短編『異聞・扶桑海事変』
(ドラえもん×多重クロス)



――どういう訳か、1937年に逆行した新・扶桑陸軍三羽烏の三人。そこで智子は以前にフェイトが送ってきたビデオで見た“飛天御剣流”の技を使用した。

「これは一子相伝の流派なんで、奥義とかは正統継承者じゃないと打てませんし、見様見真似にすぎない私じゃ“本当の使い手”達の足元にも及びません」

智子はそう断りを入れる。が、北郷達にカルチャーショックを与えるのには成功したわけである。その後は本気を出した北郷に押されたもの、8年分の実戦経験がある分、互角に持ち込む事には成功。連携で今一歩まで追い詰めたもの、死中に活を見出した北郷の剣の一撃で逆転されてしまい、史実同様に模擬戦に負けてしまった。この模擬戦のあと、新三羽烏の面々は江藤に呼び出され、お叱りと事情聴取を受けた。


――ウラル基地 陸軍隊舎

「穴拭、それと黒江。お前らの事は加東から聞いた。要するにお前らは8年後の記憶と経験を持った状態でここにいる……で、いいんだな?」

「はい、隊長。私達は精神は8年後の状態になっています。8年後の状況、聞きます?」

圭子が代表して言う。三人の中では一番上だからだ。江藤は「お前らの動き見てりゃ分かるよ。戦いは続いてるんだろ?」とだけ言った。三人はそれぞれ頷いた。それが歴史の真実だからだ。

「お前ら、8年後の階級は?」

「少佐です」

「おなじく」

「大尉です」

三人は8年後の時点での自分の階級を告げる。智子が佐官になってない事に若干、意外そうだった。この時期の軍部は智子の人形のような美しい容姿に目をつけ、プロパガンダに大いに利用していたからだろう。「何でだ?」と江藤が問うと、「いろいろあったんですよ、いろいろ」と返した。この言葉から江藤は智子の未来に何かがあった事は悟ったようで、「そ、そうか」と返した。しかし江藤はここで一つの疑問に達した。8年という歳月はこの三人にあがりを迎えさせるのには十分な月日なはずだ。特に圭子はこの時、既に18歳を迎えているので、どんなに頑張ってもあと二年くらいで戦士としての限界に突き当たるはずだ。指揮官として、を考慮に入れても……。


「私は20で一度退役します。ですが、23歳で指揮官として軍に戻って、訳あってまた飛ぶことになったんです」

ウィッチとしては至極当然の年齢で退役し、その後にアフリカに指揮官として派遣・復帰して、空中勤務者として復帰する事になったのは多少ぼかして説明する。ただし、魔力
15歳当時相当量に戻っている事は告げる。そうしないと空中勤務者として戻った理由の説明がつかないからである。次いで黒江と智子も同様の経緯で一度前線を退いた身でありながら、前線へ舞い戻った旨を伝えた。

「それで、それぞれの任地で寝たらここに」

「三文小説みたいだな、それ」

「でしょ?だから言うのに迷ったんスよ」

黒江はこの時、言葉使いが21世紀以降の人間に近くなっていたために史実のこの時期よりだいぶ砕けた口調であった。なので江藤に意外な顔をされた。生真面目一辺倒だと思っていたらしい。

「ハハッ、お前って生真面目な堅物じゃ無かったんだな」

「そりゃ前線で指揮官してりゃ苦労もしますからね」

「で、加藤は仲間外れという訳か……なんでだろうな」

「さぁ……。こればっかりは私達もさっぱりです。何で私達三人だけがここに“舞い戻った”のか……」

智子が言う。何故、この時期は同僚という間柄でしか無かった黒江や圭子とのトリオで舞い戻ったのだろうか。それは最大の謎で、未来にどういう影響が生じるかも全くの未知数である。

「で、もう一つ聞くが、ストライカーは8年間でどーなる?」

これは江藤のカマかけであった。もし三人のいう事が本当ならすぐに答えられるはずであるからだ。これを見ぬいた黒江が即断で答えた。

「……ストライカーは今後、すご〜く発展します。宮藤理論でね。その過程で馬力は1000馬力から2000馬力以上と言った具合にどんどんパワーアップしていき、それでレシプロの限界に突き当たって、噴流推進機へと移行します。8年後は噴流機への世代交代が始まったあたりです」

