外伝2『太平洋戦争編』
第二十四話


――飛行64戦隊は概ね、扶桑で並ぶものは無いほどの陣容となり、同隊の第一、第二中隊の主要人員は古参と若手ホープであった。新人は各部隊に5分の1ほどは配されており、第三、第四中隊で訓練を終えた者は第一、第二中隊での第一線任務をこなし、練度充分と判断されれば、他部隊との人員交換や交流の役割を担うというものだった。

――飛行64F ブリーフィングルーム

「お、似合うじゃないか。フライトジャケット」

「ありがとうございます」

空軍では、軍服の他に、フライトジャケットを着て勤務する事が多く、雁淵は海軍の第二種軍装の上に、酒保で購入したフライトジャケットを、ジッパーを開けて羽織っていた。これは空軍の軍服の支給が間に合わない故の応急処置だった。

「それが空軍の軍服ですか?なんかすっきりしてません?」

「輪金が無いからな。それですっきりして見えるんだろう」

黒江は珍しく、空軍の軍服姿だった。史実後世の空自及び、国防空軍の制服(軍服)が多少の改正の後に採用されており、のび太の世界で航空自衛官でもある黒江は、難なく着こなしていた。

「今日は統合参謀本部のお偉方へプレゼンしなくちゃならんのだ。それで軍服なんだよ。」

「何のプレゼンなんですか?」

「7月に基地の開放祭するから、展示飛行の演目を決めないといかん。それでだ」

「開放祭?」

「そうだ。軍隊も一般人受けする事しないと、政府から予算も降りん時代になったからな。こういうことは当たり前なのさ」

――かつては徴兵制があったため、陸軍は自ずと人が集まるため、海軍しか人材確保に腐心していなかったが、空軍が設立された後は、空軍も人材確保に腐心していた。これは軍隊の人材確保制度の根幹が完全に志願制に移行したためで、特に近頃は英語の語学力が必須になりつつあるため、ウィッチとしての才能だけで採用される機会は減ったからだ。

「ヒガシの奴は開放祭で出す出店の配置とかを考えてる。あいつは展示飛行に出ないつもりだかららしいが」

「なんでですか?加東中佐、相当に腕いいのに」

「前に無茶なアクロバット飛行して、死にかけたことがあるんだよ、あいつ。それでトラウマっちまってるのさ。この間、この話したら……」

『私は出ないからね!ヤダッたらヤダ!』

「って、けんもほろろに断れた。しょうがないから、黒田とか宮藤を出そうかとも思ってる。お前も出てくれるか?」

「構いませんよ。でも、珍しいですね、あれほどの人が」

「ん?お前、扶桑海の頃にいたっけ?」

「いえ、あの頃はまだ。子供の頃、終戦後の式典の時に声をかけて頂いた事があるんですよ。当時、中佐は市井じゃ人気ありましたし」

――そう。圭子は圭子で結構、市井で人気があるのだ。『扶桑海の閃光』で準主役級だったおかげもあり、ブロマイドも馬鹿売れで、一般人への知名度は高いのだ。(本が売れた理由もそこにある)

「そうか、あの時のガキ共の中にお前がいたのか。なるほどな」

納得する黒江。扶桑海事変直後の戦勝式典の際の交流イベントに参加した子供の中に雁淵がいたのだ。それが彼女が軍を志した理由の一つになった事が明らかとなった。

「それで、その中佐はどこに?」

「前線の近接支援に行ってる。宮藤、黒田、菅野を率いて出てるよ」

――南洋島は戦場でもある。現在は膨大な物量に押され、北東部沿岸部を占領された状態にあった。前線では亡命リベリオン軍も参加しての決死の防戦が繰り広げられていた。


――戦場

「クソ、5号車が撃破されました!」

「うろたえるな!側面を狙え!如何にパットン戦車だろうと、側面を撃たれたら終わる!」

戦車戦は激烈を極めた。『M48』と五式中戦車改が戦うも、当初から『M48A3』仕様で登場した同車両は五式中戦車改に優勢で、戦線では更なる新型を欲する声が切実となっていた。ほぼ自衛隊の61式戦車相当の性能になっていた五式改だが、やはり所詮は第一世代戦車の出遅れともされる61式相当では、改良されたM48には劣勢とならざるを得なかった。そんな戦場を圭子達は翔ぶ。

