クノンも来ているようです。

でもベルフラウ……立ち聞きはよくないですよ……。



「どうやら……本当にそうみたいね」

「ってあれ? 途中でアキトさんに会いませんでした?」

「アキトさまは今お休み中です。先ほど作業用のロボットが暴走したのですが、それを沈めるために派手な技をつかったらしく」

「あはは……反動ですね……」

「半日もすればよくなると思われます」

「わかりました、今回はアキトさんに休んでいてもらいましょう」



私は苦笑しつつも、アキトさんの行動が目に浮かぶようでした。



しかし、この事が戦いをより厳しいものにする事になるなどと、



そのときの私に気づく事が出来るはずもありませんでした。




Summon Night 3
the Milky Way




第八章 「臆病であるという事」第六節



あの後、やはり反動で動けなくなった俺は、筋肉痛や筋肉の硬化を抑えるためクノンに世話になっている。

最近毎度の事のようで少し申し訳ない。

アティ達は集いの泉の方にいったようだ、なんでもボヤがおこったらしい。



「誰が仕掛けたか……」



あのロボットの暴走事故もだがボヤにしてもだ、俺は作為的なものを感じる。

そして、一番分からないのは、ボヤが2箇所でおこっているのに対し暴走事故はあれだけ。

考えて見ればボヤは子供でも出来るのに対し、

暴走事故を故意に起こすとなれば機械にたいする知識がかなりの域に達していなければならない。



「とても同じ奴がやったとは思えない」



独り言とはいえ、俺はつぶやく、どうしても納得いかない。

狙いはなんだ?

俺か? それともアティ達? やはり剣なのか?

恐らく剣の線が一番濃厚だろう。

それを狙っている者にとって俺が邪魔だったから……ボヤは他に目を向けさせるためとも取れる。

しかし、現在剣を欲しがる勢力は帝国軍だけで、個人的には怪しい者がいるにしても、狙う理由は読めない。

思考がループしかけた所にふと気配がした……。

誰かやってくるらしい、この気配……。



「珍しいな、ここに来るとは」

「なあに、そうでもあるまいよ。ケイホウソウチとかいうたかの。それを貰おうとおもうてな」

「ああ、ボヤ騒ぎの事か」

「その通りじゃ、まったく物騒になったものよのう。

 しかし、あれじゃな。そなたはいつもここのおるのう」

「余計なお世話だ」

「そうそう、そなたの護衛獣も来ておるぞ」

「(こくり)」

「ハサハ、きてくれたのか」

「おにいちゃん……むちゃしちゃだめ」

「ほんにのう、いつもいつも、ようこのように動けなくなるものよ」

「わかったわかった」



いつものからかいの言葉、しかし、その言葉には力が無い。

おそらく予想していなかったのだろう、この島は長い間平和だったと聞く。

ミスミは飄々とした感じを崩してはいないが、怒りを押し殺しているのを感じる。



「だが、それだけじゃないんだろう?」

「ふむ……そなたは誤魔化せぬのう。

 本当は、わらわも参戦したいのじゃが……キュウマに止められてのう」

「なんだ、そんな事か」

「そんな事とはなんじゃ、まったくキュウマときたらわらわの事は特別扱いしおって。

 ちょっと暴れたらうるさいといったらないわ!

