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幻想伝説譚 最終話:永遠の絆!さらば友よ!!
作者:亀鳥虎龍   2016/02/11(木) 23:09公開   ID:BymBLCyvz/o
 1988年のエジプト・カイロ。

激しい激闘の末に勝利した承太郎は、DIOの館から一冊のノートを発見する。

ノートにはDIOが執筆したと思われる、以下の様な内容を記していた。

【必要なものは、『私のスタンド』である】

【必要なものは、『信頼できる友』である】

【必要なものは、『極罪を犯した36名以上の魂』である】

【必要なものは、『14の言葉』である】

【必要なものは、『勇気』である】

【朽ちていく私のスタンドは、36名の罪人の魂を集めて吸収し、そこから『新しいもの』を生み出すであろう】

【最後に必要なものは、場所である】

【北緯28度24分、西経80度36分へ行き……次の『新月』の時を待て……】

【それが『天国の時』であろう……】

全ての内容を読み終えた承太郎は、ノートの存在を危険視する。

そしてノートが誰かの手に渡らないよう、その場で焼却処分したのだった。







―永遠の絆!さらば友よ!!―






 激しい激闘の末、一行は勝利を収めた。

ジョセフ「ふぅ〜、何とか勝てたのぉ」

十六夜「………」

そんな中、十六夜が深刻顔をする。

雪泉「十六夜さん、どうしました?」

そして彼は、思いがけない事を口にする。

十六夜「なあ、おかしくねぇか?」

アイリスハート「何がかしら?」

十六夜「考えてみろよ。 何でDIOは、俺達にこんな事をさせてんのか」

クラウス「それは、我々を分担させる為では?」

十六夜「だったら、人里に固めなくても良いはずだぜ? 魔法の森とか、妖怪の森とか」

魔理紗「何が言いたいんだ?」

十六夜「コイツは勘だけど、こうやって俺達を戦わせる事自体が、ヤツの目的じゃないのか?」

零児「何だと?」

まさにその時であった。

彼等は人里から、初めてDIOと遭遇した異空間へと転送された。

黒いモヤが出現するが、既に体力が残っていなかった。

そしてモヤが体に接触した瞬間、

ダンテ「な、何だこりゃ!?」

アイリスハート「か、体に力が……」

クラウス「す、吸い取られる……」

零児「ぐっ……ダメだ、このままじゃ……」

十六夜「ちく……しょう……」

雪泉「承太郎…さん……霊夢……さん………」

その体は、消滅したのだった。








 承太郎と霊夢は構えながら、DIOの動きを警戒する。

そんな中、DIOは冷静に二人を眺める。

DIO「(我がスタンド『ザ・ワールド・オーバーヘブン』による、『真実』の『上書き』は……次の能力に必要な“魂のエネルギー”と、それを“チャージする為の時間”が掛かる。 長所と短所は表裏一体、ままならぬものよ。 だが……)」

