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次元を超えし魔人 特別編『魔人と親バカ』(第13.5話)
作者:193   2008/12/05(金) 11:14公開   ID:4Sv5khNiT3.



「今まで気付かなかったなんて……」
「うん……アムちゃんもずっと自然だったから気付かなかったよ」
「でも、やっぱり必要だよね……」

 アリサ、なのは、すずかの順に三人は一様に同じことを考えていた。
 だが、話の当事者たるアムラエルとフェイトの二人にはなんのことか分からない。
 そんな困惑する二人を無視して、三人はおもむろに何かのパンフレットを取り出すと――

「これが機能的でいいんじゃない?」
「こっちの方が可愛いと思うの」
「あ、でも同じ機種の方が色々とお得だよ?」

 ――と好き勝手に何か言い合いをはじめる。
 なんだかよく分からないアムラエルとフェイトの二人は、そんなアリサたち三人を不思議そうに見ていた。
 しかし、あまりにアリサたちが白熱した談義を交し合っているため、「何をしているのか?」と聞きたくても割って入れない二人。

「……フェイト、ゲームでもしてようか」
「……うん」

 結局、よく分からないアムラエルとフェイトはアリサたちを放って、先日発売したばかりのプラスタ3の新作格闘ゲーム『無礼ズ婆チャン5』で遊ぶことにした。
 実はアムラエルは普段からゲームをやり込んでいるだけあって、こうしたゲームがかなり上手い。
 そしてこのゲーム、卑怯にも先日開催された海鳴商店街主催のゲーム大会で優勝したほどの腕前だった。
 それに比べフェイトはこうした手先を使うゲームは苦手で「あ、うっ! えいっ!!」と掛け声と気合いは良いのだが、技が中々出ないためあっさりとアムラエルの連続攻撃に嵌っていく。
 まったく手加減と言う言葉を知らない容赦のないアムラエルの攻撃に晒され、自キャラを“空中に浮かされ続け”何も出来ないまま敗退してしまう涙目のフェイト――
 素人相手に永久コンボとは……アムラエルも容赦がないと言うか大人気ない。
 しかし、ゲームと言えど負けるのは悔しいのか、何度も何度も必死に食らいつくフェイト。

 ――しかし現実は厳しかった。

「ふっふ〜ん! わたしの勝ち――っ!!」
「ううぅ……」

 言い訳は良くないと思ってるのか、勝ち誇るアムラエルに何も言わず、涙目のファイトは黙って画面を見詰めていた。



 ジュエルシード事件からおよそ二ヶ月――
 時期は七月、そろそろ蝉の鳴き声が五月蝿くなってきた今日この頃、フェイトもこちらの生活にようやく慣れてきたのか、以前よりも随分と良い笑顔で笑うようになった。
 それも、アムラエルたちや、愛しのD.S.の存在、それにたまに遊びに来るアリシアや、最近は随分と言葉を交わすようにもなったプレシアとの仲もそんなフェイトの変化に影響を与えていたのだろう。
 まだ、みんなと同じように学校には通えていないが、今はこちらの世界のことを勉強しながら色々と準備中と言ったところだ。

「二人とも――自分のことなんだから、話に参加しなさい!」
「……アリサ、主語がないと意味が分からないんだけど」
「……うん」

 アムラエルとフェイトは二人とも、アリサに自分の話だと言われても意味が分からない。
 ――と言うのも「二人ともメールアドレス交換しない?」となのはが話を持ち出し、「う……そう言えば、アムもフェイトも持ってなかった」とアリサが言い、「え……なんでアリサちゃん今まで気付かなかったの?」とすずかが不思議そうに話をしていたのだ。

