ズムシティにある悪の居城にしか見えない総合庁舎、その謁見の間にてデギン、ギレンの2人がたたずんでいる。

正確には玉座に座るデギンの横でギレンが立っている。

そして、2人の前には空中投影型のモニターがあり、そこにはドズルの顔がアップで映し出されている。


『兄貴、いいのか?』

「現状、我々が勝利するにはこれしかないだろう。

 クラナダ攻略後分割予定だった艦隊を分けず、サイド1に向かわせてくれ」

『サイド2ではなく、サイド1なのだな?』


ドズルはギレンに確認する、元々は同時攻略をして後顧の憂いを断つ予定であったが戦力が間に合わない。

月の両側にあるサイド1とサイド2はサイド3から見てほぼ等距離であり、逆侵攻もありうる。

その防衛のために使う予定のア・バオ・アクー以外全ての隕石コロニーはサイド1に向けている。

艦隊もサイド1に向ければキシリア率いる機動部隊とギレンやデギンの親衛隊くらいしか残らない。

質の意味ではまだ使えるが、量という意味では全部合わせてもドズルの機動部隊の4分の1程度でしかない。

ましてや、相手はこちらを察知しており攻略には時間がかかる可能性がある。


サイド2を攻略してからサイド1に向かって全て壊滅させながら行く方がいいのではと言っているのだ。

サイド1だけ攻略してそのまま地球にコロニー落としを慣行するのはリスクが高い。

挟撃の危険もあるが、どちらかというとドズルは防衛に穴が開く事を懸念していた。


「そうだ、リスクがある事は承知しているが、サイド2を壊滅させて地球に向かえば奴に後背を晒す事になる。

 奴は我らに対する対抗手段をいくつも考え付いた、時間を与えればこちらの戦力に対抗してくるかもしれん」

『ヤシマ少将だったか。そいつが要警戒なのはわかるが、ザクを上回る兵器を1〜2ヵ月程度で作れるものか?』

「作れないだろう、しかし、作戦としてはザクに対抗する方法はないではない」

『ミノフスキー粒子の展開速度は速い、戦闘機で突っ込んできてもそう簡単には対処できないだろう?』

「私が危惧しているのはそこではない、電子望遠鏡で我らを監視する監視網を作り上げたのが奴だ。

 こちらの軍事行動は半ば筒抜けになっている可能性がある。

 そして、我らの核に対する対処手段の中で一番簡単なものを使われないかを私は危惧している」

『簡単……つまりそいつは核でこちらに応戦してくる可能性があるのか』

「可能性はそれほど高くはないが、警戒しておいた方がいいだろう」

『兄貴がそれだけ警戒するとはな……』


ギレンが天才であるのは事実だがリソースには限界がある。

地球連邦軍の迎撃まではまだ時間があるが、サイド1が独自に戦力を増強しているのは確認していた。

つまり、サイド1を放置して進めば機動艦隊に奇襲をかけてくる可能性が高い。

コロニー落としはジャブローを壊滅させるための手段だが、角度が少し変わるだけで無意味になるデリケートな作戦だ。

ギレンから見てサイド1を放置するという選択はなかった。



機動戦士ガンダム〜転生者のコロニー戦記〜





第十七話 開戦



「建物とその周辺の調査完了しました!」

「ご苦労」


俺がセイラ嬢に今後の色々な手順を話していると、どうやらここでの調査はほぼ終わったらしい。

ざっと知った限りでも違法な資料がごろごろと出てきた。

ジオンに対する情報提供、連邦への情報隠蔽、ジオニック社との繋がりや、連邦政治家との裏取引等。

この辺は政治的にアウトな部類だが、もっとダーティなものも散見された。

フォンブラウン市は元々技術屋の寄り合い所帯なのだが、それだけに頑固者が多い。

賄賂や社会的地位等でなびかない人間には人質、それでも無理なら暗殺等もやっていたようだ。


さもありなんである、何せここ数年で急激に大きくなってきた経緯がある。

もともとのアナハイムは他の会社とそう変わらない規模でしかなかったのだから。

フォンブラウンの大企業になるまでには相応に時間を使っている。

それまでは、兵隊に使える人員が少なかったと見ていいだろう。

それが、一年戦争前には既に月の経済を支配していると言っていい企業になったのだから。

かなり派手にやっているとは思っていたが。


「それから、その……連邦議員を見つけました」

「は?」

「何なのだねこれは!?」


