外伝その94『黒江の回想とゴタゴタ』


――坂本が問題視していた『日本からの内政干渉』は1945年8月に入ると、かなりの高レベルに達していた。軍令レベルでは、それまでのエリート層であった作戦参謀達(恩賜組と呼ばれる士官学校/兵学校五席までの層)がほぼ根こそぎ中央から追放され、親独的と見られた陸軍の青年将校や中堅将校らも含めて、中央から殆どが追放された。その後釜が史実で言えば、陸自第一世代になったであろう世代の自衛隊式近代教育を施された者達だった。当時は18から19歳であった世代の兵学校/陸士最終期の卒業者だが、教育が自衛隊式近代教育に切り替えられたため、実質的には『防大第一期生』も同然だった。しかも情報を重視する教育を施されているため、統合参謀本部設立準備室では、それまで『腐れ士官』と自虐していた情報参謀達は一気に出世街道まっしぐらと化した。恩賜組が『ペーパーテストだけ優秀な無能』といきなり烙印を押されてアリューシャン送りになったり、情報参謀の軽視を『エタヒニンのごとく』罵倒されて、士官学校/兵学校で恩賜組であったのに、出世街道から外れた事への不満が暴発寸前の状態にあった。『未来は一本道では無いのに、自分達に何故、弁明や名誉挽回の機会を充てないのか?』という、もっともな弁解であった。

「黒江はクーデターを暴発させておいて鎮圧するようだが、日本の奴等は何故、彼らに名誉挽回のチャンスをやらん?」

「奴等に取って、今の政府の官僚や首脳、軍部は『国家を破滅させた』元凶よ。名誉もクソもないと思ってるんでしょうね。それで、ウィッチ部隊が本土は多めだったのもケチつけてるから、ウィッチ部隊がドンドン解散になってる。だから、ウチが受け皿になるのよ」

「なるほどな。しかし、高度一万まで上昇しないと落とせん爆撃機をウィッチが相手にする必要はあるのか?」

「あるのよ。ウィッチは高高度戦闘に不慣れ。そこに20ミリでも落ちないようなB-29が来てみなさい。たちまち霧散よ。それを逆プロパガンダされてみなさい?その次の日から予算はゼロ。居場所は無くなるわ」

「財務官僚というのは面倒だな」

「内なる敵は内務省じゃないわ、財務よ。あれのご機嫌を取らないとね」

「そう言えば、黒江は?」

「綾香なら、バルカンベースで飯を食ったら、上から潜入捜査を命じられたらしくて、出かけるそうよ」

「しかし、あいつは顔が知られすぎてるはずだぞ?隠密行動など」

「うんにゃ、出来るんだなー。容姿を変えりゃな」

「黒江か!?なんだその姿は!?」

「お前にゃ知らせてなかったんだけど、前史で得た変身能力だ。訳あって、別人の姿をもらってさ」

黒江は『前史からの引き継ぎ』能力として、『月詠調の容姿に肉体を再構成できる』事を見せた。14歳ほどの別人になりきるという事なので、普段の姿で行動しにくい時などは用いるらしい」

「ウルトラ○ンか、お前は」

「しゃーない。私ゃレイブンズの筆頭だ。隠密行動は普段の姿じゃできねー。隠密行動で容姿を使い分けるのは、艦娘の連中もしてることだし、私も前史のある事件から出来るようになった」

黒江は声をまだ変化させていないが、容姿は変えているので、まるで別人のようである。肉体を再構築するので、単なる変装と次元が違う。この手法は艦娘もメンタルモデルモードという触れ込みで、一部の艦娘が常用しており、顕著な変化がある『タカオ』が好例だ。

