のついたカード一枚を手札に加える事ができる。
 それ、インフェルニティ・リローダーをもう一体追加だぁ!!」

 1500+900×2+1800=5100
 いくらこっちにリクルーターがいるとはいえ、十分な火力だ。
 その上、俺のデッキにシャインエンジェルは二体。防ぎきれない。

「クハハハハ、どうしたどうした、まるで死人のような顔をしているぞぉっ!!
 まずは一体目のインフェルニティ・リローダーの効果を発動!
 トラップカード 次元幽閉!私に500ポイントのダメージ」

タイタン:3000→2500

「次元幽閉をセットし、二体目のインフェルニティ・リローダーの効果を発動ッ!!
 ドロー!トラップカード 奈落の落とし穴!さらに500ポイント!」

タイタン:2500→2000

「奈落の落とし穴もセットだ。
 さ―て、バトルと行こうか。
 スナイプストーカーで、シャインエンジェルを攻撃!」

「!? ぐっ、ぐぁぁぁぁぁぁあぁぁっ」

三沢:6000→5500

 あ
 痛い。痛い。
 いったい、なにが。

「おいおい、まさか、痛みはないと思っていたのかぁ?
 ククッ、いいことを教えてやろう。
 この仮面はひと月ほど前、あるお方に頂いた物でな。
 この仮面をつけることで、私は闇のゲームを行い、そして、闇のゲームによる痛みを完全に消すことができるのだぁ!!」

 なっ!?
 そ、そんなことが、あっていいはずがない。
 今までのセブンスターズは、互いに平等に、ダメージを受けていた。それなのに。
 どうして。
 どうしてこんなことに。
 
「くっ、シャインエンジェルの効果を発動。
 このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスター一体を表側攻撃表示で特殊召喚できる。
 俺は、シャインエンジェルを特殊召喚」

「クククッ、やれ、インフェルニティ・デーモン。ヘル・プレッシャー!!」
 
 空中に展開された魔方陣から出現した焔の手が、天使を叩き潰す。

「ぐぁぁぁぁぁっ」

三沢:5500→5100

 どうして。
 どうして、

「はぁ、はぁ、セイクリッド・シェアトを、特殊召喚」

「クハハハハ、攻撃力100?
 ならば、そいつを攻撃しろ、インフェルニティ・リローダー!」

「ぐぅっ」

三沢:5100→4300

 どうしてなんだ。

「まだだ。まぁだだ!二体目のインフェルニティ・リローダーでダイレクトアタック、ヘル・スナイプ!!」

 ケタケタと笑いながら、インフェルニティ・リローダーは回る。
 その回転は、どんどん早くなり、
 だが突然、銃口が俺のほうを向いて、止まった。
 次の瞬間、銃弾が、俺の肩を打ち抜いた。遅れて銃声が響く。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

三沢:4300→3400

 どうして俺は、こんなに
 
 弱いんだ。

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■作者からのメッセージ
・無事合格
・無駄な文章表現により再び分割。後編は三日以内。たぶん
・シェラタン守備表示で召喚できるとかマジチート
・全国500名の明日香ファンの皆様(フェルミ推定により算出)、ごめんなさい
テキストサイズ:17k

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