「これよ! “これ”!!」

 そう言ってアムラエルとフェイトの二人に大きなカタログを見せるアリサ。
 それは――携帯電話のカタログだった。
 そう、アリサが「しまった!」と思ったのはこれだったのだ。
 アリサはアムラエルとは知り合った頃からずっと一緒に生活をしてたし――
 そこから「魔法だ」「魔導師だ」「ジュエルシードだ」と日常的とは言い難い毎日を過ごしていた。
 その上、ここ最近は念話なんて便利な魔法があることも知り、ほとんどそれで連絡は足りていたのだから『携帯電話』なんて物がアリサの頭からすっぽ抜けていても不思議ではない。

「必要なの? それ……」

 アリサの説明を受けてアムラエルは思った。念話もあるのにそんなものが必要なのか? と――
 アムラエルが連絡する人間など、D.S.やここにいるアリサたち、他には精々あげても忍やアリシアといったくらいだ。
 アムラエルには特に必要に思えなかった。少なくとも、市内全域程度なら余裕で念話を通せる自信があったからだ。
 フェイトも同じようなものだろう。
 そもそも携帯電話を知らないのか、「こんな小さな電話があるの?」と不思議そうにアリサの携帯電話を見ている。

「これだから、魔法オタクどもは……」
「魔法オタクって……これでも天使なんだけど」
「……わたしは魔導師」

 アリサの言葉に不服そうな顔を浮かべるアムラエルとフェイト。
 だが、それも無理はないのかも知れない。
 アムラエルとフェイトには馴染みのない物でも、地球のそれも現代人にとって、携帯電話とは小学生と言えど今は持ち歩く時代。
 あって当たり前のものだ。

 友達とメールしたり、電話番号を交換したり、インターネットをしたりと、ただの電話ではなく携帯電話は一種のコミュニケーションツールとしての役割を持っている。
 当然、アリサだけでなく、なのはも、すずかも持っていた。
 私立聖祥大学付属小学校ともなれば、良い家柄の子も多いのでおそらく半数以上の生徒が所持しているだろう。
 その説明をアリサから聞いたアムラエルとフェイトは「そうなんだ」と感心したような素振りを見せていた。

「これなんてどう? 音楽も聴けるし、ゲームも出来るわよ」
「ゲ、ゲームできるの!? 電話でっ!?」

 アリサの差し出したパンフレットに書かれている一台の機種。それに食いついたのはアムラエルだ。
 ゲームが出来るとあっては“ゲーマー”を自称するアムラエルとしては黙ってはいられない。
 あまり興味を示さなかった先程までと違い、目を輝かせて携帯電話を見ていた。

「フェイトちゃん、よかったらお揃いにしない? 色違いで――」

 なのはに薦められ「お揃い……」と少し嬉しそうなフェイト。
 後日、みんなで携帯電話を見に行くことに決まった。





次元を超えし魔人 特別編『魔人と親バカ』(第13.5話)
作者 193





 デビットは泣いていた。ひたすら本社の会長室で泣いていた。

 ――それは少し前に遡る。

 現在、アムラエルとフェイトの保護者役は、一応デビットと言うことになっている。
 そのこともあって、アリサも渋々、デビットに携帯電話を買いに行くのを頼もうとしたのだ。

 本当ならこんなに少女(幼女)たちが集まるイベントにデビットを呼びたくなかったアリサだったが、こればかりはカイとシーンに迷惑をかける訳にいかないと苦渋の選択だった。
 それが分かっているのか、デビットは厭らしいほどの笑顔だった。
 アリサを見て「ほら、パパになんでも言ってごらん」と言わんばかりの表情でニコニコしていた。
 魂胆が見え見えで、出来れば頼みたくないアリサだったが、アムラエルやフェイトのことを思うとそうもいかない。

「パ、パパ……あのね」

 その時だった。プレシアがアリシアを連れて尋ねてきたのは――
 アムラエルとフェイトが携帯電話を買いに行くと言う話をしたら、アリシアは「わたしも欲しい」と手を挙げた。
 それに答えたのはプレシアだ。アリシアの頼みを断るプレシアではない。
 そしてアリシアの頼みを聞いたプレシアは「それなら、フェイトの分とアムラエルの分もわたしがだすわ。もちろんD.S.の分もね」と自分から言い出した。
 そのプレシアの申し出に感激したのはアリサだったが、涙したのは言うまでもないデビットだった。
 もちろん「そんな迷惑を他所様にかけられない」と欲望丸出しでプレシアに抗議したデビットだったが――