「行くわよ、みんな!戦車の天蓋を狙って!」

「了解!」

戦車戦に割り込んだ圭子達は、M48の天蓋をジェットストライカーで携行した、GAU-8ガトリング砲を手持ち化したもので撃ち抜く。

「こりゃ気持ちいい!馬鹿みたいに戦車が蜂の巣だぜ!」

作動音と共に、菅野は30ミリ砲弾を雨霰と降らせる。同ガトリング砲の手持ち型なので、原型と違い、空薬莢は外へ排出される。

「3秒以上撃たないように、直枝。それ以上撃つと、機体の速度が落ちる」

「分かってまっせ!」

GAU-8はリボルバーカノン以上の反動であり、ジェットストライカーの推進力と魔力増幅を以っても、撃ち続けると速度が僅かに落ちる。4人はその点に留意しつつ、近接航空支援を行う。

「あ、危ない!!」

「おわっ!クソ、M42自走高射機関砲だ!」

ボフォース40mm機関砲が連装で乗せられた、自走式対空砲が弾幕を張り、菅野を追い散らす。複数が姿を現し、芳佳と菅野を追撃する。菅野と芳佳は一旦、離脱して、後方から自走高射砲へ攻撃をかける。

「お返しだ!!」

流石にウォーカー・ブルドッグの流用である車体を、ウィッチによる貫通力強化弾を食らってはひとたまりもない。撃ちぬかれて停止し、爆発する。

「あ、菅野さん!味方の戦車隊が!」

「何ぃ!?」

五式改部隊は大打撃を被り、後退に移っていた。砲威力では互角だが、装甲で負けているのが仇となり、非撃破数は相当に多かった。ここに至って、五式改の陳腐化が明らかとなったというわけだ。

「酷くやられてんな……まともに動いてるのは指で数えるほどじゃねーか」

「うっ……こ、これって……!」

芳佳は初めて、味方敗残兵の様子を目の当たりにした。包帯ぐるぐる巻きも珍しくない負傷兵に、思わず息を呑む。

「ここまで負けこむたぁな。パットンの強さが示されたってやつだな。内地じゃ、次期主力が研究中だって言うが、74式相当の登場はどんなに急いでも、あと2年近くかかりそうって話だしな…。ホリ改とオレ達で火消しするしかないって事だな」

――当時、M48の早期登場は予測範囲内であったが、扶桑でそれを超える『74式戦車』相当の『六式中戦車』、あるいは『七式中戦車』は弾道コンピュータなどの開発に時間がかかるため、あと数年は試作が終わらないと言う概算がでていた。そのため、場繋ぎにミッド動乱の際に少数が指揮官用としてテストされた、『105ミリライフル砲搭載』型』車両の制式化を急ぎ、それを『五式中戦車改三型』(この時に流通している90ミリ砲型が二型)として採用、ミッド動乱を経験した精鋭部隊に配備して送り込み、前線に補充する一方、五式砲戦車『ホリ』の改良である120ミリ砲搭載型と、ウィッチの航空支援で火消しを行う方法で戦線維持を行っていたのだ。

「各機、敵装甲戦闘車両を壊しまくるわよ!味方の撤退を支援する!」

「了解!」

圭子達は、味方の撤退を助けるため、敢えて十字砲火に身を晒す。この頃からティターンズからの技術とアイデアで、弾頭に霊力や気、魔力を込めてあり、その作用でウィッチのシールドを弱化させ、貫通する『対ウィッチ弾』が配備され始め、ジェットストライカーと言えど、防御力は相対的に万全では無くなった(ウィッチ万能論が衰え始めるきっかけの一つが、この弾頭の実用化である)が、熟練した4人の戦技はそれをもねじ伏せるほどのものであった。

