番外編その2『幸せな夢で、待ってる』


その日は朝からアスカの調子が良かった。
夏も通り過ぎ、木々の葉も覚めるような緑から燃えるような赤へと
移り変わった季節。
まるで世界の全てが赤く染め上げられたように感じる……なんて、
私らしくない言い回しだったかな?
でも今までなら季節の移ろいなどさして気にも留めていなかったが、
今年は…というか、今は別だった。
何故なら廊下の窓から見えるその赤という色は、私の隣を歩く彼の
イメージカラーだから。
だから、こんなにこの色が心地良く思えるのかもしれない。

私はいつものように午前三時くらいまでシャルとともにアスカの看病をして、
同室の一夏にそれがバレないように速やかに部屋に戻る。
そして七時を回ったあたりで一夏とともに食堂へ向かう。
その途中で同じく食堂へと向かうシャルとアスカの二人と合流して、
四人で朝食を終えてから教室へと急ぐ。
もはや日課となってしまったコースで、今日はいつもより部屋を出る時間が
遅くなってしまったのに、シャルとアスカは途中の廊下で私たちを待っていてくれた。
その時から既に、アスカの顔色がいつもと比べて穏やかだと気付いていたんだ。
昨日は、あんなに夜苦しんでいたのにな……。

食堂にて私は焼き魚定食。一夏も私と同じ。
シャルはフランス料理の朝食ランチ。
そしてアスカは麦飯を軽く一杯と沢庵二切れ。
これもいつも私たちがチョイスするメニュー。
アスカは私たちよりもはるかに少ない食事を、しかし私たちと同じくらい
時間をかけて、ゆっくりと咀嚼している。これもいつも通り。
本当はもっと食べて力をつけてほしいのだけど、セシリアの料理以外だと
沢山食べてもすぐにもどしてしまうから、これくらいが丁度良い、らしい。
…実は私の料理でも、シャルの料理でも、一夏の料理でも駄目だった。
鈴に至っては料理に密かに自信を持っていたらしく、駄目だったときは
地に手をついて悔しがっていたっけな。
ならば朝食もセシリアに作ってもらえばいいのだが、それだとセシリアの負担が
大きいとアスカが申し出を断った。
セシリアはアスカのあまりに強いその意志にその場は引いていたけど、最近のアスカの
調子をセシリアもひどく心配している。
その内朝食も強行して作って持ってくるかもしれない。

そして授業が始まる15分前。
私たちは食堂を出て、教室へと続く廊下を歩いていく。
その途中で話題になったのは、もちろん今日のアスカの体調のことだった。
廊下を横一列に、アスカの右横を歩いていたシャルが、まず最初に口を開く。


「でも、今日はシンの調子が良くてホッとしてるよ。
 ご飯を食べるペースもいつもよりも若干早かったし、顔色も
 どことなくいいしね」

「ああ、それは俺も思ってた。
 いつもの土色のそれよりも血色がはるかにいいからな。
 足取りも心なしか軽やかじゃないか、シン?」

「お、お前ら…よくそんな細かいことまで見てるな…。
 でも、まあ……うん。確かに調子がいいな。
 …良い夢を、見たからだと思うけど」


少し頬を染めてそっぽを向きながら、ふとそんなことを呟くアスカ。
一夏はそれに笑顔で頷くだけだったが、私とシャルは同時に眉をひそめる。
…良い夢?昨晩あんなに苦しんでいたのに?
私が帰った後、それを見たのか?
でもシャルも怪訝な表情を浮かべているし、それに気付いていなかったということだ。
と、アスカはほんの少しだけ目を伏せると、また呟くように口を開く。


「一面の花畑で……とても大きな木があって……そこに、皆がいるんだ。
 俺に、微笑みかけてくれるんだ。『待ってる』って。
 …まあ、俺は『まだ』そこにはいけないんだけど…。
 最近ちょくちょく見るようになって、つってもほんの一瞬しか見れなかったけど…。
 だから調子がいいのかも。…くくっ、単純なことだよ、本当に」


まるで子どものように無邪気な笑みを浮かべるアスカ。
いつものように力ない笑みだったけど、そこには確かに喜色が見て取れて。
本当にアスカが喜んでいるってことが分かったけど。
知らずアスカの左隣を歩いていた私は、一夏に見えない位置で、アスカの手を握っていた。
見るとシャルも、アスカに右手を強く握っている。
アスカは訳が分からないといった具合に顔を真っ赤にして慌てていたけど、
私たちはアスカの手をより強く握り締めて、教室に着くまで離さなかった。
時折、アスカを見ると無性に不安になることがあるんだ。
目の前にいるはずのアスカが、次に瞬きをしたら跡形もなくいなくなっているんじゃないかって。
今も、そうだった。
この言いようのない不安。
目の前の男の人が、私たちの前から霧消してしまうんじゃないかという危惧。
そしてそれを全く自覚していないからこそ、私は…私とシャルは彼の手を握り締めたんだと思う。
……そんな夢よりも、私たちの温もりのほうが、確かなんだと、伝えたかったのかもしれない。