「それなら大丈夫よ。フェイトはわたしの娘だし、D.S.はわたしの“ご主人様”ですもの。
 主人のために、そしてその使い魔の分をわたしが出すことに何か問題でも?」

 と切り返され、デビットは両手両膝をついて涙した。
 そして気付いてしまった。ここには自分の味方は誰一人いないのだと――
 娘のアリサにまで警戒されていると言うことを、もっと本人は自覚した方がいいのかも知れない。



 そして、今に至る。

「会長……仕事して下さい」
「ううぅ……娘が、幼女が……」

 秘書の女性に仕事するように言われても、その日のデビットは完全に壊れていた。
 こうなってしまったデビットが使い物にならないことは秘書の彼女がよく分かっていた。
 だから、一番良く利く“最終兵器”を持ち出すことにする。

 そう、最大最強の最終兵器“アリサママ”を――

 こんなことでバニングスの未来は大丈夫なのだろうか? ――と思いながらも彼女は電話に手を掛ける。
 しかしその選択は、バニングスの“未来”よりも、デビットの“命”の方が先に尽きそうな選択だった。






 プレシアは何時になくご機嫌だった。怖いほど笑顔だった。
 駅前の携帯ショップに訪れた少女たちは、アレよコレよと携帯電話を見て回る。
 小一時間ほど悩み、それぞれ購入する機種を決めたのか、プレシアに各々の電話を見せる子供たち。

「じゃあ、契約を済ませてくるわね」

 子供たちから携帯電話を受け取ったプレシアが、その携帯の契約手続きを済ませに店の奥へと消えていく。

「ねえ、アリサ。ゲームってどうやるの?」
「ああ、それはね――」

 待ちきれないのか、アリサと同じ高性能な最新機種にしたアムラエルがアリサの携帯電話で教えてもらっていた。
 フェイトとアリシアの二人も物珍しいのか、落ち着きなく周囲の携帯電話を手に取り目を輝かす。

 子供たちがそんな風に、時間を忘れて楽しそうに談笑をしていると――
 人数分の携帯電話の入った袋を手にしたプレシアが戻ってきていた。
 その携帯電話を子供たちに手渡すプレシア。
 すると――

「ありがとう、母さんっ!」
「あ、ありがとう……母さん」

 満面の笑顔でプレシアにお礼を言うアリシア。
 フェイトもそれに続き、少し照れた様子で「母さん」と言いお礼を言う。
 もう、プレシアはそれだけで満足だった。この時ほど「生きていてよかった」と思えた一瞬はないだろうと本人も思う。

「わたしもお礼を言ってたんだけど……アレだと気付いてないね」
「つーか、アリサ。オレはこんなのいら――」
「持ってなさい! 肌身離さず持ってなさい!!」
「…………わーったよ」

 アムラエルは、そんなプレシアを見て一言表現した「親バカ」と――

 アリサに恫喝され、渋々携帯電話を受け取るD.S.だったが、正直デザインからしてどうしたものかと思う。
 その携帯電話はアリサがD.S.のために選んだのだが、とにかく奇抜なデザインとしか言いようのない携帯電話だった。
 緑色のふにゃふにゃした手触りに、握ると「ぷぎゅ」と鳴くのだ。
 ボタンは一応腹らしき場所についているのだが、液晶が目から飛び出る空間モニターと無駄にハイテクだった。
 しかも、電話の着信音も通話も全部、その“生き物”の口から発せられるのだ。こんなデザインにした製作者の意図が分からない。
 正直、こんな生き物か携帯電話か分からないものに、D.S.は耳を当てて通話する気にはなれなかった。