兵士に囲まれながらやってきたのは、淡い金髪のあご髭がごつい男

年齢的には40行くか行かないか、体格は良く筋肉ついてそうである。

端的に言うとブレックス・フォーラその人であった。


「ブレックス・フォーラ議員ですね」

「君はヤシマの……。しかし、なぜこんな所に?」

「この資料を見て頂ければ。後は、こちらの碑文の様なものも」


俺はブレックス・フォーラに証拠として押収したものを見せる。

ここに来ているとはさすがに思わなかったが、繋がりはあるだろうとは思っていた。

彼がエゥーゴを立ち上げる時にスポンサーになってもらった経緯から当然だろう。


それとブレックス・フォーラとジャミトフ・ハイマンこの2人は民主主義に喧嘩を売っている存在である。

軍に所属していながら議員資格も持つという意味不明な存在だ。

文民統治の原則どこに行った! というツッコミはお約束である。

まあ、Zガンダムが放送された頃の日本においては、そういう知識を知る人間はほとんどいなかったのも事実だが。

インターネットってのは常識を変えた存在だと言うのがよくわかる話である。

とはいえ、俺にとってはこの世界は現実である、連邦政府は完全民主制とか何とか言ってるが……。

あれだお隣みたいな国家だと思っておけば、うん……。


「うむ……ッ!?

 なっ……。     ……これは本当かね?」

「全てここで見つけた資料になります。

 特にこの宇宙世紀憲章の隠蔽は地球連邦に対する裏切り行為ですね。

 これらの資料を見ればわかると思いますが、一部の議員を脅して金や利権を取得していた経緯があります」

「……彼らがそこまでしていたとは……」


まあこの人、議員の中では割と清廉な人物ではある。

ただリベラル思想が行きすぎ、罪を憎んで人を憎まずをやりすぎる傾向がある。

そのせいか、元ジオン軍人でも普通にエゥーゴに引き込んでいたりでクワトロの件等も戦犯に近いが。

理想ももう少し現状を調べるべきだと言いたくなる。

コロニーを作る技術があるのだから地球の緑化も実の所可能なはずである。

コロニーの環境を整えられるなら地球にそれを適用できないはずがないのだ。

ただ、その発想が無くて技術が出遅れているのは間違いないだろう。

宇宙関連技術が発達した分その他が出遅れているイメージが強いなこの世界。


ともあれ、彼の性善説的な考え方自体は嫌いじゃない。

しかし、壊滅したサイドやコロニー落としの件を無かったかのようにティターンズに対する点は頂けない。

ありていに言えば、ティターンズを断罪する権利はジオンにはない。

ジオンを受け入れたエゥーゴにも当然無くて、彼の足を引っ張っている。

それが理解できないのはやはりアニメだったからだろう。

現実となった今はそれをさせる訳にはいかない、それに丁度いい人材ではある。


「そういえば議員は、コロニー市民の権利を保護したいとお考えと聞きましたが?」

「む、ああ……だが今回の件でかなり後退しそうだと思うよ。

 私のスポンサー兼理解者だと思っていた彼らが……私は見る目がないな……」


ありゃりゃ、自信を喪失させてしまったか。

とはいえ、理想を失ったわけでもあるまいし、少しばかり後押しを兼ねて話を勧めよう。


「それなのですが、スポンサーをヤシマに切り替える気はありませんか?」

「うん?」

「実は、彼女に今色々と教えている所でして。

 現状と、何をすべきかという点なのですがね」

「彼女? なっ……もしや……」

「ジンバ叔父様の葬式に来られていましたね。ありがとうございました」

「アル……いえ、セイラ・マスさんでしたか」


ジンバ・ラルとも知り合いであったのか、単に議員の派閥の関係で行っただけかは解らない。

面識があるという程度のようだが、まあ知っているなら話が早いな。


「はい、お久しぶりです」

「うむ……」

「さて、宇宙世紀憲章については既にゴップ大将にも情報を送っています。

 ゴップ大将とヤシマグループ及びその系列が支援しますので、こちらの計画をお手伝いいただければと」

「計画?」

「コロニー市民の選挙権及び被選挙権を宇宙世紀憲章に基づき認めさせようという話です」

「なるほど、それが上手く行けば不平等の是正になる……。

 そして、その中心となるのが彼女と言うわけか、しかしいいのかね?