 今日とて来ぬように念押しされたゆえ仕方のうこんな事をしておるのだ」



なんというか、ミスミも可愛い所がある。

まさか、部下に言われた事を律儀に守っているとは。

いや、今の護人はキュウマなのだからどちらが上という訳ではないのだろうが。

明らかに二人の関係は主従だしな……。



「だが、どう思う?」

「何がじゃ?」

「そのボヤ騒ぎがあったのは確か二箇所だよな?」

「そうじゃ。わらわの郷を焼き払おうとするとは……許せぬ」

「だが同時におかしいと思わないか?」

「おかしい、ふむ……そういわれてみればどこか違和感がある気もせぬでもないが」

「第一に、帝国軍は今まで俺達をナメていた、

 焼き討ちや破壊工作といったものは簡単に勝てる相手ではないと思うからこそやる意味がある」

「ふむ、じゃが度重なる敗退でその考えを改めたという事も考えられるぞ?」

「確かにな、だがもう一つおかしな点がある。焼き討ちというのは一箇所や二箇所では消される恐れがあるから普通何箇所も同時に行う。

 少なくとも奴らの兵力なら全ての郷に2、3箇所。その気になれば5、6箇所づつ火をつけることが出来るはずだ」

「ふむ……あまり褒められた方策ではないが、火責めとは確かにそういうものじゃ。じゃが、奴らにその知識があるのかのう?」

「なるほど、稚拙ゆえにか……」



確かに、そう考えられなくも無い……。

軍師や将軍格なら兎も角、彼らは多く見積もっても中隊規模に過ぎない、

この世界の軍事知識がそれほど発達していなければそういう事も考えられる。

しかし、どこか引っかかる。



「そういえばお主、ここのカラクリと戦ったらしいの」

「ああ、大型の奴らを止めるのに少し力を使いすぎた」

「はて、面妖な話よの。あれらのカラクリが暴走した事は無いでもないが、集団でというのは初めてじゃ」

「そういえば……」



あいつらはインターネットのようなものでデーターを常に更新するタイプではないらしい。

その証拠は今までの事を考えればわかる話だ、あのゴミに埋まっていたゼルファルドは長い間止まっていたようだが、

他の機械達の目に止まらなかったようだし、それに、メンテナンスを外れて停止した機体の捜索をしている風でもない。

例えば前にアティが見つけた自販機が稼動している事をクノンは知らなかったようだしな。



「となれば……やはりあれは誰かが起こしたと考えるべきか」

「ほう、そのような事可能なのかえ?」

「恐らくは、この世界の機械というものは完全に把握していないが、俺達の世界のものとそう違わないなら……」

「そうなるとますます分からなくなるのう」

「……いや、なるほど」



機械をどうにかできる、その前提で話をするなら、機界ロレライルの住人か俺達の世界の住人に限定される。

アルディラのような融合機人が自分に感染しかねないウィルスを持ち歩くとは考えづらいし、消去法でいくなら外部の者か俺という事になる。

俺は当然それをしていない、後残るのは外部の者、新たな機界の住人が召喚されたのではない限り

奴……、そう、北辰くらいしかウィルスを仕込める者はいないだろう、そして、奴は元々破壊工作のプロだ、やろうと思えばやれるはず。

しかし、分からない。このお粗末な仕掛けに手をかす理由が……。

それに、ある程度予想していた事とはいえ、罠の作動は確認されていない。

軍隊の動きはつかんでいるものの、個々をカバーするには数が少なすぎるのだろう。

北辰の動きも何度か確認されたそれのうちいくつが本当なのかすらわからなかった。



「となれば、理由を作ってやればいい。奴が俺と同じような境遇だとすれば……。そうなれば確かに可能か」

「どうしたのじゃ? 独り言など」

「なに、少し考えたんだが、あの剣は一本だけなのか?」

「あの剣とな……もしやアティの持つ封印の剣の事か?」

「封印の剣というのか、まあそういうことだ」

「……もう一本ある、紅の暴君と呼ばれる剣がの……」



それならば、奴もまた剣に縛られている可能性が高い。

剣の主がアティから剣を取り上げる事を目的としているなら……。

アティが危ない……。



「所で、ボヤ騒ぎを見つけたのは誰だったんだ?」

「んっ……」

「おひげのかいぞくさんと、さとのこたち」

「ヒゲの……ああ、ジャキーニか。もう一つは子供……」

「正確にはスバルとパナシェが見つけたのをあのイスラとか言う者が通報したらしいが」

「……? 何故イスラはそんなところに?」

「なんでも、スバル達と遊んでいたらしいのう」



スバル達と……ちょっとまでラトリクスではなくて風雷の郷でか……!?

