とある並行世界にて、紫が藍と合流していた。
紫「藍、アレは霊夢達に渡した?」
藍「はい。 言いつけどおりに」
紫「良かったわ、これで――」
二人が何かを話していたが、まさにその時であった。
??「何が良かったのだ?」
二人「!?」
突然の声に、二人は思わず振り返った。
そこには、DIOが既に現れたのだった。
―決戦の時―
凍りつくのような眼差しで、DIOは二人を睨みつける。
DIO「承太郎達に、何を教えたのだ?」
その声を聞くだけで、心が安らぎを求める。
二人はその甘い誘惑を恐れながらも、強い眼差しでDIOを睨む。
DIO「八雲紫、私は貴様程の能力者を失うには惜しいと思っている。 どうだ、私の仲間にならないか?」
それを聞いた紫は、真正面から堂々と答えた。
紫「アナタの仲間になるくらいなら……私は幻想郷の為に、命を捨てる事を選ぶわ!」
主の言葉に藍は安堵するような顔になり、そしてDIOもスタンドを発現させる。
DIO「そうか……なら、死ぬしかないな! 八雲紫!!」
紫「いくわよ、藍!」
藍「はい!」
紫&藍「ハァァァァァ!」
DIO「URYYYY!」
己が式と供に妖怪の賢者は、邪悪なる吸血鬼と激突した。
激闘の末、勝利を勝ち取ったのは……、
DIO「これが、『ザ・ワールド・オーバーヘブン』だ」
圧倒的な力の差で、二人を叩き伏せたDIOであった。
DIO「貴様等は、我が『真実』によって『上書き』された。 “この世から消える”という『真実』によってな」
その場からDIOが立ち去ると、
紫「(霊夢……承太郎君……後は……任せたわ……)」
紫は藍と供に、この世から抹消されてしまった。
承太郎達が魔法の森から戻ると、
小牟「お、戻って来たぞ!」
仲間達が待ちわびたような顔をする。
承太郎「ん? どうした?」
レオ「それが、藍さんが現れて……これを……」
レオナルドが手に持っていた封筒を承太郎に渡した。
受け取った承太郎は、すぐに封筒を開ける。
中には一通の手紙と何かの腕輪が入っていた。
腕輪を見た承太郎は、その正体が何か分かった。
承太郎「(こいつは……DIOの腕輪か?)」
DIOが両腕に付けていた腕輪であった。
この時、彼は紫の言葉を思い出す。
紫(『この世界のもの』と『違う世界のもの』がぶつかると、その場で消滅してしまうの)
承太郎「(何かの役に立つかもしれねぇ)」
そう思い、彼は手紙を読み始めたのだった。
手紙には、以下の様な内容が記された。
『拝啓。 この手紙を読んでいるという事は、既にDIOに私がした事が知られた事でしょう。 私は『基本世界』に向かい、承太郎君がDIOの遺体を塵にした場所へと向かいました。 そこで腕輪を見つけ、この封筒に入れました。 皆の勝利を祈って。 八雲紫より』
手紙を読んだ一行は、一度は沈黙したが、
魔理紗「もうこれ以上、DIOの好きにはさせねぇぜ!」
ジョセフ「そうじゃな、再び犠牲を出すワケにはいかん」
夜桜「掴みましょう、この戦いの勝利を!」
ダンテ「ああ、ヤツを地獄に叩き落とさねぇとな」
バージル「生ぬるい。 地獄の業火に落とすくらいはした方が良い」
霊夢「そうね、いきましょう!」
承太郎「ああ、行くぜ!」
一致団結し、DIOとの決着に臨むのだった。
時刻は、午後の6時50分。
吸血鬼でも、十分に活動できる時間である。
一行が準備をした瞬間、まさにその時であった。
全員「!?」
鋭く邪悪な気配が、彼等の肌に感じられた。
零児「この邪悪な感じは!?」
ジョセフ「ワシは覚えておる! この気配は!」
イギー「(クソッ! 相変わらず、とんでもねぇ邪気だぜ!!)」
花京院「覚えていないわけがない!」
アヴドゥル「間違いない! この感覚は!」
ポルナレフ「ついに、お出ましってワケか!」
承太郎「DIO!」
この気配を感じたジョセフは、ポラロイドカメラを手に取り、
ジョセフ「いくぞ! 『
隠者の紫』!!」
『ハーミットパプル』で念写したのだった。
念写された写真に写ったのは、
承太郎「これは!?」
なんと、紅魔館であった。
レミリア「何でウチの屋敷なのよ!?」
霊夢「吸血鬼の屋敷だからじゃないの?」
十六夜「そんじゃ、突入といきますか!!」
こうして彼等は、紅魔館へと向かったのだった。
勿論、亀龍一號に乗り込んで。
紅魔館へと到着した一行は、敷地内に突入すると、
DIO「ようやく来たか」
承太郎「DIO!」
全員がDIOを強く警戒するが、魔理紗が何かに気付いた。
魔理紗「おい、
美鈴やフランはどうした!?」
DIO「ああ、あの小娘と門番か? あの二人なら、既に始末した」
レミリア「貴様!」
DIO「ところで、貴様等は此処にいても良いのか?」
夜桜「どういう意味じゃ!」
DIOの能力は、彼自身の望んだ『真実の上書き』。
十六夜の予想が正しいなら、承太郎は嫌な予感を感じた。
承太郎「まさか、幻想郷の人々を!」
DIO「そうだ。 我が“忠実なる僕”という『真実』を『上書き』しておいたのだ!」
それを見た一行が、背筋を凍らせた。
このままでは、全てがDIOの思い通りになってしまう。
誰もが戸惑ったが、クラウスがこう言ったのだった。
クラウス「承太郎君、ここはキミに任せたい」
承太郎「!?」
クラウス「DIOに対抗できるのは、キミしかいない」
十六夜「それしか方法はねぇな」
ジョセフ「そうじゃな。 承太郎、幻想郷の人々はワシ等に任せておけ!」
承太郎「ジジイ……ああ、分かった」
すると、霊夢が更にこう言った。
霊夢「私は承太郎と一緒に残るわ。 巫女として、全ての元凶を倒す使命もあるから」
雪泉「では、いきましょう!」
こうして、承太郎と霊夢以外は紅魔館を後にしたのだった。
承太郎と霊夢にDIOを任せた零児達。
紅魔館を後にした彼等は、人間の里へと向かう。
邪悪な気配が、一番感じ取られたからだ。
人里に到着した一行であったが、
ジョセフ「こ、コレは!?」
永琳やパチェリー達が、邪悪なオーラを纏いながら、
パチェリー「敵を…排除する」
彼らへと襲いかかろうとしていた。
ダンテ「上等だぜ!」
魔理紗「やってやるぜ!」
ジョセフ「よし、いくぞ!」
こうして、幻想郷の実力者達との戦いが始まったのだった。
遥か昔の幻想郷。
スパーダによって、暗黒王が封じられた後、
??「紫、コレをお願い」
紫「これは!?」
先代博麗の巫女が、紫にあるものを渡した。
博麗「ウチの神社に伝わる、『天空のタロット』よ。 もし、あの怪物の封印が解けたら、コレを次の代の巫女に渡して」
タロットを受け取り、紫は小さく頷いた。
紫「確かに、受け取ったわ。 アナタの意志は」
しかし先代の巫女は知らなかった。
このタロットが、新たな敵によって悪用される事を……。