ここは海鳴市にある月海原学園。
そこに衛宮優人は通っていた。
放課後になると、友人の間桐慎二とレオ・ビスタリア・ハーウェイがやって来た。
「よう衛宮! これからレオとT&Hによるけど、一緒に行かないか?」
「T&H?」
「最近出来たゲームセンターですよ。そこでハーウェイ財閥スポンサーの次世代ゲームが一般オープンされるんです」
「その名もブレイブデュエル! ほら、PJでも噂になっているだろ?」
慎二に言われて思い出す。
PJの書き込みによると体感シュミレーションゲームだったと。しかし優人にはそれがどんな物か想像出来なかった。
「まあそうだろうな、僕とレオはロケテスト済みさ、友人のよしみで色々と教えてやるよ」
「そうですね。シンジはこう見てもロケテスト時は全国ランカーですから、かなりの実力ですよ」
「おいおい、いくら本当の事でも照れるだ・・・・・・・・」
「因みに僕は一位ですけどね」
「ぐっ・・・・相変わらず嫌味な奴だな・・・・よーしそれならリベンジしてやるさ!」
「ええ、受けてたちますよ。もっとも結果は見えていますけどね」
「言ったな! 後で吠え面かかせせてやる!」
何やら慎二VSレオという事になってしまった。
そんな二人のやり取りを見ていると、担任の教師兼レオの兄のユリウスがやって来た。
「レオ、今日はバイオリンの稽古の日の筈だが?」
「げっ・・・・兄さん。友情とはかげがえのない物なんですよ」
「そう言って、先週もサボっただろ? あまり奥さまを困らすな」
「はあ、兄さんは頑固物ですね・・・・仕方ありません。今回は諦めましょう。それでは優人さん、シンジ、またの機会に」
そう言ってレオは教室を後にした。
「お前達も、ゲームばかりじゃなく勉強もちゃんとしておけ」
ユリウスもそう告げて教室を出て行ってしまった。
残された慎二と優人は顔を見合わせて。
「ちっ、仕方ないな。リベンジはまた今度にしておいてやるか。そんじゃ行こうぜ衛宮」
「あ、待てよ慎二!」
こうして二人はT&Hに行くのであった。
二人がT&Hに入ると、一人の女性が出迎えてくれた。
「いっらしゃいませーって慎二くん?」
「やあエイミィ。今日はブレイブデュエルが一般解放されるって聞いたから、こいつと一緒に来たのさ」
「そうなんだ・・・・って慎二くんに友達がいたんだ!?」
「驚くところがそこかよ!」
「ごめんごめん、えっと・・・・・・・・」
「衛宮優人です」
「優人くんね。ブレイブデュエルが初めてでしょ? 先ずはパーソナルカードを作らなきゃ」
「パーソナルカード?」
「パーソナルカードっていうのは、ブレイブデュエルの基礎カード。ようはアバターみたいな物さ。これが無いと始まんないから、さっさと作れよ衛宮」
「わ、わかった」
優人は店員のエイミィに教えてもらいながらカードを作った。
「これがパーソナルカード・・・・?」
「どんなカードか見せろよ」
そう言われ衛宮は慎二に自分のカードを見せると、慎二は落胆の表情をした。
「ランクEにクラスはキャスター・・・・って最弱じゃん! 弱すぎるのにも程がある!」
「ランク? クラス?」
「あのね、ランクっていうのはそのカードの性能でね、AからEまであるの。
クラスは言ってみればジョブみたいな物で、基本クラスは七つあるんだ。まあ、中にはこの七つに含まれないエキストラクラスがあるんだけどね。
因みにキャスターはスキルが豊富なクラスなんだけど、真正面からの戦うにはあまり適してない上に魔力以外のステータスはあまり高くないの。だから基本は仲間のサポートかな?」
「因みに、Eランクは一番低いランク。いわば最弱って所だ」
「ははは・・・・つまり俺のアバターはそんなに強くないなのか・・・・」
「まあ、凡人ならそうだろうね。因みに僕のクラスはライダー! しかもB+! 優秀なんだぞ!」
「+?」