元々奴は黒に近いグレーだったが、これで殆ど真っ黒のようだな。

ならば、郷が危ない……。



「ミスミ、急いで郷に戻れ。奴らは風雷の郷の住人を人質にする可能性がある!」

「なんだと、それはまことか!?」

「理由は後で話す! 恐らく時間が無い!!」

「くっ!?」



俺も何とか動こうとするが、筋肉が悲鳴をあげる。

立ち上がって歯を食いしばる俺をハサハが首を振って止める。



「まあ、わらわに任せておけ。これでも白南風の鬼姫と呼ばれた事もあるでな」

「白南風というのははじめて聞いたな」

「そうかの? 最近はただの鬼姫としかなのらなんだからのう。まあいい、それは後ほどゆっくりな」



ミスミはどこか嬉しげにウィンクをしてから気配ごとここからいなくなった。

ミスミが消えた後には確かに風が巻いていた……。














風雷の郷付近の森の中、人影が二つ存在している。

二つとも木陰にまぎれて姿は判然としないが、どちらも痩せた体躯を思わせる細い影をなしていた。

影の一つはもう一つに話しかける。



「あれで良かったのか?」

「ええ、ボクの事に気付く可能性があるのは彼だけでしょうから」

「……」

「失礼、貴方のほうが良く知ってるんでしたね」

「それで、これからどうするつもりだ?」

「今しばらくは貴方の事は伏せておきたいと思います。切り札というのは明かしてしまうと効力が半減してしまいますからね」

「フンッ……だが……」

「ええ、約束の事は忘れていませんよ。貴方のお相手には手を出さない、もっともそんな気持ち僕にはわかりかねますがね」

「……なら好きにすればいい」

「はい」



会話が終わると同時に、人影の一つは姿をかき消す。

もう一つはそれを確認した後、何事も無かったかのように森の中から郷へと歩いていく。

しかし、影はどこか嬉しさをこらえ切れないようにつぶやく。



「もう、僕に怖いものは無い……」



そのつぶやきを聞く者がいたとしたら、先ほどの会話をなしていた影がまだ潜んでいた場合だけだろう。

しかし、もう一つの影はそんな事は気にせず、表情を柔和な仮面で覆い郷へと向かっていった。















集いの泉でその話を受けてから、私はボヤがあった場所へと直に向かうことにしました。

まずは、近い順でユクレス村へ。

もう一箇所の風雷の郷に関しては帰りのほうがいいという判断で後回しになりました。

発見者のマルルゥとジャキーニ船長に話を聞きます。



「ヒゲヒゲさんたちと果物を取りにいったら火がぼおーって。あわててみんなで消したのですよ」

「はっはっは、ワシらに感謝せいよ」

「ありがとうございます」

「あ、いや……ど、どういたしまして」



豪快に笑うジャキーニ船長に礼を言うと、急に戸惑ったような事を言います。

ああ、もしかすると照れているのでしょうか。

普段そういう立場にないでしょうから、仕方ないのでしょうけど。



「もう一つはワラなんかを置いていた小屋ですか……。

 どちらも、火の不始末とは無縁の場所ですね。

 さらに、いずれも風下に集落があったことから考えると」

「焼き討ち、か」

「だとすれば、帝国軍の仕業っていうことに……」

「……」

「連中が次に狙うのは他の集落か、それともアタシらの船か……。

 どっちにしろ警戒はするべきね」



放火なんて、ううん……彼女の性格だとそれは無いように思う。

でも、帝国以外考えられない……。

私達と敵対している組織なんて帝国軍だけだもの。



「果樹園に火をつけたのは間違いなく帝国軍の連中だぜ、前に戦った時の匂いと同じのが残っていたからな」

「そうですか……」

「ただ、女の匂いは感じなかったな。アンタの知り合いが直接手を下したってことだけはなさそうだ、ちっとは慰めになったか?」

「はい……ありがとうございます。ヤッファさん」

「だが、ケジメだけはしっかりつけねえとな」

「わかっています……」



絶対にやめさせなくちゃ……。

力づくばかりがいいとは思えないけど、なんとしてでも止めたい。

最悪、剣は渡してしまってもいい、アキトさんに影響が無いならこの剣そのものに未練はない。

ただ、力を与えてくれたこの剣に対しては不義理だと思うけど。



「けど、襲われるのをただ待っているだけなんて、なーんかムカつかない?」

