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俺の片目は戦争兵器 正義と羞恥心
作者:青木   2016/02/04(木) 17:34公開   ID:aD/bcO1hwWA
 二日目、季節は春だが俺の仕事は春ではなかった。     
 前日よりはましだが相変わらず吐き気がする。      
 「宅配便でーす」        
 「今、行きます」        
 知り合いに会うのが怖い。       
 「毎度ありがとうございます」        
 早く終わってくれ。一生独身でいいから。     
 あの業者微笑してたよな。あー汚れたパンツを全校生徒に見せるくらい恥辱だ。   
 「いい子にしてないとどうなるかわかってんだろうな」      
 どこからだ?          
 「やめてください・・・・・・私の」      
 「うるせぇ」          
 あいつらか。         
 その不良らしき男は女の子を蹴飛ばした。それも全力で。       
 見てるだけで腹立たしい。       
 反射的だが騒ぎの方向に進んでいた。     
 「やめろ! お前ら」      
 「あん? なんだてめぇ」        
 なんでこんな正義らしいことをしているんだろう。      
 「何も無いけど反射的にね」       
 なぜか不良みたいな奴は涙目になっていた。      
 「お前、なんだその格好ちょーウケル」       
 しまった。こんな格好じゃ正義とか何もねぇ。ただの変質者だ。       
 「こんなやつが出てくるとは世の中は腐っちまったのか」      
 金髪の奴はまだ大爆笑している。         
 「腐ってるのはお前らだよ」       
 「あん? なに言ってんだ」       
 俺は眼帯を外した。       
 「お前ただの中二・・・・・・」      
 俺は右目から不良一人の髪にめがけてビームを放った。     
 「はげたぞ! 何やりやがった」      
 「何って? ビーム出したんだよ」       
 不良たちは口をあんぐりと開けて驚いている。      
 「ひ、ひるむな! ビームなんてありえねぇ」       
 もう一発、地面めがけて放ってやった。      
 「こ、こいつ・・・・・・お前ら行こうぜ」      
 不良たちは路地裏から走って逃げていった。     
 「ありがとうございます」         
 「これくらい当たり前だよ」       
 俺って、こんなことするような人間だったか?      
 「これ宝物なんです」      
 まぁそんなこと考えても仕方ないよな。      
 「なんでお兄さんそんな格好してるんですか?」      
 痛いとこ突かれた。       
 「バイトだよバイト」      
 「趣味なんですか」       
 人の話聞いてた?        
 「蝉島さん、いつまでこんなとこに」      
 「今、行きます」        
 「返事が早いわね」       
 磯山さんは店に戻っていった。        
 「気をつけろよ、これからは」       
 「待ってください」           
 俺のスカートを引っ張ってきた。       
 「なんだ?」          
 女の子はうつむいたまま何も言わない。      
 「一人なのか?」        
 女の子はコクリとうなずいた。        
 「あと・・・・・・お礼もしたいですしお兄さんをもっと見ていたいなって」  
 「なら、そこの店に入ってれば安全だし俺もそこでバイトしてるからさ」      
 女の子はまたコクリとうなずいた。       
 「どうしたのその子」
 「磯山さん、この子俺を見ていたいと言うんですけど、どうしましょう?」
 「もう帰っていいわよ」     
 思っても見なかった、発言だ。      
 「ただし、その子をきちんと家に帰してね」      
 この人って何げに優しいのかな?       
 「バイト台は、明日に二日分渡すから」      
 「ありがとうございます」       
 俺は急いで更衣室で着替えて女の子を家に帰すことにした。     
 「君、名前は何て言うの」    
 「かどうでら みことって言うんだよ」       
 「家どこか分かる?」      
 みことは天を見て考え始めた。      
 「う〜ん・・・・・・どうなんだろ」       
 俺が知るかよ。         
 「ちょっと待ってろ」      
 俺はポケットから携帯を取り出した。       
 『どうしたの菊?』      
 『顔の広いお前に聞きたいんだけど』      
 『顔広くないわよバーカ!』        
 明夏に電話を切られた。     
 あと一人、当てになるのは。       
 『なんだね蝉島くん』      
 『かどうでらって知ってる?』      
 『・・・・・・蝉島くん、なぜその名前を?』      
 『今、俺と一緒にいる女の子がさー』      
 『やめとくんだ、関わらない方が良いよ』      
 『なんでだ・・・・・・』          
 「大丈夫ですか! お兄さん!」       
 

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