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ONE PIECE ONLINE 第1話 「プロローグと冒険の始まり」
作者:波良田瑛太   2013/01/21(月) 17:54公開   ID:ic3DEXrcaRw


その日は、朝から天気が悪かった。
空には、地上を覆うように、どんよりとした雲が広がっていた。
しかし、そんな天気とは、裏腹に俺の心は、雲一つない快晴だった。


「ククク。ついに、ついに!! 手に入れた!! 《OPO》!! ああァ、早くやりてェ!!」


フフフーン、と鼻歌まで歌ってしまうほどに。
空の下で、人前で、思わず叫んでしまうほどに。
気分が高ぶっていた。
理由は、《OPO》を手に入れたこと。

《OPO》とは、《ONE PIECE ONLINE》の略。
今、最もホットなゲーム、VRMMORPGの一つ。
ONE PIECEの世界を、“仮想現実”で、味わえるということで、この企画が発足した当時から、全国のネットゲーマーや、オタク、ONE PIECE信者たちが、このゲームの完成、発売を、今か今かと、心待ちにしていた。
かくゆう俺も、その一人だ。

そんなわけで、一刻も早くゲームがしたいので、走って帰ろうかなと、考えた瞬間。
ポツッ、ポツッ、と空から雨が降ってきた。
思わず、空を見上げる。


「・・・マジでか。ま、確かに天気悪いとは思ってたけど、」


今じゃなくてもよくね? と、心の中で呟きながら、お天道様への恨みを募らせる。
とりあえず、俺は、ゲームが濡れないように、腹に抱える。
その時、
ゴロゴロゴロォォォオオオオオオオッッ!!!
と、雷が鳴った。


「・・・・・・神鳴りまでぇ? ちきしょー、神様、いつか殺す」


出来るとは思ってもいないが、そんな風に呟きたくなった。
そして、極力ゲームに雨が当たらぬように、家まで突っ走って行った。



―――――――



《ONE PIECE ONLINE》。
これは、大人気漫画ONE PIECEのゲームである。
ONE PIECEのゲームというと、
ディア〜マイエンジェル、ナミすぅぁ〜ん!! とか、
ロビン姉さま、踏んでください。ハァハァ・・・とか、
ハンコック様、結婚しましょう! などを想像するかもしれないが。(え? しない?)
このゲームに、原作のキャラクターは出てこない。
だが、落胆することはない。
かわりに、原作の技が使えるようになるスキル、“ユニークスキル”が、存在する。
個人的には、こちらの方が嬉しいね。
何故かって?
決まっているだろうが、
スケスケの実の力。
この力、男に生まれたからには、試さずにはいられないだろう?
グヘヘ・・・
もちろん、原作技以外にも、“ユニークスキル”は存在するので、《OPO》はすべてのプレイヤーが、“ユニークスキル”を手に入れることになるだろう、と言われている。


「ただいま」


家に着き、挨拶をするが、返事は帰ってこない。
どうやら、母さんたちは、仕事に出かけているようだ。
これなら思いっきりゲームができる。
中に入り、濡れてしまった体をタオルで拭きながら、ゲームの様子を見る。
ふむ、濡れてない。


「・・・・・・よかった」


次に中、
箱から取り出し、ソフトを取り出すが、濡れている様子ではない。


「ふぃ〜、危なかったぜー」


安堵のため息をつき、もう一度箱の中を探る。
すると、何かが入っている。
なんだ?
取り出すとそれは、一枚のカードだった。

『おめでとうございます。あなたは、一千人限定の、豪華アイテムが当たりました。
 下記のコードを、キャラクター設定の後に「ステータス」→「設定」→「シークレットコード」から、ご入力ください。
    Selected hero
限定アイテムは、しかるべき時が来れば、自動でその能力を発動しますので、それまで大切に持っていてください。
                            制作会社 「俺、天丼。」  』

カードの内容は、こんな感じだ。
“Selected hero”
訳すと、“選ばれた、英雄”
このフレーズが、妙に引っかかる。
特に、“hero”
この“hero”って、“H”と、“ERO”に分けることができるんだよね。
これじゃ、ただの変態じゃん。
変態を極めると、英雄になるのだろうか?
「英雄、色を好む」っていうけど、案外ホントかもね。
まぁ、何はともあれ、


