■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
Fate/Heroes of mythology〜神域追想呪界〜
プロローグ:レイシフト
(Fate/stay night×乃木若葉は勇者である)
  [→]  【PAGE 1/3】
人生の終焉が訪れようとしている。

私の臥している床の足元には神官達が平伏し、家族すら伏している。
そんな所で伏していないでもっと近くに来て欲しいと思うが、今や声すら出せない。
神官や巫女達が私を『生き神』のように扱うのは解らなくもないが、家族までそんな態度とはどうなのだろうか。
少し厳格にし過ぎてしまったのか・・・
下らない感傷が胸裏をチラリと横切るがすぐに私は他の事を考えだしてしまう。
私は死して後は『英雄』として、『勇者』として祀られるそうだ。
それに不服はない。
だって『私達』はそう在ったのだから。
あの地獄の戦いを共に駆け抜けた、私の人生最高の戦友達。
遂に会う事は出来なかったが、それでも確かに友だった諏訪の■■・・・
そして我が生涯の親友■■■・・・
私達が私達の時代に出来る事は総てやり遂げた。
そのはずだ。
悔いは・・・ない・・・はずだ・・・
在ってはならない・・・
そうでなければ■■にどう報いれb・・・

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

ああ、ならば『そう』すればいいのか。
それが報いになるのなら・・・
それが償いになるのなら・・・
それが救済になるのなら・・・
私は・・・




新たな亜種特異点の発見。
それが報告されたのは下総国を修正し終えてほとんど直後だった。
「今回の特異点は相当特殊と言わざるを得ないね」
ダ・ヴィンチが何とも言えない複雑な顔をしている。
「今回は何がどう特殊なんですか?」
そう聞いたのは藤丸立香。
魔術師としては未熟と言われながら様々な英霊と縁を結び、グランドーオーダーを完遂した少女である。
「おや、来たかい立香。うん、今回はね、時代は西暦2087年、未来の完全に人類史の正史から外れてしまった剪定事象の世界で発見されたんだ」
剪定事象。
それは正史とは大きく掛け離れた歴史を辿った結果、可能性を失い滅びて逝く定めの並行世界の事。
「剪定事象であればこちらには直接の被害はないのでは?」
既にオペレーターとして待機してくれていたマシュが疑問を呈した。
「本来ならばここまで正史と掛け離れてしまえば何の問題もない筈なんだがね。『遡って来ている』んだよ」
「遡る?」
「そう、本来なら一度辿った歴史は逆行なんて出来ない不可逆のものだ。まぁ個人で時間遡行は出来ないでもないが・・・それはもう魔法だ。にも拘らず、今この特異点と化した並行世界は自身が辿って来た歴史を自身の時間軸はそのままに、丸ごとそのまま遡行して来ている」
「えっと、つまりそれって・・・」
「うん、例えたら撃った弾丸がそのまんま砲身に向けてすっ飛んで来ているようなものだね」
「そのまま遡行し続けるとどうなるんですか?」
事態を今一つ飲み込み切れない立香とマシュに、ダ・ヴィンチは最悪の結果を伝える。
「このままだと、この並行世界は自身が分岐する事となった事象にまで遡り・・・つまり過去に激突する。そうなると、同一時間軸上に過去と未来が重なって存在するという矛盾が生じるわけだ。その結果、矛盾の解消の為に抑止力は恐らくどちらも消滅させてしまおうとするだろう。そうなればその時点から先の時間軸は消滅し、それに伴いその先で起こったであろう剪定事象も編纂事象も完全に消滅し、歴史が完全に『巻き戻る』事になる」
それはゲーティアが為そうとした事よりも小規模の歴史改変かも知れない。
だが、それは許されて良いモノではなかった。
「それは・・・危険な状況ですね」
マシュも立香もようやくその危険性を理解し事の重大性を理解した。
「それで、この都度のレイシフトなんだけどね、現在進行形で遡行し続ける特異点に行く事になるから、そもそもレイシフトさせた君の存在座標を特定する事が極めて難しくてね。最悪存在証明が出来ず、君は消滅する可能性がある」
「っ!? それは危険です。そんな危険な所に先輩を送るなんて出来ません!」

  [→]  【PAGE 1/3】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る