教室について、私たちはそれぞれの席につく。
すると周りには次々とクラスメートたちが寄ってきて、私たちはそれぞれで
他愛もない話題に花を咲かせる。
それでも視線は、チラチラと後ろに向かってしまう。
教室の端で、セシリアと歓談するアスカへと。
見るとアスカはセシリアから手渡された一個のおにぎりを貪るように喰らっていた。
セシリア…やっぱり我慢できなくなって作ってきたんだな。
そしてアスカのあの嬉しそうな表情。
…私の中に、黒い感情がうねりを上げる。
胸がギュッと鷲掴みされたように締め付けられる…苦しい。
いつしか私は唇を噛み締めて、そちらばかり見ていた。
私ではアスカにあの表情をさせることはできない、そう思うと…胸が張り裂けそうだった。
少し視線を逸らすと、シャルも同じようにアスカとセシリアを見て複雑そうな顔をしていた。
あとはラウラと、秋之桜さんか……。
二人とも頬を膨らまして、それを見つめている。
何だ……やはり私だけじゃないのだな。

と、しばらくそれを見つめていたが、アスカはおにぎりを食べ終わって、包んであった
サランラップをグシャグシャッと丸めると、机の中に放り込もうとして…。
そこで、ふと机の中を凝視していた。
………?何をしているんだ、アスカは?
というか、『何を』見ているんだ?
セシリアも不思議そうにそれを見ていたが、机の中を凝視していたアスカは、おもむろに
机の中に手を突っ込んで、そして、叫んだ。


「ホォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!?????」

「ひぇっ!?ど、どうなさったのですか、シンさん!?」

「あ、アスカっ!?どうかしたのか!?」

「シンっ!?」


顔を真っ赤にして、まるで未確認生物にでも遭遇したように驚愕の表情で吼えるアスカ。
私も、シャルも、一夏も、ラウラも秋之桜さんも、というか教室の皆が一斉に
アスカの元へと駆け寄る。
しかしアスカは何故かアタフタと取り乱し、皆に何でもないと取り繕うばかり。
…というか、アスカ。今何か机の中から取り出して、高速でポケットに隠さなかったか?


「だ、だから何でもないって!ほ、ほら春先は理由がなくても叫びたくなるときが
 あるだろっ!?『たまやーッ!』とかさ!なっ!?なっ!!?」


……そもそも今は秋だし、『たまやー』は夏だ。
言っていることは滅茶苦茶だったが、私は、特に私とシャルはそれ以上追及しなかった。
下手に突っ込んでアスカの機嫌を損ねたくなかったから。
私にとって今一番怖いことは、アスカが私の前からいなくなること。
次に怖いことは、アスカに嫌われること、だったから。
心にモヤモヤは残ったままだったが、私はその時は何も言わなかった。
まさかそれがその日の昼休みに起こる大事件の引き金だったとは、その時の私は
まるで気が付かなかったんだ。
































今朝の一件のことばかり考えていたせいか、あっという間に昼休みになった。
それを何とか振りきり、アスカを昼食に誘おうと思ったが、その前にアスカが
颯爽と席から立ち上がり、足早に出入り口へと向かう。
何だ、やけに急いでいるというか……。


「あ、アスカ?昼休みになったし、昼食を……」

「い、いや!俺はちょっと用があって……、一夏を誘って行ってくれよ!
 俺もそれが終わり次第行くからさ!じゃ、じゃあ俺はこれで!」


早口でそう言うと、そそくさと出て行ってしまった。
それを呆然と見つめていると、シャルたちが寄ってくる。
皆私と同じく、どこか訝しげだ。


「行っちゃったね、シン。朝から様子がおかしかったし、
 何かあったのは間違いないんだろうね。
 僕たちには何も言ってくれなかったけどさ」

「ええ……私と話している途中のことでしたから、よく覚えていますわ。
 机の中を穴があくほど見つめていて、その後急に、でしたから」

「旦那様があそこまで取り乱すのは私が夜這いをかけて以来だな。
 篠ノ之、お前は何か知らないのか?」

「知っていたらお前たちにも言うさ。でも、何にしても……」


心配だ。声に出さずに、そう呟いた。
それはこの場に居る全員に共通する想いだったはず。
だって皆、アスカが出て行った出入り口から目を逸らさずに溜息をもらしていたから。
でもその場に留まっていたって仕方がない、皆自然と食堂に足を向けようとしたところで…
後ろから声をかけられた。