 君はまだ学生だろう?」

「はい、出来る事は限られますが。

 今起きている複数のコロニーでの暴動を沈めたり、ザビ家の野望を防ぐためならお手伝いをしたいと思います」

「ならば何も言うまい、私の考えとも合致する是非推進させてもらいたい」


ブレックスの件はうれしい誤算でもあったので、正直言って助かる。

彼自身どうにも宇宙市民びいきな所があるため、セイラ嬢は良い餌になりえるという事だ。


「では、マゼランで護衛しますので、月に向かって頂きたい」

「月?」


そう、戦争が予想もつかない程に前倒しになりつつある。

それはジオンにとっても厳しい現実だろうが、俺にとっても同様だった。

ブースター計画及びボール改造計画はそれなりの数の生産ができつつあるが、それでも軍全体に回るほどではない。

つまり、トリアーエズ等のザク1機に5機で当たっても勝てるか怪しい機体も使わざるをえなくなるという事だ。

トリアーエズのバルカンの威力ではザクの装甲を抜くのは不可能だろう。

間接部を狙撃する様な難易度の高い戦いをしなくてはならなくなる。


そんな状況の中サイド1にセイラ嬢や管轄外であるブレックスを置いておく事は出来ない。

逃げるにしても、攻撃対象はサイド1,2,4のコロニー群。

サイド5に逃げても、2回目ブリティッシュ作戦にて攻撃対象になっている。

地球はコロニーが落ちるので問題外、となればサイド7か得ルナ2辺りに逃げ込むか月に行くかだ。

そして一番生存率が高いのは月のフォンブラウンだろう、アナハイムとジオンの繋がりを考えれば間違いない。


「戦争になった時に対処しやすい点や、ミノフスキー粒子散布外である点。

 それに、広報を行うにも向いていますからね、月からならほぼ全ての場所に向けて電波を発信できる」

「戦争が近いと考えているのかね?」

「ええ、確実に一ヵ月以内には仕掛けてくるものと思います」

「そんなにかね、流石に……」

「今このコロニーを含む各サイドの数十のコロニーで暴動が起きています。

 恐らく、戦争までサイド3に介入させないための仕掛けだと思うんですがね?」

「……」


正直、こちらに残っていても得はない。

セイラ嬢は理解しているかわからないが、流石にブレックスは理解しているだろう。

戦争が始まれば彼女は優先目標の一つになるだろうから、非常に不味い。

早々にサイド1から離脱してほしい所だ。


「私が声をかけて直接止めるわけにはいかないのですか?」

「それは無理だろう、貴女がいくら説こうとも、頭に血が上っている連中はまともに聞きはしないよ」

「ええ、なのでセイラ・マスさん。貴女はフォンブラウンで世界中に発信して頂きたい。

 宇宙市民がこれからは立候補し投票もできる様になるという点を」


俺がそう言って2人を車両に乗せる。

まあ当然だが、これだけ派手にやったんだから人は寄ってくる。

もっとも暴動をしている連中は頭に血が上ってるので、一般の人間だが。

しかし、それらが屋敷を破壊したとなれば暴動に参加した連中も集まり始める。

逃げられなくなる前に脱出しないとまずい事になる。


軍と一般人で戦うなんてのは最悪のイメージダウンになるしな、交通整理を行うメンバーを残し順次撤退した。

人が集まってからは火炎瓶やハンドガン、煙幕等で攻撃を受けたがそもそも戦闘車両は装甲も厚いので何とか切り抜けた。

暴動を起こしていた人間達は車両によじ登ろうとした者もいたが、過去にもそういった例はよくあるので対処法もある。

ウィンカーが全ての窓に設置されており、それを動かすと腕が払われて飛ばされていく。

