外伝その56


――『大海戦』に参戦した米戦艦はどれも高い生存率を見せ、英国戦艦の大半を凌ぐ性能を証明し、連合軍の障害となっていた。

「サウスダコタ級か。あれは前衛にすぎんが、生存率は高いようだな。友軍は魚雷を何発当てた?」

「ハッ。3発は命中させたと」

「三発か……それくらいでは沈まんよ。いくらノースカロライナ級より劣るとされていても、ダメコンが高ければ徒労だ。やはりロマーニャ空軍では、成果は期待できんな」

小沢治三郎は富士のCICで辛辣な発言をした。彼としては、世界三大海軍の筆頭とも言えるリベリオンの艦艇は全ての性能で当代屈指であるのを十分承知しており、扶桑から見て、二線級のSM.79やSM.84では対空砲火を突破して攻撃をかけられた事自体が奇跡に属する事項であり、三発も当てた事自体、練度不足なロマーニャ空軍からすれば上出来なのだが、成果は0である以上は喜べなかった。爆撃隊が寄せ集めである故、防空任務がガリア空軍の任務であったが、ガリア軍の戦闘ドクトリンが転換の真っ只中であった故、成果は実戦経験者以外は出せていない。

「ガリアもだが、実戦経験者以外はてんで焼くに立たん。数合わせにしか使えんとはどういうわけだね」

「ガリアには、個人主義が我が国以上にありますから。それで編隊も大半の部隊はお構いなしですから……」

「彼奴らは編隊空戦を理解しておるのか?まったく、口ばかり達者なトーシロー共が多いのだから、始末に終えんな」

小沢はガリア空軍とロマーニャ空軍の実際の戦力が、カタログ上より遥かに劣る事にため息を付く。逆に、数は少ない扶桑のジェット戦闘機隊とブリタニアのジェット戦闘機部隊が獅子奮迅の活躍ぶりを示していたので、数が多いロマーニャとガリア軍の体たらくぶりを嘆いたとも言える。

「ペリーヌ・クロステルマン中尉が敵を三機ほど撃墜、また、カミーユ・ビダン中尉のZが哨戒に出ていたMSを全機、行動不能にしました」

「そうか。それは幸いだ。だが、こちらの問題はアイオワとモンタナにどう立ち向かうのか、だ。ローマやイタリアでは実質的に太刀打ちできんし、かと言って、ライオン級でアイオワとやるのは未知数だ。場合によれば互角かもしれんが……」」

小沢はアイオワ級とモンタナ級を大いに警戒しており、それらに単独で当るのは大和型と言えども無謀としていた。そのために富士を呼び寄せたのだが、事実上の移動要塞である富士に艦隊運動は期待できない。そのために大和型の開いていた艦を帯同させたが、おいそれと主力を割くわけにもいかず、サウスダコタ級とデモイン級のハラスメント攻撃に苦慮していた。CICに置かれていた、サウスダコタ級とデモイン級の資料と格闘し、手駒のどれで相対するかに悩む小沢であった。








――実際、ティターンズ海軍の主力艦隊の中枢に配置されていたアイオワ級戦艦は三隻であるが、近代化改修済みであり、その艦容を史実最終時相当にまで進化させていた。中には史実では中止された『イリノイ』も含まれたていた。

――ティターンズ艦隊

「イリノイが間に合って良かったですな」

「ああ。向こうは数で来る。それに噂の超大和型戦艦も来たそうだ。一隻でも間に合ってよかったよ」

ティターンズ側も富士の存在は予定外であり、急いでイリノイをこしられたというのが実際の事情であった。突貫工事だったのか、艦橋が当初のアイオワと同じ露天艦橋で、同型艦にはついているCIWSが数基ついていない箇所があるなどの差異がある。ただし、その穴埋めで、巡航ミサイルのトマホークミサイルの装備数は多くされ、攻撃能力が高められている。

「ケンタッキーの完成はどうです?」

「あと一年はかかる。敵は大和型を量産予定らしいので、こちらも改モンタナ級の設計を命じたそうだ。おそらく、来年か再来年辺りにはスペックのプランは上がってくるだろう」

「まさか戦艦を新造することになるとは」

「核兵器に金つぎ込んで、地球を汚すよりはよほどエコロジーだよ。大艦巨砲主義と言われようが、空母機動部隊が高額化するのはわかってるからな。かと言って、ここは潜水艦の技術が史実より遅れている。その兼ね合いだよ」