「篠ノ之、オルコット、デュノア、ラウラ……。
 四人とも、いるみたいだな」

「織斑教官?どうされたのですか、私たちに何か用事が?
 それに後ろにいるのは……鈴音?」


そこには憮然とした表情の織斑先生と、何故か困惑した様子の鈴の姿が。
…?どうしたんだ、織斑先生、やけに機嫌が悪いというか……。
いつも以上に顔をしかめて、目をつり上げている。
と、織斑先生は艶やかな黒髪をグシャッと掻き毟り、私たちに向き直る。
そしていつも以上に低く剣呑な声色で呟いた。


「少し……問題が起こった。お前たち四人、凰、…そして私。
 直々に指名があってな。……悪いが昼休みは返上だ。
 私について来い。話は、それからだ」


それだけ言うと、織斑先生は足早に教室を出て行く。
私たちも訳が分からないながらも、それに随伴する。
その間、織斑先生は一言も口を開かず、私たちは内心ビクビクしながら付いていく。


「お、おい鈴。これは一体どういうことなのだ?」

「わ、分からないわよ。私もいきなり先生に声をかけられて……。
 訳も分からないまま付いてきてるのよ。
 でも…………」

「でも、何だ鈴音?」

「うん、さっき先生こんなこと呟いてたの。
 『アイツめ、アスカに一体何をするつもりだ?』って」


その言葉に私たちは色めき立つ。
アスカ……アイツに何かあったのか!?
皆の顔に不安の色が浮かんでくる。
特にシャルに至っては青ざめた顔をしているし…。
私だって……震えが止まらない。
その不安に耐え切れなくなった私は、たまらず先生に事の次第を確かめようとして、
ふいに何かにぶつかる。
前を歩いていた織斑先生が、突如その歩みを止めたのだ。
私たちが止まったその場所は…。


「もしかしてここって、『開かずの部屋』?」


そう、私たちの立ち止まったその場所は、第三校舎の端の部屋に位置する、
通称『開かずの部屋』。
とは言っても、ただそこに色んな物を放り込んでいるだけの物置というだけで
別に学校七不思議とかそんなのでは全然ないのだが。
と、織斑先生はその部屋を少しの間注視していたが、すぐにカツカツと歩き出して、
その隣の、今は使われていない教室の扉へと手をかけた。


「お前たち何してる。私たちが用があるのは、この部屋だ。 
 さっさと入れ。…アスカに何かあってからでは遅い」

「っ!?せ、先生!アスカにって、どういう……!?」


織斑先生はそれには答えず、部屋の中に消えていく。
私たちもそれに続いて、最後にラウラが入ったところで、いきなり扉が音を立てて閉じた。
それと同時に暗闇が支配していた教室内に、眩いばかりの人工の光が浮かび上がる。
それがスクリーンに映し出された映像の光だと分かるのに数瞬かかり、そして、
そこに映し出されている妙な機械を頭にかぶされて椅子に固定されている
人物が誰かというのに気付くまで、さらに数瞬かかった。


「なっ……そんな!?アスカっ!!アスカぁぁ!!!!???」

「し、シンさん!?何ですの、これは!?変な機械に囚われて……!?」

「ど、どういうことなのよっ!?シンっ、シンっ!?返事しなさいよ!!?」

「あ…ああ、こんな、何が起こってるの……!?シンに何かあったら、僕は……」

「だ、旦那様っ!!どうしてこんな……教官!!これは、一体……!?」

「くっ……束っ!!出て来い!!私たちをおびき出して、一体どういうつもりだ!!
 アスカは無事なのだろうな!?聞こえているのか、束ぇ!!」


…………………え?
スクリーン内のアスカを見て恐慌状態になっていた私たちは、織斑先生の言葉に
思わず呆ける。
束……って、確かに先生はそう言った。
私の知る限り、束なんて名前はただ一人。
と、いうことは………。
呆然としている私たちの頭上から、突如スピーカーから吐き出された能天気な声が
降りそそいでくる。
その声は聞き間違えるはずもない、私の馴染みの声だった。


『そんなに怒んないでよちーちゃん〜!
 別にあっくんには危険なことはしてないよ。
 この機械だってあっくんを幸せにするためのものであって
 決して悪いものじゃないんだよ〜』


その間延びした緊張感の欠片もない能天気な声。
でも何故か人の心に強く揺さぶりをかける不思議な声。
…篠ノ之、束。私の姉さんの、夏以来に聞く久々の声だった。
姉さんが……まさかアスカをこんな目に遭わせているのか……?
そんな…信じない。信じたくない、けど……。


「だったら何のためにアスカをそんな機械にくくりつけているのだ!?
 それに私たちを手紙でこの部屋に呼んだのにはどういった意図がある!?
 私たちはここに来たぞ!ならば全てを語るべきではないのか、束!!!」

『だからそんなに怒んないでって〜。
 私の話を聞けば、ちーちゃんたちそんなこと言えなくなるよ?
 それにちーちゃんたちをわざわざ呼んだのはその方がおもしろ……ゲフンッ!
 えっと、今後のためになるからだよ!』


