前回、ディケイドという仮面ライダーがホワイトレジスタンスに入ったという衝撃的なことが起きて以来……
エターナル「…エ、エスト?」
エスト「……」
エストの機嫌は悪くなっていた。簡単に言えばディケイドの仲間入りに不満を抱いているのだ。
ウィスパー「あの、そんなご不満にならなくても……」
ジバニャン「ウィスパー、ここはほっとくニャン!」
ウィスパー「え、ええ…(エストくん、ディケイドさんに酷いこと言われた影響なのでしょうか?)」
二匹もさすがに対処出来ないだろう。すると、ブリーティングルームにディケイドが顔を出した。
ディケイド「…おはようございます」
エターナル「あら、早かったわね」
ウィスパー「あ〜、ほら。エストくんも…」
エスト「…やだ」
エストはそっぽを向いてウィスパーの言葉を否定した。
ディケイド「おうおう、お前も早く来たんだな」
と、ディケイドはエストの肩をポンと叩いた。
エスト「ひっ!」
ディケイド「驚かせてすまんな、バカ星」
ディケイドはエストのことを『バカ星』と言った途端、エストは顔を真っ赤にしてディケイドの方に振り向いた。
エスト「誰がバカ星ですかっ!!このあんぽんたん!!」
ディケイド「お前の方だろ、このドジでのろまの役立たずが」
エスト「なんだよ!!この一生結婚できない独身め!!」
ディケイド「…独身!?」
すると、ディケイドの反応が少し変わった。
ウィスパー「あ、あれ?独身って言葉に弱いんでしょうか?」
ジバニャン「違うニャン。独身が嫌なんだニャン。ほら、ボー坊がソーセージって言われたみたいに……」
ディケイド「おい、お前…今なんて言った」
ジバニャン「え!?えっと…独身っていう言葉が嫌いなんだニャン!?」
エスト「そうだよ!独身が嫌だから戸惑ったんでしょ!!」
ディケイド「そうじゃない…、だが俺にもう二度と独身っていう言葉は言うな!絶対にだ!!」
と、ディケイドはすぐブリーティングルームから去っていった。
ウィスパー「あの、二人とも言い過ぎじゃないですか?」
エターナル「そうよ。特にエストは酷いと思うわ……」
エスト「ふんっ!あんなやつ関係ないですもん!!」
自分はディケイドなんか関係ないと思うエスト。一方、ディケイドは……
ディケイド「……」
廊下であるものを見つめていた。それは、意外にも家族写真だった。
ディケイド「想磨……」
ディケイドは自分の隣に写ってる少年、想磨の名前を静かに呟いた。
土曜日。エストにとって楽しくて大変な日である。
エスト「よーし、弁当屋のバイト頑張るぞー!!」
彼にとって土曜日はバイトの日であると決めている。なぜなら、ホワイトレジスタンスの給料はあまり高くはなく、生活費には少し足りない。なのでエストはバイトをして金を稼いでいるのだ。
ウィスパー「アルバイトですか…。お金を更にもらうってことですね!」
ジバニャン「ねえ、オレっちたちは何をすればいいニャン?」
何をすればいいかとジバニャンはエストに尋ねる。エストがアルバイトをしている間、二匹はアパートを出るわけにはいかない。そう聞かれたエストは顎に手を添え、こう答えた。
エスト「うーん…じゃあ留守番頼める?あと、おつかいもしてくれないかな?バイトしている間はスーパー行ってる暇もないし……」
ウィスパー「なるほど!おつかいなら私、妖怪執事にお任せを!!」
ジバニャン「オレっちもおつかい行くニャン!」
と、胸を張って口に出すウィスパー。ジバニャンもウィスパーの言葉に賛成した。
エスト「ありがとう。じゃあメモとお金を用意したから、僕が行ってる間はちゃんと行ってきてね!あと、スーパーに行く以外は外に出ないようにすること!いいね?」
ジバニャン「わかったニャン!」
ウィスパー「ういっす!」
二匹は約束を守ると言い、エストはバイト先へ向かった。
ウィスパー「いや〜、それにしても暇ですねぇ」
あれから4時間が経ち、昼御飯を食べた後の二匹はおつかい以外何もやることがない。
ジバニャン「…あ!お使い頼まれたんだニャン!」
ジバニャンは頼まれたことを思い出し、ウィスパーを起こす。ウィスパーにも伝えると、ウィスパーも思い出し、二匹はエコバックとメモとお金を持ってお使いへ。