黒江はできるだけ掻い摘んで説明する。8年でどれだけストライカーが発展したのか。戦いの中でストライカーは2000馬力が当たり前となり、、更には根本的な次世代型であるジェットへ移行する事を。この時、ジェット魔導エンジンはどの国でも基礎研究段階であったため、扶桑ではSFの中の未来兵器として一般に知られ、国内の現場では「噴流推進」という単語で知られていた。なので黒江はこの時の国内事情に合わせて「ジェット」とは言わなかったのである。

「フム……そこまで言える事は嘘じゃ無さそうだが……何か物的証拠が欲しいな」

「それじゃこれでどうです?」

智子は運良く、服のポケットに入っていたカラー写真を提示した。1944年12月の陸軍航空審査部で黒江の任務に付き合って、火龍のテストをしている時の写真であった。

「あ、お前。それ持ってたんなら早く出しやがれよ〜」

「気がついたの模擬戦の時だったのよ、それに出すタイミングが無かったし……」

その写真はこの時代のカメラやフィルムでは不可能なほどに鮮明で、ストライカーに施されたマーキング、機体番号も読み取れるほどにくっきりである。しかもこの時期では高価なカラー写真であるのも信憑性を高めた。何せウィッチが高給取りと言ってもカラーフィルムはおいそれとは買えないお値段であるし、とっさに用意出来ないからだ。


――実は22世紀の最新カメラとフィルムで取ったんだけどね。未来だとカメラもフィルムも安いから。

22世紀になってミノフスキー粒子が登場するとデジタル式家電は回路への悪影響が問題となって一時的にしろ衰退し、代わりに廃れかけていたアナログ式のモノが復権した。2190年代ではデジタル式も技術の発展でミノフスキー粒子下で作動確実な信頼性を取り戻したので、市場は半々で落ち着いた。写真は22世紀の日本の某大手カメラメーカー製の一眼レフカメラで取ったものであった。

「これが8年後の新型か?」

「そうです。“キ201 火龍”。陸軍最初の噴流推進型ストライカーです」

「……うぅ〜む……すごいな。こんなの持って本当に飛べるのか?」

「はい。これで高度12000、時速は800キロ以上出せます。実際にテストしてましたから、私」


江藤は写真の火龍がこの時期のどのストライカーよりも大型で、用意されている武器がかなり大型の重火器―この写真では、“ホ155-U 30ミリ機関砲”である――であるのに関わらず、この時期では夢の様な速さで飛べるという黒江の言で、ようやく認めてくれたようだ。それに写真には後ろに整備中の未来戦闘機の“F-15J”の姿が写っていたのも大きかった。

「……分かった。これでお前らの事は認めてやるが、こっちから吹っかけて負けてきたのは別だぞ。罰として、基地を20週してこい!」

「そ、そりゃないですよ隊長〜!」

「つべこべ言うな。これでチャラにしてやるだけありがたく思え。お前らにとっちゃ“久々”だろう?体を鍛え直せ。あ、加東お前もな」

「はいぃ……」

「ち、ちょっ……あたしもですか!?」

と、いうわけで智子と黒江に巻き込まれ、圭子もウラル基地を20週するハメに陥った。基地の整備士や幼少時の坂本らに応援される。懐かしくもあり、ほろ苦い光景だ。


「あなたたち、あれだけいいところまで行っておいて負けるなんてどー言うことよ」

「しゃーねーだろ。大佐がまさかあんな手を使うなんて予想できなかったんだよ。あれが講道館の師範の実力……軍神の異名通りだよ。悔しいが、8年分の経験積んでもあの人には及ばなかった。……が、若い時の気持ちを思い出せた。ひたすら剣の稽古に励んでいた頃を。不思議とスッキリした感じだよ。大人になってからは“戦技無双”やら、“撃墜王”とか言われて有頂天になってたところがあったからな」

「そうそう。それに指揮官として戦功挙げたから余計にね。久しぶりに初心に帰れたって感じ」

負けたもの、二人の顔はどこか晴れ晴れとしていた。今回のこの出来事は大人になって、撃墜王を自負していた二人にとって、初心に帰れるいい機会だったようだ。何せここでは二人は単なる若手及び中堅の一士官にすぎないのだから。罰則を終えた時にはすっかり日が暮れ、夕飯の時間になっていた。