「あ、鎧さんが言ってたのですよー。パタパタさんが空から探してくれてるって」

「なら、とりあえずはその報告を待とうや」

「ですね……では、私は風雷の郷の方に行く事にします。向こうの事情も知りたいですし……」



ただ待つなんて事、私には出来ない。

これ以上被害を出さないためにも早くなんとかしないと。

たとえちょっとした手がかりでもいい、真実を知りたい。

アズリアがそんな事をするなんて信じられないから……。

そんな時、マルルゥが声を上げました。



「あ、パタパタさんが戻ってきたですよ!」



多分、私がラトリクスにいたときから探していたのでしょう。

とはいえやはり空を飛べるというのは大きいですね。

私は期待の面持ちでフレイズさんに駆け寄ります。



「アティさん……」

「どうでした!?」

「帝国軍は、森の中を移動していました。上から見る限りかなり急いでいる様子でしたよ……」

「きっと、またどこかを火事にしちゃうつもりなのですよ!?」

「……」



やはり帝国軍なのでしょうか……信じたくはなかったのですけど。

アズリア……。



「わかりました、急いで行きます。案内お願いしますね」

「ファルゼンさまには、すでに知らせておきました。アルディラさんへの知らせはどうしますか?」

「おおよその位置さえ教えてくだされば、後は私達で向かいます。どちらへ向かったのですか?」

「南の森から風雷の郷の方へと向かっているようでした。今から郷へ急げば先回りできるはずです」

「そうですか、ではアルディラさんへの連絡をお願いします」

「了解しました」



私達は風雷の郷へと急ぎました。

南の森から風雷の郷とここから風雷の郷ではほぼ同じ距離です。

でも、街道を行く私達と獣道を行く帝国軍では速度が違うはず。

それに、帝国軍は全員プレートアーマーを着ています。

身軽さでは私達に分がある。

だから、私達は急ぎました、その有利さを最大限生かせるように。












帝国軍は風雷の郷付近でようやく街道に出てきた。

その姿を見れば焦りが伺える。

特に部隊長であるアズリアは真剣な表情で駆けて行く。



「隊長、奴は独断専行のきらいはありましたが、今までここまで派手に動いた事はありませんでした。

 これは軍法会議レベルであるかと考えます」

「そんな事は分かっている! ビジュめ……なぜこんな事をする……」



アズリアは今でこそ中隊長ではあるが、上級軍人の家系であるため生き方そのものが誇り高い。

そのため、いつも逆境の中で戦ってきた人間の心理などは分からない。

逆境の中で戦って生き残った者の考え方は大きく二つに大別される。

感情を捨てて合理一辺倒になることで生き残る手段を増やす者。

攻撃性をむき出しにして、他者を圧する事で自分を優位に立たせようとする者。

戦場から去るものならばそれ以外の性格もありうるのだが、何度も死線を潜り抜けた人間で戦場に残る者は大抵この二つになってしまう。

ビジュは後者の人間だった、他者を威圧することで安心を得られるタイプ。

それゆえ、独断専行が目立つのはむしろ当然であったろう。



「なぜビジュは……」

「恐らく、前回の出撃で我らを助ける形となったため、天狗になっているのでしょうな」

「……それだけだろうか、奴は独断専行をする事があったが自分で作戦を立案するタイプではない」

「それは、どういう意味ですか?」

「たきつけた者がいるかもしれない……」



そうして、考えを纏めながら軍を郷まで突入させようとした矢先、何度も見た事のある一団が目に入った。

あれはそう、アティと海賊達、そしてこの島の護人とかいう自衛団だ。



「……!」

「どこに行くんですかアズリア?」

「貴様に答える必要は無い!」



アズリアは激情に任せて高圧的に言い放つが、現状あまりいい状態とは言いがたい。

兵力の3割はビジュが持ち出し、自陣の守りにある程度兵力を残してきたため現在自分が連れているのは十数名にすぎない。

ぶつかれば負けるとは言わないが、損耗が大きいだろう。

場合によってはビジュを誅する必要があると考えるアズリアにとってはそれは致命的だ。

しかし、彼女には言い訳も下がるという事もありえなかった。



「そういうわけにはいきませんよ。あなたがたにこれ以上狼藉を働かせるわけには行きません!」

「なんの話だ?」

