-仮面ライダーという存在。その詳細を調べていたフェイトは欧州でビックトレー級からいったん下船し、独自に調査に赴いた。フェイトの単独行動に不安を持ったレビル将軍は付近にいる`栄光の7人ライダー`にフェイトを見守るように要請。二号、V3、Xの三人がフェイトの一番近くにいたために彼らがフェイトの護衛を引き受ける事になった。

「ほう。あの子がなのはちゃんの友達か……あの子も魔法少女と考えたほうがいいな」

「しかし魔法少女ねぇ。仮面ライダーやっててこれほど不思議な事はないぞ、風見」

「ええ。まあ世界は広いってところですよ、一文字さん」

「確かに。、まあ世の中何があっても不思議じゃないからな」

一文字隼人達は遠くから双眼鏡などを使い、フェイトを“監視”と言おうか、見守りつつ、尾行をしていた。改造人間である都合上、彼らは普通の人間より遥かに遠くを見渡せ、遠くの音を聞ける。それと改造した双眼鏡などを併用すれば数万M先も見える。そのため、フェイトのデバイスのバルディッシュ・アサルトのサーチにもミノフスキー粒子やその他の障害物の関係上、ギリギリ引っかかない。数万M、つまり数キロの距離を保ちつつ、三人ライダーはフェイトを尾行していた。








――フェイトはそんな三人ライダーの行為を知る由もなく、欧州の街を闊歩していた。戦乱が激しいのを物語るように、フェイトが歩いている辺りの地区は過去の戦乱の遺物も相当数残ったままで、沈黙して放棄された“MS-06”ザクUや“ ZM-S08G”ゾロなどの大小のモビルスーツがビルやマンションなどにめり込むような形で擱座したままになっている。

「聞いた話だと、一年戦争からは少なくとも10年くらい経ってるってことだけど……復興する間もないくらいに戦争が起こったってことなのかな……?」

彼女は戦乱が激しすぎた故に復興がおざなりにされ、更に住民が街を放棄したためにゴーストタウン化してしまったこの街に哀しげな顔を見せた。ミッドチルダの中心部にも過去の災害などで放棄された都市区間は何箇所かあるが、それは“いずれ復興させる”という意志のもとに一時的に放棄したにすぎないが、この街は「もう二度と戻らない」という匂いが思い切り漂う。フェイトはこのような二度と戻らないといった感じは好きではない。過去に失った“大事なモノ”を思い出してしまうからだ。そんなフェイトをライダーとは別に監視する目があった。デルザー軍団である。

「マシーン大元帥様、時空管理局の魔導師らしき小娘がこの辺りをうろついてますが、いかがなされます?」

「泳がせておけ。魔導師がたった一人で何ができるというのだ?それに魔導師の装備ではストロンガーや歴代のライダーと対等に戦える我らに致命傷は与えられんからな」

マシーン大元帥はバダン大首領であるジュド直属の最精鋭軍団たる“デルザー軍団”の長である。そのため装甲は並のライダーキック程度ではびくともせず、時空管理局の魔導師の魔法でも並大抵のものでは傷もつかないほどの強度を誇る。それ故の自信である。ちなみに何故、バダンが時空管理局の事を知っているかといると、時空管理局の中枢に彼らのスパイがいるからである。それと彼らの情報網の広さも関係している。これが後のミッドチルダ襲撃が成功裏に終わる要因の一つでもある。

「その魔導師の特徴は?」

「ハッ、この写真が」

「ほう。例のあのプロジェクトの産物か……使えるな」

戦闘員から写真を手渡されたマシーン大元帥はニヤリとする。まるでフェイトのことを知っているかのような口ぶりであり、素振りである。バダンの情報網はフェイトが生まれた要因までをカバーしていたというのか。

「ご存知なのですか、大元帥」

「前に大首領の勅命で時空管理局のことをコンピュータで調べた時にこの小娘のことも調べておけと暗闇大使から通達されてな」

バダンは“コンピュータ”と言っても、普通の常識の範囲内で図れるコンピュータを使っていない。例えるなら非人道的な非合法な手段でCPUやハードディスクの代わりとなるモノを使用するのである。それはつまり“人の頭脳や口などである。この場合、時空管理局の機密を知り得る人間を手中に収め、“改造”すればいい。バダンはその点は抜かり無かった。








