「ああ……怖かった。あの親にして、あの娘。オルランド一族……どこの戦闘民族だよ」

 なんとかシャーリィを撃退してみせたリィンではあるが、〈鬼の力〉を解放しなければどうなっていたかわからないほど激しい戦いだった。
 動揺を誘い、不意を突けたから今回はなんとか撃退できた。しかし、次に戦う時は片手では済まないだろうと、痛む右腕をリィンは庇う。
 シャーリィの捨て身の一撃を受け、リィンの右腕は赤黒く変色していた。骨にヒビが入っていると見て、間違いないだろう。

「〈赤の戦鬼(オーガ・ロッソ)〉もいたら、やばかったな……。出来たら、二度とやり合いたくない」

 しかし、まず無理だろうな――という確信めいたものがリィンにはあった。

「なんにせよ、どうしてここで〈赤い星座〉がでてくるんだよ……」

 いままでにも差違はあった。
 この世界はリィンの知識にある世界に似ているようで、どこか違う。そして今回の一件で、その未来の知識があてにならないことが証明されてしまった。
 あの場面で〈赤い星座〉が現れることは、完全に想定外のことだった。リィンの知る歴史では、この時期に〈赤い星座〉が帝国にいるはずがなかったからだ。
 どこでどう間違えたのか、それはリィン自身にもわからない。しかし、一つだけはっきりしていることは、これまであてにしていた原作知識がほとんど役に立たない可能性が出て来たということだ。

 あの場に現れたということは、〈赤い星座〉は貴族連合についたと考えるべきか?
 だとすれば、〈西風の旅団〉のメンバーはどうしたのか?

 そもそも〈西風〉のメンバーが貴族連合に協力していた理由も、原作ではっきりと語られていない部分だ。
 (ミラ)目当てなのか、それとも他に理由があるのか?
 それに、原作で〈西風〉のメンバーが口にした「団長を取り戻す」という言葉。少なくとも、この世界のルトガー・クラウゼルが死んだことは、リィンも確認している。団長が生きているはずがないのだ。互いの武器≠ナ相手の心臓≠貫き、相打ちになった瞬間をリィンは目撃≠オていた。
 遺体も確認済みだ。なら、あの言葉の意味はどういうことなのか?

「それに〈西風〉の皆はどこにいったんだよ……」

 内戦に〈西風〉が関わっていないのなら、これまでのリィンの行動は的外れということになる。いや、アルフィンやエリゼを助けられた以上、まったく無意味ということはなかったのかもしれないが、原作では確か二人は遊撃士(ブレイサー)ギルドのトヴァル・ランドナーに助けられていたはずだ。
 しかし、領邦軍に捕まりかけていたことを考えると、トヴァルは間に合わなかったということだ。

「ダメだ……考えても、さっぱりわからん」

 どちらにせよ、原作知識はほとんどあてにならないものと考えた方がいい。
 この先、原作知識を信用し過ぎるのは危険だと、リィンは考えを戒めることにした。

「そろそろ合流ポイントか」

 木々の合間を抜け、直線ルートでフィーとの合流ポイントへ急ぐリィン。
 幼い頃よりリィンと共に力を付けてきたフィーの実力は原作以上と言っていい。少なくとも、そこらの有象無象にやられるほど柔な鍛え方をしていない。
 単純な戦闘力では劣るものの――夜戦や奇襲、罠に潜入工作と言った分野では、リィンより上。正面を切っての戦いでは分が悪いが、得意の戦法に持ち込めばシャーリィとも良い勝負をするほどだ。
 分断された場合、森に身を隠しながら北を目指すように指示したのは、そのためだ。
 それだけに心配はしていないが、前世の知識との差がリィンの不安を膨らませていた。