ウィスパー「いやいや、忘れるところでした〜」
ジバニャン「ウィスパー、ちゃんとしっかりするニャン」
ぶつぶつ会話をしながらも、エストのメモ通りスーパーに着いた。二匹はスーパーに入ると、メモに書いてあるものをカゴに入れた。その後、レジで会計し、買ったものをカゴからエコバックに移すと、二匹はスーパーを出ていった。
ジバニャン「これで買い物は終わったニャン」
ウィスパー「あとはシリウス荘に帰るだけでうぃす!」
ジバニャン「帰ってチョコボー食べるニャン♪」
一方、エストは……
「この弁当6箱を頼んだやつに届けてくれ。いいか、ちゃんとメモ通りにやるんだぞ」
エスト「はーい!」
エストは弁当の出前を頼まれ、弁当6箱を両手に持ち、早速届け先へ。メモの通りに頼んだ人たちに弁当を届けた。そしてあと1個になったが誰か分からず、エストは公園で休憩を取った。
エスト「うーん、この弁当誰のだろう……」
エストは最後の弁当を見つめる。住所も聞いていないものだし、Dという名前も理解していない。
だがその時、下駄を鳴らす足音が鳴った。コツコツと鳴る足音はだんだんと近くなっていく……。
エストは足音に気づくと、目の前にエキゾチックな衣装を身に纏った少年が現れた。
「うまそうじゃのお…その弁当。わしにも分けてくれんか?」
エスト「ダメだよ。これは頼んだ人にあげるんだから!」
弁当を要求する少年だが、エストは頼んだ人のものであると否定する。さらにエストは少年が誰なのか質問した。
エスト「ってそもそも!あんた誰!?」
「わしか。わしは第49の魔法少年、ウォーム・マギカじゃ」
エスト「魔法少年!?」
ウォーム・マギカの言葉にエストは驚きを隠さなかった。
エスト「…でも、この弁当は絶対渡さない!!待ってる人のために!!」
だがエストは弁当は絶対に渡さないと言い、弁当をどこかへ隠そうとした。
エスト「えーと、どこに隠そうかな……」
エストはどこへ弁当を隠そうか、辺りを探すが、隠せるところがあまり無い。そこでエストは草藪ならさすがに気づかないと思い草藪に弁当を隠す。
ウォーム「どこじゃの〜。弁当は〜」
エスト「は、ははは!弁当なんて捨てたよ!!」
弁当を捨てたと嘘をつくエスト。すると、ウォーム・マギカは大きく息を吸って、吐いた。
ウォーム「すぅ……はぁ……」
そして、勢い良く大きく息を吸い込む!
エスト「うわあぁぁ!何これ…強い…!!」
すると、草藪をあっという間に無くなり、隠していた弁当ですら彼の元に。
エスト「…あっ!弁当が!!」
ウォーム「ほほほ、なんだ弁当があったじゃないか。それじゃあ頂くとするかのう…」
エスト「だめ!!」
せっかく頼んだ人の弁当がウォーム・マギカに食べられてしまうのか。エストはそうはさせないと、ウォーム・マギカを止める。
ウォーム「うぉっ!?」
エスト「これは、頼んだ人が待っている弁当なんだ!あんたに渡すものですか!!」
ウォーム「むぅ…しつこいのう…!わしが決めた以上、邪魔はさせんぞ…!!」
エスト「弁当を返せ〜!!」
「そこまでにしてもらおうか」
すると、背後から見覚えの声がした。
エスト「ディケイド!?」
ディケイド「それは俺が頼んだ弁当だ。さっさと返してもらう」
エスト「えぇ!?あれあんたの弁当だったの!!?」
その最後の弁当がディケイドだと驚くエスト。ウォーム・マギカは誰なのかをディケイドに尋ねる。
ウォーム「な、なんじゃお主は……」
ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
と、自分の二つ名を名乗るディケイド。
ディケイド「黒く光る運命よ、今ここに!ディスティニータクト!!」
エスト「ま、また!?」
ここでも自分の出番が奪われるのかとエストは思った。ディケイドはグリモアチップをスキャンし、大きくディスティニータクトを振る。
ウォーム「ほう、わしを倒すというのかね…?」
ディケイド「当たり前だそんなもの!ブラックフォーチュン・ディメイション!!」
と、黒い大きな魔法陣から光の光線が放たれた。しかし、ウォーム・マギカは平然とした顔でその技を大きな口で吸いこんだ!