ニヤリと笑い、そしてDIOは叫んだ。

DIO「ジョースターはその魂を持って、幾度なる運命を乗り越えてきた。 しかし、それを我が力とさせて貰うぞォォォ!」

すると無数の魂が、DIOの方へと集まっていく。

そして、『ザ・ワールド・オーバーヘブン』に吸収される。

承太郎「コレは!?」

霊夢「アンタ、まさか皆の『魂』を!」

DIO「機は熟した。 残るはお前達二人だけ! ここで始末させて貰うぞ!」

紅魔館の屋根から急降下で飛び降り、DIOは承太郎へと接近する。

DIO「まずは承太郎、貴様からだぁ!」

承太郎「くっ!」

思わず上空へと跳び上がった承太郎であったが、DIOも追跡を開始する。

襲ってくるDIOに、承太郎は『星の白金スタープラチナ』を発現させるが、

ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

承太郎「グオォォォォォ!」

霊夢「承太郎!」

承太郎は『ザ・ワールド』の連続蹴りで吹き飛ばされ、すぐさま霊夢が追いかけたのだった。








 吹き飛ばされた承太郎であったが、そのまま博麗神社の敷地へと着陸する。

しかし同時に、DIOも到着していた。

DIO「終わりだ承太郎。 貴様を消すのは、やはり『ザ・ワールド・オーバーヘブン』の真の能力」

承太郎「くっ!」

霊夢「承太郎! 今、助けに――」

急いで到着した霊夢が助けに行こうとするが、すでに遅かった。

徐々に接近してくるDIOは、『ザ・ワールド』の発現と供に、

DIO「消えて無くなるがいい、承太郎ォォォ!!」

真っ向から拳を喰らい、承太郎に『真実』の『上書き』が施された。

承太郎「ぐおぉぉぉぉ!」

霊夢「承太郎ぉぉぉ!」

この光景に、霊夢は思わず叫んでしまったのだった。








 承太郎に能力を撃ちこんだ事を確認したDIO。

DIO「このDIOの前では、全てが『真実』へと『上書き』される。 “邪魔者が居なくなる”という、『真実』にな!」

勝利を得た顔になるDIOであったが、ある違和感を覚えた。

DIO「ん?」

『真実』を上書きしたにも関わらず、承太郎の肉体は消滅していなかったのだ。

霊夢「承……太郎……?」

思わず霊夢も首を傾げてしまう。

しかし、その時だった。

スタープラチナ「オラァ!」

DIO「何ぃぃぃ!?」

『スタープラチナ』が渾身の一撃を放って来たのだ。

思わずDIOもスタンドでガードするが、そのまま吹き飛ばされてしまった。

DIO「ば、バカな!? 今のは明らかに『オーバーヘブン』! 承太郎が、このDIOの『真実』を『上書き』したというのか!?」

霊夢「うそ……承太郎が、アイツの能力を跳ね返した!?」

これにはDIOどころか、霊夢も驚きを隠せなかった。

しかしある事に、DIOは気付いたのだ。

当時の『ザ・ワールド』の能力は『時間停止』で、『スタープラチナ』も止まった時の中を入門出来た。

今回もまさにそれであった。

DIO「ま、まさか!? まさか、同じ!? 『星の白金スタープラチナ』と『世界ザ・ワールド』は、同じタイプのスタンド!? よりによって、このジョースターの末裔が、我が『真実』に入門してくるとは!!」

承太郎「フッ……『真実』……か……」

DIO「良いだろう……どちらの『真実』が先か、ケリを着けるぞ!」

スタンドを発現させたDIOに対し、承太郎と霊夢も構える。

霊夢「博麗の巫女として、今度こそアンタを倒すわ! いくわよ、承太郎!」

承太郎「ああ。 きやがれ、DIO!」

DIO「正真正銘の……最終ラウンドだ!」

遂に、最後の戦いが始まったのだった!