「おっと、弾切れか。ならっ!」

ガトリング砲を切らした圭子は、ガトリング砲を機体のウェポンベイに戻し、連邦軍製のオートマチック大口径拳銃を構える。二丁同時に。

「さて、久しぶりに『こっちでの本領を見せる』か!」

圭子は歴史改変後、斧や鎌のエキスパートとして有名となった(ゲッタートマホークやサイトでの戦いぶりが印象深いため)が、本来は銃撃の腕で鳴らしたスナイパーである。最近はロンド・ベルでのび太に圧倒され、打ちのめされていた感がある圭子(ワンホールショットを連続で決められるわ、自分が超視力を併用しても、当たるか怪しい距離を軽く当てられたなど)だが、活路をガン=カタに見出し、新たな境地を見出したのである。

「おおおおおおっ!」

圭子はゲッター線で闘争心が引き出された影響で、戦闘となると張り切ったりする事が残った。当人もその辺りは自覚しており、ジェットストライカーを履いたままで、ガン=カタを披露する。その場の敵を倒したら『我を阻む物なし』と決めポーズと決め台詞を決めるノリノリさを見せる。

「ケイさん、張り切ってんなー」

「ケイさん、ゲッター線浴びた影響で闘争心を引きだされたから、突っ込むようになったんだよ」

「マジかよ!」

「うん。元は接近戦はやんない質だったけど、ゲッター線を浴びて、ああなったって奴」

「うへぇ。ゲッター線、恐るべしだぜ……」

菅野は、黒田から聞かされた事で、圭子の闘争心の秘密を知り、圧巻と言うべき感想を残した。圭子の闘争心はゲッター線によって極限にまで引き出された産物で、元は冷静沈着(ちょっとお茶目)な性格である圭子でさえ、ゲッター線の強烈な作用により、熱血系になるほどの効果を見せるのに驚いたようだ。

「黒江さんの言う通りですねぇ」

「宮藤、あの人も大概だと思うぜ……。どこがどうして、山羊座の黄金聖闘士になるんだよ……」

「黒江先輩は何度か、これでもかっていうくらいに絶望を味わったからね。だから、三羽烏の中じゃ一番、力を求める人になったんだよ。あの人はあの人なりに苦労してるんだよ、直枝」

「そりゃわかるけどさ。そこまでやるか―?ってくらいに邁進するのは、あの人の気質なのか?」

「元から鍛錬は怠らない人だけど、教え子を欧州で失った後、自責の念がずっとあるんだ。だから、一度、自分の力が何かに及ばないと、それに追いつくだけの力を身につけようとするようになったんだ。山羊座の黄金聖闘士になったのもそのためだよ」

「そうか……。あの人にそんな事あったのか。あの人、滅多に昔のこと話さないからなぁ」

「先輩にとっては、『その時の無力感や絶望はもう嫌だ!』って封印したい事だからさ。穴拭先輩に話したのだって、デザリウムの時に仮面ライダー三号にやられた時が最初さ」

――黒田が菅野に解説する。他人から見ると、常軌を逸しているとさえ言われる、黒江の『力を求める姿勢』を。それは黒江自身の負ったトラウマが、それを解消した今でも、形を変えて黒江を縛っているとも取れる内容だった。仮面ライダー三号は、人間としての戦闘力が極限に達しつつあるはずの黒江を完膚無きまでに倒した。それが彼女のトラウマを再燃させ、それが山羊座の黄金聖闘士へ邁進させた要因なのだ。

「仮面ライダー三号ぉ?なんじゃそりゃ」

「黒井響一郎っていう男が変身する、悪の仮面ライダーだよ。身体スペックは開発時期の都合上、Xやストロンガーと互角の水準なんだけど、攻撃力はオーバーブースト機能もあって、歴代でも相当に上。ストロンガーさんの超電子エネルギーにも当たり負けしない。そいつに先輩はやられちゃってね」