「潜水艦の不足は仕方ない事ですからな。ウィッチ派閥には『ウィッチ運搬艦だろ?』というトンチンカンな答えを返す者が多く……」

「奴らは潜水艦の何たるかを理解しておらん。あれこそ軍事音痴という奴だな」


ティターンズの予想外は潜水艦技術の熟成度が史実より数年遅く、ガトー級潜水艦の竣工数が少ない状態だった事である。ガトー級潜水艦は緊急増産指令を出し、バラオ級潜水艦の完成を急がせてはいたが、潜水艦は少数生産兵器という認識があったこの世界に『大量生産』をいきなりしろとされても無理があり、この大海戦に間に合ったガトー級潜水艦は僅かに三隻、改良型のバラオ級潜水艦に至っては0という予定外の出来事であった。そのために、ティターンズは慌て、増産体制が整っていた水上戦闘艦の増勢に切り替え、アイオワ級「イリノイ」や二隻のデモイン級、20隻のフレッチャー級の増産に成功した。だが、満足行く陣容ではない故、強奪したアルザス級戦艦をも作って投入している有様だった。しかしながら、当代最高クラスの戦闘艦を作れる国力がリベリオンにあったのは僥倖であり、ヴェネツィアから接収したのと併せれば、優に史実米海軍1944年時の陣容並みの大艦隊になる。そのため、潜水艦の不足はそれほど悲観されていない。だが、リベリオンのウィッチ派閥に手を焼いているのは彼らも同様なようだった。潜水艦を主力艦艇に数えるティターンズ側と、補助艦艇と考える1940年代の人間の差とも言えた。彼らは前衛艦隊が戦果を挙げた報に安堵し、更なる一手を打った。




――数時間後、アイオワ級「イリノイ」、「アイオワ」の有するトマホークミサイルが一斉に陸上へ火を吹いた。目標はロマーニャ軍の沿岸航空基地。そこへミサイルによる爆撃を加えるのである。使われた弾頭は通常弾であったが、威力面は23世紀から入手した最新鋭のものなので、この時代の飛行場であれば命中すれば施設を複数吹き飛ばせる。これは主砲を複数回斉射すると、キールにダメージが行くという船体強度不足(モンタナを建造する際に、キール強度を強化したのはそのため)に起因する船体強度を補う意図も大きかったが、トマホークミサイルは20発ほど打ち込まれ、沿岸に設営されていた複数の小規模前線飛行場に大打撃を与え、ロマーニャ空軍の稼働機を一気に30%、ガリア空軍も40%の稼動機を一瞬で失う大打撃を受けた。この凶報に、さしもの小沢治三郎も「トマホークミサイルだと!」と言ったまま愕然としたという。海戦はティターンズの思惑通りに事が運び、ガリア空軍とロマーニャ空軍戦力は40%の戦力を一夜で失う失態を演じ、ブリタニアも前衛艦隊旗艦「ハウ」が思わぬ苦戦を余儀なくされている。前衛艦隊は連合軍側のほうが消耗しており、ハウも第一主砲を損壊してしまうという損害を負っている。やはり設計段階の限界を露呈してしまったのだ。







――また、この時から彼らティターンズは戦艦の新造に踏み切る覚悟であり、既にリベリオン本国へ間接的にプランの掲示を求めていた。その際のコンペで、部内で有力視されていたのが、モンタナの更なる強化発展型で、モンタナの船体設計の改善で済む省力プランであった。リベリオン海軍内では、もう一つのプランがあった。それは次期空母『フォレスタル』の船体設計を戦艦に転用したプランで、その大胆な18インチ(46cm)砲戦艦のプランは後にモンタナ級の通しで6番艦「ミネソタ」の完成後に次期戦艦として具現化し、後の太平洋戦争に於いて、中盤以降に改大和型の好敵手として立ち塞がる事になるのであった。『大海戦』はこのように、ティターンズにも影響を及ぼしたのである。その次期戦艦の登場が、扶桑にこれまた対抗心を燃やさせるが、それはまた別の話。