  ◆


 貴族派と革新派の対立が内戦というカタチで表面化したことで微妙な立場にあるにも拘らず、ユミルの領主テオ・シュバルツァー男爵は快くリィンたちの滞在を受け入れてくれた。
 雪山に囲まれた辺境の(さと)――ユミル。険しい場所で知られるアイゼンガルド連峰の山間にある小さな集落だ。
 温泉が名物とあって郷の至るところから、白い湯気が上がっているのが確認できる。そんな郷のなかでも皇族縁の宿ということで評判の『凰翼館』に、リィンとフィーは宿泊していた。アルフィンだけでなくリィンたちにも屋敷の方に部屋を用意するという男爵の誘いを、リィンが断ったためだ。

 ――男爵がいるとはいえ、女性ばかりの家に厄介になるのは気が引ける。

 というのが、リィンが口にした表向きの理由だが、本当の理由は別にあった。
 こんなこと言えば自意識過剰と思われるかもしれないが、リィンはここ最近、エリゼから妙に視線を感じることがあった。
 敵意や悪意とは違う。何やら、探るような視線。それでいて困惑や罪悪感のようなものも感じ取れる。様々な感情が入り混じった視線だ。
 エリゼに嫌われるようなことをした記憶がリィンにはない。しかし、そんな視線をエリゼに向けられている以上、男爵の屋敷で世話になるのは難しかった。

(なんか、ここ最近……空回りしてばかりな気がするな)

 ようやく一歩を踏み出してみれば、空回りしてばかりだとリィンは溜め息を漏らす。
 とはいえ、ユミルを逃亡先に選んだのは、他の誰でもない。リィン自身だ。
 エリゼが一緒ということもあるが、他に頼れる知り合いもいなかったというのが理由として大きかった。
 正規軍の配備された国境を目指すという手もあるが、領邦軍に帝都周辺の街道を押さえられている現状では、リィンやフィーだけならまだしもアルフィンたちを連れて検問を突破するのは難しい。それに正規軍に助けを求めたところで貴族連合と同様、保護を名目にアルフィン共々捕らえられ、軟禁される可能性の方が高い。最悪、アルフィンを拉致した首謀者にでも仕立てられたら最悪だ。そんなことはありません――とアルフィンやエリゼあたりなら言いそうではあるが、リィンは二人ほど正規軍も信用してはいなかった。
 そんなことよりも、まずは足場を固める方が重要だ。このまま正規軍が黙っているとは思えないし、当分は中央の制圧に掛かりきりで領邦軍も辺境に目を向ける余裕はないはずだ。その間に情勢を見極め、準備を整える必要がある。
 ユミルは雪山に囲まれている地形上、敵の襲撃に備えやすい。険しい山道と降り積もる雪が、天然の要塞として(さと)を守ってくれているからだ。ユミルへと通じる交通手段は一本のケーブルカーのみ。麓まではかなりの距離があり、武装した兵を送り込むには不向きな地形だ。なら、自ずと襲撃ルートは限られて来る。そのための備えを、リィンはフィーと共に行っていた。

「ゼノにいろいろと教わっておいて正解だったな」

 猟兵時代に身に付けたスキルを頼りに、リィンはフィーと手分けして郷の周囲に罠を仕掛けて回っていた。
 二人に罠の扱いを教えた人物は、〈罠使い(トラップマスター)〉の名で知られる〈西風〉の連隊長の一人だ。
 団員のなかでも取り分けトラップの扱いに長けていて、二人は彼から一通りの技術を学んでいた。

「反対側の設置は終わったよ」
「ご苦労さん。こっちも、これを設置したら終わりだ」
「手伝う」

 そう言って、右手に怪我を負ったリィンに代わって、罠の設置を確認するフィー。
 猟兵にとって、このくらいの怪我は日常茶飯事だ。とはいえ、心配でないかと言えば嘘になる。
 ましてや、まだ終わっていない。アルフィンがここにいることを知れば、追撃を仕掛けてくるかもしれない。
 そうして、またリィンが怪我を負うようなことになったら、それどころか団長のようにリィンが死んでしまったら――
 そんな不安を抱えながら、フィーは口にする。

