ある日、それは真夜中の調査のこと。拠点までかなり遠くまで進んだマッハとエターナルは、体力を使い果たしたものの、ようやく目的地まで辿り着いた。
エターナル「はぁはぁ……。very hard、遠かったわ……」
マッハ「……そうっすね」
エターナル「それにしても……」
二人の目の前には、大きな黒い飛行船が目に映っていた。見ているだけでかなり威圧感が漂う。
エターナル「この飛行船、一体何なのかしら?ねぇ、マッハ………マッハ?」
彼女がいくら体を揺すっても返事は帰ってこない。が、次の瞬間……!
マッハ「地獄を楽しみましょうよ……一緒にね!!」
突然、重い一撃が彼女を襲った。
エターナル「キャアアァァァァァァ……」
それから、マッハとエターナルの連絡は途絶えた。
翌日、ホワイトレジスタンスに来たエストが、マッハとエターナルが来ないことに気づく。
エスト「あれ?隊長、二人は?」
白い魔法使い「二人……?ああ、あれから行方が分からなくなってる。調査を頼んだわけでもないが、私にも分からない」
彼はそう言って首を振った。エストは隣にいたサイガとイクサにも聞いたが、二人も見てないと答える。
サイガ「我々にもわかりまセーン」
イクサ「俺も見ていない」
エスト(おかしいな……。二人はいつも来ているのに……)
さらに、エストは街の人に、そして仲間にも二人のことを聞いた。
「見てねぇな、そんなもの」
「オラたちもズラ」
「私も知らないわ」
ウィスパー「うーん、私も知りませんね……」
ジバニャン「オレっちもだニャン」
ディケイド「聞いたことがない」
鎧武「俺も見てないんだ。悪いな、力になれなくて」
しかし、結局誰もそのことを知らなかった。もちろん仲間もそうだ。
エスト「本当なんですよ!二人がいないなんておかしいですって!」
ディケイド「お前、正気か?」
愛想の無い態度で苦笑いするディケイド。
エストはなんとか本当だと言い張るが、みんなは信用しなかった。なぜなら二人が突然行方を眩ますなんてことはないからだ。
その時、エストたちの後ろから足音がした。振り替えると、それは仮面ライダードライブだった。ドライブはすっかり元気になり、今でもバスターズの隊長として仕事を頑張っている。
ドライブ「マッハのことか?」
なぜかマッハのことを知っているドライブ。
エスト「あ、あの!マッハさんとエターナルさんのこと……」
すると、エストは急にドライブに近寄った。何より二人のことを聞いてほしかったのだろう。
ドライブ「ああ、わかったわかった!だからそんな急に近よんなって!」
ジバニャン「もし出来ればお話してほしいニャン!」
ドライブ「分かった。ベルトさん、お願い」
ウィスパー「なんでベルトさんに頼るんですか……」
ベルト「はぁ、仕方ない。ドライブも知ってるが彼がそう言うなら……。
コホン、仮面ライダーマッハは、ドライブとは良き仲間だった。違いは、ドライブがシフトカーというもので、マッハはシグナルバイクというものであり、ベルトのデザインもシステムも全く違う。だがそれでも二人は力を合わせ、堅い絆で結ばれた。
しかし、マッハは急にホワイトレジスタンスに入ると言い、それから何故かすれちがう日々が続いてしまった」
ウィスパー「ほお、なるほど〜」
さらにベルトさんは話を続ける。
ベルト「だが、私たちはマッハが怪しいと思ったのだ。こっそり隠れては誰かと連絡を取り、謎の連中たちとも話している」
ドライブ「さすがにおかしいよな。奴は一体何を考えてるだろう?」
さすがにドライブも、マッハが怪しいと思った。すると、鎧武がエターナルのことを尋ねる。
鎧武「なあ、エターナルってどういう奴なんだ?」
ベルト「ああ、エターナルか。エターナルは……」
エスト「うんうん」
ベルト「それがさっぱり分からないのだ」
「「ずごーーーっ!!」」
みんなは思わずずっこけた。さすがに物知りなベルトさんも分からないのは当然のことだろう。
すると、ウィスパーがあることを閃いた。
ウィスパー「あ!そうです!白い魔法使いさんに聞いてみてはいかがでしょう?」
ジバニャン「ナイスアイデアだニャン!」
エスト「確かに隊長なら知ってるかも!」
ベルト「そうと決まれば、ホワイトレジスタンスへ、スタート・ユア・エンジン!!」
エストたちは、エターナルの情報を聞くべく、ホワイトレジスタンスへ向かった。
白い魔法使いなら、何か知ってるかもしれない。そう思ったのだ。
ドライブ「ここがホワイトレジスタンスか……」
ドライブは来たことはあるが、生身の体で見るのは初めてだ。彼らはすぐにブリーティングルームへと向かう。そして、白い魔法使いにエターナルのことを聞いた。
