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幻想伝説譚 第17話:決戦の時
作者:亀鳥虎龍   2016/02/10(水) 19:24公開   ID:I3wrEmfpACI
 とある並行世界にて、紫が藍と合流していた。

紫「藍、アレは霊夢達に渡した?」

藍「はい。 言いつけどおりに」

紫「良かったわ、これで――」

二人が何かを話していたが、まさにその時であった。

??「何が良かったのだ?」

二人「!?」

突然の声に、二人は思わず振り返った。

そこには、DIOが既に現れたのだった。







―決戦の時―







 凍りつくのような眼差しで、DIOは二人を睨みつける。

DIO「承太郎達に、何を教えたのだ?」

その声を聞くだけで、心が安らぎを求める。

二人はその甘い誘惑を恐れながらも、強い眼差しでDIOを睨む。

DIO「八雲紫、私は貴様程の能力者を失うには惜しいと思っている。 どうだ、私の仲間にならないか?」

それを聞いた紫は、真正面から堂々と答えた。

紫「アナタの仲間になるくらいなら……私は幻想郷の為に、命を捨てる事を選ぶわ!」

主の言葉に藍は安堵するような顔になり、そしてDIOもスタンドを発現させる。

DIO「そうか……なら、死ぬしかないな! 八雲紫!!」

紫「いくわよ、藍!」

藍「はい!」

紫&藍「ハァァァァァ!」

DIO「URYYYY!」

己が式と供に妖怪の賢者は、邪悪なる吸血鬼と激突した。








 激闘の末、勝利を勝ち取ったのは……、

DIO「これが、『ザ・ワールド・オーバーヘブン』だ」

圧倒的な力の差で、二人を叩き伏せたDIOであった。

DIO「貴様等は、我が『真実』によって『上書き』された。 “この世から消える”という『真実』によってな」

その場からDIOが立ち去ると、

紫「(霊夢……承太郎君……後は……任せたわ……)」

紫は藍と供に、この世から抹消されてしまった。








 承太郎達が魔法の森から戻ると、

小牟「お、戻って来たぞ!」

仲間達が待ちわびたような顔をする。

承太郎「ん? どうした?」

レオ「それが、藍さんが現れて……これを……」

レオナルドが手に持っていた封筒を承太郎に渡した。

受け取った承太郎は、すぐに封筒を開ける。

中には一通の手紙と何かの腕輪が入っていた。








 腕輪を見た承太郎は、その正体が何か分かった。

承太郎「(こいつは……DIOの腕輪か?)」

DIOが両腕に付けていた腕輪であった。

この時、彼は紫の言葉を思い出す。

紫(『この世界のもの』と『違う世界のもの』がぶつかると、その場で消滅してしまうの)

承太郎「(何かの役に立つかもしれねぇ)」

そう思い、彼は手紙を読み始めたのだった。

手紙には、以下の様な内容が記された。









『拝啓。 この手紙を読んでいるという事は、既にDIOに私がした事が知られた事でしょう。 私は『基本世界』に向かい、承太郎君がDIOの遺体を塵にした場所へと向かいました。 そこで腕輪を見つけ、この封筒に入れました。 皆の勝利を祈って。 八雲紫より』






 

 手紙を読んだ一行は、一度は沈黙したが、

魔理紗「もうこれ以上、DIOの好きにはさせねぇぜ!」

ジョセフ「そうじゃな、再び犠牲を出すワケにはいかん」

夜桜「掴みましょう、この戦いの勝利を!」

ダンテ「ああ、ヤツを地獄に叩き落とさねぇとな」

バージル「生ぬるい。 地獄の業火に落とすくらいはした方が良い」

霊夢「そうね、いきましょう!」

承太郎「ああ、行くぜ!」

一致団結し、DIOとの決着に臨むのだった。










 時刻は、午後の6時50分。

吸血鬼でも、十分に活動できる時間である。

一行が準備をした瞬間、まさにその時であった。

全員「!?」

鋭く邪悪な気配が、彼等の肌に感じられた。

零児「この邪悪な感じは!?」

ジョセフ「ワシは覚えておる! この気配は!」

イギー「(クソッ! 相変わらず、とんでもねぇ邪気だぜ!!)」

花京院「覚えていないわけがない!」

アヴドゥル「間違いない! この感覚は!」

ポルナレフ「ついに、お出ましってワケか!」

承太郎「DIO!」

この気配を感じたジョセフは、ポラロイドカメラを手に取り、

ジョセフ「いくぞ! 『隠者の紫ハーミットパープル』!!」

『ハーミットパプル』で念写したのだった。









 念写された写真に写ったのは、

承太郎「これは!?」

なんと、紅魔館であった。

レミリア「何でウチの屋敷なのよ!?」

霊夢「吸血鬼の屋敷だからじゃないの?」

十六夜「そんじゃ、突入といきますか!!」

こうして彼等は、紅魔館へと向かったのだった。

勿論、亀龍一號に乗り込んで。








 紅魔館へと到着した一行は、敷地内に突入すると、

DIO「ようやく来たか」

承太郎「DIO!」

全員がDIOを強く警戒するが、魔理紗が何かに気付いた。

魔理紗「おい、美鈴メイリンやフランはどうした!?」

DIO「ああ、あの小娘と門番か? あの二人なら、既に始末した」

レミリア「貴様!」

DIO「ところで、貴様等は此処にいても良いのか?」

夜桜「どういう意味じゃ!」

DIOの能力は、彼自身の望んだ『真実の上書き』。

十六夜の予想が正しいなら、承太郎は嫌な予感を感じた。

承太郎「まさか、幻想郷の人々を!」

DIO「そうだ。 我が“忠実なる僕”という『真実』を『上書き』しておいたのだ!」

それを見た一行が、背筋を凍らせた。

このままでは、全てがDIOの思い通りになってしまう。

誰もが戸惑ったが、クラウスがこう言ったのだった。

クラウス「承太郎君、ここはキミに任せたい」

承太郎「!?」

クラウス「DIOに対抗できるのは、キミしかいない」

十六夜「それしか方法はねぇな」

ジョセフ「そうじゃな。 承太郎、幻想郷の人々はワシ等に任せておけ!」

承太郎「ジジイ……ああ、分かった」

すると、霊夢が更にこう言った。

霊夢「私は承太郎と一緒に残るわ。 巫女として、全ての元凶を倒す使命もあるから」

雪泉「では、いきましょう!」

こうして、承太郎と霊夢以外は紅魔館を後にしたのだった。









 承太郎と霊夢にDIOを任せた零児達。

紅魔館を後にした彼等は、人間の里へと向かう。

邪悪な気配が、一番感じ取られたからだ。

人里に到着した一行であったが、

ジョセフ「こ、コレは!?」

永琳やパチェリー達が、邪悪なオーラを纏いながら、

パチェリー「敵を…排除する」

彼らへと襲いかかろうとしていた。

ダンテ「上等だぜ!」

魔理紗「やってやるぜ!」

ジョセフ「よし、いくぞ!」

こうして、幻想郷の実力者達との戦いが始まったのだった。









 遥か昔の幻想郷。

スパーダによって、暗黒王が封じられた後、

??「紫、コレをお願い」

紫「これは!?」

先代博麗の巫女が、紫にあるものを渡した。

博麗「ウチの神社に伝わる、『天空のタロット』よ。 もし、あの怪物の封印が解けたら、コレを次の代の巫女に渡して」

タロットを受け取り、紫は小さく頷いた。

紫「確かに、受け取ったわ。 アナタの意志は」

しかし先代の巫女は知らなかった。

このタロットが、新たな敵によって悪用される事を……。

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