「+っていうのは、そのランクより僅かに上で尚且つ上のランクまでに届いていない。慎二くんのカードで言えば、B以上A未満って事」
「ふーむ、なるほど」
「説明はこれくらいさ、後は実際にやってみようぜ。それじゃあなエイミィ」
「じゃーね慎二くん。あんまり初心者をいじめないでね」
説明が終わり、エイミィと別れた白野と慎二は早速ブレイブデュエルを始めるのであった。
二人はそれぞれのカプセルの中に入り、慎二が色々と設定をする。
すると二人は空のど真ん中にいた。
「うわぁ!? 落ち・・・・無い?」
「結構凄いだろ。ここは仮想世界SERI PHANTASM。通称SE.RA.PHって呼ばれているんだ」
その後慎二は優人に一通りの説明をしてゆく。
「―――ってなわけ、取り合えずこれが基本動作さ」
「なるほど。取り合えず慣れるまで練習だな。」
「それがいいな。ともかく―――って、このコール音は!?」
突然鳴り響くコール音。その後の乱入者の表示がされる。
優人は呆気に取られていると、一人の少女が乱入して来た。
「ハハハハッ! 雷刃の襲撃者! レヴィ・ザ・スラッシャー参上!」
「「・・・・・・・・」」
「フフン、僕のカッコイイ登場に恐れをなしたかチンジ!」
「慎二だよ! 何その電子レンジでチンしましたよって名前は!?」
「えっと・・・・慎二の知り合い?」
「ああ、こいつも僕と同じ全国ランカーさ」
「そ、そうなのか・・・・・・・・」
「おいレヴィ! 何で乱入なんかしてくるんだよ! こっちはフリートレーニングモードだぞ!」
「え? 対戦者希望になっているよ?」
「そんな馬鹿な・・・・ほんとうだ。バグか?」
どうやら対戦者希望の設定になっていたらしい、そのせいでレヴィという少女が乱入してきたという。
「まあ、僕としてはどっちでも良いけどね。記録更新の為、チンジには悪いけどやらせて貰うよ!」
「はっ! 返り討ちにしてやるよ!」
慎二はパイレーツ姿となり、クラッシクの銃を二丁取り出し、レヴィに向けて発砲。こうして二人はバトルを始めてしまった。
置いていかれた優人はどうすればいいか分からず、右往左往していると突然鏡が現れた。
【はい、ここからは私TM-01ことタマモが解説させて頂きます♪】
「うわぁ!? 今度はなんだ!?」
【私は貴方様のデバイス、ようは武器みたいな物です。デバイスにはそれぞれのAIが登載されていますので、こうして喋れたりします♪】
その後TM-01ことタマモは優人に丁寧に基本的なルール等を教えてくれた。
【それではご主人様、何か質問ありますか?】
「えっと・・・・特には無いけど、慎二を援護出来ないかな? 若干圧されているみたいだし」
【え〜〜あのワカメを? ご主人様のお願いには応えますが、ぶっちゃけ乗り気じゃないんですよね〜〜〜】
「そこを何とか」
【ふぅ、仕方ありませんね。それでは先ず、リライズアップをしてください】
「わかった。リライズアップ!」
カードをホルダーにセットすると、優人の姿が変わりまるで平安京の陰陽師のような姿であった。
【流石ご主人様! イ・ケ・メ・ン! けどまあ、安倍コスチュームなのは気に食わないけど・・・・・・・・】
「それよりタマモ、どうすれば良い?」
【えっとですね、相手はランサークラスなので真正面から攻撃してもかわされるだけです。ですから――――】
慎二とレヴィのバトルはレヴィの方が優勢であった。
レヴィは慎二の攻撃を自慢のスピードでスイスイとかわしてゆく。
「くそっ! ちょこまかと・・・・」
「ヘッヘン! 当たらないよ〜〜」
「この!」
レヴィの挑発にのせられてしまい、慎二はがむしゃらに撃つ。
しかしそれらを全てかわされてしまった。
「よーし、今度はこっちから・・・・ん?」
レヴィの目の前に一枚のお札がヒラリと舞い、突然爆発した。
「のわー!? 一体何―――」
レヴィの言葉は続かなかった。今度は背後、次は側面と次々と爆発が起きていた。