――食堂 


「懐かし〜そうそう、この味だ」

「洋食はまだだったわよね?」

「金曜日じゃなかったけ?」

坂本らより先に食事を食うために駆け足で食堂に駆け込んだ三人は久しぶりに洋食の欠片もない和食を食べていた。扶桑ではこの時期、洋食は材料調達が難しいという、戦時故のの都合上、割とで調達しやすい魚料理などが主に出されていた。ウラルは本土から遠く離れている故の事情も加味された食事が出される。この時期は連合軍結成前なので、リベリオンで発明されたレーションは入ってきてないし、当然ながら地球連邦軍の援助も無いので洋食は週に一度程度しか食べられない。ここのところ二一世紀以降の日本人同様の「和洋中バランスよく」な食生活を送っていた三人の食生活は時代故の変容をまたも余儀なくされた。


「おっ、来てるね」

「北郷さん。それに坂本、若本に竹井」

「オッス」

「ど、どうも」


坂本はこの時まだ12歳。後々に「ワッハッハ」と豪快に笑うような人物と同一人物とは思えないほどの臆病さが出ている。歴史では仮面ライダー張りの変容をこの戦いから起こすはずであるが……。

「穴拭少尉。君が使ったあの剣技の流派の事、詳しく教えてくれるかな?」

「私が知ってる事で良ければ」

智子はそう答える。「ただし細かい技などは自分も殆ど知らない」と注釈を入れる。それは本当だ。所詮はあの龍槌閃も見よう見まねにすぎず、威力も正統継承者らの半分もあればいいほうなのだから。




――問題はキュウナナのあとに造られるヨンサンだ。あれはいいストライカーだったが、最初の一型って剛性不足なんだよなぁ。最初から二型相当の性能にできないのかね。三型は無理だし。零式は設計がもうあれで完成されてるから無理だしな。

黒江はメシを食いながら、ストライカーをなんとかして性能良く出来ないか、を考えていた。もし、目の前の光景があの未来へ繋がっているのなら、ここでした事は未来に影響を及ぼす可能性があるからだ。しかしこの当時の軍部の上層部は“無理難題をメーカーに押し付ける”体質があり、一式も零式もそれで生を受けた。結果、一式は97と大差ない性能がネックで、当初の型は主力と成り得なかった。彼女はこの後、隼と鍾馗を愛用するクチなので、それをいい形で出現させたいのが本音だ。

――私の部下の連中も一型の欠陥でおっ死んじまったのは一人や二人じゃないしな。あれ是正しないと。戦闘機も同じだしな

それは隼の構造が当初、脆弱すぎて空中分解を起こしやすいストライカーなり戦闘機なのがよくわかっている。問題はこの時期から友人の技術者にどう伝えるか。黒江は本気で悩んでいた。











圭子はこの戦いが終わると自分は負傷・退役→従軍カメラマン→復帰の道が待っている。しかし僅かながら欧州の戦場で戦ってみたいという気持ちも残っている。


――どうしよう。欧州の戦場を踏んでみたいって気持ちはある。カメラマンは一度やってるし今度は“普通に現役時代を全うする”かな?復帰には三年あるし、25になればまた飛ぶことになるし……。

圭子の心中は複雑だった。新三羽烏の中で一番忙しい未来が今後待ち構えている身としては、今度は違った未来を歩んでみたいという願望もある。少なくとも飛ぶのを放棄してしまったあの式典の後の鬱屈とした入院生活とは。これまたメシを頬張りながら思考を張り
巡らせていた。隣に座った坂本をいじりながら。



――こうしてそれぞれの未来を模索する三人だが、加藤武子が三人の関係に気づく時がとうとうやって来た。それはここから更に一週間後のある日。当時の新鋭ストライカーの九七式戦闘脚で総崩れを起こした地上部隊の援護任務を負って戦っていた時だった。