「……襲ってくるかな?」
「すぐにってことはないだろうが、可能性は高いだろうな」

 こればかりは原作知識どうこうではなく可能性の話だ。貴族連合がアルフィンの存在をどの程度、重視しているかによる。
 確か、原作にあったユミルの襲撃は、アルバレア公の独断だったかとリィンは記憶を辿る。
 もっとも〈赤い星座〉の件もあるので、あくまで参考程度にしか考えてはいなかった。
 何が起きても対応できるように備えておく。それが一流の猟兵だ。そう考え、リィンは備えを進めていた。

「お疲れさまです」

 そんな郷の周囲で作業をしていた二人に、エリゼは声をかける。
 挨拶をしながら、チラリとリィンの右腕を覗き見るエリゼ。

「どうかしたのか?」
「いえ……」

 リィンから目を逸らすように、俯きがちに返事をするエリゼ。
 僅かに逡巡した後、躊躇いがちに「リィンさん……」とリィンの名をエリゼは呼んだ。

「……姫様がお呼びです」


  ◆


 エリゼの案内で、屋敷の応接間へと通されるリィン。
 そこで待っていたのは、アルフィンとシュバルツァー男爵。そして、もう一人。見慣れぬ人物が男爵の横に並んで立っていた。
 無造作に短くまとめられた金髪に青い瞳。軽薄そうな見た目とは裏腹に、がっしりとした体格をしている。そして何より隙の無い佇まいを見るに、かなりの手練れであることが窺える。
 これらの特徴を備える人物に、リィンは心当たりがあった。

「トヴァル・ランドナー。エレボニア支部所属の遊撃士か。確か、アーツの達人という話だったか?」
「リィン・クラウゼルだな。アンタの噂は聞いてる。まさか、俺のことをご存じとは思わなかったが……」

 あっさりと正体を言い当てられたことで、若干警戒の色を見せるトヴァル。
 リィンがトヴァルだとわかったのは、原作知識以外にも猟兵時代から彼の名前をよく耳にしていたからだ。
 いまから二年前、遊撃士協会の支部を狙った連続襲撃事件が帝国内で起こった。その時、リベールからきた遊撃士カシウス・ブライトと共に事件解決に尽力したとされる人物が、彼――トヴァル・ランドナーだ。
 あの事件以降、「エレボニアの遊撃士協会に凄腕のアーツ使いがいる」という噂が猟兵たちの間で流れるようになった。
 実際、二年前の事件に関してはリィンも無関係とは言えないので、トヴァルのことを知っていたというわけだ。
 もっとも、こうして顔を合わせるのは初めてのことだが――

「で? その遊撃士≠ェ猟兵(オレ)≠ノなんのようだ?」

 こうして呼び出した目的を探るように、挑発的な態度でトヴァルに尋ねるリィン。
 遊撃士と猟兵は基本的に相性が悪い。戦場を渡り歩き、金で雇われれば人を殺めることも躊躇しない猟兵と、民間人の保護を信条とする遊撃士では、仕事上どうしても対立することが多く、リィンも彼等と揉めたことが何度もある。好き嫌いという話以前に、相容れない存在だということは互いに認識していた。
 リィンが警戒しているのは、トヴァルがこのタイミングで現れた理由だ。
 トヴァルの背後にいるオリヴァルトは、はっきり言って信用することが出来ない。敵ではないだろうが、味方とも言えない。貴族派・革新派どちらにもつかず、あくまで中立の立場を主張してはいるが、目的のためには周囲を欺き、なんでも利用する抜け目のない男だ。
 彼の志や思惑がどうであれ、リィンにとって一番大切なのはフィーだ。いまは彼女の願いを叶えるために行動している。その点から言っても、オリヴァルトの悪巧みに協力することは出来ない。
 そして、オリヴァルトと深く繋がっているであろうトヴァルのことも、遊撃士という以上にリィンは警戒をしていた。