 地を蹴り、互いに接近する承太郎とDIO。

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラぁ!」

ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

二人のスタンドが、凄まじい速さの連打を放つ。

ドガドガドガドガと、拳と拳がぶつかり合う。

その最中に、霊夢はスペルカードを発動させる。

霊夢「霊符『夢想封印』!」

色とりどりの光弾が、DIOへと向かっていく。

ザ・ワールド「URYYYY!」

しかし『ザ・ワールド』が拳で弾き、そのまま霊夢に一撃を与える。

霊夢「がっ!」

承太郎「霊夢!」

落下していく霊夢を、承太郎はすぐさま跳び上がってキャッチする。

同時に『オーバーヘブン』の能力で、彼女に打ち込まれた『真実』を『上書き』する。

着地すると、すぐさま霊夢を地面に立させる。

承太郎「大丈夫か?」

霊夢「ええ。 助かったわ」

そして二人は供に、DIOを強く睨む。

しかしDIOも、不敵な笑みを浮かべていた。








 戦いの最中、DIOは思わず笑い出す。

DIO「フフフフ……フハハハハハ!」

霊夢「何がおかしいの!?」

DIO「承太郎! お前のスタンド、その精神力を認めよう! しかし哀しいかな。 能力に目覚めたばかりの前では、『オーバーヘブン』は使いこなせん!」

承太郎「くっ!」

DIO「今の貴様なぞ、取るにたらんわぁ!」

接近してきたDIOに承太郎は攻撃を開始するが、

ザ・ワールド「無駄ァ!」

承太郎「ぐっ!」

『ザ・ワールド』の一撃で、神社へと吹き飛ばされしまった。

霊夢「承太郎! このぉ!」

霊夢がDIOに接近するが、容易くかわされ、

ザ・ワールド「URYYY!」

霊夢「きゃぁぁぁ!」

承太郎「霊夢!」

“消滅する”という『真実』を『上書き』され、彼女はその場から消滅したのだった。

DIO「残るは承太郎、貴様だけだ!」







 仲間を奪われ、怒りの炎が燃える承太郎。

そんな彼に、DIOはこう言った。

DIO「礼を言うぞ。 お前達が『天空のタロット』を集めてくれたおかげで、このDIOは更なる高みへ到達するだろう! ジョースターの血統というのは、我が運命という名の路上に転がる犬のクソの様に邪魔なもんだったが、最後の最後にこのDIOに利用されるのが宿命だったようだな! ハーハハハハ!」

承太郎「や……ヤロウ……」

DIO「しかし、承太郎。 貴様には驚かされたぞ。 まさか、我が『真実』に入門してくるとは思わなかったぞ。 しかし、『真実』というのは一つでなければならない。 このDIOの示す『真実』こそがすべてだ!」

ゆっくりと近づいてくるDIOであったが、承太郎に成す術がなかった。

DIO「ククククク……承太郎、貴様はこのDIOが直々に葬ってやろう。 お前の頭に拳を一撃叩きこめば、厄介なジョースター家の血筋はここで消滅するだろう」

承太郎「ジョースター……血筋……真実……」

拳を握り締め、DIOは承太郎に振り下ろした。

DIO「死ね、承太郎ぉ!」

承太郎「……消滅」

まさにその時だった。

承太郎は懐から、あるものを取りだした。

それは紫から託された『基本世界のDIOの腕輪』であった。

腕輪をかざすようにDIOの拳を防ぐと、腕輪はパキンと一度は割れ、

承太郎「コイツは……『基本世界』のものだった」

そのままDIOの腕輪へと接触し、消滅したのだった。








 消滅と同時に起きた爆発が、DIOの片腕を負傷させた。

DIO「ぐがぁぁぁぁ! 何だとぉ!? 何だこれはぁ!?」

腕の負傷よりも、突然の出来事に驚くDIO。

スタープラチナ「オラァ!」

腕輪を握った手で、『スタープラチナ』が殴りかかるが、

DIO「くっ!」

咄嗟にDIOが残った左腕で防いだが、再び腕輪の消滅による爆発で、左腕も負傷した。

DIO「ぐがぁぁぁぁ!」

遂に膝が地面に着いたDIOに対し、承太郎はゆっくりと立ち上がる。

承太郎「やはりな。 その能力、どうやら拳で叩かないと発動できないタイプだったようだな。 その腕が治るまでは、『真実』の『上書き』は出来ねぇ」

DIO「くっ!」

承太郎「テメェに対する慈悲の気持ちは全くねぇ。 テメェを可哀相とは全く思わねぇ。 だが今のテメェを嬲って始末するってやり方は、俺自身の後味に良くねぇものを残す。 その腕の治癒に何秒掛かる? 治ったと同時に『スタープラチナ』をテメェに叩きこむ。 掛かって来な!」

DIO「!?」

承太郎「西部劇のガンマン風に言うなら、「抜きな! どっちが素早いか試してみようぜ!」っていうやつだぜ」

形勢を逆転されたDIOは、内心で呟いた。

DIO「(こ…コケにしやがって! しかし承太郎……この土壇場にきて、やはりお前は『人間』だ! ごく短い時の中でしか生きられない人間の考え方をする! “後味の無いものを残さない”とか“人生に悔いを残さない”とか……便所のネズミのクソにも匹敵するその考えが命取りよ! クククク…このDIOにそれは無い! あるのは、たった一つのシンプルな思想のみ! “勝利して支配する”! それだけよ、それだけが満足感よ! 過程や……方法など……)」