 しかし、店頭の商品のどこを見ても同じ携帯電話はない。
 どこから持ってきたのかと気になって尋ねたD.S.だったが、アリサから返ってきた答えは「コネよ」とたったそれだけの返答だった。

 実はコレ――忍グッズの番外シリーズその名も『でかるちゃーシリーズ★ケー●イくん』と言う。
 あるアニメを参考に忍が作った物で、充電いらずの優れもの、使用者の魔力を食って動作すると言う地球環境にも優しい優れものだ。
 問題は魔導師にしか使えない物になったことと、時々“おかしなところ”に電話が繋がることがあるのでご注意とのことだが、実はアリサにもその辺りはよく分かっていなかった。
 ただ、忍は「絶対に市場にだせないものを作ってしまったわ……」と意味深な言葉を言っていたが「まあD.S.なら大丈夫だろう」と、この日のためにアリサは忍からこの電話を拝借していたのだ。
 忍は「大丈夫」と言っていたが、まさか本当に携帯電話として使用登録が出来るとはアリサも思っていなかった。
 その辺の抜かりのなさは、さすがは月村重工と言ったところか。

「じゃあ、何か食べて帰りましょうか?」

 ご機嫌のプレシアが「みんなに美味しいものをご馳走するわ」と申し出る。

 実はプレシアは意外とお金持ちだった。
 研究の一貫で今まで手にした技術のいくつかを、デビットを通じて売りにだしていたからだ。
 デバイスの概要や、魔力駆動炉などの基礎的な技術の供与など、プロジェクト『F.A.T.E』に関わるような危険性の高いと思われる情報以外を、生活のためにとデビットを通じて企業に売り込んでいた。
 プレシアからして見れば、地球も管理局から特例区として認められたことだし、管理世界でも標準的な技術ばかりなので問題はないだろうと考え、デビットに働きかけて売りにだしたのだ。
 しかし、実は特例区と認めてからも技術提供を最低限の物に止めて出し渋っていた管理局からしてみれば、このプレシアの行なった技術漏洩はたまった話ではなかった。
 少しずつ技術提供をすることで交渉を進めて行き、メタ=リカーナの魔法の秘密や、優秀な魔導師の管理局への誘致など、有利な条件を引き出そうとしていたのだ。

 ――かと言って、そのことでプレシアを追求することは管理局には難しい。
 特例区として認めてしまったと言う手前もあるが、プレシアはすでにメタ=リカーナの魔導師として登録されていて、管轄が管理局にないと言う痛い事実があった。
 それに、情報源がプレシアだと言うことを、デビットがもちろん漏らすはずがない。
 いつもの調子で「こちらとて、いくらでも他の情報源はあるんですよ」とはぐらかさられるに違いなかった。

「じゃあ、翠屋にいく? アリシアは、はじめてでしょ」
「――翠屋?」

 アリサの言葉に首を傾げるアリシアだったが「ケーキが凄く美味しいよ」とすずかに言われると――
 やはりそこは女の子なのだろう。表情が明るくなり「行きたい!」と目を輝かせて言った。






 喫茶『翠屋』のオープンテラスでは、少女たちがワイワイと黄色い声を上げながら、各々が注文したケーキとお茶に舌鼓を打っていた。

「美味しいね、フェイト」
「うん……姉さん、ひと口食べてみる?」
「うんっ! わたしのもあげるね」

 お互いのケーキを交換し合い、仲睦まじくケーキを食べるアリシアとフェイトの二人。
 そんな二人を微笑ましそうに見守るプレシアの姿は、どこから見ても“母親”だった。
 あの高笑いしていた頃のプレシアと比べれば、今は別人のように違う。
 正直、このプレシアの変わりようには、当時のプレシアを知る誰もが“信じられない”と言った顔をして見ていた。

 ――ガツガツガツガツガツ!!