……どうしてだろう、我が姉ながら全く説得力がない。
どうしてあの摩訶不思議な機械がアスカのためになるのか、理解に苦しむ。
と、聞こえてくるのは声だけだが、どうやら姉さんには私たちのことが見えているらしく、
何故かわくわくしたような声色で、さらに言葉を続ける。


『…安心しなよ箒ちゃん。この機械はね、『幸せ妄想マシン・ヌプッと君一号』。
 その名が示す通り、装着者に幸せな夢を見せる機械なのさ。
 皆を呼んだのはね、今からあっくんが見る幸せな夢を、一緒に共有してもらいたいと、
 そう思ったからさ。まあちーちゃんと箒ちゃん以外はおまけみたいなもんだけど。
 だから、皆にはこの特等席で、あっくんの夢の旅路を見届けてもらいたいのさ。
 ……うぷぷっ』


…まず、ネーミングセンスが分からない。
それに最後の意味深な笑いが、目に見えない不安を加速させる。
幸せな夢を見せる機械?そんなものが現実にあるのか?
というかそもそも、何をもって『幸せな夢』とするのか、その基準があやふやだ。
私たちは訳が分からないながらも、とりあえずスクリーン前に置かれた椅子に腰掛ける。
すると、スクリーン横に備え付けられた別のスピーカーから声が聞こえてくる。
それはこの場にはいないアスカの声。
やけに切羽詰ったようなその声に、思わず椅子から立ち上がってしまう。


『ここまできたらもう覚悟決めちゃいなよあっくん。
 君も見たいだろう?自身が子の親になった姿を。
 隣に愛する女性を配して、ゆっくりと時間を過ごす姿を。
 戦いから離れて、愛するものたちと過ごす姿を』

『そんな資格は俺にはない!例え夢の中でもだ!
 というか当人が嫌がってるんだ!いい加減にしろーーー!!』

『もういいよ、聞き飽きた。
 まずは、そうだね。我が愛すべき妹。箒ちゃんから始めるね。いっくよぉ〜!』

『し、篠ノ之だと!?余計駄目だ!!
 篠ノ之とそんな……うわぁぁぁ………………』


じ、自身が子の親になった姿?
隣に愛する女性をって、一体何の話だ……?
というか、まずは私からって、どういう………?
混乱する私たちを他所に、それは始まった。
……始まってしまった。アスカと私たちの、夢の旅路が。































初めに映し出されたのは、どこかの小さな軒先だった。
小さいとは言っても、そこはまるでどこかの庭園のように整えられていて、端に植わっている
梅の木には、鶯が留まり、春の訪れを知らせている。
その縁側には和服を着た大人びた表情の女性が、同じく黒を基調とした和服の男性を膝枕して、
彼の頭を優しく、優しく撫でている。
その男性の左頬には痛々しい十字傷が、そして和服から見える彼の地肌には無数の傷。
それは見間違うはずもない、アスカのもので。
そしてそんな傷も含めて愛おしそうに彼を見つめるのは……。


「な、何よこれ……。ていうか、画面の男ってどうみてもシンで……。
 それに、この大和撫子然とした女って……」

「どう見ても、箒だよね……」

「……束、まさかさっき言っていた『幸せな夢』というのは……」


…薄々気付いてはいた。
その画面に映し出された人間が、アスカと、そして私だということに。
もちろん、これが現実なわけがない。
画面の中の私たちは、もっと大人びているから。
ということは、これが姉さんの言っていた『夢』ということなのか……?


『んっふっふ〜。気付いてもらえたと思うけど、これって、あっくんと箒ちゃんの
 結婚生活のシミュレーションなんだよね〜。
 とはいっても二人の大まかな性格のデータを打ち込んであるから、実際のそれと
 遜色ない出来だと思うけどね』

「ふぇっ!?ね、姉さん……それって、本当なのですか……?
 本当にこれが、アスカと私の……」

『もちのロンで、お姉ちゃんとインディアンは嘘つかないよ。
 まあ、もしこれが現実になれば、もっと甘々で、犬も食わなくなると思うけど』


ボンッと一気に顔が熱くなる。
まるで私が、目の前の映像の中に入り込んだ錯覚に囚われる。
これが、私とアスカの、結婚生活……?
こんな、穏やかな生活を、私とアスカが……?
何度か自分で想像してみたことはあるけど、これはそんなのとは比べ物にならないくらい生々しくて……。
と、私たちが映し出される恥ずかしい映像に食い入るように見入っていると、スピーカーから
さらにアスカの声が聞こえてくる。