「うーむ。そこまでしてやる必要があるか?」

「化粧とかだとパターンを解析されるし、これなら、肉体そのものを変えてるから、警戒されない。まして、未来世界とも別の世界にいた奴の姿を借りてるしな」

声色も、この一言を言い終えるタイミングで変化させる。普段の声と性質が全く違う、調の声色となる。

「んじゃ、行ってくんぜ」

「待て、その姿で聖衣は纏えるのか?」

「聖衣は装着者に合わせて伸び縮みするし、別の手段も用意してあるさ」

「しかし、肉体そのものを任意に変化させるとはな。漫画の忍者のようだな」

「21世紀以降の常識がある組織のボディチェックは厳しいしな。それと、昔から思ってたけど、お前さぁ、なんで想像が斜め上を行くんだよ。魔法少女っていうところだろ、ここは」

「見てないしなぁ、そっち系」

「お前って奴は……せめて、サ○ーちゃんかメ○ちゃんとかの古典くらいは見よーぜ」

坂本はまったく、魔法少女モノには興味がない。黒江は潜り込みの任務の必要上、古典モノから『セー○ームーン』などまでの一般常識レベルは見ている。更に言えば、数人の弟子が、かつて『魔法少女』であった者達なのだ。その方面に疎いあたり、坂本は男性の感性である(黒江はかつて、女の子らしかった時がある&智子が見ているため)のが分かる。

「その方面は智子が買い込んでるから、あいつに聞いとけ」

「あ、行く前に話してくれんか?その姿をどうして得る事になったのか」

「時間が思いの外あるから話しとく。あれは前史の時に、古代ベルカの遺跡を調査してて、悪落ちのほうの数代前の双子座の黄金だった冥闘士と戦闘になってな、アナザーディメンション食らったんだよ」

黒江の回想はこういうものだった。元双子座の黄金であった冥闘士にアナザーディメンションを放たれ、防御しようとした際、誰かの声が聞こえ、そのタイミングを逸した事、そこからまた別の地球に飛ばされた事。それが発端だったと。

「その時に、神格で存在の強い私が誰かの存在を玉突きやっちまったらしく、この姿の本来の持ち主の姿になってたわけだ。大変だったぜ?演じたりして。それである時に演技が面倒くさくなったのと、非道に加担するわけにはいかないから、そいつがいたとこからぬけ出した。そこからが面白かったぜ?」

「面白かった?お前、遊んだろ」

「たりめーよ。状況は楽しまんとな。で、この姿でエクスカリバーとかブッパしてやったよ、その世界の連中のあの顔な〜」

「このいたずら小僧め。エアで無いだけマシか……」

坂本が呆れる。黒江はいたずらっ子な面がある。それがその世界での『遊び』となった。黒江は口調を普段のそれに変えた事や、エクスカリバーを放って消えた事で、黒江が入れ替わった調の親友であった『暁切歌』が誤解してヒステリーを起こし、気遣ったマリア・カデンツァヴナ・イヴが行方を追う事態となった。『エクスカリバーをアームドギア無しで使った』という事態に、相対した側の『特異災害対策機動部二課』からも『融合症例?』と誤解され、追われる身となった。

「で?どうなった?」

「金無かったから、そのまま日本のコスプレ喫茶でバイトして稼いだよ。そういう格好してたし」

「余裕だな」

「だって、私ゃ天秤/射手/山羊の黄金だぞ?そいつらが束になろうと、廬山百龍覇でもブッパすりゃいいし、無一文じゃ何も出来んだろ」

「追われてる身を逆手にとった、か」

「ああ。我ながら、いいアイデアだったよ」

黒江は神格であるため、ギアへの適合係数が低い調と異なり、シンフォギア『シュルシャガナ』の展開時間の制限が無い。神格化していたため、肉体へのバックファイアがない故の芸当だ。その姿でコスプレ喫茶のバイトをするという大胆不敵な行為を働き、追うのに必死になる勢力を尻目に、ギアを事もあろうに、アルバイト目的で使ったのだ。それが吉と出た。そこからの移動で『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』に見つかったが、彼女のガンニグールを、アトミックサンダーボルトで退けている。これは小手調べの意図があっての事だが、超音速と光速の動きにマリアは当然ながら対応できるはずはなかった。