――海戦が始まって10時間あまりが経過した。連合艦隊旗艦『富士』に帝政カールスラントより一人の軍人が連絡士官として着任した。それはガランドの義理の娘にして、時空管理局のスバル・ナカジマとギンガ・ナカジマの実母(実質的。遺伝子が共通なので、地球ではそう解釈された)のクイント・ナカジマであった。彼女は死亡したとされていたが、実は死亡しておらず、ウィッチ世界にそれまでの記憶と肉体とを引き換えに転移しており、孤児院で生活していたのを、アドルフィーネ・ガランドに引き取られたのだ。現在は年月の経過により、かつての記憶が戻ってはいるが、既にカールスラント軍人になってしまった上に、死亡扱いされて久しいので、現在は時々面会するに留めている。その容姿は当然ながら、長女のギンガ・ナカジマと瓜二つ(肉体年齢はクイントのほうが若干若い)なまでに若返っている。(その為、結果的にガランドは24歳にして、孫持ちになってしまったが)

「帝政カールスラント空軍所属、クイント・N・ガランド中尉であります。只今を持って、富士に着任致しました」

「ご苦労。君がガランド中将の娘さんかね。お母様はどうだね?ミッドチルダ動乱以降は会ってないが、お元気でおられるかね」

「母は今、本国で次期主力をF100にするか、F104にするかで書類と格闘していますよ。ハルトマン少佐がF100推しでして」

クイントは小沢にアドルフィーネが本国で、ハルトマンが戦線からの電話で、F100を推薦してきたので、他の将軍がF104を推薦しているのに波紋を呼び、喧々囂々であると(ただし、アフターバーナーなどの先進技術さえ自家薬籠のモノに出来れば、F104でも構わないとも発言した)あると話す。ハルトマンは見かけによらず、歯に衣着せぬ発言をするのは小沢も知っていたので、『ハルトマン少佐らしい発言だ』と大笑した。

「それで他の将軍らはなんと?」

「『少佐の分際で生意気な!』とか、『撃墜王だかなんだか知らんが、鼻持ちならぬ小娘め!』とか言いたい放題ですよ」

「老人たちの戯言だ。聞き流せと少佐には言っておこう。彼女達あっての空戦なのだからな」

小沢はカールスラントの高官らと違い、ハルトマンの擁護の立場を取った。小沢は未来世界の自らへの評にショックを受け、この頃から『柔軟な思考を持ち、兵への理解がある』将官であろうと振る舞いを変え始めており、言うならば『平行世界の自分を見て、自己反省』したのが、今の彼であった。この姿勢への転換は彼の平行世界の自らへの自嘲と反省、山本五十六への相談の成果で、この路線を堅調にしたのが、彼が連合艦隊司令長官を辞するきっかけとなる事件の事後処理の際の天皇陛下の叱責であるので、明治生まれの彼にとっての振る舞いを転換させる決定打となったのは間違いない。

「そう言ってもらえれば幸いでしょう。バルクホルン少佐とハルトマン少佐にはメッサー社の新型ストライカーのテストをしてもらうよう、母から言いつけられておりまして」

「ほう。どんなストライカーだね」

「社内案でP.1101と称される試作機です。可変後退翼を採用した初の機体です」

――メッサーシャルフ『P.1101』。史実におけるメッサーシュミットP.1101相当のジェットストライカーで、メッサーシャルフがフラックウルフに追い上げられつつある現状を鑑みた設計陣が総力を挙げて制作したジェットストライカーである。カールスラント基準の第三世代ジェットストライカーに相当し、可変後退翼を採用した初の事例であった。だが、当時の技術力では飛行中に翼を可変させるのは不可能であった(因みに実用で可変後退翼機が現れるのは、コンピュータ制御が熟成する数十年後の事である)ため、発進前に角度調節をするしかないという難点がある。だが、急速な扶桑とブリタニアの技術発展で優位性が失われつつあるカールスラントの優位性を誇示するためという大義名分のもとに完成させられたと言ってよかった。格納庫では、そのハルトマンがぶーたれていた。



「え〜!また新型?それも可変後退翼ぅ!?」

「そうらしいぞ。なんでもme262の正統後継機として作ってた機体らしいが、可変後退翼なんて採用してどーすんだよ。この当時の技術力じゃ、飛行中に角度は変えられんはずだぞ」

黒江とハルトマンは溜息をつく。まさか可変後退翼を持ってくるとは意表を突かれたからだ。もちろん、連邦の可変戦闘機はみーんな可変翼を採用しているのだが、それにはちゃんと理由があるし、技術的意義もあるが、この機体に限っては技術的理由も特にないので、困っていた。