『そっぽを向いて恥ずかしがる彼女に、思わず笑みがこぼれる。
 俺は彼女のそういう素直じゃないところが堪らなく好きだ。
 実は心の中では跳ね上がるほど喜んでいることも分かっている。
 IS学園にいたころは全く分からなかったけどな。
 でも戦いから離れてもう数年、俺がこんな穏やかな時を過ごすことができるなんて
 思ってもみなかった―――』


「え……うぇえ!!!???」

「な、何なのですかこのナレーションは!?
 しかもこの声、シンさんが仰ってるのですか!?」

『いんにゃ。声は事前に打ち込んだ音声パターンを流してるに過ぎないよ。
 ただ、今夢の中にいるあっくんが考えたことを感知して、それをナレーションていう形で流してるわけ。
 つまりあっくんの心の中が駄々漏れってわけだねヒャッホイ!!』


つまり今の台詞も、現在進行形で流れ続けているこの声も、全てアスカの心の声というわけで……。
もはや私の頭は恥ずかしさとよく分からない嬉しさで、混乱の極致にいた。
アスカ、私の事をそういうふうに理解してくれていたのか。
それは当たらずとも遠からず……嘘。実際当たっていて、彼が私の事を見ていてくれたのは、素直に嬉しい。
でも、まさかこんな形でそれを知ることになるなんて……。
姉さんのやってることが非道なことだと理解はしているけど、しかし私たちは誰もそれを咎めようとはせず、
引き続きそれに見入っていた。
チラッと横目を向けると、なんと織斑先生でさえ目の前の映像を凝視していた。
……その頬がうっすら上気していると感じるのは私だけだろうか。

そんなこんなにも映像は続いていって、なんと私は一児をもうけていたらしく、そこで私の脳はパンク寸前になっていた。
何故か無意識の内に自分のお腹をさすってみたり……な、何をしてるんだ私は!!
と、そんな目を背けたくなるような甘いひと時もそろそろ佳境に入った頃。
画面の中の私が縁側に座っていたアスカに擦り寄っていって、アスカはそんな私の胸元に、
おもむろに手を入れてきた。


「な、ななななななな…………………」

「ちょ、ちょ、ちょちょちょちょ………、まさかこの後って………」

「う、嘘だよ。シンが他の女性と、こんな………」


全員がそれぞれの反応を見せるが、共通しているのは口をパクパクとさせていることと、
決して画面から目を逸らさないこと。
シャルやラウラに至っては顔面が蒼白になっていたけど、心なしか目から光彩が失せていたように思うけど、
気にしないほうが良さそうだ。
私はまだ刺されて死にたくはないから。
そして、そのまま私とアスカはお互いを包む熱のまま、互いに相手の帯を解いていって、
二人とも生まれたままの姿で畳の上に倒れ込んで身体をまさぐり始めたところで……。


『ぎゃああああああああああああ!!!!!?????』


突如アスカの叫び声とともに、映像がブツッと音を立てて消えた。
それとともに私たちの間にも動揺が広がる。


「えっ!?何で消えちゃったのよ!?というか、さっきの叫び声って!?」

「あ……終わった……?よか……良かった……。あのまま続いていたら、僕は……」

「しかし、今の叫び声はアスカのもの。まさか……」

『うん、そのまさかだね。あっくん、自力で夢の世界から覚醒しちゃったのさ。
 理論上私が設定した時間まで目覚めることはないはずなんだけどな。
 流石はあっくんだね。この私の想像をも凌駕する精神力には圧巻だよ。
 しかし、良い所で目覚めちゃうもんだね。
 もう少しであっくんと箒ちゃんのガッツリ子作り交尾が見れたのに』


こ、子作り………?
私と、アスカの……愛の、営み……?
………ぬ、ぬあああああああああああああっ!!?
もう、もう、何がなんだか……。
と、混乱を通り越して頭から煙が出ている私を他所に、姉さんの話は続く。


『まあまあ、今の映像は保存しておいたから、気になるなら後でUSBにでも移して
 渡してあげるからさ。それよりまだまだあっくんの相手になる女の子のデータは
 打ち込んであるからね。
 次はブロンド女、アンタのを流してあげる。
 まあ、適当に見なさいな』

「なっ、私のですって!?ちょ、ちょっと待ってくださいまし!
 まだ、心の準備が………!!」


困惑するセシリアを置き去りにして、次の映像が流れる。
それから延々一時間、夢の旅路は続く……。































「…………………………………………」

「……………………ふぁ………………」


あれから、もう一時間は経っただろうか。
私たちはもはや夢心地といっても過言じゃないくらいの、浮遊感を感じていた。
あの後も、アスカの夢は流れ続けた。
セシリア、シャルと続いて、鈴、ラウラ、そのあとは何故か山田先生、誰かは分からないが
頭にバンダナを巻いた赤髪の女の子、そしてクラスメートの布仏さんと、確かそのお姉さん。
そのどれもが私たちの想像を絶するほどの甘く蕩けるような内容で、私たちの誰もが、
顔を真っ赤にして、俯きながら呟いていた。


「オルコット家を、シンさんが……。子どもがいて、一緒にピクニック……。
 うふ、うふふふふ………」

「白い家に、大きな犬と、子どもたち……。僕が、シンのお嫁さん………。
 エヘへへ……。なんだか、夢みたいだ……。夢が、叶ったみたいだ………」


まあ、実際に夢だからな。
でも、私はそれを夢だなんて思いたくは……ゲフッ!
だから、何で私はそんな破廉恥なことを………………!
夢なのに、現実じゃないのに、この胸に満ちる幸福感は、一体何なのだ!?


