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俺の片目は戦争兵器 眼帯の者たち
作者:青木   2016/03/13(日) 08:58公開   ID:aD/bcO1hwWA
 授業を済ませたこの時間。すぐに帰宅する人、寄り道をしていく人、部活をしていく人さまざまだ。     
 俺はすぐに帰宅する派だ。しかし、たまに寄り道もするが。     
 今日の俺は名前も知らない少女と行動を共にしている。     
 その少女は、紫色の髪を首下まで垂らし、その髪はとてもしなやかそうだった。   
 そして、男の視線を奪うその印象はまさに女の宝だ。      
 スカートから出ている細くて折れそうな足は、少し白っぽく一歩踏み出す度にふくらはぎが揺れる。     
 「なんですかジロジロこっち見て」     
 しまった。ばれてたか。正直に言った方がいいだろう。      
 「いやーその、かわいいなって」       
 「誉めてるんですか、それ? スカートの中を見ておいてまだ足りないんですか?」
 「すいませんでした」       
 そして、なぜか俺はファミレスに連れていかれた。      
 「座って」           
 俺は言われた通りそこに座る。その位置は店内左隅のテーブルに、俺の前に少女が座っている。
 「まずは自己紹介からね、私は遠市 成(とおいち なり)三年一組」      
 「俺は蝉島 菊二年三組」      
 何回見てもかわいい。左目だけだが垂れがちの目も大きくて吸い込まれそうだ。 
 「本題に入ります、あなたと私は同じように右目が改造されています」       
 遠市さんは小声で周りに聞こえないように話し始める。      
 遠市さんテーブルに両手を乗せは身を乗り出し、顔を俺に近づける。やめてくれ近すぎて緊張する。     
 「近いです、遠市さん」     
 「だから共感できると思うんだけど」      
 人の話は耳に入らず淡々としゃべり続ける。     
 この人は話していると顔をどんどん前に出してしまうようだ。     
 「近い、近い、近い」      
 「あ・・・・・・ごめんね」       
 やっと気がついたよこの人。       
 店内に人が少なかったからよかったものの同じ学校の生徒がいたら大変なことになっていただろう。     
 「共感できるでしょ、ねねね」       
 なぜか遠市さんキャラが変わっているような?
 「そういえば遠市さんは、いつ改造されたの?」      
 「・・・・・・あぁ、春休みの初日かな」      
 「俺と一緒だ」         
 まさか同じ日に二件ということか。でもどうやって?        
 「朝、起きたらこんなことに」       
 「俺も朝、起きたらこうなってた」       
 何かある。大きな何かが。             
 「何かありそうだよね」     
 「俺もそう考えてる」      
 しかし、その何かに関する情報が何一つないので行動することが出来ない。     
 そういえば俺何も注文してなかった。     
 「遠市さん何か注文しましたか」      
 「え、何?」          
 遠市さんはナポリタンを食べていた。いつの間に注文してたんだ。       
 「おごってあげようか」     
 「いいですよ、男が女に奢らせるのは男女方程式に反するって幼馴染みによく言われてましたから」     
 遠市さんは少し首をかしげて不思議そうな顔で見つめてくる。     
 その仕草だけでも十分かわいい。      
 「俺、帰ります」        
 「行っちゃうの食べてきなよ」        
 「家に賞味期限が近い弁当がありますから」      
 俺はそう言ってファミレスを出て遠市さんと別れた。      
 そして俺は玄関に着いた。     
 「腹減ったな」         
 俺は玄関の鍵を開け中に入る。      
 冷蔵庫へ直行。         
 冷蔵庫からひとつ弁当を取り出す。割引の弁当なので余計に賞味期限が近いのだ。  
 俺はその部屋にあるちゃぶだいで食べることにした。      
 テレビを点ける。ニュースがやっていた。      
 「カーテン閉めないと」     
 俺はカーテンを閉め部屋の電気を点ける。      
 (速報です。愛知県豊田市でトヨタ自動車の工場を誰かが侵入し、作業員、職員を人質に取り引き込もっています。侵入者の特徴は眼帯をはめている十代から二十代だそうです。その侵入者はビームらしき光線を放つようです。豊田市から中継でした)
 俺は速報を聞いて、家を飛び出した。

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