――数週間前 バダン移動要塞“サザンクロス”内


「何、時空管理局の事を把握しておけと?」

「そうだ。既に他の部隊が動いているが、この世界にも魔道師は既に来ている。把握くらいはしておけ」



蘇って間のないマシーン大元帥にバダンの大幹部の暗闇大使が指令を発する。立場的には暗闇大使のほうが若干上。暗闇大使は地球連邦が接触する以前より時空管理局のことは把握していた。そのためにこのような指令を出したのだ。しかもその魔導師が時空管理局の次代を担うであろう逸材である事も。つまりこれはなのはたちはバダンからも“障害になりえる存在”と見られている証拠でもあった。

マシーン大元帥はすぐにデータベースで時空管理局の事を調べた。すぐにデータベースは情報を弾き出した。

『ジクウ、時空管理局……ミッドチルダというある次元の惑星にて設立された安全保障機構……その形態は地球の旧国際連合に近く、多数の世界がこの時空管理局の体制に加盟、地球も交流を持つ』


――これはどういう事か。つまり、時空管理局はその詳細をナチスドイツ残党に新暦67年の時点で存在のみならず、組織形態、局員の個人情報に至るまでもが知られていたのである。新暦75年にナチスドイツがやすやすと制圧に成功した原因は兵士や兵器だけでなく、詳細な情報もナチス勝利の一端を担っていたのである。


「ふむ。で、要注意な魔導師は?」

『タカマチ、高町なのは。地球と同じ名と歴史を持つ世界出身。9歳で魔法と出会い、以後は魔導師として生活を送っている。魔導師としては有数の才覚があり、次代を担うエースと目されている』

簡単な説明だけでもこれほどに正確なあたり、バダンの抜かり無さが伺える。次いで、もう一人の人物であるフェイトのことが説明される。

「ほう。クローンか……哀れなものだな。借り物の器に創造主が望んでいない魂か……」

データベースが弾きだした情報にはフェイトの出自の根幹も含まれていた。彼女は人工的に造られたクローン人間であるという事実を。それは当事者や時空管理局の上層部でもなければ知り得ないはずの情報でもある。この世界で言えば過去にネオ・ジオン軍が行なっていた“プルシリーズ”に相当するだろうだ。違うのはそもそもの目的がフェイトの“姉”であり、遺伝子工学的にはオリジナルである、母親のプレシア・テスタロッサの実の娘であり、事故で夭折してしまったアリシア・テスタロッサの蘇生を目的としていた点だ。無論、人の蘇生はミッドチルダであっても不可能である。その領域にまで到達した世界はドラえもんの時代の地球と白色彗星帝国しかなく、その2つであっても「人の“人”としての蘇生」もよほどのことでも無ければ行われてはいないのをマシーン大元帥は知っていた。それ故にこう呟いたのだろう。そしてその戦力をも把握した彼はフェイトを敢えて泳がせたのだ。








「なんだろう、この感覚……なんだかよくわからないけど、ゾクッとする」

フェイトはなんとなくであるが、辺りに漂う何かの気配を感じていた。バルディッシュのサーチには反応しなくても、この世界で戦争を見てきて、戦場に立った事で第六感的な何かが養われたらしく、ニュータイプを思わせる素振りを見せた。念の為にバルディッシュを戦闘モードに移行させ、バリアジャケットも纏う。そしてそのカンは的中した。


「そこっ!!」

とっさにバルディッシュ・アサルトをザンバーモードにし、後ろに感じた気配に向けて居合い抜きのような形で振るう。――すると。


「ギ、ギギ……馬鹿な……探知妨害は完璧なはず…!」

デルザー軍団の戦闘員であった。彼らも常人を超越した身体能力の持ち主ではあるのだが、流石に普段から高速で動くフェイトには及ばなかったようだ。


「あなたは何者なんですか?答えて」

フェイトの語気に若干凄みが出る。完全に戦闘モードに入っている証拠だ。戦闘員は基本的に怪人や大幹部にとっては捨て駒のようなものであるが、彼らには彼らなりの誇りはある。斬馬刀を突きつけられてる状況ながら戦闘員はフェイトの問いには答えない。