白い魔法使い「どうした?今日は休みだが……」
エスト「あの、エターナルさんについて聞きたいんです!」
白い魔法使い「悪いが、それは出来ない」
なぜか、エターナルのことは知っているのに、白い魔法使いはそれを否定した。
鎧武「なぜですか!?彼……えっと、どっちだ?」
ウィスパー「あ、彼女でいいです」
エターナルの肉体は男だが魂そのものは女である。
鎧武「彼はマッハと共に行方不明になったんですよ!?それでも黙るんですか!?」
白い魔法使い「……後に分かる。特にエスト、君にとってはショックを受けることになるだろう」
エスト「え?」
白い魔法使い「今日は休みだが、ムゲン地獄に行くといい。虹色坂にある一本道を通り過ぎれば野原に地下がある。だがそこは強力な結界が張られており、行くことは出来ない」
ディケイド「じゃあどうすればいい」
白い魔法使い「そこでだ。私のハーメルンケインを使え」
ハーメルンケインとは。白い魔法使いが強力な魔法を使う時に使う笛のような武器だ。
ジバニャン「でも、使っていいのかニャン?」
白い魔法使い「マッハはエターナルを悪用しているかもしれん。君たちは放っておくわけにはいかないか?」
エスト「もちろんです!二人を放置するなんて出来ません!」
白い魔法使い「そうか。ならば、託したぞ」
と、白い魔法使いはハーメルンケインを渡した。
エスト「よし、では虹色坂にあるムゲン地獄に行ってきます!!」
エストたちはホワイトレジスタンスを出て、虹色坂へ向かった。そして虹色坂に着くと、一本道を通り、野原にある地下を発見した。やはり白い魔法使いが言った通り、結界が張られていた。そこでエストはハーメルンケインを使うが……
エスト「あれ?どうやって使うんだっけ?」
ウィスパー「えーーっ!?あんたそんなことも分からないんですか!?」
ディケイド「貸せ。俺がやる」
結局、エストはハーメルンケインの使い方が分からず、ディケイドに任せることに。すると、ディケイドはハーメルンケインを器用に奏で、結界はみるみるすうっと力が弱まる。やはり彼が言った通り、ハーメルンケインを使うことで結界は無くなったのだ。
ジバニャン「すごいニャン!結界が無くなったニャン!」
エスト「よし、行こう!」
彼らはすぐに、地下の階段を下った。
下った先には赤い空と畳のような床で作られた不気味な空間。まるで地獄にいるようだ。
エスト「ここがムゲン地獄……」
ウィスパー「この先に、マッハさんとエターナルさんがいるんですね」
ディケイド「ドライブ。確かマッハはお前の友達だったな?」
ドライブ「ああ、なんとしても助けにいこう!!」
あの先にはマッハとエターナルがいるはず……。彼らは勇気を持ってムゲン地獄の最深部を目指した。
もちろん凶暴で狡猾な妖怪にトラップもあったが、彼らは技を駆使して戦い、ムゲン地獄の奥へと進んだ。そして、ようやく最深部に着いた彼らに、驚異が襲う。
エスト「よし、最深部に着きました!」
鎧武「それにしても、マッハはいいものの、エターナルも救っていいのか?」
エスト「どういうことですか?」
鎧武はエターナルに違和感を抱いていた。それは、本当に彼女は正義のヒーローなのかと。しかし、鎧武はそこが怪しいと思ったのだ。本来、彼女は……いや、彼は元々正義の心を持っていないんじゃないかと。
鎧武「あいつ、なんか怪しいと思ったんだ。絶対、何か裏があると思う……!」
エスト「そんなわけないですよ!エターナルさんは……」
「NEVERのリーダーだよ」
その時、彼らに前に白いライダーが現れた。それは、なんと行方を眩ましたマッハだったのだ。
エスト「マ、マッハさん!?」
ジバニャン「どうしてここにいるんだニャン!?」
マッハ「あ、ドライブ兄さん。久しぶりだね」
ドライブ「そういう場合じゃないだろ!それよりエターナルはどうした?」
マッハ「ああ、あいつね。正気に取り戻したぜ。元の悪いやつにね!!」
ウィスパー「はぁ!?どういうことですか!?悪いやつって……」
本当にマッハの言ってることは本当なのだろうか。
鎧武「……いや、本当だ。エターナルはかつて風の都市を支配した悪者だ。まさか、あいつの魂を……!!」
マッハ「そうだよ。NEVERの偉いやつだもん。けどね、アンタらに邪魔しちゃ困るんだ。というわけで……
出てこい、どんどろ!!」
すると、上から黒い怪物が現れた。釜の中にいる姿は何とも不気味で赤い目をギラギラと光らせている。
どんどろ「どっどど〜ん!!」
ディケイド「来るぞ!!」
どうやら、どんどろと戦うしか他に道は無いようだ。彼らは武器を手に取り、どんどろに歯向かう!