「あ、有り得ない……。私は一夏のことが好きなはずなのに……。
 何で夢の中の私は、あんなに幸せそうなのよ……。
 子どもも六人って、流石に頑張りすぎでしょぉ……。
 でも、どうして……?
 シンと一緒に中華料理屋を切り盛りして、どうしてそれを見て、
 私はこんなに嬉しいのよ……。
 どうしちゃったのよ、私は…………」

「旦那様と、私の娘と、一緒に世界を回って……。
 色々なものを、旦那様と一緒に見て、感じて……。
 でも、最後の性交は、私が知っていたそれよりも、ずっと動物的で……。
 だ、旦那様のアレも、あんなに大きいものなのか……?
 し、知りたいけど、でも知りたくないような……」


皆さっきまでスクリーンに映し出されていた桃源郷の内容に、すっかり埋没してしまっている。
かくいう私も、最初に見た映像が、頭の中から離れない。
あの夢の中に出てきた私を、どうしても『今の』私に置き換えてしまってる。
たぶん、皆も私と同じなのか、皆蕩けた表情で、目をうっとりとさせている。
と、そんな私たちを一瞥して溜息をついた織斑先生は、頭を掻き毟りながら声を荒げる。


「……それで?束、これで全て上映し終わったと思うが、これだけの装置を使って
 私たちにこんな内容を見せて、本当にただ面白そうだから、こんなことをしたのか?
 もっと別の理由があるような気が、私はするのだが………」

『………?もちろん、理由は別にあるけど、今は言わない。
 その時期じゃないからね。
 それに、まだ終わってないよ。最後の最後、メーンディッシュが残ってるじゃなーい!』

「…メインディッシュ、だと?」

『そ。それじゃ皆もうすっかり出来上がってるみたいだけど、自室でそれを
 発散する前にもう一本見てもらうよー!
 最後のカップリングは、なな、何と!
 あっくん×ちーちゃん!!
 謎の熱血IS男性操縦者と、最強のクールビューティーとの、夢のコラボだぁーーーーー!!』


今まで頬を上気させながらも泰然自若としていた織斑先生が、目を剥いて席を立つ。
顔も、今まで私たちが見たこともないほどに上気させながら。
身体も、わずかに震えていて、それは私たちが見る織斑先生の初めての姿だった。
私たちも一旦この身に満ちる陶酔感を振り払って、画面を注視する。
そんな私たちの頭を、出席簿で勢いよく殴りつける織斑先生。


「「「「「あ痛っ!!!??」」」」」

「み、見るんじゃない馬鹿者どもっ!!顔を伏せろ!手で覆え!!
 束ぇ!!どうしてそんな意味のないことを!!!」

『いやぁ、だって面白そうじゃない。私、前から思ってたんだけど。
 ちーちゃんてもし誰かに惚れたら、その男にツンツンデレデレするんじゃないかって
 思うんだよね。それにちーちゃんて何気に独占欲強いでしょ?
 惚れた男が他の女と話してるだけで不機嫌になっちゃって、家に帰ってから
 ブーブー言いながらも構ってほしそうに擦り寄ってきたりしちゃったりして……』

「………束、お前は殺す」

『こ、怖っ!目が本気だよちーちゃん!そんなに怒んないでよ、所詮は夢だよ夢!
 気楽にして見たらいいじゃなーい!というわけでちーちゃんが凄んでるところ悪いけど、
 トリを務めてもらうよ!さああっくん!盛大に夢の中でちーちゃんとキャッキャウフフ
 しちゃってくださーーーーい!!!』


織斑先生は尚も喚いていたけど、私たちは凄く興味がある。
あの鉄仮面織斑千冬が、誰かを好きになったらどんな反応するのか。
その好奇心に抗えず、私たちは映し出された画面を、穴が開くほどに見つめた。
そして聞こえてくるアスカのナレーション。
ここに最後の旅路が幕を開ける。