『悪いが、逃げさせてもらうぜ』

『お前は何者!?なぜ、調の姿をし、ギアを纏っているのだ!答えろぉ!』

『私に聞くなよ、ガキンチョ!こっちだってわからん!』

『わ、私は20歳だッ!』

『バーロー、こちとらな、年金世代なんだよ!……我が拳よ、正義の矢となり、悪を討て!』

マリアは、思わぬ子供扱いに、口をついて言葉が出るが、21世紀が10年を超える時点では、黒江は『100に手の届く老婆』であるほうが自然な年齢である。マリアが明確に目の前の人物が『月詠調』では無いことへ確証を持った瞬間であった。調は『誰かの痛みを知らない人間が形だけの善意を振りかざす事に否定的』であるが、黒江は聖闘士であるし、正義の味方である『7人の仮面ライダー』を強く慕い、『自分なりの正義を貫く』事を信条とする。その差が示された。技の口上に正義という単語を入れている、光の矢を番えているような姿であったのもポイントだった。

『アトミック!サンダァァァボルトォォォ!』

マリアには『光が広がり、自身を覆うように広がるように』しか認識出来なかったが、アトミックサンダーボルトは光速拳を乱打する技で、流星拳の究極系と言える。それをモロに喰らう。ギア越しに食らったのが幸いし、昏倒は免れた。

「ま、待て……お前は何者だ……」

「オリンポス十二神を守りし闘士であり、魔女(ウィッチ)。そうとだけ言っておこう」

「お、オリンポス十二神……だと…?」

「さらばだ」

その瞬間、マリアには目の前の『月詠調』の姿を持つ少女が『黄金の甲冑を纏っている』ように見えたという。


「――ってな感じで、第一波は退けた。聖闘士の経歴は、吹かしにゃちょうどいいからな」

「お前、ハッタリは十八番だよな、本当」

「そうじゃなきゃ、レイブンズの筆頭やってられっかよ。それで、別の奴が来た時は石破天驚拳でふっ飛ばした。別の所の追手で、銃使いだった上、ガキンチョだったし。相手にする気はなかったんでな」

それは雪音クリスの事だが、黒江は子供扱いし、まともに相手にしなかった。石破天驚拳を放ったのは、クリスのアームドギアが銃火器であったため、流れ弾を気にしたからだ。続いて、風鳴翼が天羽々斬で食らいついてきた時には、アームドギアをエンペラーソードとして生成、エクスカリバーの力を上乗せし、本物と同等の威力を達成し、飛天御剣流の心得も活用し、対等に渡り合った。その事もあり、特異災害対策機動部二課からも『シュルシャガナを纏う謎の少女』と位置づけられ、第三勢力扱いを受けた。翼と同じ武器で対等に渡り合い、剣技の立ち回りで龍の如き動きを見せた事から、翼からも『尋常ならざる相手』と見なされた。それは翼の剣技が、剣技で鳴らした黒江に食らいつけるほどである事の証明だが、天羽々斬を『絶刀』と自負していた彼女に取って、それに打ち負けない剣『エンペラーソード』は脅威だった。

『雷鳴を切り裂け、エンペラーソ――ドッ!』

(帝王の剣だと?聖遺物の力を上乗せして強化する……何なのだ、あの剣は!?)

黒江の得意とするのは、武器にエクスカリバー、あるいはエアの力を上乗せした『斬艦刀』の形成。これは自己の力で行っているので、シュルシャガナは儀礼的に纏っているだけであった。黒江はベースとなる武器さえあれば、好みの武器である斬艦刀に作り変えられるという、神格としての力がある。それはシンフォギアのアームドギアであっても同じだ。ただしシュルシャガナの影響で、ギミックが追加されており、剣の刃の部分に鋸刃が起き上がり、チェーンソーのようになった。


「――で、そいつで遊んだのか?」

「牙突の試し台にしたよ。そいつも驚いてたよ。牙突は一式でもビリヤードのキューを弾くような態勢から平突きをするから、奇異に見られたけどな」

「零式じゃないんだな?」

「あれは胴体ぶっ飛ぶスプラッタになるから、人間相手にゃ威力過剰だよ」

――牙突の最強型『零式』。斎藤一最強の技で、間合いの無い密着状態から、腹筋に胸筋、背筋、両腕などの上半身のバネで瞬時に極限まで振りかぶった刀を繰り出し、串刺しにする必殺技である。黒江は長年の鍛錬で身につけていた。シンフォギア奏者相手でも威力過剰なため、使っていない。ましてや斬艦刀で行えば、シンフォギアをも貫くのは必定だからだ――