それでも強引に上がろうとしてくるものには車両上部に放水用のスプリンクラーが出てきて勢いよく放出する。

捕まる所が滑って動いている事もあり滑り落ちていく。


「こんな状態なので、説得は難しいですよ」

「……ですが、ここまでしなくとも」

「身動きが取れなくなる。怪我をさせるようなものは使っていないだけマシだろうな」


それから、宇宙港がようやく見えてきた頃になりだいたいの一般人は振り切った。

しかし、当然ながらジオンのスパイというか工作員が仕掛けてきた。


「ハンドル右!」

「はっ!」

「なんです!?」

「地雷を仕掛けられていた……。警戒はしてたんだが、後部車両にも言っておかねばな」


咄嗟にハンドルを切らせて防いだもののクレイモア地雷が正面の道に仕掛けられていた。

あんなのが当たったら、いくら頑丈な戦闘車両とは言え最低でも行動不能、内部まで飛び込んできたら全滅もありうる。

仕方なくバリケードを張らせて撤去作業を行ってから港に入る。


しかし、港にも入り込んでいたらしく銃撃戦となった。

流石にこの辺は一般人ではないだろうから、対処を行う事となった。

だが、こうして相応の数の武装勢力が入り込んでいるのを見ると連邦軍なんてのは外側だけなのだなとわかる。

各コロニーの内部事情までは手が出せない、兵器の問題もだが人員もとてもではないが足りない。

ジオンはその穴をよく研究しているのだろう、アニメの事とはいえ後々スペースノイドが主流になるはずである。


「これは……」

「ジオンの潜入工作員でしょうね。暴動を行っている一般人が手に入る様な装備じゃない」

「サイド1で暴動を起こしているのがジオンの工作員の仕業という訳か」

「そういう風に誘導を行っているのは間違いないでしょう。彼らもまた追い込まれていると感じているのかもしれない」

「追い込まれている?」

「切り札であるMSの性能やミノフスキー粒子による広域電波妨害、核ミサイル大量配備なんかを連邦が知ったからです」

「なっ……」


まだブレックスは知らなかったのか。

まあ軍内部での会議ではあったが、連邦政府にも伝わったはずだが。

そうでなければ、艦隊の大規模改修なんてのは出来ないわけだし。


でもまあ、彼は議員資格は持っていても非主流派であるのは間違いないだろうしな。

伝達が遅れる可能性は否定できないか。

戦闘要員以外の部下に資料を持ってくるように言う、少し場違いではあるが車両内だ。

こちらは戦闘車両つきで500人以上いるのでそのうち殲滅できるだろう。


「核の大量配備というのは、いったいどうするつもりなのだ?」

「ザクのバズーカで発射するらしいですね。通常兵器としても乱戦になる前なら圧倒できる。

 それに、自分達と敵対的な思想を持つコロニーを焼き払うのにも向いていますからね」

「コロニーに核だと!?

 コロニーは脆弱な生活基盤なのだ、空気が抜けただけで全滅必至なんだぞ!?」


ブレックスは怒気を顕にする、そうそう普通の反応はこうだよな。

こうしてみると差がわかる、問題はアニメにおけるコロニーへの核攻撃に関しては実際に使われたのはイグルーからという点だな。

Zの頃は無かった設定なのだろう、とはいえ結局各サイドを壊滅させている点は同じなのだが。

作る時何も思わなかったのだろうか?


「ギレンという男はそういう男なのです。そしてジオン軍は皆それを是としている。

 躊躇なく撃ってくるでしょうね」

「そんな……彼らもまたコロニーに住む者なんだぞ!?」

「各サイドのコロニー暴動の仕込み、何年かけたんでしょうね?