「若干十七歳で、その佇まい。どれだけ修羅場を潜ってきたのやら……末恐ろしい逸材だな。どうだ? 猟兵を引退したなら遊撃士に鞍替えしてみたら?」
「まだ引退したわけじゃない。休職中というだけだ。それに〈支える籠手〉の信条もわからないわけじゃないが、アンタと一緒に正義の味方ごっこ≠するつもりはないよ。どうしてもと言うなら、この内戦をギルドの方でどうにかしてみたらどうだ? 実際、民間人にも被害がでないとは言えない状況だろう?」
「そうしたいのは山々だけどな……」

 痛いところを突かれ、トヴァルは頭を掻きながら困った表情を浮かべる。
 地域の平和と民間人の保護を目的に掲げる遊撃士は、国の垣根を越えて活動する代わりに、どのような組織・国家に対しても中立の立場を示している。そのため、国家に対しては原則不干渉。国家絡みの問題には、簡単に手を出せないといったジレンマを抱えていた。
 勿論、リィンが言うように民間人が危機に陥っていれば、話は別だ。しかし今回のように、その原因が内戦によるものであった場合、どこまで介入が許されるのかといった問題がある。ギルドの立場上、貴族派と革新派――そのどちらか一方に肩入れするわけにもいかず、迂闊に手をだせないと言った事情があった。
 何も出来ない遊撃士より、まだ猟兵の方が役に立つ。こと戦場においては、彼等の出る幕はない。正義の味方ごっこ――とリィンが揶揄したのは、そういうことだ。
 それに二年前の事件を切っ掛けに、帝国内の遊撃士は活動休止状態に陥っている。支部を狙った連続襲撃事件により、力と信用を大きく落としたギルドは、その後の帝国政府からの執拗な圧力を無視することが出来ず、いまから一年半ほど前、帝都を始めとした帝国内の主要となる都市からの支部撤退を余儀なくされた。
 いまではトヴァルを始めとした僅かな遊撃士が、辺境の街や集落を廻って密かに活動しているくらいだ。

「あの……リィンさん。騙すようなカタチで、お呼び立てしたことは謝罪します。ですが、せめて話だけでも聞いては頂けないでしょうか?」
「アルフィン殿下。俺は別に遊撃士を嫌って、こんな態度を取っているわけじゃありませんよ?」

 氷のように冷たく、冷めた声でアルフィンに向かって、そう答えるリィン。
 アルフィンの仲介があったとしても、この一線だけは譲るつもりはなかった。
 そんな意志の籠もった目で、トヴァルを睨み付けるリィン。

「トヴァル・ランドナー。大方、オリヴァルトに言われてきたんだろ?」
「……どうして、それを?」
「悪いが、オリヴァルトに協力するつもりはない。内戦絡みの話なら帰ってくれ」
「何故だ? それなら、どうして皇女殿下やお嬢さんを助けた?」
「殿下やエリゼを助けたのは成り行きだ。そちらの事情に俺たちを巻き込むな」

 はっきりとトヴァルに協力する意志がないことを告げ、リィンは背を向けて部屋を後にする。
 そんなリィンの背中を見送りながら、困惑の表情を浮かべるトヴァル。
 関わる気が無いのであれば、放って置けばいい。なのに、リィンはアルフィンやエリゼを助けた。
 そればかりか、二人を保護してユミルにまで送り届けている。だからこそ、トヴァルは交渉の余地があると判断したのだ。
 しかし、リィンの反応は違っていた。交渉の余地があるどころか、明らかな拒絶だった。
 部屋には重苦しい空気が立ち込める。残されたトヴァルは困った顔で、頬を掻きながら呟いた。

「これは、随分と嫌われてしまったな……」

 アルフィンを通してリィンに接触できたことまではよかったが、その後がまずかった。
 どうしてこうなったのか、と自問するトヴァル。しかし、理由がさっぱりわからない。
 思い当たることがあるとすれば、オリヴァルトとリィンの仲。そして遊撃士と猟兵の水≠ニ油≠ニも言える関係だけだ。

