−世界で蠢く野望。それを阻止せんとするスーパーヒーロー達。
それにシャーリーとルッキーニは図らずしも巻き込まれてしまったわけで、
3人の歴代仮面ライダーが陰ながら護衛をしていた。

「でも、シャーリー。なんであの人達って仮面ライダーってのを凄く信じてんのかな?」
「なんでも仮面ライダー達に助けられたからしいぜ。でも、あの人達本当に少佐より年上なのか?
あたしとかハルトマンと同年代にしか見えなかったぞ」
「だよね〜」

シャーリーとルッキーニは智子や圭子達の外見がどう見ても10代後半であり、とても坂本より上の
年齢には見えなかったと言い合う。これは連邦軍の作戦の一環だと説明は受けたが、「人を若返えさせられる」
ほどの技術が存在する驚きは一塩だ。

「まあ、あんな可変戦闘機とかモビルスーツとかが普通にあるんだ。人を若返えさせるくらい
どうって事ないかもな

シャーリーは501在籍時から色々な未来の超兵器を見て、実際に乗ったりもした。
そのため「人を若返りさせられる」と言われても納得できるのだ。

因みに2人が乗っているオートバイは1944年当時から持ち込んだ軍用バイクである。(サイドカー付き)
そのため20世紀後半以降の洗練されたオンロード仕様オートバイに比べて無骨な外見であった。

「さて、任務先は……スイスか」
「スイス?あたし達の世界じゃどれに当たるんだろう」
「さあな。この世界はあたし達の知ってる世界地図と違うところが多いからな。地理的にはヘルウェティア辺りと思うけど」

2人はスイスへ向かった。その後ろに3人の仮面ライダー達もこっそりとついてきている。`5人`はいざ、スイスへ向かった。

 

 

 

 

 

 

−スイスは今時大戦においては最前線の一つであった。かつて永世中立国として繁栄した彼の国の地域は今や第一次世界大戦
を思わせる塹壕戦の部隊となっていた。市街戦ではモビルスーツなどは無闇に火器を使うわけにもいかず、
そのため連邦軍は決定打を打ち出せず、そのため、開戦以来今まで塹壕を挟んだ睨み合いが続いていた。
そこにデルザー軍団の使者の一人がいた。「鋼鉄参謀」。かつてストロンガーを最も苦戦させた改造魔人であり、
その力は軍団内でも一目置かれている「武人」である。

「来るか、X・アマゾン・ストロンガー……」
「今は11人になったというじゃないか仮面ライダー共も。楽しみだ」
「そうか、ジェットコンドル。貴様はあの時はいなかったな」
「ゴルゴ……奴さえいなければ」

彼は3人の歴代仮面ライダー達の気配を感じていた。そしてその傍らには未知の鳥人のような半機械人がいた。
その名はジェットコンドル。「戦わずして果てた半機械人」の称号を持ってしまった哀れな怪人である。
実は彼こそ、岩石大首領を除く「13人目のデルザー軍団の構成員」である。かつて空を飛ぶ術を持たなかった頃の仮面ライダー達相手には
制空権確保は「荒鷲師団長」のみで十分とされていたが、荒鷲師団長がストロンガーに倒され、超電子の力を手に入れたという報に焦った
大首領は切り札たる「半機械人」たる第二陣を投入した。それでマシーン大元帥らが呼び寄せられたのだが、実はもう一人いたのだ。
「ジェットコンドル」。荒鷲師団長を超える飛行能力を備え、もし無事に日本に来日できていれば、スカイライダーがいなかった
当時の7人ライダーを大いに苦戦させるのは間違いなかった。だが、彼は「死んだ」。公には「エンジントラブルによる事故死」とされているが、
蘇った彼曰く「ゴルゴ13にやられた!!」との事。つまりエンジンをゴルゴに狙撃され、倒されたという事実が明らかになった。
蘇った後は生前に戦う事のなかった仮面ライダー達への闘志を見せた。

「鋼鉄参謀様、ジェットコンドル様。この地に連邦軍の斥候が近づいているとの情報が」
「俺が行こう。ご挨拶にはちょうど良かろう」

ジェットコンドルは偵察も兼ねてその能力を発揮、その「斥候」のもとに向かった。

「し、シャーリー、あ、あれ!」
「う、嘘だろおいぃ!?」

2人のもとに「鳥人」のような怪人が姿を見せた。その鳥人は翼にミサイルや爆弾を抱え、2人を爆撃する飛行コースに突入している。

『避けろ!!』

不意に聞こえてきた声のおかげでシャーリーは爆撃の直撃を受けずに済み、バイクを操り、どうにか難を逃れる。だが、怪人はしつこく
再度爆撃を敢行するつもりだ。

「ルッキーニ!!」
「うんっ!!」

ルッキーニがとっさにバイクに格納していた「G55チェンタウロ」で応戦した。サイドアームはMG151である。

「あんた何者!?」
「俺はデルザー軍団の改造魔人(このほうが通りがいいためデルザー軍団の構成員は皆がそう自称している。後期メンバーも含め)`ジェットコンドル`。
小娘、そんなレシプロで俺に勝てると思っているのか?しかもそんなパスタしか能がない国のモノではな」