 少なくとも、ジオン公国になってからだと思いますが」

「何が言いたい?」

「ジオン・ダイクンが死んだのがUC68年、公国が出来たのがUC69年一年しか経っていません。

 デギン・ゾト・ザビはわずか一年で国体そのものを変化させた。

 そして、今はUC78年、まだ2月になったところです

 実質新しい国体になってから8年、ギレン・ザビが台頭し国力は跳ね上がっている。

 貧困を訴えていたサイドがわずか8年で連邦と戦争する準備を整えるまでになった。

 そして、各コロニーにこんな仕込みすらしている。まともな手段で行ったように見えますか?」

「それは……」

「更には、アステロイドベルトの開発、連邦には当然言っていませんから違法です。

 そして、サイアム・ビストの後援に関してはまあ元々が誰だったのかは知りませんが、彼らが引き継いでいる。

 月の経済を半ば握るまでに肥大化させたのはギレンによる後援の結果と見るべきでしょう。

 ギレンは恐らく最初から連邦政府を倒すつもりで動いている」

「地球連邦を倒す……世界国家と言える連邦を……」

「そのためなら洗脳、テロ、虐殺なんでもござれ。そうでもしないと国力差をひっくり返せない。

 彼にとってコロニーへの攻撃なんて手段の一つに過ぎないでしょう。

 ですが、やられるわけにはいきません」

「当然だ」


その後の話も含めギレンが仕込んだとするならIQ240の異常性が分かるというもの。

彼と敵対するのは大変だが、彼と共に虐殺者になるのはモット御免だ。


そんな事を考えている間にも、テロリスト共は数を減らしていく。

実際装甲車や戦車についている機銃も使っての掃討なので、火力の差が大きい。

時折この車両まで飛び込んでくる奴もいるが、機銃掃射の前にはほぼ無力だ。

もっとも手榴弾を投げ込んだりされると傷ついたりはするかもしれないが


「終わったようです。このままマゼランまで乗りつけますね」


そう言って車両が動き出した時、何者かが飛び込んできた。

そして次の瞬間、光と爆音が響いた。


「ぐっ!?」

「えっ!?」


そして次の瞬間、車両が横転し逆さまになる。

動転して動けないまま、シートベルトで吊り下げられた様な状態になる。

その体制から抜け出すのに数分を要した。


「ふう……どうにか扉も開くな、しかし自爆テロか……」

「え……今のがそうだったんですか……」

「恐らくは。少年が飛び込んできてその後光と爆風で車自体が逆転したのでほぼ間違いないかと。

 ただ、今は逆にチャンスです。相手もまた自爆に動揺してか動きが鈍くなっています」

「うっ、うむ……、しかし大丈夫なのかね? 血を流しているようだが」

「ええ、痛くはありますが……。幸い肩を少し傷つけた程度のようです」


いや、本当に痛い。

だが今ここの最高指揮官は俺だ、ここで動揺は出来ない。

ジオンは本当に無茶苦茶してくるな……。

とりあえず、無線を使い兵達には指示を出しておく。


「大丈夫なのですか?」

「被害は出ましたが、こちらの優位はゆらいでいません。

 私達はむしろ足手まといですからね、このまま隠れているかさっさとマゼランに入るかです」


実際もう掃討が終わりつつある。

だがその時、携帯通信機に通信が入った。


『司令緊急回線を使って申し訳ありません!』

「どうした?」

『ジオンが! 艦隊をもってクラナダに進行しました!!』

「ッ!!」



それが、この世界においての開戦の合図。

あちらも焦っての開戦なのは間違いない、しかし、俺の方もまだ準備は足りていない。


このままではどの程度の被害が出るのか予想もできなかった。
















あとがき


今回はあまり進みませんでした。

ブレックスを入れたせいですね(汗

しかしどうにか開戦まで持っていけた。

当初の予定よりはかなり早いけども。


そういえば最近、インタビューで面白い記事がありました。


出渕裕氏が「逆襲のシャア」について

「シャアを再発見、再構築した作品だった。

 クワトロ・バジーナって人は、富野さんにとって失敗作なんですよ。

 アムロたちと一緒にしていた方が、話が膨らむかもしれないと、クワトロをいい人にしちゃった。

 反発する方もいるかもしれないけど、あいつ、サイコパスなんです。

 独善的で、共感力がなくて、嘘ばかりついている。

 最後のアムロと対峙(たいじ)しているのもウソを言っているかもしれない」

こう言っておりまして。

それに対し富野監督は

「その指摘は正しいですね。

 ラストシーンのシャアとアムロの台詞を作っている時、

 なんか気持ち悪いな、本当はこう作りたくないんだけれど……と時間切れだからしょうがなく作った」

と返しています。


会話がぶっ飛んでて勢いで作ったのが良くわかる台詞でしたが熱かったのでよしと当時は思っておりました。

しかし、今にして思うと作る側もそういう感じなんだなと理解できます。

結局の所、掘り下げも精度も皆時間と金の制限があるためどうしても作り切れない所も出るわけですね。


それは兎も角、シャアの人間性に触れた出渕裕氏も凄いが冨野監督もそれを認めてるのが驚き。

つまりシャアがサイコパスで独善的で共感力がなくて嘘ばかりついているのを監督が認めたという事です。

版権が会社にあるため公式とまでは言えないですが、限りなく公式に近いグレーですよね。


今までシャアはあくまで純粋な人ってララァが言ったのを公式評価にしてましたから。

フィフスルナやアクシズを落とす純粋って・・・(汗

それが否定された事によりもう少し現実的な評価になるかなと思います。



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