〜 結婚生活:織斑千冬の場合 〜




「ふぅ、ただいまぁ〜」


久々、というか三日ぶりの我が家。
IS学園の教壇に立つようになってから、もう2年も経つのか。
IS学園は思った以上に仕事が忙しい職場で、今回みたいに数日家に帰れないことなんてザラだった。
俺の妻は……千冬は、今までこんな日常を送っていたのか。
しかも一夏のことを守りながら、だ。
それは精神的にも肉体的にも、強くなって当たり前だったのかもしれない。
なんてことを考えていると、リビングからパタパタと足音が聞こえてくる。
俺の愛する妻の……千冬の声が聞こえてくる。


「全く、ようやっと帰ってきたか馬鹿夫め。
 遅れるなら遅れると、前もって言っておけ」

「遅れたって……確か電話で七時くらいには帰るって伝えて。
 今はそれを1、2分回ったくらいじゃないか。
 それくらいは許容範囲内だろ……あ痛っ!」


持っていたおたまで俺の頭をポコンと叩いてから、そっぽを向いてブー垂れる千冬。
……あ、拗ねやがった。全く、分かりやすいんだから……。
まあ、それが堪らなく可愛いんだけど。


「ふん、例え1、2分だろうと、私を不安にさせたことに変わりなどない。
 この償いは、たっぷりとしてもらうからな。
 覚悟しておけよ、馬鹿夫め」

「…ああ、ああ。すまなかったよ。
 こんな可愛い妻を待たせるなんて、夫失格だよな。
 ちゃんと埋め合わせはするから、そんなに膨れないでくれよ」


俺は千冬に仕事鞄を渡し、その手で千冬の頭を撫でる。
千冬はまだ膨れていたけど、気持ち良さそうに目を細める。
そのまま手を頬に添えて、軽く唇に口付けしてから、彼女と一緒にリビングへと向かう。
そこには彼女が頑張って練習してようやく口に入れられるようになった料理の数々が……って!!??


「お、おい千冬っ!!?お、お前その格好……!後ろ振り向いてわかったけど、
 エプロンの下、何も…………!!」


彼女の後姿、何と言うか、前はエプロンで隠れてて気付かなかったけど、後ろはその……、
生まれたままの姿というか……。まあ見慣れてるから動揺する必要はないのかもしれないけど。
でもその、エプロン着用ってのは、なんともいえず、燃えるというか……。
と、千冬は相変わらずの仏頂面を、しかしそれを真っ赤にしながら、口調は変えず憮然と答える。


「ふん……山田くんから教わったまでだ。
 あなたは仕事で忙しいし、私は学園をやめて家庭に入った。
 そのせいで私たちはまだ子宝に恵まれていない。
 もちろんあなたがいる日や休日はいつもし、シテいるが…。
 もっとコスチュームにこだわったほうが燃えて、子どもができやすいと
 助言されてな。それで、あなたが好きそうなコスチュームを私が 
 考えて、準備していたというわけだ。
 ………な、何だその顔は。わ、笑いたければ笑えばいいさ!
 所詮は浅知恵だ!こんなことしても何の意味は……きゃっ!?
 ん、うむぅ……はぷっ……くちゅっ………」


もはや我慢できなくなって千冬の唇にむしゃぶりつく。
なんて、なんて可愛くていじらしいんだコイツは!
学園にいる時から気付いてはいたけど、結婚してからそれが顕著になった。
俺は幸せものだ。この意地っ張りで素直じゃない千冬と一緒に生涯を共にできるのだから。
彼女を俺だけのモノにできるのだから。
彼女を俺色に染め上げることができるのだから。

歯止めが利かなくなった俺は彼女を抱きかかえて寝室まで連れて行き、
そのまま彼女をベッドの上に放り投げた。
バウンドする彼女の身体を押さえつける。
荒々しいが、こっちの方が俺たちらしい。
すぐさま服を脱ぎ捨てた俺は、彼女に覆いかぶさる。
それを妖艶な表情で見つめる千冬。
俺のアロンダイドもその挑発を受けて雄叫びを上げる。


「ふ、ふふふっ……。また、私を染め上げようというのか?
 いいだろう、かかってこい馬鹿夫……。
 やはり私たちにはこれぐらい荒っぽいほうが性に合っている。
 私を、嬲り尽くしたいのだろう?
 私を徹底的に犯し尽くして、男の欲望を叩きつけて、孕ませたいのだろう?
 私をあなたなしじゃいられないくらいに堕としたいのだろう?
 いいさ、やってみるがいい。分かっているとは思うが、私はそこらの女とは違う。
 私は簡単に、快楽に屈したりは……うぶっ!?んむぅ………」

「ぷはっ……!はぁ、はぁ……分かってるさ。
 千冬だって、分かってるよな?
 俺が目的を達成するためなら、どんなになっても噛み付く男だってことをさ。
 ……覚悟しておけよ、千冬。
 例え意識が飛んだって、泣き叫んだって、お前が孕むまで俺は止めないからな……」


