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遊戯王GX 正直者の革命 第三十二話 宝 (金銀財宝投げ捨てて女の子を助けられるような主人公ってバカかもしれないけどかっこいいよね)
作者:レプラ◆23VAxH8p.bY   2013/06/23(日) 23:23公開   ID:BrBj.1iOdwk
「ネクロフェイスで、E・HERO Theシャイニングに攻撃、エターナル・オストラサイズ!!!!!」

「「十代!!」」
「アニキ!」

 闇が、十代を取り込んでしまおうと、襲い掛かる。

「うぉぉぉぉぉおおおおおっ!!!!
 俺は、速攻魔法 月の書を発動!モンスター一体を、裏守備表示に変更する。俺は、ネクロフェイスを裏守備表示に変更!!」

「なんだと!?」

 月の書!そんなピンポイントなカードを、ここまで残していたは!
 黄金のホムンクルスは、除外されているカードの枚数で攻撃力と守備力が決まるから、裏側守備表示にしたところで、高攻撃力・高守備力のモンスターだから、こちらから攻撃することは難しかった。
 だが、ネクロフェイスは違う。裏側守備表示にされれば、情報はすべてリセット。反転召喚では効果が発動しないため、あっけなく、攻/守:1200/1800というごく普通のモンスターに変わってしまった!!

「すごいよ、アニキ!」

「へへーん、どうだ!」

「くっ、ネクロフェイスに装備されていたビッグバン・シュートは破壊され、カオス・ディスティルの効果で除外される。
 ビッグバン・シュートが破壊された時、装備モンスターはゲームから除外される。
 しかし、裏側守備表示となったネクロフェイスは既に装備モンスターではないため、除外はされない。
 黄金のホムンクルスの攻撃力は、除外カードが増えたことにより、さらに上昇し、3000ポイントとなる」

 今、十代の場にいるのは守備モンスターのみ。攻撃力が上がっても、何の意味もない。
 そして、アムナエルが攻撃するモンスターは決まっている。
 
「私は黄金のホムンクルスで、E・HERO The シャイニングに攻撃!」

 当然、自身の効果により、攻撃力が上昇しうるThe シャイニング。
 ネクロフェイスを先に他のモンスターで戦闘破壊すれば、攻撃力はそれなりに高くなるだろう。
 しかし、それこそが、The シャイニングの破壊こそが、十代の狙い!!

「よっし!俺は、墓地へ送られたThe シャイニングの効果を発動!」

「なんだと!?」

「The シャイニングがフィールド上から墓地へ送られた時、ゲームから除外されているE・HEROを二体まで、手札に加える事ができる。
 俺はこの効果で、ネクロフェイスの効果で除外されたE・HERO フェザーマンと、E・HERO ネクロダークマンを手札に加える」

「なるほど、それが狙いだったのか。
 だが、残念だったなー、十代。お前はおそらくエアーマンを回収するつもりだったのだろうが、私のネクロフェイスのせいで、お前が回収できたのは、低攻撃力のモンスターだけになってしまった」

 その通りだ。
 ここでエアーマンを回収できれば、次のターン、カオス・ディスティルを破壊することができた。
 既にアムナエルの手札は0枚。破壊できていたら、一気に有利になっていただろう。

「私はこれで、ターンエンドだ。
 ワームホールの効果で除外されていたのは、異次元の偵察機だ。
 このカードはゲームから除外された場合、エンドフェイズ時に表側攻撃表示で特殊召喚される」

 よし、これで黄金のホムンクルスの攻撃力は2700になった。Great TORNADOでも破壊できる!
 けれど
 十代は、すぐには自分のターンを始めようとはしない。沈黙が訪れる。
 そして、俺たちがその沈黙に耐えかねて、しびれを切らして声をかけようとした時、やっと十代は、口を開いた。

「........................なあ、先生、先生言ったよな、低攻撃力のモンスターって」

「ああ。それがどうした?」

「でも、こうも言ったよな。『凡庸な攻撃力のモンスターをより強化させる融合と、錬金術はおなじなのだ』とも」
 
「!! まさか!」

「俺の手札には、今、融合はない。でもさ、本当に最強の錬金術師なら、引けるはずだよな。どう思う、大徳寺先生?」

「.................クククッ」

 アムナエルは――――――――いや、大徳寺先生は、笑った。とてもとても、嬉しそうに、笑った。

「君ならばできるさ。絶対に」

「そっか。行くぜ、先生。俺のターン、ドロー!」

 気負いなく、だが気合を込めて、十代はカードを引いた。

「どうだ?十代、融合は引けたか?」

「いや、だめだった。











 でも、俺には仲間がいる!この一年で出会った、強い仲間が。頼りになる仲間が。いつも一緒にいてくれる、仲間が!」

「そうだ、その通りだ十代!錬金術とは、全てを金に変えることでも、不老不死の秘薬を作り出すことでもない。そんなものは、表面だけの現象に過ぎない!
 錬金術の本質とは..................」

「「仲間を作ること!!」」

 二人は、このデュエルで何かを伝えあっていたのだろうか。俺たちには分からない、何かを。
 それは少々、捻くれた伝え方だったかもしれない。分かりにくい伝え方だったかもしれない。
 けれども、大徳寺先生の言葉は、確かに十代の心に強く響き、二人は、今、通じ合った!