「フ、そう簡単に口を割ると思ってるのか、青っちょろいガキめが」

「な……っ!」

「それにその場にいるのは俺だけと思ったのか?」

「えっ……!?」

フェイトはとっさに飛び退くと、銃撃されたらしく、チュインと地面に銃弾が当たる音と火花が散る。辺りを見回すといつの間にか多数の同じような格好をした者たちが銃を持って彼女を取り囲んでいた。そしてその中心には……。

「油断大敵だな、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」

「!なんで私のことを!?それに……!」

「冥土の土産に教えてくれる。我が名はマシーン大元帥。デルザー軍団を統率する改造魔人よ」

マシーン大元帥はフェイトの前にその姿を表す。ミイラ男を思わせる姿だが、機械のパイプが体の半身についており、半身が機械化されているのがわかる事から、噂に聞く改造人間だというのがわかる。

「その姿……まさかあなたが結城さんの言ってた……!

「ほう。結城丈二、いやライダーマンから我らのことを聞いていたか」

「なんであなた達は地球が戦争で大変なのにこんな事を平気でやれるの!?世界をあなた達の勝手にされるなんて誰も望んでない!!」

「それが神の意志なのだとしたらどうする?人など神から見れば土塊と大差のない存在にすぎん。それが真理なのだよ、小娘」

「ふざけるなっ!!」

フェイトはマシーン大元帥のこの発言に怒り、先手必勝と言わんばかりに自身の砲撃魔法では手軽に撃てる“プラズマスマッシャー”を放つ。この魔法は破壊力の観点から見れば、なのはのディバインバスターよりも上である。そのため、フェイトは改造人間であっても打撃を与えられるはずだと踏んでいたのだが……。

「ハッハッハ!!この程度の攻撃がこの儂に通じるとでも思ったのか」

煙が晴れると、そこには無傷のマシーン大元帥の姿があった。直撃の手応えを確信していたフェイトはあまりにも予想だにしない結果に愕然とする。

「そんな!?確かに直撃したはずなのに!?」

「儂は普通の改造人間とは出来が違うのだ!それと一つ教えといてやろう。儂を始めとするデルザー軍団の改造魔人には電気エネルギーは効かんとな……ほれ。お返しだ」



 ――デルザー軍団が仮面ライダーストロンガーの現役時代、緒戦で圧倒的優勢を誇った最大の要因。それはストロンガーのエネルギーである電気エネルギーを吸収かつ、放った主へ跳ね返す能力を軍団の構成員の全員が備えていたためだ。如何にフェイトのプラズマスマッシャーが魔力と電気エネルギーの相乗効果で破壊力が高いと言っても、電気エネルギーを封じられては威力を減じてしまう。加えてマシーン大元帥自体の装甲が歴代仮面ライダーの必殺技たる“ライダーキック”に耐えられる強度を誇っているせいもあって、大元帥に何らダメージを与えられなかったのだ。

――フェイトの頭上にプラズマスマッシャーが発揮するはずの破壊的な電気エネルギーが雷となって、彼女を襲った。マシーン大元帥の手心により、エネルギーはより増幅されて"跳ね返った"。雷が炸裂し、バリアジャケットをも焦がしていく。防御の間もない出来事であった。


「あ、あああああっ!!」

雷の突き抜けるような高熱と激痛は元々、防御力が高いとは言えなかった彼女の意識を消失させるには十分であった。電気エネルギー量はそのものはたとえ、重防御を持つなのはであっても決定打となり得るほどのものだったのだが、それが逆に災いとなった。そして意識を失い、バリアジャケットがボロボロになった彼女をマシーン大元帥はご丁寧に戦闘員に運ばせ、アジトへ連行した。