ゆっくりと立ち上がるDIOであったが、

DIO「どうでも良いのだぁぁぁぁ!」

負傷した腕の血を、承太郎の目に飛ばした。

承太郎「ぐっ!」

DIO「どうだ! この血の目潰しは!!」

血で視界を封じられた承太郎に、DIOは更なる追い撃ちを仕掛ける。

DIO「勝った! 死ねぇ――」

『ザ・ワールド・オーバーヘブン』の上段蹴りが放たれたが、

スタープラチナ「オラァ!」

DIO「うぐぅ!?」

それよりも速く、『スタープラチナ』の拳がDIOの顔面に直撃した。

最後に承太郎は、帽子を深く被りながら叫んだ。

承太郎「下らなねぇぜ、DIO! テメェの『真実』は……ただのだ!!」

そしてこの台詞が合図となり、『スタープラチナ』の拳の連打が放たれた。

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ……オラァ!」

トドメの一撃で吹き飛ばされたDIOは、断末魔の叫びを上げたのだった。

DIO「グガァァァァァ! ば、バカな!? このDIOが!? このDIOがぁぁぁぁぁ!?」

その体は爆発し、粉々に吹き飛ぶ。

残った亡骸を見下ろしながら、承太郎は呟いた。

承太郎「何度も言わせるなよ。 テメェの敗因は、たった一つだぜDIO。 たった一つのシンプルな答えだ………テメェは俺を怒らせた」

遂にDIOは、その邪悪な魂と供に敗れ去った。

承太郎「……やれやれだぜ」

そして『天空のタロット』と承太郎の『オーバーヘブン』の力によって、仲間達や幻想郷が救われたのだった。








 それから数日後。

元の世界に変えるため、承太郎達は身支度を整えていた。

ただしアヴドゥルと花京院、イギーとバージルは既に死人である為、幻想郷に残る事になる。

霊夢「どうしても、帰ってしまうの?」

魔理紗「もう少し過ごせば良いのによ」

霊夢も魔理紗もそう言うが、そんな二人にジョセフはこう返す。

ジョセフ「気持ちはありがたいが、ワシ等にも帰る場所があるんでな。 この世界は素晴らしかったよ。 しかし、やはり自分の世界が一番なんじゃ。 何処へ行っても、帰りたくなるもんなんじゃよ」

十六夜「何かったら呼んでくれよ。 必ず駆けつけるからよ」

霊夢「さびしくなるわね」

思わず呟く霊夢であったが、ポルナレフがこう言ったのだった。

ポルナレフ「嬉しい事やつらい事があったけど……でも、楽しかったよ! 皆がいたから、この冒険は楽しかった!」

それを聞いた全員が、心から同意した。

アヴドゥル「そうだな、楽しかったな」

花京院「心からそう思うよ」

各世界の代表が、互いに肩を抱き合う。

そして最後に、別れの言葉を言い合った。

霊夢「今回は世話になったわ。 ありがとう、本当に感謝するわ」

プルルート「さびしいけど、元気でねぇ〜」

ダンテ「ウチの事務所に来たら、その時は声を掛けな」

零児「何か困ったら、『新羅』が手を貸すからな」

クラウス「ヘルサレムズ・ロットを訪れたら、是非案内させて欲しい」

雪泉「では皆さん、また会いましょう」

十六夜「本当に面白ぇ大冒険だったぜ! オメェ等、俺の事を忘れんなよ」

承太郎「忘れたくても、そんなキャラクターしてねぇぜ、テメェはよ。 元気でな」

こうして彼等は、互いの住む世界へと帰っていったのだった。








 それから時が流れ、1999年の日本。

M県S市にある町、その名は『杜旺町』。

承太郎「一つ尋ねたいんだが、この町に『東方』という姓の家を知らないか?」

28歳の海洋冒険家となった承太郎は、

承太郎「俺は、その家を訪ねにこの町に来た」

ジョセフの隠し子で血縁上の叔父『東方仗助』に会うため、この『杜旺町』を訪れたのだった。





幻想伝説譚……完!


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■作者からのメッセージ
 以上で、『幻想伝説譚』の連載を終了させていただきます。

読者のみなさん、読んでくれてありがとうございました。

イメージ挿入歌:STAND PROUD(『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』より)
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