「へえ。オレが宇宙行った後、そんな事があったのか……」

そう。黒江は菅野に話していなかったのだ。黒井響一郎=仮面ライダー三号に瀕死にされた事を。

「先輩が知ったら多分怒るから、内緒にしてて。先輩、弱さを他人に見せるの嫌ってるから」

「分かった。ありがとう、那佳さん」

黒江との付き合いが長くなった黒田は、黒江が仮面ライダー三号に瀕死にされた事を他人に話さない理由を悟っていた。黒江は弱さを他人に見せるのを『恥』と考えている節があるのだ。それは同じ三羽烏である智子にさえ、デザリウム戦役中までそれを明かさなかった事からも分かる。菅野はこれを期に、黒江への見方を変えるのだった。






――扶桑海軍はハンターキラー部隊の編成を急ぎ、秋月型駆逐艦の第3生産ロット、松型駆逐艦を海自護衛艦タイプ竣工までの場繋ぎとして増産、ヘッジホッグ、アスロック、高性能ソナーなどの強力な対潜兵器をどしどし投入した。その結果、史実より少ない保有数だったガトー級潜水艦の活動を封殺に成功していた。これは潜水艦の保有数が少ない状態で、通商破壊戦に駆り出したティターンズの戦略的ミスであった。ウィッチ閥の抵抗で『通商破壊戦』に潜水艦を使うことに反対意見が多いのだ。これは両軍の共通事項で、扶桑では、かの伊400潜水艦の調達を中止、攻撃型潜水艦の調達に全面的に切り替えようとしたが、ウィッチ閥の直訴で変更されるなどの弊害が生じていた。

――ある海軍料亭

「未来情報のせいで、我らの立場は危うくなっている。ここらででかい戦果を挙げる必要がある」

彼女ら海軍ウィッチ、空軍ウィッチの内、反源田閥のウィッチらはここに一堂に会していた。彼女らはミッド動乱以後、ジェット戦闘機によって居場所を奪われたと思い込んでいる海軍ウィッチ、源田実の施策に反目する空軍のウィッチらで、その内の『高齢者』(18〜22前後)が会合を開いていた。

「伊400潜の調達中止は阻止したが、雲行きは怪しい」

「潜水艦などは、我らを海中から発進させる輸送艦だというのに、攻撃用途特化は間違っているのだ」

彼女らは通常兵器をウィッチの補助戦力としてしか見なしていない傲慢さを見せる。この世界の多くのウィッチが抱いていた思想だが、地球連邦軍、時空管理局の介入で見直されており、それを快く思わない者も多い証拠だった。

「坂本先輩はどうだ?」

「あの人はダメだ。神輿には使えん。我らと思いは同じだが、どうも、な。藤田さんと接触し、いい感触を得た。彼女を担ぎ上げよう」

彼女らは『ウィッチに不可能は無い!』と公言する坂本を神輿に担ぎ上げようともしたが、坂本は担ぎ上げられる事に興味がない上に、彼女らと相容れない主張もする(国家を脅かすあらゆる敵と戦うのがウィッチだ、など)ため、候補から外れ、そこで、似たような主張をし、烈風の開発会議で『空戦第一』と提言した、坂本の二期先輩である藤田怡与子少佐を担ぎ上げたのだ。これは彼女らの必死の抵抗であったが、F-4Eの登場を期に、戦闘機・ストライカー共にマルチロール化の波が一気に押し寄せ、制空戦闘機として造られたはずの烈風・紫電シリーズも戦闘爆撃機としての晩年を過ごすようになっていた事情もあり、上層部は彼女らを相手にせず、次第に追いつめられていくが、後に多くはミサイル万能論に鞍替えして、人的命脈をどうにか保ち、1950年代以後も黒江らと対立していくのであった。