「とぼけないでッ!」

「あちこちの集落に火をつけて回ったのはあなたたちの仕業なの?」

「……!」



おおよそ予想の範囲内とはいえ、焼き討ちを本当に行ったビジュに顔をしかめるアズリア。

しかし、ソノラには別の表情に見えたようだ。



「ふふーん、だ。図星を当てられてぐうの音も出ないってカンジかしらね?」

「黙れ、小娘ッ!」

「やめろ、ギャレオ」

「しかし……っ」

「道を開けてもらおうか、我らは急いでいる。貴様らを相手にくだらない事を論じているヒマはないのだ」

「く、くだらないことですってぇ!?」

「さあ、今すぐにそこをどけ!」



相変わらず威圧する事で相手を退けようとするアズリア。

とはいえ、相手も怒りが頂点まで来ているらしく、このままでは一触即発と思えた。

しかし……。



「……行って下さい」

「先生!?」

「自分のした事には責任を持つ、けして、ごまかしたり逃げたりはしない。誰かさんの口癖でしたよね?」



アティは、道を開けるがごとく行動をとる。

実際風雷の郷の近くである、彼女らも郷に対する立ち入りを許可するわけには行かない、

しかし、幸いにして帝国軍は郷そのものには向かっていなかった。

それに気づいていたのもあるのだろう、アズリアは少しだけ唇をゆがめると、



「さあ、な……全隊、行動再開せよ!」

「了解!」



帝国軍は郷を素通りし、郷の北にある渓谷を目指しているようだった。

なぜそこに向かっているのか、それはわからない、しかし、放火目的で無いことは明白であった。













私は帝国軍を素通りさせました。

それは、これから先に不安を残す事になるかもしれない。

でも、これだけははっきりしておきたかった……。

とはいえ、ついてきていたベルフラウも私に確認します。



「いいんですの?」

「わかりません、だけど……火を放ったのは彼女たちじゃない、私にはそんな気がするんです……」

「そうみてえだな。あれだけの兵を連れてちゃ、こっそり火を放って歩くなんてできっこないぜ?」

「あ……」



カイルの言葉にベルフラウは得心が行った様子。

確かにそれもあるのです、帝国軍がやったにしてはいろいろおかしな点がある……。



「だとしたら、あの火はいったい誰が……」

「あの状況で……私達が、帝国軍に疑いを向けたのは自然なことですよね」

「ま、それ以外に考えようも無いものね」

「ですが、その思考がもし落とし穴だったとしたら……」

「え?」

「不自然な……どこか引っかかる部分はあったんです。

 我々と帝国軍がこうした形で、敵対する状況こそ……火を放った者の狙いだったとしたら!?」



ヤードさんが皆に答えて考えられる解釈をします。

確かに、その可能性はあります。

でも、その場合……誰が帝国軍と私達を争わせようとしたのかという事に行き着きます。


帝国軍ではないかもしれない、でもだからどうであるのかといわれればわからないと答えるしかない。

でも、帝国軍は何か知っていたかもしれない、今何かに向かって急いでいたから。

それでも戦いを避けた私は正しいのか……私にはわからない。

そんな事を考えていると、帝国軍の行った方向からマルルゥが飛び込んできました。

普段のマルルゥでは考えられないほど深刻な顔に私ははっとし、声を上げて答えます。



「たたっ、大変っ! 大変ですよぉ〜っ!」

「マルルゥ!?」

「なにがあったんだ!? おい!」

「ややっ、ヤンチャさん、ヤンチャさんが……捕まっちゃったですよーっ!!」

「なんですって!?」



最悪の展開に私は首を振って考えを改めます。

帝国軍が関与していない事を望みますが、そんな事はもう言っていられないと。


私達はマルルゥに案内されて、その場所へと急ぎました……。












あとがき



申し訳ない、今回も戦闘はできませんでした。

次回は戦闘をする事が出来ると思います。

でも、今回はかなり削って話をすすめたのですが……。

はずせない本編が多すぎて(汗)

しかし、流れがまんまの部分も多いので申し訳ない限りです。

舞台を整えるというのを前回まで怠っていた私の責任です。

もうちょっと早くやるべきだったなぁ……(遠い目)



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