「どーすんのさ少佐」

「まさか、戦の最中にこんな試作品を送ってくるなんてな。お前用というが」

「可変翼の製作のために作った感否めないんだけど……。この時代じゃアードヴァーグみたいなCASでさえも無いんでしょ?アホとしか言いようがないね」

「言うなぁ。確かにCASは史実だと1960年代の実用化だし、その発展形のフライ・バイ・ワイヤなんて夢のまた夢な難易度だ。アードヴァークトムキャット作るには、あと20年かかる(トーネードの実用化が早まったので、技術的難度は1950年代末には達成した)公算だ。こりゃ相当な難物だぜ」

黒江も、この試作機には辛辣な感想であった。アードヴァークやトムキャットの見本を見て、欲しくなったとしかいいようがないくらいの野心作であるものの、技術的成熟度は後発の可変翼機であるXF10F以下であると断じるしか無いためだ。

「とりあえず、履いてみるよ。後退翼の角度は50度でお願い」

「OKだ。えーと。後退翼角度を50度で固定っと」

黒江はマニュアルを読みながら、可変翼を調整してやる。地上調整でしか調整不能というのは史上初の事例ゆえの未成熟さと割りきり、機体の後退翼を50度で固定させる。ドイツ語も読める辺りは技術試験隊の在籍経験が活きている。

「あれ?中佐、ドイツ語読めるんだね」

「バーロー。こちとら復帰前は技術試験隊にいたんだぞ。そうでなかったらFw190やBf109なんて整備できるかよ」

「そりゃそうか。って、中佐の出身は薩摩でしょ?なんで江戸弁使うのさ」

「メカトピア戦争からこっち、兜と宇宙科学研究所にいたからな。影響されたんだよ」

「甲児、ちゃきちゃきの江戸っ子気質だもんね」

「奴にゃ随分影響されたよ……よし。OKだ」

「んじゃ飛行試験してみるよ。あー、ヘリ甲板担当の士官?エーリカ・ハルトマンだけど、試験機の試験飛行するから、エレベータを起動させてくれる?」

「了解です。その位置でお待ちください」

「了解。中佐、小沢のおっちゃんに報告よろしく」

「アイアイサー。ミーナ中佐にも報告しとくか?」

「お願い。ミーナ、また胃が痛くなるかもね」

――意外に気心の知れた関係であるらしく、気さくな会話をする二人。甲板担当の士官がエレベータを操作し、ハルトマンを飛行甲板へ迫り出させる。同時に発進したハルトマンはここでも天性の才能を発揮、順調に試験飛行を開始した。








――同時に、スーパーバルカンベースからは超獣戦隊ライブマンのマシンバッファローが、鳥人戦隊ジェットマンのジェットガルーダが、ジェットイカロスがマシンの状態で発進した。ジェットイカロスはジェットホークにブラックコンドルが乗り込むという変則的編成だ。これはジェットガルーダにレッドホークが乗り込んでいるためだ。彼らは共同戦線を貼り、先行して発進した光戦隊マスクマンのターボランジャーと合流。ペリーヌと交代で、前線で戦うミーナとバルクホルンの援護に駆けつけた。その時の様子はまさに圧巻で、合計14機(ライブマンは三機合体、ジェットガルーダは変形である)の巨大マシンが同時に変形合体を敢行したので、歴戦の勇士である二人も思わず見とれてしまうほどの壮観ぶりであった。



『変形!ジェットガルーダ!』

『合体、スクラムウイング!!』

『合体・ライブディメンション!!』

『合体・ファイブクロス!』

合体したり、変形したりでスーパーロボットへ姿を変えるメカ群。大仰な掛け声とともに変形合体し、巨体を見せる彼等に、ミーナとバルクホルンは思わず見とれてしまった。特に超獣戦隊ライブマンのライブロボは胸部にライオンの頭部があるので、ミーナは突っ込んでしまう。

「……何故、胸にライオンが?」

「それはカッコいいからだ!」

と、バルクホルンかしらぬ妙な説得力に溢れたセリフであるが、ミーナはバルクホルンにも多少なりとも未来世界の影響があると察し、苦笑いを浮かべた。

『中佐、援護する!ライブカノン!』

『グレートガン!!』

戦隊ロボが内蔵型ミサイルやビーム以外の火器を持った例は少なく、今のところはグレートファイブとライブロボ、ターボロボの三例のみだ。戦隊ロボは近接格闘型である例が多いからだ。主に牽制用と位置づけられているが、ネウロイには必要十分であり、次々と撃墜していく。