「いたた・・・・何なんだよも〜〜・・・・これは!?」
そこでレヴィは気づく、自分の周囲に大量の札が配置されていた事を。
【炎天瀑符の結界。これであちらの動きは封じました。後はお好きにどうぞ】
「慎二!」
「でかした衛宮! くらえカルバリン砲!」
「そんな〜〜〜!?」
慎二は空間から砲台を出現させ、レヴィに目掛けて砲撃を放つ。それは直撃し、レヴィを撃墜した。
こうしてバトルは優人と慎二の勝利に終わった。
「くそ〜〜! 次はこうはいかないんだぞ! そこのお前!・・・・え〜〜と」
「衛宮優人」
「ゆうとんだな! 次はチンジもろともやっつけてやるから覚えていろ!」
そう捨て台詞を吐き、レヴィはその場を去って行った。
始めてのデュエルが終わり、カプセルから出ると上機嫌な慎二が出迎えてくれた。
「いや〜流石僕の友人だ。初のデュエルで僕と連携出来るなんて、案外衛宮ってそういう才能があるんだな」
「今回は偶々だよ」
「謙遜するなよ。大抵の初心者ってのは足を引っ張る奴が多いけど、今回のフォローはナイスさ。
さて、今日はレヴィを倒した祝いだ! フードコートに行こうぜ! 奢ってやるよ」
「おっ、太っ腹だな慎二。それだけあの子に勝てたのが嬉しいかったのか?」
「それもあるけど、さっきのバトルで僕のランキングが上がったのさ、まだまだレオに届かないが、いずれは――――」
その後も、慎二の目標を聞きながら二人はT&H内にあるフードコートに向かった。
その途中、三人の小学生とすれ違うが、優人はそれを気にも止めなかった。
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人物紹介
衛宮優人
本作の主人公、義兄の衛宮士郎と二人暮らしをしている。
ブレイブデュエルの初心者だが、サポート能力に類い希な才能を秘めている。
カードクラスはキャスター。デバイス名はタマモ。
間桐慎二
衛宮優人の友人でブレイブデュエルの全国ランカーである。
かなりのゲーマーで、ゲームに関してはかなりの知識と腕を持っている。
カードクラスはライダー。デバイス名はエル・ドラゴ
レオナルド・ビスタリア・ハーウェイ
衛宮優人の友人で、ハーウェイ財団の跡取りである。
父親の仕事の都合で月海原学園に転入。その後様々な出来事を経て、優人と慎二の友人となった。
ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ
レオの兄で、優人達の担任。
主にレオのお目付け役だが、遊び好きの彼に毎度手を焼かされている。
独自設定
ランク
基本はEからAまでの五ランク設定。中には+やEXが含まれている。
クラス
セイバー
攻守共に優れており、ステータス的にも初心者に扱いやすい。
しかし、遠距離攻撃が殆ど無く、接近戦が基本スタイルである。
ランサー
七クラス中最速を誇るクラス。
しかし、若干防御力が低いのがたまに傷。
アーチャー
近距離から遠距離まで幅広く使えるオールラウンダー。
ステータスも平均的で、セイバー程では無いが扱いやすいクラスである。
ライダー
他のクラスと違い、乗り物を召喚出来る。
その反面、若干燃費の悪さと基本ステータスが若干低い。
バーサーカー
全クラストップの攻撃力と耐久力を備わっている。
全体的なステータスは高めだが、スピードは全クラス中最下位。
アサシン
敏捷以外のステータスは低めになっているが、固有スキル気配遮断を有しており、隠密に向いている。
更に使い手によっては、セイバークラス相手にも引けを取らないと、完全上級者向けである。
キャスター
魔力以外のステータスは低く、打たれ弱い為あまり初心者向けとはいえない。
その反面、スキルの数は全クラス中トップで、プレイヤーによっては化ける。
エクストラ
上記の七クラスに含まれないレアクラス。
詳細は不明。