 みんながケーキを食べて和やかな談笑を行なっている間も、D.S.とアムラエルの二人はプレシアの“奢り”と言うこともあって遠慮せずにガツガツと食べていた。
 D.S.は「じゃんじゃん、持ってきやがれ!!」と根こそぎ軽食メニューの全オーダーを、アムラエルは「とりあえず、ここからここまで全部っ!」とデザート各種を注文しまくっていた。
 二人のテーブルには乗り切らないほどの軽食とデザートが並び、見る見るうちに減っていく。

「アリサちゃん……」
「言わないで……あの二人が来てから、うちの食費が爆発的に膨らんでるのよ」

 なんだか凄いものを見たと言う目で訴えるすずかに、アリサは大きな溜息を吐く。
 正直、家でいくらでも食べる分には問題はないが、人様の奢りでここまで容赦なく食べまくる二人にはアリサも呆れていた。
 自分から「あの二人の分は持ちますから」とプレシアに申し出るアリサだったが――
 プレシアは最初から受け取る気などないのか、「大丈夫よ、子供はお金の心配なんてしなくて」とアリサの申し出を断った。

「ちょっとルーシェ、少しは遠慮しなさいよ!?」
「あぁん? “そいつ”はオレのもんだ!
 オレのために食事を提供し、貢物をするのは当然のことだろうが!!」
「ふわぁ……“オレの物”だって」
「なのはちゃん、ちょっとドキドキするね」

 アリサが少しはD.S.に遠慮をさせようとするが、効果は然程ない。
 D.S.のその“らしい”発言に頭を抱えてテーブルに手をつくアリサだったが、なのはとすずかの二人は別のところに反応していた。
 最近、男女の仲について少し考えるようになってきた“お年頃”の二人には、少し刺激的な話だったのかも知れない。

「クックックッ! そういや、プレシア!!
 若返らせてやってから、その身体見てやってねーな!!」

 そう言って、プレシアの胸を鷲掴みするD.S.をアリサが黙って見過ごすはずがなかった。
 その時のアリサを偶然見ていた士郎が「――神速!?」と驚くほどの速さで、アリサはD.S.へと距離を詰めていた。
 次の瞬間、アリサの『ダイナミック・アリサパンチ』がD.S.の腹部へと決まっていた。
 それは、アムラエルが「黄金の右」と称したほどの見事な一撃だった。
 アリサの対D.S.用戦闘力はある意味、“御神流”の剣士の域に達しているのかも知れない。



「そう言えば、フェイトちゃんとアリシアちゃん――
 二人は学校に行かないの?」
「「学校?」」

 なのはの質問に首を傾げる二人。
 二人で顔を見合わせ「でも、まだこの世界のこととか勉強中だし」と声を揃えて言う。
 それにアリシアはよくプレシアと一緒に海鳴市に遊びに来ているが、実際はメタ=リカーナに家を構えているのだ。
 デビットの計らいで二人とも日本とメタ=リカーナを自由に往き来できる立場にあると言っても、フェイトはともかくメタ=リカーナからこちらの普通の学校に通うことは難しいだろう。
 それをアリシアがなのはたちに説明すると、「残念だね……」と全員寂しそうな顔をしていた。
 みんな一緒に学校に通えれば、もっと一緒に居られる時間が増えるのにと、子供ながらに考えていたのだろう。
 それに、なのはもアリサもすずかも、フェイトとアリシアの二人に“この街”のことを、“みんなのこと”をもっと知ってもらって、好きになって欲しいと言う思いもあった。

「学校ね……」

 俯き、何かを考え込むプレシア。
 フェイトとアリシアの二人が本当に残念そうにしていることから、なんとか二人を同じ学校に通わせてやれないかと考えていた。
 ブツブツと俯きながら独り言を言い「……いざとなったら脅……取り引きしてでも」と何やら不遜なことを口にしている。
 それを見てアリサが「なのは、アンタのせいよ」と言い、なのはは「あうぅ……フェイトちゃん、アリシアちゃん、プレシアさんを止めて」と二人にすがりつく。