エスト「うぅ〜。やっぱり怖いな〜」
鎧武「そういう奴だから仕方ないだろ。というよりこいつを倒すしかないし!」
ドライブ「一走り片付けますか!」
エストたちは、次々と攻撃を繰り出し、どんどろに攻め続ける。しかし、どんどろはびくともしない。すると、どんどろは大きな体でジャンプし、重いプレスでエストたちを吹き飛ばした。
エスト「うわあぁぁ!!」
ディケイド「なんて威力だ……!!」
どんどろは見た目の不気味さに加え、非常に強い。
しかしそれでもエストたちは最後まで諦めずに戦う。
なぜなら、彼らは平和を愛するヒーローだからだ。
エスト「皆さん!力を合わせましょう!」
4人はそれぞれのアイテムをステッキに変え、専用のグリモアチップをセットした。
エスト「煌めく白い星の光!!」
ディケイド「大いなる黒い運命の光!!」
鎧武「あらぶる青い法王の光!!」
ドライブ「燃える赤い正義の光!!」
「「「4つの力を、今ひとつに!!ジャスティススター・カルテット!!」」」
4つの力を合わせた光が、どんどろを包み、どんどろは粒子となって消えた。
なんとかどんどろを倒した4人だが、すでにマッハはいなくなっていた。
ディケイド「チッ、逃げたか……」
エスト「でも、この先にいるかもしれません!」
ドライブ「ああ、なんとしても突き止めるしかない」
鎧武「いくぞ!みんな!」
エストたちは一番奥にある扉を開いた。そこには、敵の気配は無く、ただ一人のライダーが立っていた。それは仮面ライダーマッハである。
エスト「マッハさん!!」
ドライブ「おい、マッハ……」
その時、マッハが彼らに突然攻撃してきたのだ。
マッハ「オレに、気安く触んじゃねぇ!!」
急激に態度が変わったマッハ。もうあの頃の仲間の面影は無かった。
エスト「マ、マッハ……さん?」
鎧武「お前、まさか魔法少年の仲間か!?」
ウィスパー「えぇ!?そんなわけないでしょ!?」
ジバニャン「そうだニャン!魔法少年じゃないし、敵なわけないニャン!!」
鎧武「いや、感じるんだ……。あいつに邪悪な気配が……!!」
「み、みんな……」
すると、女性の声をした魂がふわふわとエストたちに近づいてきた。
エスト「エターナルさん!?」
その声を聞いてエストはエターナルの声だと思った。しかし、また白い仮面ライダーガ姿を現す。
だが、エストたちはその光景に言葉を失う。黒いマントに青い腕、そして黄色い目をしており、その姿はエターナルそのものだった。
ウィスパー「あ……ちょっと、どうなってんでうぃす!?」
「彼……は、本来のエターナル……よ。元々、NEVERという……悪者……なの」
エターナル「その通りだ。これが本来の俺、仮面ライダーエターナルさ」
エターナルから低く冷たい声が放たれた。恐らく、これが本来の彼だろう。
ディケイド「そうか、鎧武の言う通りだったようだな……!!」
ジバニャン「そもそも、お前たちは何者ニャン!!」
マッハ「魔法少年の11天王に関わる連中とでも言おうかな。まあ、オレはスパイとしてホワイトレジスタンスに入ってたわけ。その目的は、エターナルを元に戻すこと」
エターナル「本当に長い眠りだった。だが、マッハのおかげで俺は本来の肉体を動かすことが出来た。彼には感謝してるよ」
エスト「嘘だ……。じゃあなんでそんなこと企んだの!!」
マッハ「……そりゃもちろん、願いを叶えるためさ」
ドライブ「だから、エターナルを本当の魂を目覚めさせ、俺たちを騙したのか……!!」
鎧武「そんなの、絶対許せねぇ!!」
エターナル「ホワイトレジスタンスの諸君よ……さあ、地獄を楽しみな!!」