「敬介、待て!!」

「いいんですか先輩!?黙って見てろなんて俺にはできませんよ!」

その様子を黙って見てられるようなXライダーこと神敬介ではなく、血気に逸り、飛び出さそうとするが、V3こと風見志郎に制止される

「マシーン大元帥は俺達に尾行されてるとは微塵も考えてないだろう。あの子には悪いが、アジトを突き止めるまではああしてもらおう」

「いいんですが風見先輩。なのはちゃんにしれたら俺たち大目玉食らっちまいますよ」

「なのはちゃんとあの子には後でいくらでも謝るさ。だが、今はデルザーの野郎どものアジトを叩き潰すためにも多少の我慢はしてもらおう」

「風見……お前、なのはちゃんにどう謝るか考えておけよ」

「わかってますよ、一文字さん」

なのはの砲撃の鬼ぶりはハワイ沖海戦でV3らを通して他の仮面ライダー達全員に伝えられ、そのあまりの威力に、歴戦の勇士達も大いに肝を冷やしたのは言うまでもないが、アジトを特定するためとはいえ、敢えてフェイトに加勢しなかったとなのはが知れば、怒ってスターライトブレイカーを撃ってくるのは容易に想像できる。いかにしてなのはを怒らせないようにするか、風見志郎はこの時から策を練っていたのだ。

















――ロンド・ベル本隊はスイスへの途上でジオン軍・ザンスカール帝国軍・ティターンズの三連合の残党に襲撃されていた。なのはも智子と黒江の僚機として、アムロに率いられる形で戦闘に参加していた。


「あれは……?」

『ゾロにトムリアット、それにグフフライトタイプと……アッシマーのティターンズ仕様機だ。てんで機種はバラバラだが、侮れない敵だ、注意しろ」


「了解!」


「Zプラス隊は俺に続け!!綾香くん、そっちは任せる」

「がってん!」




――今回、アムロはνガンダムではなく、一撃離脱戦法を重視してZガンダムで出撃しており、現在はウェイブライダー形態にしている。基本的にZ系は一撃離脱戦法を前提に造られているからで、戦闘機としては失格としか言いようのない機動性しかないウェイブライダーもアムロの卓越した技能にかかれば“鷹”の如き強さを発揮する。敵方連合軍の空戦型のモビルスーツは形式もは愚か、運用法も全く異なる雑多な機種の集まりであった。組織の上層部にとっては頭が痛い問題だろうが、用兵側としてはやむを得ない措置だろうと、アムロは目星をつけた。


「タイミングをあわせて各自散開だ。いいな?」

「わかっておりますよ、大尉殿」

「行くぞ。3、2、1……今だ!!攻撃開始!!」



 ――アムロに率いられたZ隊は高度の優位を取った上で急降下。隊長であるアムロは愛機の一つである3号機仕様のZガンダムを駆り、Zプラスのパーツを使って改修されたために追加されたビームガンとビーム。ライフルを一斉射。敵編隊に穴を開ける。“推力はあるが機動性に劣る”という飛行特性は魔導師で言えば、なのはのそれに近い。歴史上で有名な軍用機だと、史上初の実用ジェット戦闘機であった“メッサーシュミットMe262と似たようなものだ。メッサーシュミットMe262はドックファイトが出来ないほどに劣悪な機動性でしか無かったもの、その飛行特性を把握した熟練者が操れば正に敵を一飲みにできる力を見せたが、ウェイブライダーにもその話は当てはまる。

「先手必勝……上手くいったな。各機、そのまま敵を撹乱しろ、厄介なザンスカール系の機体は俺達が沈める!他はジオンやティターンズの奴らをやれ!」

アムロはウェイブライダーを巧みに操り、敵の中では防御力に優れると思われる、ザンスカール系の機体を優先目標に定め、落としていく。これにザンスカール系モビルスーツのパイロット達は面食らう。

「馬鹿な!このゾロやトムリアットのビームシールドがZ系如きに……」



 何故、Z系モビルスーツのビーム・ライフルなどがビームシールドを持ち、ビームに対し強いはずの小型機の防御力を上回ったのか?それは小型モビルスーツに開発に遅れを取ったアナハイム・エレクトロニクス社が“せめて大型モビルスーツ分野だけは最先端でいよう”と必死の努力を続けて、機体や装備の能力アップデートを積極的に推し進めたために、ZガンダムやZプラスの総合性能が敵が想定しているよりも次元の高い領域にまで高性能化されていたのもあった。


