俺の片目は戦争兵器 一人の女の子
作者:青木
2016/03/19(土) 14:34公開
ID:aD/bcO1hwWA
世の中には自分の才能や特技を平和や人助けに使う人。または煩悩などに使う人。この二つが主流である。
俺は人助けのために力を利用する。
俺は今、道路のガードレールより外側を疾走している。なぜかと言うとニュースの速報を耳に入れたからだろう。
速報の内容が工場に眼帯を装着した不審人物が現れたという、一般人から聞いたらごくありきたりな事件かもしれない。しかし、俺もその人物と高確率で同様な扱いをされる人間なのだ。
「ハァハァやっと・・・・・・着いた」
俺は目的の場所にたどり着いた。目的の場所とはファミレスだ。
俺が入り口に立つとドアは自動で開く。俺はすぐに辺りを見回した。
確か左隅のテーブルに座っているはずだ。
しかし、そこには成さんの姿はなかった。
「遅かったか・・・・・・・ハァーア」
俺はファミレスを後にした。
街は電灯が点き始め人が増えてくる。
そんな夜の街を一人で歩く。何かさみしいのはなぜだろうか。
俺は来た道をそのまま辿っていく。
街を抜けて少し歩くと俺の自宅はある。そこは閑静な住宅街で近所には老若男女の人々が住んでいる。
治安もほどよく、ご近所付き合いもなかなかだ。
両親は共働きで同じ会社に勤めている。海外にもチェーン店を出すほどの会社で、両親はもうじきオープンする海外のチェーン店に指導に行っているのだ。
だから家は俺一人。
道端に落ちている石ころを蹴ってみる。石ころはただ転がるだけだ。
やっと自宅に着いた。腹減ったから何か食べようかな。
「蝉島さん」
どこかで聞いたことあるような気がする。気のせいかな。
声に見向きもせずドアノブに手を掛ける。
「無視しないでくださいよー」
やはり聞いたことある声だ。後ろから聞こえるので振り返る。
そこには久堂寺 未琴が立ち尽くしていた。
「なんだ、未琴か」
なぜか未琴は頬を膨らませている。
「なんで無視するんですかー」
特に理由はないのだが。
「聞いてますかー」
「ごめんごめん」
またも未琴は頬を膨らます。これが結構可愛いのだ。
「どうしたんだ、こんなとこ来て」
未琴は少し固まったが口を開いた。
「何か理由がないとダメですか」
未琴か唇を尖らせて答える。
「まぁいいんだけどさ」
なぜか今日の未琴は庶民が着るような平凡なチェックの服にふわりとしたミニスカートという下半身だけ寒そうな服装をしている。
そして綺麗でしなやかそうな金髪のストレート。
「一人か未琴」
「そうですけど」
少しだけ未琴の顔が驚いたように感じた。
「中、入るか」
「いいんですか」
一瞬、待ってましたと言わんばかりの晴れ顔をしたが表情を元に戻し、平然を装っている。
「私を誘ってるんですか」
「そういう訳じゃないけど、ただ女の子を一人外に出歩かせたら危ないかなと思って」
未琴はその軽そうな体で少し跳ねながら三段しかない石段を登る。
口元も少し緩んでいる。
「お前なんだか嬉しそうだな」
「嬉しくなんてありませんよ、これっぽっちもね」
顔に全部出てるぞなんて言える訳がなかった。
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