「かかって来い、十代!そしてお前の、錬金術を見せてくれ!」

「ああ。しっかり見ててくれ、先生!これが、今の俺にできる、最高の錬金術だ!
 俺は手札から、沼地の魔神王の効果を発動!このカードを墓地へ捨てることで、デッキから、融合を手札に加える!!
 魔法マジックカード 融合を発動!俺は、手札のE・HERO フェザーマン、E・HERO ネクロダークマン、そして、場のE・HERO Great TORNADOを融合!!」

「三体のモンスターで融合!?しかも、この組み合わせは!?」

「こんなの、見たことないっす............!」

 見たことがない。そう、見たことがないのだ。こんな組み合わせでの融合なんて、普通はあり得ない。

「こいつを使うの、実は初めてなんだよなー。ワクワクするぜ!
 俺は、三体の『HERO』を融合!
 現れろ、ヴィジョン・HERO トリニティー!!!」

 トリニティー、つまりは、三位一体のHERO。三体のHEROで融合召喚できる、最高のHEROと言えよう。

「HEROがHEROを呼び、サポートカードがHEROを呼び、融合を呼び、そしてその融合が、HEROをさらなる高みに進化させる!これが俺のHEROデッキだ!!
 ヴィジョン・HERO トリニティーの攻撃力は、2500。
 だが、このモンスターは融合召喚に成功したターン、攻撃力は元々の攻撃力の倍となる!」

「くっ、攻撃力5000か。なるほど、確かに強力なモンスターだ。 
 しかし、それだけでは、私は倒せない」

「そうだな。でも、それだけじゃないんだぜ。
 トリニティーは、ダイレクトアタックできない代わりに、一度のバトルフェイズ中に三回の攻撃ができるんだぜ!」

「!!!!」

 異次元の偵察機が800、黄金のホムンクルスが2700。そしてトリニティーは5000×2。これだけで、6500のダメージを与えることが可能。しかもネクロフェイスも倒せる。つまり、アムナエルの場は壊滅する!

「でも、アムナエルのライフは11200。倒すにはまだ足りないんだな!」

「へへ、これならどうだ?
 俺は手札から、魔法マジックカード H−ヒートハートを発動!」

「こ、ここに来て、貫通効果だと!?」

「そうさ。H−ヒートハートの効果で、トリニティーの攻撃力は、エンドフェイズまで500ポイントアップし、さらに、貫通効果を得る!」

 ネクロフェイスの守備力は1800。
 そして、5500×3−(2700+800+1800)=11200!!

「いっけー、ヴィジョン・HERO トリニティー、黄金のホムンクルス、異次元の偵察機、裏守備表示のネクロフェイスに攻撃、バーニング・トリニティー・クラッシュ!!!!!」

「ぐっ、ぐぁっ、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

アムナエル:11200→0(0)


                 ◇




「「「「大徳寺先生!!!!」」」」

『にゃーーお』
 
 衝撃に倒れた先生に、俺たちは駆け寄った。

「大丈夫か、大徳寺先生!」

「フフフ、見事だったよ、十代。見事な、錬金術だった。最終試験は合格だ。
 君が気付いたとおり、錬金術の真意は、人の心をより高貴で純粋なものに変えることなのだ」

 先生の顔が、口を開くたびに、パラパラと欠けて、はがれていく。

「これで私の目的は達した。私の研究を支えてくれた人物は、強大な力を手に入れようとし、その心をいつの間にか曇らせてしまった。
 十代、いずれこの島には、さらなる災いが起きる。私には、その災いに対抗できる人材を、育てる必要があった」

「先生、もうしゃべるな!先生!」

 大徳寺先生を除く全員が、泣いていた。ファラオでさえも、泣いているかのようだった。それでも、先生は笑顔で十代を見つめたまま、話を続ける。

「これを受け取れ」

「これは、エメラルドタブレット?」

「そう。最高の錬金術師が持つべき、究極のアイテムだ」

 手渡すと同時に、先生の腕は砕けた。地面に落ち、修復できないほどに、バラバラに砕け散る。

「十代、大いなる災いを防げるのは、君、だけ、だ............」

 そして彼は、俺たちの前で、最後まで笑って、死んでいった。
 ただの砂となって、死んでしまった。

「楽しいデュエルだったぜ、先生」



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■作者からのメッセージ
次の影丸戦はできるだけ早く書いてしまいたいところです。が、正直、熱いバトルを書ける見込みはありません(いつも以上に)。もう、カイザー卒業デュエルまですっ飛ばしませんか?そっちはなぜか構成自体はできているので、そんなに時間はかからないと思うのですが............そうですよねー。だめですよねー。今回のように話自体が短くならないように、頑張ります。
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