ジェットコンドルは自信満々に言い放ち、ルッキーニが履いているストライカーユニットの機種まで当てて見せる。

「うじゅ!?ロ、ロマーニャ人がいくらパスタ好きだからって馬鹿にしないでよ〜〜!!」

無論、ルッキーニはこれに怒り心頭。空中戦に入る。だが、ジェットコンドルは生前に米空軍や海軍主力の「F-4 ファントムU」と日夜激戦を繰り広げ、
米軍が「F−15」を作る一つのきっかけともなったとの噂を持つ猛者。さしものルッキーニも苦戦を強いられる。

「うわ、わわわ〜っ!!に、にゃ〜!!」

ルッキーニの飛行センスはマルセイユにも劣らない天賦の才能の賜物。だが、如何せん経験はまだまだ。冷戦期の米軍航空隊相手に戦ってきた
ジェットコンドルには経験差で押されてしまい、ミサイルの爆風で態勢を崩してしまう。

「ふっ、止めだ!!」

ジェットコンドル必殺のミサイルが雨霰の如く発射され、音速を遥かに超えるスピードで迫る。態勢を崩していたルッキーニには避ける事も、シールドを
貼るだけの余裕もない。

「ルッキーニィィィィィィィッ!!」

シャーリーが感情を顕にして叫ぶ。自分は戦闘員の落とす爆弾を避けるのに精一杯で援護に行くどころではなく、絶望を顕にしての
叫びであった。だが……

「ライドルホイップ!!」

ミサイルが誰かの手によって切り裂かれ、爆発する。ルッキーニはその誰かに抱きかかえられ、地面に無事着地する。

「エレクトロファイヤー!!」

シャーリーの上空にいた戦闘員は電撃によって始末される。そして、

「大・切・断!!」

シャーリーになおも攻撃をかけようとした戦闘員が首を一刀両断され、派手に機械部品をまき散らして爆発する。

 

−そして、シャーリーの前にその男達が姿を見せる。

「あんたたちは……?」
「圭子ちゃんから君達を守るように言われている者さ。それにデルザーの相手は俺達の役目だ」

銀の仮面の男はルッキーニを抱きかかえながら地面に降り立ち、静かにそういう。

続いてカブトムシのような仮面の男も云う。

「ああ。ココは任せな。ところで、貴様、何者だ?デルザー軍団なのか!?」
「俺はデルザー軍団13番目の改造魔人`ジェットコンドル`!!ライダー共、ここが貴様らの墓場よ」
「そうはさせん!仮面ライダーは死なん、貴様らをすべて倒すまでは!」

トカゲのような仮面の男も続く。野性的な外見とは裏腹に流暢な喋り方だ。

「ふん。まあいい。貴様らの名を聞いておこう」
「仮面ライダーX!!」
「仮面ライダーアマゾン!!」
「仮面ライダーストロンガー!!」

ライダー達はご丁寧に決めポーズまで決めてお約束の名乗りを上げる。ここにデルザー軍団最後の男と3人ライダーとの死闘が幕を開けた。
ストロンガー達はデルザー軍団に未知の怪人がまだいた事に驚きを隠せない。ジェットコンドル。かつてGと呼ばれた男に屠られし
改造魔人(半機械人)はここに日の目をみたのであった。

 

 

 


−あとがき

デルザー軍団最後の男「ジェットコンドル」。仮面ライダー好きなら知っている人も多いでしょう。
ストロンガーがもし当初の54話で放映されていればマシーン大元帥達に率いられて登場したであろう未登場怪人。
(もう一体のデザイン画もあったそうです)せっかくデザイン画があったのだから「スカイライダー」辺りに「デルザー軍団最後の生き残り」
とか言って出せばよかったのに。勿体無いですね。

※仮面ライダーアマゾンのキャラ付けは仮面ライダーSPRITS以来「片言キャラ」で固まった感がありますが、TV版後期以降の設定を顧みることにしているので、
普通に喋るようにしています

 

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