キューティクル探偵因幡〜もう1人の兄弟〜 第3話 (番外編)雅人と凛の出会い…
作者:9452
2013/05/20(月) 00:39公開
ID:b8sl6uVJT82
少年は、1人立っていた。
深い雪に体を埋めて。
____寒い… 体が思い通り動かないや…
少年は、死を覚悟した。
どうせ父親に捨てられた命だ。消えても良いんだ…
少年の意識はドンドン薄れていった。
「ん!」
少年は、目を開ける。
その部屋は、どこかのマンションらしく部屋が明るい。
ガチャ…
ドアが開いた。
少年の視線は、ドアに釘つげになった。
「あっ?起きた?」
緑髪の女の子が洗面器を持って言った。
少年に近付くとマジマジと女の子は少年を見た。
「良かった…」
女の子は、微笑んで言った。
「どうして?」
女の子は少年の体をバシッと叩き言った。
「あんたね…冬の野原に倒れてたんだよ!
もう少しで凍死する所だったんだから!」
少年は、少し反省した。
「ごめんなさい…」
少年は謝る。
「別に、良いんだけど…」
次は少年が女の子の顔をマジマジと見た。
緑髪の女の子は、どこからどう見ても美少女だ。
「あなたの名前は?」
「ボクの名前は、雅人、深江雅人。」
少年は、深江の所で少しためらった。
「私の名前は、凛…」
「名字は?」
少年は首を傾げ、聞いた。
「ないわ…捨てたの…」
凛は、笑って言った。
だけど、その笑みは不安が混ざり合っていた。
「フーン…」
雅人は、軽く応えた。
「それより、あなたもかわいそうね…親に捨てられるなんて…」
少年は、驚いた。
まだ、話していない…
親に捨てられた事なんて…
捨てられて死にかけた…
そして、この子に拾われた。
____別に、ボクはペットじゃないっの…
「あら?拾わなかった方が良かったかしら?」
雅人は、体をギクッとさせた。
「なんで、分かるの?」
凛は、微笑んだ。
「私の能力だから…」
「能力…?」
凛はただ微笑んだ。
何も雅人には、分からない…
だけど、雅人は感ずいた。
____ボクよりずっと…ずっと…辛い経験をしたんだ。
「そうよ…私は、あなたよりずっと…ずっと…辛い経験をしたんだよ…」
辛い経験…
親に捨てられた…
それより辛い経験…
「凛ちゃんは、何歳なんだ?」
雅人は凛に質問をした。
「私?私は、12よ…」
「ボクと一緒だ…」
凛は、うなずいた。
「雅人くんは、お父さんを憎んでる?」
凛の唐突な質問にビックリしたけど、すぐに答えが出た。
「ハッキリ言うけど、憎んでる…」
「そうなんだ…」
凛は、少し残念そうな顔をした。
「どうして?」
逆に雅人が聞き返すと、凛は、言った。
「あなたには、まだ、相手の気持ちが分からないんだなと思ってね…」
____相手の気持ち??
「どういう事?」
雅人は首を傾げて言った。
「あなたが、私をキライになるかもしれないけど、良いか…」
凛は、微笑んで優しい声で言った。
「あなたが、家族を捨てるとしたら、どんなに悩む?」
「スゴく悩む、かな?」
少し目を細めて凛は、言った。
「もし、家族に危険があったらどうする?」
「すぐにでも、家族を自分と離すかな?」
凛は、正解と言うように手をパチパチと叩いた。
「ねえ、お父さんにも、そういう理由があったんだよ…
捨てられるより、スゴく辛いんだよ…
辛くても、頑張らなきゃいけないからね…」
____もしかして…
「凛ちゃんは、家族を捨てたの?」
「そうだよ…私は、兄弟を捨てたの…」
凛の瞳の悲しみの色は、ずっと…ずっと、雅人の瞳の中に宿っていた。
ーーー後編 続くーーー
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