「すみません……お力添えになれなくて」
「いや……殿下が悪いわけじゃありませんし、どうかお気になさらず」

 アルフィンに頭を下げられ、逆に緊張した様子で畏まるトヴァル。残念ではあるが、この結果は予想できたものでもあった。
 それに、アルフィンに頭を下げられては困る事情がトヴァルにはある。

「成り行きとはいえ、彼等には(ここ)を守ってもらっているだけでも十分助かってます。それに借りがありますから……」
「借り……ですか?」
「本来であれば、オリヴァルト殿下の依頼で、俺が皇女殿下をお迎えに行く予定だったのですが、邪魔が入りまして……。あの二人には、殿下とお嬢さんをユミルまで送ってもらった借り≠ェありますから」

 だから無理を言えない――と、トヴァルは話す。
 オリヴァルトから依頼を受けたトヴァルは、アルフィンを帝都から逃がすため女学院へと向かったのだが――
 そこで〈赤い星座〉の別働隊と遭遇し、アルフィンと合流できないまま帝都を脱出するしかなかった。
 結果的にリィンに保護されてアルフィンは無事だったとはいえ、これをトヴァルは借り≠ニして考えていた。

「やはり、遊撃士(オレ)では無理だったみたいです。せめて、オリヴァルト殿下が来られればよかったんですが……」
「それは……違うと思います」

 遊撃士と猟兵は商売敵のような間柄。基本的に相容れない存在だ。
 だから、リィンも話を聞いてくれなかったのだろうとトヴァルは結論付けたのだが、エリゼはそんなトヴァルの考えを真っ向から否定した。

「私は遊撃士や猟兵のことを詳しくは知りません。ですが、リィンさんとフィーさん――二人の絆の強さくらいは知っているつもりです」
「それは、どういう……」
「フィーさんのために、リィンさんはトヴァルさんにあんな態度を取ったのだと思います」

 エリゼの話を聞き、先程のことを振り返るトヴァル。そして、自分の失策に気付く。
 貴族派が密かに国内外で活動する猟兵と、密に連絡を取り合っているという情報をトヴァルは掴んでいた。
 既に〈北の猟兵団〉を始め、大小幾つもの傭兵組織が貴族連合に雇われている。それに対抗するための力が必要だった。
 猟兵のことは猟兵に聞くのが一番。彼等の相手は、遊撃士や正規軍以上にリィンたちの方が手慣れている。
 そのためリィンに接触し、交渉を試みようと考えたのだ。しかし、そんなトヴァルの考えは、すべて見透かされていた。
 ユミルを猟兵たちが襲ってくれば、リィンは迷わず武器を取るだろう。しかし、その力を他人の都合や思惑のために振うつもりはなかった。
 特に、この内戦は貴族派と革新派の主導権争いだ。言ってみれば、帝国の歪な政治事情が生んだ内輪揉めとも言える問題。貴族派を擁護するつもりはないが、演説中に銃撃された宰相にしても、これまでのツケが回ってきただけの話であって自業自得としか言えない。そんな権力争いに首を突っ込み、命を懸ける理由などリィンにはなかった。ましてや、フィーを巻き込むなど論外だ。

「これは対応を誤ったかな……」

 出来ることならリィンを味方に引き入れたかったというのが本音ではあるが、こうなってしまってはもう交渉は無理だろうとトヴァルは肩を落とす。
 あの様子では貴族連合に肩入れすることもなさそうなので、それがトヴァルにとって不幸中の幸いとも言えた。

「私にリィンさんと話をさせて頂けませんか?」
「……エリゼ?」

 そんな意気消沈するトヴァルに声を掛けたのは、エリゼだった。
 エリゼがリィンを避けていることは、なんとなくアルフィンも察していた。
 なのに、リィンを庇うような発言をして、そればかりか彼と話をさせてくれと言う。

「大丈夫です。姫様」

 戸惑いの表情を浮かべるアルフィンに、エリゼは心配をかけまいと笑顔を見せた。



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