「……こうなったらわたしには無理。ごめんなさい」
「力になれなくてごめんね……なのは」

 あっさりと諦めるアリシアとフェイトの二人。
 自分の一言が引き鉄となり、何かよからぬことになるのではないかと、なのはは頭を抱える。

 プレシア・テスタロッサ――やはり彼女は“親バカ”だった。






 ……TO BE CONTINUED





■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 193です。
 シルフェニア『四周年記念』と言うことで書かせて頂きました。
 A's編に入る前のお話です。プレシアの親バカっぷりを書きたくてやった次第であります(オイ
 しかし、こんな娘がいたら誰でも親バカになるよね?
 一応、補完的な話ですので、ちゃんと本編に繋がってます。
 ですが、あくまでノリとして受け取って頂けると幸いかとw

 最終話、たくさんのご感想ありがとうございました。
 現在、さっさとこっちのSSを終わらせてしまって本投稿に集中するか、それとも平行してやっていくかを検討中です。
 本気でこっちだけに打ち込めば、完結まで1〜2ヶ月のことと思うんですよね。
 まあ、これから忘年会と忙しくなりますし、ちょっとマッタリ考えて見ます。



 >ルファイトさん
 グレアムさん、さり気に布石を置いてきてますからね。
 しかし、グレアムはともかく、リーゼ姉妹は美味しくいただきたいです(ちょ
 揉まれたリンディさんには着実に魔の手が迫ってますね。
 アリサとすずかの立ち位置はすでに随分と変化してますから、闇の書事件でただ巻き込まれるだけに納まらないと思います。
 二人の活躍にもご注目下さい(出来たら、すずかにも見せ場を作ってやりたい)



 >ぬこさん
 十賢者は実はかなり先の布石です。
 一応、本作は要望があれば“StS”までやって見ようかとも考えているので
 D.S.を中々回復させないのにはもちろん理由はありますが、バランス調整と言う側面も確かにありますねw
 簡単に元の姿に戻してしまうと、D.S.の暴走も止められそうにないですしw



 >吹風さん
 無印編ではどうしてもリンディさんに割を食ってもらう必要がありました。
 これはA's編に繋がってくる訳ですが――でも、管理局より地球にいる方が何かとよかったかも知れませんよ?w
 グレアムさん、A's編の黒幕さんですので、もったいぶってます。
 すでに事体がここまで推移してしまうと、闇の書の事件が起こる前に管理局が動きやすい状況をグレアムさんも作っておきたいでしょうしね。
 どこまで彼が頑張れるのかを、史実を知るものとして生温かく見守ってやって下さいw

 まあ、プレシアも若返って、アリシアまでゲット出来たのだから、D.S.も満足でしょうねw

 ユーノだけでなく、クロノも危惧視しているでしょうね。
 でも、やはりあそこは、子供らしく悪いことをしたなら、喧嘩して反省して綺麗さっぱり仲直りで良いと思います。
 母親が愛撫されてても、相手はD.S.ですしね。
 それにクロノが止めようとする前に、アリサの“教育”が待ってますから、それを見たらクロノもすくみ上がってしまいそうですw



 >ボンドさん
 日刊は正直、疲れました。二週間、寝る時間を削ると言うか、ほぼなかったのでw
 リンディさんはアキューズドは回避できましたが、その分、割を食ってますからね。
 ちなみにシーラの卒業はまだですw A's編で叶うといいんですがねw
 アリシアの復活はD.S.も普通に叶えてやるつもりだったんでしょうが、やはりショックは隠せそうにないですねw
 マグナムを再び取り戻す日はいつになるのか……

 フェイトはD.S.たちのところに戻りましたが、それでもアリシアが会いに来てくれるので幸せと思います。
 実際、あれからプレシアはかなり“親バカ”になってきてます。
 態度などは少しツンとしたところが残ってますが、なんだかんだ言ってアリシアとフェイトのために動いてしまう“親バカ”です。
 グレアムさんも胃が痛いでしょうね。しかし、頑張れとしか言いようがないw