『ジャイロカッター!!』

グレートファイブの腕についているプロペラをそのままブーメランとして使い、敵を叩き落とす。数は多いが、スーパーロボットにとっては烏合の衆同然。瘴気もグレートファイブから発しられるオーラパワーで緩和されており、その辺はマスクマンのおかげであった。

「気をつけて!大物が来ます!」

『よし、任せろ!』

ジェットガルーダが唸りをあげて突撃する。ジェットガルーダは完全な人型ではなく、マニピュレータが鉤爪になっているなどの特徴がある。鉤爪にエネルギーが集束し、そのエネルギーは強力な破壊エネルギーとなって、ネウロイのコアを外殻ごと切り裂く。

『ガルーダクロー!!』

レッドホークの叫びと共に必殺技が繰り出され、ネウロイの一団の大型を撃墜する。全長60mはある巨体が機敏に動く様は、ミーナとバルクホルンに多大な衝撃を与える。

「しかし、凄いな……。ここまで機敏だとは。モビルスーツよりもはるか以前の開発だというのに」

『俺達のは宇宙のオーバーテクノロジーがかなり入ってるからね。1970年代中には第一号ロボの『バトルフィーバーロボ』がロールアウトしているし、元々、人型ロボットに関しては早くから研究していたんだ、日本は』

「どれくらいからです?」

『この時代には、人サイズの試作が軍部によってされていたという記録が残されている。そのテクノロジーを応用して、バトルフィーバーロボが出来たと考えられているから、その素地はこの時代から合ったと思われる。まぁ、俺も軍人になるまでは与太話と思ってたよ』

「なるほど、そでしょうね」

レッドホークはバルクホルンにこう答える。バルクホルンも、この時代の技術力ではデジタルコンピュータの概念が出てくるか否かであるかは理解しており、レッドホークに同意した。

『さて、残りの二機は俺達がもらうぜ、竜』

『任せたぞ、剴』

『おう!バードニックセイバー!』

ブラックコンドルらの駆るジェットイカロスが必殺剣『バードニックセイバー』で敵を斬り裂く。これでネウロイは撃退したものの、次なる機影が補足される。

『レーダーに反応だ。これは……敵の戦闘機だ。熱源反応から、F4Dスカイレイ、A-1スカイレイダーだ。沿岸の航空基地を撃滅するつもりか!まずい、沿岸の基地にはレシプロ機しかない、A-1にも抗し得るかどうか』

『どうする!?』

『俺達でここは引き受けよう。この機種ならエセックス級から出したはずだ。本命のF3Hは虎の子のミッドウェイ級にあるはずだ』

『よし、直ちに追うぞ!中佐たちのはライブロボの手に乗ってくれ。そこまで運搬する。残弾はどうだ?」

「およそ300発です。決して多くはありませんが、撃退には足ります」

『よし。行くぞ!』

こうして、スーパー戦隊はミーナ達と共に沿岸基地の防衛のために移動した。その模様はティターンズも把握していた。

――ティターンズ 空母艦隊『ミッドウェイ』

「奴らは囮にかかったな。空母戦闘群の虎の子を使うぞ。F3H、A-4、A-7の発進を急がせろ!ミノフスキー粒子が濃いうちに発艦を終わらせるぞ!」

ミッドウェイ級の内、既にネームシップは戦列に加わっており、エセックスの近代化改修が済んでいない艦とは別編成であった。既に改修型の姿であるミッドウェイ、エセックスのシャングリラ、レキシントン(U)、ボノム・リシャールからは、ティターンズがリベリオンで生産し得る最高の機種が飛びだって往く。アングルド・デッキ装備、スチームカタパルト装備のその改修型の艦影は、1950年代以後の空母の標準仕様を誇示するかのようだった。目標は連合軍空母艦隊。ミノフスキー粒子をステルス代わりに用い、夕暮れの空へ艦載機を射出させていった。それを露知らぬ連合軍艦隊だが、坂本が目視でA-4を発見したことから、大慌てでF8Uとシービクセンが直掩に出て行く。意図せぬ空中戦はこの数十分後、生起する。艦隊上空での迎撃という、後手に回った連合軍は、一気に窮地に陥るのであった。その際に改大和型と三笠型の3次元レーダーと近代対空武器が大いに役立ったのは言うまでもない。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.