エスト「嘘…ディケイドの技が…!?」
ディケイド「…!?」
ウォーム「こんなの簡単じゃ♪ほれほれ、もっとやってもいいんじゃぞ?」
ディケイド「くっ…!!」
さすがにディケイドも苦戦を強いられたようだ。すると、ディケイドはエストに振り向いてこう口に出した。
ディケイド「エスト、お前もやれ!その機械から新しいアプリをタッチしたら白い星の希望よ、今ここにって言うんだ!!」
エスト「そ、そう言われなくても!やってやるさ!!」
ウォーム「ほう、お主もわしを倒すのか?」
エスト「倒すよ!なんとしても!!」
エストは、ディケイドの言われた通りに新しいアプリをタッチした。
エスト「白い星の希望よ、今ここに!スターライトステッキ!!」
白い星のように輝くステッキがエストの前に現れた。
エスト「グリモアチップ!ホワイト・スター!!」
エストはそのステッキを手に持つと、白い大きな魔法陣を描き、ステッキを大きく振る。
エスト「えーと……星よ輝け!!スターライト・エボリューム!!」
しかし、エストがせっかく放った技もウォーム・マギカはあっという間に吸い込んでしまった。
エスト「ええ!?これもダメ!?」
ウォーム「簡単じゃ。こんなもの」
エスト「ど、どうすれば…。そうだ!」
すると、エストはあることを思いついた。
エスト「ディケイドさん、力を合わせましょう!!そうすればあいつを倒せると思います!!」
ディケイド「だが…あいつ、俺たちの技を…」
エスト「よく見てください!」
ウォーム・マキガをよく見てみると、どこか様子が変だ。お腹をかかえ、苦しんでいる。その時、口からボッと煙を吐いた。どうやら強力な技を吸った反動で体内で爆発を起こしたようだ。
ディケイド「どうやら技が強すぎたようだな」
エスト「よし、今がチャンス!!」
二人はステッキを再び手に取る。
エスト「白い星の希望よ、今ここに!スターライトステッキ!!」
ディケイド「黒く光る運命よ、今ここに!ディスティニータクト!!」
そして二人は同時にステッキを振り、より大きな魔力を得る。
エスト「煌めく星の白い光!!」
ディケイド「大いなる運命の黒い光!!」
「「届け!想いよ!!スターフォーチュン・ストライク!!」」
二人で合わせた技がウォーム・マギカに放たれる。
ウォーム「なんじゃ…う、うおおおぉぉ……」
ウォーム・マギカは息を吸いこもうとしたが間に合わず、その強烈な光を浴びて消し去られてしまった。
エスト「やった!イェイ!!」
ディケイド「ふん、それより弁当だが…」
エストは弁当を拾ったが、その弁当はぐちゃぐちゃになっていた。
エスト「うわぁ〜ん!せっかくの弁当が〜!!」
ディケイド「もういい。その弁当は俺が頂く、ここでな」
エスト「ごめんなさい〜!ぐちゃぐちゃになって〜!!」
ディケイド「そんなのはいい。けどお前、いきなり力を合わせようなんて、結構言ってくれるじゃないか?」
エスト「そ、それは…」
ディケイド「やはりお前、少しは力ついたんじゃないか!ま、俺よりは弱いけどな」
エスト「もお!なんですかそれ!!」
これで一見落着。エストはようやくバイトを終わり、シリウス荘に帰った。
その夜、エストたちは晩御飯を食べていた。
ジバニャン「えー!?ディケイドも弁当頼んだのかニャン!?」
エスト「うん、びっくりしたよ〜。でも明日は休みだし、パーっと遊べるよ!!」
ウィスパー「でもそれより大事なのは、鎧武様の救出ですよ!」
エスト「うんうん、分かってるって!」
ジバニャン「エスト?なんか楽しいことでもあったのかニャン?」
ジバニャンはエストが楽しそうであると思い、尋ねる。
エスト「え?そうかな?まあディケイドさんと力合わせたことかな…?」
ウィスパー「おや?まさか魔法少年と遭遇したのです?」
エスト「うん!」
ジバニャン「それはよかったニャン!」
その頃、捕らわれた鎧武は……
鎧武「…今さらなんのつもりだ!?」
鎧武は力をフライングに奪われ、鳥かごのようなところに閉じ込められている。
フライング「おっと、貴様に手を出すつもりはあるまい。ただ聞きたいことがあってな……」
鎧武「なんだそれは……」
フライング「エストという奴がおるのだが、奴は普通じゃない。特別な種族であり、特別な存在である……。そんな奴を知ってるだろう?」
鎧武「そんなの知るわけがない。だいたいお前の目的はなんだ?」
彼の目的が何なのか問う鎧武。その質問にフライングはこう口を開いた……。
フライング「決まってあろう。彼の力を我らのものにするのだ……!!」