耳元でそれだけ囁いて、俺は千冬の身体にむしゃぶりつく。
そうさ、俺はもう一人じゃない。
この荒っぽい熱こそが、俺が生きている証。
愛する彼女との『今』こそが、俺の生きている証なんだ。
だから俺はこれからも、彼女と……これから生まれてくるだろう子どもと生きていく。
……死んでいったアイツらのためにも………。







『ひぎゃぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!?????』







〜 結婚生活:織斑千冬の場合 終了 〜







「……ぐ、ぐむむむむむむぅぅ………!!!」


織斑先生が全身から煙を上げて唸っている。
私たちも同様にもはや投身自殺したくなるほどに甘過ぎる結婚生活に食傷気味で、
全員が顔を真っ赤にして俯いていた。
わ、私たちも大概だったけど、先生のは凄かったな。
なんというか……、アスカのナレーションも相まって、破壊力が……。


『いやぁ〜〜〜眼福眼福っ!!
 予想を遥かに上回るバカップルぶりに天才束ちゃんでさえ眩暈がしているよ!
 ……あ、ちーちゃんその顔はお茶の間に放送できないから不味いって。
 そんなに鬼気迫る表情しないでよ、そんなに今の映像が良かったならちーちゃんには
 特別にBDディスクにて進呈するからさ!
 ……あ、ちーちゃん鬼の顔から悪魔の顔になったよ。
 流石にそれは子どもだけじゃなくて大人も泣いちゃうから。
 まあ、これであっくんも少しは気分転換できたよね!てなことでちーちゃんに
 殺されちゃう前にトンズラしちゃおっか。
 ではでは諸君!USBは後日、皆宛に届けておくから、総合受付で受け取ってね!
 いざ、さらばっ!』


そこで音声は途切れて画面が暗くなる。
入り口からカチャッという音が聞こえる。どうやら扉が開いたらしい。
私たちはそれぞれがフラフラという足取りでそこへ向かう。
とにかく、今の私たちは持て余していた。
本当は早く誰もいない所へ行って発散したかったけど、授業があるからそれはできない。
もしその間にアスカに少しでも触れてしまったらもう、止まれない。
それを直感した私たちは、ひとまず教室に戻ろうと入り口の扉に手をかける。
何とか今日の授業が終わるまでは、アスカに触れないように、目をなるべく合わせないように考えながら。
と、そこでさっきまでもう何も映していなかったスクリーンに、再び何かが浮かび上がった。


「…………?」


不思議に思って私たちはそれに目を向ける。
そこは花畑だった。
まるで地平線の彼方まで花で埋め尽くされているんじゃないかというほどの、広大な花畑。
多分風が吹いているのか、巻き上げられた花びらが吹雪のように宙を舞う。
そんな中にまるでその花畑を見守るように、一本の巨大な木がそびえ立っていて。
良く見るとその木の下に、複数人の人影が見て取れた。

見たことのない人たち。
ちょっとコスプレチックだけど、多分軍服なのだろう。
白や赤を基調としたそれを着込んだ男女が、柔らかく画面を見つめている。
またその中にはスーツ姿の男性と、その彼に肩を抱かれる女性。
そしてその二人に寄り添うように多分中学生か、小学高学年かの茶髪の女の子が。
彼らもまた、優しげな瞳で、画面に向かって微笑んでいた。
そして一番前には、ふんわりとした蒼いドレスを身に纏った少女が、眠たげな目を
細めて、画面を………いや。
正確には『彼女らの目の前にいる誰か』に向かって、微笑んでいた。
と、どこかで見覚えのある彼女は画面に向かって、その小さい口で言葉を紡いでいる。
それと同時に既に電源が切れたはずのスピーカーから聞こえてくる、これもいつか聞いたことのある
透き通るような優しい声。


『……ステラ、皆、待ってる……』

『…………いつまでも、待ってるからね…………………』


そこで映像は途切れ、声も聞こえなくなる。
何を『待ってる』のか、皆というのが誰なのか、それは分からなかったけど。
でもその映像は、「ステラ」と名乗ったその少女の言葉は、そこにいた私たち全員の心に
深く刻み込まれたのだった。















それから既に昼休みは終わっていて、私たちは慌てて教室まで駆けていって。
とても疲れ切った表情のアスカを見て溢れ出そうになる衝動を必死に押さえ込んで。
夜にあの映像を思い出しながら必死に自身を慰めて。
実りがあったのかなかったのか良く分からない、とても熱い一日を過ごしたのだった。


余談だけど、あの事件から三日後、セシリアがうっかりアスカの夢を私たちが見ていたことを
漏らしてしまった。
そして私たちの間に何ともいえない甘い空間が数日に渡って作り出されて。
多分今回のことは、私たちとアスカの距離を縮める、良い旅路だったんだと思う。

…アスカも、私たちと同じ気持ちだったら、嬉しいな。
今度、看病がてら、聞いてみようと思う。



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