 興味を持ったのは確かですが、そうは上手いこといかないのが現実。
 プレシアさんを懐柔された時点で、かなり技術面においても有利な点が失われつつあります。
 すぐに地球側も量産してと再現することは無理でしょうが、数年先を見越すと痛いでしょうね。
 ちなみに蟲使いのあの男ですが――メタ=リカーナに確かにいます。出てくるかは今後の展開次第ですがね。

 まあ、子供の喧嘩である以上、喧嘩して反省すればいいことですから。
 そこに大人が出るよりも、子供同士でちゃんと決着をした方がいいですしね。なのはなら許すだろうと考えました。
 十賢者はかなり先の伏線ですが、要望多ければStSまで行こうと思ってるのでw
 あの老人たちはかなり狡猾ですからね。見た目はちょっとアレなジイさん集団ですが……
 ヴィヴィオのネタも密かに考えてますが、それはその時までのお楽しみでw
 多分、掲示板のエラーがでるのは文字数制限にかかってるんでしょうね。
 今回より文字数制限を緩和(1000文字→2000文字)しました。おそらくそれが問題だとすれば一度に投稿できると思います。



 >あびさん
 大団円は当初から考えていたので、やはり幼女(あ、少女だ)がメインの話ですし暗くはしたくないですからね。
 裏の動きはグレアムはともかく、十賢人は大分先の伏線ですので。そこまでやれる気力あるといいですね(オイ
 PS版のバスタードですか、懐かしいです。あれ、よくあるキャラゲーと思ったら、意外とよく出来てる作品なんですよね。
 ソフトはおそらく実家のダンボールの中だな……発掘は無理そうだ。



 >TANKさん
 廃テンポはまさに身を削る思い(睡眠時間削り)でしたので、これこそ“血と汗の結晶”と言えるかも知れませんw
 D.S.は全世界二分の一を幸せ絶頂にできる男ですからね。当然でしょう。
 ちなみに某吸血鬼ネタはさすがにやってしまうと収拾つきそうにないんでw
 でも、本作はバスタードの配役がこっそりと、なのはの配役と置き換えられてるみたいな、原作知ってるとニヤリもありますからね。
 アキューズドした以上、ネタが待ってるかも知れませんw
 中間管理職、経験上本当に辛いですね……; 書いててなんだか胸が苦しくなったのはこっちの話です。
 箱舟はやはり、なのは作品と言うことで登場させました。繋がりはご想像通りですがねw
 グレアムさんには胃を痛めながら頑張って貰おうと思います。無印ではリンディさんでしたが、次回はグレアムに(エ



 >D,さん
 こちらこそ、はじめまして――193です。お楽しみいただけたようで幸いです。
 ちなみにプレシアの扱いは仕様ですw
 彼女の心を折ると言う意味(それに周りを納得させるため)でのアキューズドでもありましたしね。
 小話ありがとうございますw 四重呪殺ですか。楽しそうではありますけどねw
 最後の闇の書のプログラムは、確かにアンスラサクスの細胞みたいです。永遠に再生を繰り返しますしね。



 >T.Cさん
 魔力炉……発言を控えさせてもらいます(ちょ
 まあ、ひとつ言えることがあるとするなら、プレシアはアキューズドと言う縛りがなくてもD.S.に感謝してますし、ちょっと素直じゃないですが満更でもないはずですw
 リニスに関してもコメント控えますが、今のプレシアさん、若返って全盛期の魔力を取り戻してますからね。
 これの意味するところは――

 ユーノくんの反省に関しては、子供の喧嘩と言うことで丸くおさめました。
 やはり子供同士のことですし、子供同士でちゃんと解決させるのが一番ですしね。
 グレアムの胃の痛い毎日がA's編からはじまります。刮目してお待ち下さいw
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