「よっしゃァァああああああああああああ!!!」


なにこれ? 超ラッキー!
気分が上がる。
ハイ・テンション!
机の上にある「インドルメン」を、ひったくる。
一回深呼吸。
ソフトを「インドルメン」にセットし、頭にかぶる。
電源を入れ、ベッドに横になる。
また、息が荒くなってきた。
そして、息が整わないまま、少々興奮気味に言った。


「ゲーム・スタート」



―――――――



真っ白な世界。
見渡す限り、白。
真っ暗な世界が、“絶望”を表すなら、真っ白な世界は、何を表すのだろう?
など考えていると、


「ようこそ。《ONE PIECE ONLINE》へ」


女性の声が聞こえた。
この声、先輩の声に少し似ている。


「まずは、キャラクターネームを、登録してください」


ふむ。
セクハラしようかな。
あの先輩可愛いから、言わせたい言葉とかあったんだよね。
上手くいけば、名前の確認とかで、言わせることができるかもしれない。
だが、まてよ。
そのあとはどうなる?
そんな18禁な名前の男の、二つ名はどうなる?


“性欲の塊”とか?


嫌だな、それは。
けどよ。
さっき誓ったじゃないか。
“英雄”になるって。
その時、ある言葉が頭に浮かんだ。


“股の間で育った男”
略して、
“マ・ダ・オ”


やっぱやめよう。
“英雄”とか、誓ってないし。
普通に本名、もじればいいか。


「ええっと。・・・・・・Shiigu(シイグ)、と」


あれ?
まだ名乗ってなかったか。
俺の名前は、緇衣紅蓮(しいぐれん)。
年は16で、高校一年。
よろしく。


「続いて、性別・種族・スタート地点を設定してください」


名も知らぬ女性は、抑揚のない声で、淡々を進める。


「性別は、男。種族は、・・・うわっ多っ!! 迷うなァ・・・」


種族は全部で、十種類あった。
人間・・・何でもオールマイティにこなす。悪く言えば、器用貧乏。
魚人・・・人間の、数十倍の腕力を持つ。僕は嫌いです。
人魚・・・人間の、数百倍の美しさを持つ。水中での戦闘力は、ピカ一。
     まるで芸術品のように整った、その肢体。出るべきところは出た、凹凸のある身体。足はキラキラと光る鱗でおおわれた、尾ひれ。その尾ひれでさえ・・・・
巨人・・・とてもデカい。腕力は、魚人の数百倍。
小人・・・とても小さい。素早さは、人間の数十倍。
手長・・・手が長い。手の関節が二個。面白人間。
足長・・・足が長い。足の関節が二個。面白人間。
蛇首・・・首が長い。首の長さが二倍。面白人間。
シャンディア・・・空の民。背中に、小さな羽が生えている。空の武器を扱える。
ミンク・・・色々すごいよ。

なにこれ?
製作者の私的感情が、入り乱れてんじゃん。
人魚への愛が、すごいよ。
巨人からのテキトーさが、すごいよ。
人魚で疲れてんじゃん。
魚人が嫌いって、どうでもいいよ。
俺は好きだよ。
そんなこんなで、俺は人間にした。


「次は、スタート地点。つまり、どこの海出身かということか・・・」
当然東(イースト)以外。
なんか東には、「海賊王に、おれはなる!」的なノリの奴が、多そうじゃん?
皆必死で、“ゴムゴムの実”探してるよ。多分。
う〜〜〜ん。
北(ノース)だ。
俺、ノーランドとカルガラの話好きなんだよね。
ノーランドの故郷を見るために。


「最後に、顔と体格を設定してください」


なるほどね。


・・・・・・よし、できた。
髪は濃い藍色で、オールバック。
顔は、ほら、あれだよ。イケで始まって、メンで終わるあれ。
肉体は、程よく引き締まった感じ。
全体的に、ミホーク意識してみた。
カッコいいじゃん? ミホーク。


「以上で、キャラクター登録は、終わりです」


これで、この女性とも、お別れか。
名前ぐらい聞いとけばよかったかな?


「それでは、行ってらっしゃいませ」


“英雄”に、なればよかったかな?




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■作者からのメッセージ
2013年7月8日 改訂

はじめまして、波良田瑛太です。
処女作なので、駄文かもしれませんが、勘弁してください・・・。
不定期更新ですが、頑張っていきたいと思ってますのでまた見て下さい。
テキストサイズ:6154

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