「……!?きゃあああっ!」

「た、武子!」

「ああ、制御できないっ……落ちる…!」

「寿のトラブルだと!馬鹿な!整備班は仕事サボったのか!?」

「まずいあそこは敵のど真ん中よ!」

「ど、ど、どーする!?」

加藤武子の機体の発動機が突如、停止し、敵の正にど真ん中へ不時着を余儀なくされる。これは記憶にない事なので三人も大慌て。それに九七式の発動機は”壊れにくい“はずだったので黒江が思わず、「整備班は仕事サボったのか!?」と言ったのも頷けるほどにあまりにも突然のトラブルだった。



「あたしがいく!黒江ちゃん、あれは“量子変換”してるわよね?」

「まて、ヒガシ!確かに“ゲッタートマホーク”は量子変換しちゃいるが……いいのか?」


「……武子にはいずれにせよ言わないといけない時は来る覚悟はしてたはずでしょ?。それが今ってことよ」

「分かった。タイミング間違うなよ」

「わかってる」

「あ、これ持ってて」

「がってん」

黒江は圭子の銃を受け取り、未来から持ち込んでいたISの武装を、左腕部分だけISを展開、量子変換していた試験武装を召喚。その内の一つの手持ちサイズのゲッタートマホークを手渡す。形状はゲッターG以降の両刃タイプである。扱いやすさを重視して、柄が長い真ゲッターロボ型でなく、ゲッタードラゴン型だ。重さもこの状態でなら扱える。それを受け取って、圭子は武子の救援に向かった。低空飛行から武子の目の前に陣取り、ホバリングに移る。

「け、圭子……」

「助けに来たわよ、武子。後はあたしに任せなさい」

「銃はどうしたの?それにその武器は……!?」

「銃は預けてきたわ。どのうち正面からは陸戦型には歯が立たないしね」

そう言って笑ってみせる圭子。その腕にはトマホークが握られている。アフリカでドラゴンを乗り回した経験があるために、扱い慣れているので、この武器を召喚してもらったのだ。斧を構えて、必殺のタイミングを図る。

――この時、私は初めて圭子達にそれ以前とは違う何かを感じた。違和感っていうのかしら……?妙に落ち着いたり、大人びたりしてる。圭子はもう18歳を迎えてるから、と言えば不思議じゃないけど……この時もそう。一個間違えれば死ぬのに、冷静だったわ。

これは武子が64戦隊長に就任した後にこの当時を振り返った時の独白である。黒江の憶測は本当だった。智子らの行動は未来に確かに影響を及ぼしていたのである。


「何をしてるの圭子!早く攻撃して!」

「武子、黙ってて!」

「だ、だけど!」


この間にも着々と進撃する陸戦型のネウロイ――圭子にとっては旧型である――ネウロイ。この時期の航空ストライカーでは防げない火力を備え、97式中戦闘脚――戦車で言えばチハに当たる――の能力不足を露呈させた装甲を備える。それ故に武子は圭子に攻撃を促す。が、圭子は冷静だった。この時のネウロイ――この当時は怪異と呼称――の射程、安全距離、トマホークが届き、最適な殺傷能力を発揮できる距離。その全てを培った経験で図る。そしてその距離にネウロイが達した瞬間。叫んだ。ゲッターロボでは毎度おなじみのあの叫びを。

『ダブルトマホォォォォクブーメラン!!』

刃に念の為に魔力を注入した上で投げたトマホークは未来+異世界の技術の刃も相まって最上の威力を発揮。周囲の陸戦ネウロイをコアごとまとめて両断、消滅させた。帰ってきたトマホークを慣れた手つきでキャッチする。その姿は武子にとってはそれまでとはまるで別人と錯覚させられるような、阿修羅のごとき何かを感じさせた。


「“カンは鈍ってねーようだな”、ヒガシ」

「まーね」

黒江からの通信にそう答える圭子。その顔は確かに微笑っていた。ここで疑問が確信に変わった武子は圭子に言葉を投げかける。

「圭子!」

「何?」

「この間からあなた達は今までとどこか違う……まるで別人のよう。智子も綾香も何か私に隠してる。……この間の模擬戦でもそうだった。教えて!あなた達に何があったの!?」

それは武子の必死の言葉だった。武子は感じていたのだ。自分以外の三人との疎外感を。一見して違わないように思える振る舞いなどに微妙な違いを親友故に気づいたのだ。智子を例に取っても食べ物の好みが変化していたり、当人でも気がつかない、習慣のそれまでとの僅かな違いや戦闘スタイルの変化に気づいていた。圭子は根負けした表情を見せ、武子に一言言う。