「一式と二式をぶち込んだだけだが、奴さん、斎藤一の技って聞いたら、目を丸くしてたぜ」

「そりゃ、そこの世界には緋村抜刀斎はいないしな。彼も藤田五郎に専念しただろうし」

黒江は斎藤一に圧倒され、『犬娘』呼ばわりされた事があり、牙突をハルトマンに頼んでまで、長年かけて覚えたのは、彼を見返したい一心だった。その結果、転生を挟んだとは言え、零式までを習得するに至った。黒江の剣は転生後、比古清十郎には『まだまだ青臭い』と評価されたが、その努力は認められ、斎藤も輪廻転生してまでの長年をかけて、自身の技を必死に覚えた努力を認めたのか、『そこまで俺の技を極めるとは…気に入った、娘にならんか?』と珍しく、素直に褒めている。黒江は斎藤から見れば、おおよそギリギリ孫世代(比古清十郎からは曾孫)にあたるので、斎藤も子供を持つ身故、長男に近い年代の子供相手には普段の冷徹さは和らぐらしい。また、斎藤は剣心らの前では家庭人の面は見せていないので、その点が驚きの的だった。


「で、最後の一人が根性あってな。アトミックサンダーボルトからの彗星拳に耐えたぜ」

「ほう。頑丈な奴がいたものだ」

「ローリングクラッシュ食らわせたよ。タフだったから」

その相手である立花響は、その時間軸ではシンフォギア『ガンニグール』との融合が進みつつあったため、アトミックサンダーボルトからの彗星拳の連撃を堪える耐久力を持っており、流石にローリングクラッシュを使わざるを得なくなったと明言した。響のガッツは黒江も目を見張るほどで、その三連撃を食らってもまだ起き上がり、食い下がろうとしたほどだ。(逆に言えば、他の奏者であれば、とっくに昏倒するダメージでもある)

黒江と素で渡り合うには、彼女らの司令であり、翼の叔父『風鳴弦十郎』の身体能力を必要とする。素で聖闘士の領域に達する彼の戦闘能力は『下手な青銅、いや、白銀以上だ』と黒江を驚かすほどに屈強である。小宇宙の片鱗に目覚めているのではないか?とも推測している。(ただし、驚異的な身体能力の理由がそれとしても、ノイズには対抗できないので、完全ではないと言えよう)

(あのおっさん、竜馬さんに声似てるせいか、めちゃ強いんだよな〜。なんか往年のジャッ○ー・チェンのファンらしいし)

「で、色々あって、そいつらに捕まって、協力する事になって、最終決戦にゃ射手座の神聖衣を使った。驚いてたよ。黄金の甲冑が気合で神々しいデザインになったんだし」

「それでバビロニアの宝物庫を消し去るために、敵をサジタリアスの矢で貫いたのか?」

「アテナの加護がある神矢だ。聖遺物だろうと、神の力は防げん」

神聖衣。彼女らのシンフォギアにとっての限定解除に当たる最強の聖衣。アテナの血、極限までの小宇宙の二つが合わさって起こる奇跡の形態であり、人に神を屠る程の力をもたらす。黒江は借り物であるシュルシャガナではなく、神聖衣を使うことで、自らが月詠調ではないことを暁切歌、マリア・カデンツァヴナ・イヴへ明確に示した。