――更に強いて言うなら、アムロ配下の小隊が使用している機体は通常型ではなく、対ビームシールド戦を想定して、最新技術で新造した機体を更に装備なども含めてチューンナップした上で、対応するためにジェネレーターを最新理論に基づいた小型高出力かつ軽量のものに変えた型で、ロンド・ベル隊員の要求に応えて、試験機名目で配備されてから間もない機体で、事実上、“ロンド・ベル特別仕様”と言っても何ら差し支えない高性能型であった。なので、ザンスカール系モビルスーツとも渡り合えるのだ。


「チィッ、せめて“白い流星”だか“白い悪魔”の機体を道連れにしてくれる!!」

隊長機のトムリアットがビーム・サーベルを構えて特攻してくる。トムリアットはトマホークが制式装備のはずだが、残党故か、サーベルを使っているあたり、求心力を失ってジオン残党以上の窮状に追い込まれたザンスカール帝国軍の有様がわかるというものだ。


「アムロ大尉!」

「落ち着くんだ。これくらいどうってことはない」

「で、でも」

「Zは伊達じゃない。……いいかい、よく見ておくんだ、こういう時のやり方は……」

トムリアットの鬼気迫る特攻に、戦闘しながら様子を見ていたなのはが思わず声を上げてしまうが、アムロは今や“お決まり”の名文句のバリエーションを織り交ぜながら落ち着かせると、Zを咄嗟にモビルスーツ形態に変形させて、敵の振り回すビーム・サーベルをかわし、敵機に蹴りを見舞って吹き飛ばすと、左手に持ったサーベルを横一文字に振るって一刀両断する。


「こうするんだ」

「ほぇ……す、凄いっ…」

このアムロの巧みな芸当になのはは思わず見惚れてしまう。そもそもモビルスーツは空中戦はあまり得意ではない兵器なのだが、見事な空中での動き、長距離移動用に位置づけられるウェイブライダーで小型モビルスーツを翻弄する操縦技術、れをとっても超一流である。Zでこれほどの戦いを見せるのなら、自身で一番の愛機と自負するνガンダム系統の機体なら更なる働きができるのだろうか。なのははそんなアムロに頼もしさを感じつつも“本当に敵でなくって良かった”と安堵した。






 ――アムロ・レイはジオン残党からは“白い悪魔”、ティターンズやその他の敵からは“白き流星”と畏れられ、ファーストガンダムで地球連邦軍を文字通りに勝利に導いた実力は今なお、健在である事を味方へ示すと同時に、敵には“ジオンの赤い彗星”すら打ち倒した最強のモビルスーツ乗りが連邦にはいるという旗印になり、その存在そのものが残党への抑止力となる。そのためにニュータイプであり、一年戦争の英雄であったアムロは現体制の連邦政府における改革の御旗と言おうか、その象徴として利用されていた。が、アムロ自身は一パイロットにすぎない男である。それはアムロ自身がよく認識している。が、シャア・アズナブルの生還を感じ取っていると思しき行動をとっており、、HI‐νガンダムの更なる性能改善に余念がなく、アナハイム・エレクトロニクス社のフォン・ブラウン工場と何度も電話を交わしているのをドラえもんやのび太達に目撃されている。。




――俺のこの感覚が間違っていなければ、シャアは生きている。奴のことだ、ササビーで対抗しきれなかったνガンダムと対等、あるいはそれ以上のモビルスーツを用意しているだろう。その時のために、HI‐νガンダムの完成度を100%にしなければ……

アムロはZガンダム三号機のコックピットでこう独白した。シャアの復活を確信し、シナンジュやナイチンゲールの情報も掴んだ事への焦りから、HI‐νガンダムの真の意味での完成を急いでいる事が妙実に表れていた。アムロ・レイ、シャア・アズナブル。二人の宿命はまだ終わってはいないのだ。



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