――その動きを艦娘の人脈で察知した黒江は、プレゼンのために内地を訪れた日の夜、現地で落ち合った艦娘の陸奥にこう漏らした。

「あー、ウィッチ至上主義派閥のアホ連中共か。親父さんが危ないから、一応の監視は頼むが、あまり気にしないでいいぞ」

「何故ですか?」

「あいつらは従来の慣習にこだわるだけの烏合の衆だ。近い内に別の主張に鞍替えするだろうし、今は戦時だ。奴らもそのうちに気づくだろうからな。ウィッチの限界に」

黒江は喫茶店でアイスクリームを食べながら、話す。ウィッチ閥の霧散を予期したような発言だ。陸奥は諜報も行っている都合上、普通の人々と変わらない洋装だ。

「随分、落ち着いておられますね。」

「この商売してると、派閥の興亡なんて多く見てきたからな。奴らはウィッチが、国家を脅かすあらゆる敵と戦うようになるのが気に入らないし、受け入れられないだけだ。近いうちに霧散する。だが、そいつらが別の派閥に鞍替えすることが怖いんだよ。親父さんが退役するまでは、あと10年あまり。それ以後に何かにすがりつくだろうし」

「ミサイル万能論とか?」

「それだろうな。何の因果で、太平洋戦争の頃から、ベトナム戦争の心配せりゃならんのだ……ふ、ふぇーくしょん!!」

「あらあら、風邪ですか?」

「誰か噂してやがんな……。お前の方はどうなんだ?陸奥」

「私は横須賀の方じゃ大人気ですよ。大和に人気取られ気味ですけど」

「長門はどうなんだ?」

「長門は大和に子供人気が取られて、ぐぬぬですよ。艤装でラムネしか作れないのと、アイス造れるんじゃ、偉い違いですから」

「だよなぁ」

と、世間話も織り交ぜる。陸奥は長門が見かけによらず、子供っぽいところとは対照的に落ち着いた物腰の女性で、世のお母さん方に高い人気を誇るのだ。

「これからどうなると思う?」

「わかりませんね。もう年月は1947年。大日本帝国は滅んだ時間軸になっていますからね。少なくとも太平洋戦争には、軍の一部が望む形での勝利は無理でしょうね。ワシントンに日章旗と旭日旗、桜旗をおっ立てるような。それこそ、カナダ軍やイギリス軍も加えても無理ですから」

陸奥は、史実米軍の兵力と国力、国土の広さから、ブリタニアなどを加えた連合軍でも、リベリオンを占領・維持は不可能であると断言する。

「私の私見だが、やっぱり、ハワイを総力を上げて占領して、海軍の持ち駒を0にさせるしか方法ないか?休戦に持ち込むには」

「主力艦隊と主力航空軍を根こそぎ倒さなくては無理でしょう。それと各地の生産拠点を叩く必要もあります。ちょっとでもあれば、二乗で増えますからね」

そう。扶桑軍が航空パイロットの大量育成が国情的に困難に対し、リベリオンはモーターリゼーションを迎えて久しい故、パイロットの確保が比較的容易なのだ。それ故、エセックス級の大量造船が可能だ。

「困ったぜ……向こうはいくらでも兵器は補充できるからな。それに、MSの補充も済んでるだろうし。それにオーディーンの加護も得たと来てる」

「対するこちらはオリンポス十二神、機械仕掛けの神々。神格は向こうの方が上ですね」

「アテナは十二神の一人だが、向こうは北欧神話の主神だからなぁ……」

「ん?待てよ……」

「どうした?」

「北欧神話なら、倒せますよ!」

「どうしてだ?」

「ラグナロクですよ、ラグナロク!」

「あー―!思い出した!神々の黄昏だ!」

二人は思い立った。北欧神話の神々の黄昏と言える『ラグナロク』に。瓢箪から駒とも言うべき陸奥の一言で、希望を見出す黒江であった。




――南洋島

「ん?なんです?これ」

「ああ、私の新技の練習用の写真よ。結構、研究してるのよ」

「へぇ〜」

智子は雁淵に説明する。雁淵はクスッと笑う。大真面目に技を考えるのは、若き日から久しくしてないからだ。

「私も子供の頃はよくしたものですよ。今は鍛える技がないので……」

「あら。一つの技に泥酔したらダメよ?孝美。ちょうどいいし、特訓に付き合いなさい」

「は、はぁ。」

智子に首根っこ掴まれて、特訓に付き合う事になった雁淵。そこで彼女は、智子の新たな力を目の当たりにするのだった。



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