「調は無事なのデスか!?」

「どこかで生きてるはずだから、安心しろ。お前達がシンフォギアで奇跡を起こすように、私達は第七感、第八感、第九感を研ぎ澄まし、奇跡を起こす。その証が神聖衣だ!!」

「ゴッドクロス……」

と、切歌に言ってみせ、調が無事であると教える。転移前の古代ベルカの遺跡での声が彼女のモノというカンからのものだが、切歌には何よりの安らぎと安心を与えた。


「――で、結局、お前はその世界の戦いに二度くらい参加して、元の姿を取り戻して、その後に能力を得た。タイムパラドックスも絡むな?」

「ああ。向こうはヴィヴィオのオリジナルの側近として、私の姿で過ごしてたみたいだから、お相子だよ」

調は、古代ベルカの女王『オリヴィエ』(ヴィヴィオのオリジナル)に黒江の姿で側近として仕え、ベルカの騎士として生きていた。そのため、黒江がシンフォギア世界に飛ばされたのは、調の意志が起こした奇跡と言えた。黒江が調の姿で過ごしていたため、そのフィードバックが起き、黒江は調の姿への変身、ギアの起動をそのまま得た。対する調も、黒江の闘技を会得していたり、古代ベルカ式の魔法を得ていて、騎士としての嗜みを見せるようになり、切歌とマリアを驚かせた。そのため、黒江は持ち合わせの小型フエルミラーで増やしていた『シュルシャガナ』を事後承諾で得た。こうして、第二のシュルシャガナは、智子のジャパニウム鉱石のペンダントと同じような位置づけの品となったわけだ。

「魔法少女事変までは私がどうにかしたよ。間が空いてなかったからな。そこのタイミングでケイが居場所を特定してくれたのは良かったけど、けっこー楽しんだよ」

「なるほど、その子の姿を借りるって、ウルトラセ○ンみたいな話だな」

「そう言うと思った。だけど、お互いに入れ替わったから、セ○ンとちょっと違うな。ほんじゃ行ってくる」

部屋を出て行く黒江。この能力はグランウィッチしか知らぬ最重要機密である。そして、黒江がイレギュラー的なシンフォギア奏者として、シンフォギア世界で分類されなおした事も。

(あいつほど、運命に翻弄されたウィッチはおらんだろう。自衛隊の幹部自衛官、地球連邦軍の将校、黄金聖闘士、シンフォギア奏者。肩書が増えていくからな。しかも、『今度の戦争』で華族に列せられると来ている。あいつは神々に好かれておるやもしれんな)

黒江のように、神々に歴史改変の繰り返しを容認されている者は少ない。あとはドラえもん達だけだ。歴史改変という行為は本来は望ましい行為では無いが、兜十蔵の願いを歪んで解釈し、破界神となったマジンガーZEROが生まれてしまい、自分のわがままで因果律を弄っているため、世界がいくつも滅んだ。この事態を重く見たクロノスとZ神が自身らの認めた『真に善となる者』達にのみ、歴史改変を許した。つまり、黒江、坂本、ドラえもん達はクロノス/ゼウスの公認で歴史改変を行っているのだ。高位の神々をも悩ますほどの悪魔を生み出してしまったあたり、兜十蔵は人類史上最高レベルの光子力/ロボット工学者だったのが分かる。因果律兵器はオリンポスの神々は愚か、原初の神々ですらも悩め、ひいては唸らせるので、ZEROは因果律操作という点では、あのマジンカイザーですらも超越したと言える。そのカウンターたるマジンエンペラーGを、ゼウスの補助が入ったとは言え、一から作り上げる兜剣造も、非凡な才能の持ち主である。坂本はマジンエンペラーの真の役目が『マジンガーZEROを倒すための魔神』である事を知っていた。ゼウスから聞いたためだ。ゼウスの思惑に乗っかる形で、自分と黒江は動いている。その自覚からか、シニカルな笑いを見せる。ゼウスはともかくも、クロノスは信用していない故である。クロノスはイタズラも好む神である。その点からだ。

――基地の敷地内で、調の姿になった黒江の聖詠が響く。『シャルシャガナ』。それが黒江が得た新たな『力』。月詠調の姿を借りてでも、貫きたい信念。それは、シンフォギア世界の中心に位置している『立花響』の若さとひたむきさ、純粋さが、新たな戦う理由を与えてくれた証。それが立花響が黒江に紡いだ奇跡だったのかも知れない――



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