「ここから帰ったら話すわ。驚くのは間違いなしよ、今のあたし達のこと」

それは精神は大人である圭子の見せた本音だった。武子と精神年齢に隔たりが生まれてしまった事への悲しさ、そして“心だけが大人になってしまった自分らを受け入れてくれるのだろうか”という不安。それらが入り混じったような、どこか寂しげな声だった。

「な、何を言ってるのよ……圭子……!」

武子は思わずそう言わずにはいられない。それほどに圭子の表情、声ははどこか寂しさを感じさせたからだ。こうして戦いを終え、3人は戦果報告を終えて基地の休憩室に集まった時に全てを武子に話した。


「何を言うかと思えば……心だけが8年後の状態になったっていうの?からかうのも……」

「フジ、私達がお前にうそつくようなタマじゃないのはよく知ってるだろ?」

「でも、突然そんな事言われて……信じると思うの貴方達……!」

「模擬戦であたしと“綾香”が息ぴったりな攻撃をするのはそれなりの訓練が必要でしょ?だけどあたし達はいきなり高度な連携をやってのけ、北郷さんと互角に戦った」

「で、銃での狙撃専門のあたしがいきなり戦斧でブーメラン投げした……それも訓練しても出来ないような芸当を、ね。物的証拠もあるわよ。例えば…。この銃、バレットM82A1。“対物ライフル”なんだけど、持ってみて」

圭子は予め自室から持ってきていた対物ライフルを三脚から外して手渡す。

「えっ、待って対装甲ライフルなんて生身じゃとても持ちきれ……」

「いいから」

「……」

武子は半信半疑で、見たことのないライフル――バレットM82A1――を持ってみる。すると。重さを感じない。対装甲ライフルという言が嘘のように感じられるほどに、だ。

「……か、軽い!本当にこれ対装甲ライフル!?馬鹿みたいに軽いわ!」

大口径な上にウィッチが持てるライフルの限界に近い重量であった、この時期の最新火器の九七式自動砲の六〇キロの重さが嘘のように軽い、見たことのないライフルに、武子は驚いてしまう。

――何せこれ、歩兵が一人で持てて操作できるように造られたもんね〜♪


圭子は“これが手元にあってよかった〜!”と胸を撫で下ろした。この時代のどんな国も、このように軽い対物ライフルは作れない。なので、物的証拠にはうってつけなのだ。

「あ、それ対物ライフルであって対装甲ライフルじゃないから」

「え?どういうこと?」

「これもまた説明ややこしいから論より証拠。智子、例の写真を」

「はいはい」

智子は江藤にも見せた写真を見せる。カメラオタクな武子にはこれが一番効いたようで、目がいつの間にか輝いていた。

「ねぇこの写真、何のカメラでとったの?」

「ああ、日本のとあるメーカーだけど」

「バッカねぇ、コンタックスにしなさいとあれほ……!?ちょっと待った。今、なんて?」

武子はこの時、初めて日本という聞きなれない単語に?マークをはっきり浮かべた。ここで三人から1944年以降の状況についてのなが〜い説明がされた。これには2時間を要してしまったもの、なんとか飲み込ませた。

「そういう事だったの……で、あなた達はそこでも戦ってるの」

「そーいう事。それとコンタックスって日本のメーカーのブランドになってたわよ、その世界の未来だと」

「え、えぇぇぇ〜!?な、なんで!?」

「これやるとまた長くなるからパス」


武子は自身のお気入りのカメラブランドが国籍を変えていた事が一番カルチャーショックだったようだ。ただ自身が辿る運命について、
「受け入れる自信がない」と断った。ただ、他の三人が未来のジャンクフードなどを知っているために「マ◯クもない、ケン◯ッキー
もない、す◯屋もない、コンビニもファミレスもない、コーラもない」と愚痴を零した時には、「あなた達ねぇ、リベリオン人じゃないんだから……」と呆れてしまったとか。大人になっても、根本的には変化がないのには安心したもの、“どーいう食生活してたのよ、あなた達!”と逆に叱った武子であった。



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