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長き刻を生きる 第十五話『至高と最強の武勇』
作者:大空   2009/01/10(土) 13:47公開   ID:2p.tHeJD/NA

 虎牢関より呂布と張遼隊が出陣した時だった。

「太公望、魏の連中の布陣がマズイ」

 反転後の公孫賛軍と馬騰軍との連携突撃の最中に、左慈が直接話しかけて来たのだ。
 呉・魏軍の精兵達による挟撃によって董卓軍は程好いほどに密集させられており、そこに無数の騎馬隊が突撃していく。
 筋肉質の塊で重量のある馬の体当たりが敵兵を吹き飛ばし、地面に倒れ伏した者達を踏み砕く。

「主の話では張遼とやらを捕らえる為に”あえて”隙のある布陣をしたと言う話だったが」
「あぁ……奴等の布陣は隙なしだ」

 外史の展開では、曹操は張遼の才能を見抜き、これを試す為にあえて隙を見せた布陣を展開したと言う。
 看破に成功した張遼ならば、その後の魏軍の包囲によって捕縛され、魏軍に投降して雇用される。
 だが魏軍の布陣は隙なしの布陣で、太公望でも一見すれば突破出来るか疑問視してしまうほどのモノ。
 彼女達の現状が自分の所為と思っている太公望は、左慈に指示を下す。

「兵を率いて張遼の捕縛に向えるか?」
「出来ない訳じゃないが……だがもし」

「主の命には変えれぬ……不可能と思ったならば”殺せ”」

 普段の誰にでも優しくできて、誰よりも他人の為に動けるような甘い人間の印象からは考えられない言動。
 自分の責任と感じながらも、今の仲間の為ならば犠牲者達を切り捨てる覚悟と責務を背負う姿勢。
 大将ながらも常に最前線で陣頭指揮を執り、兵士達を鼓舞し・率い・戦い続ける仙人。
 そして誰よりも時として冷酷にならざる得ない事を理解し、優しさを殺してでも誰かを護る軍師。

「ふっ、舐めて貰うのは困るな……安心しろ無傷で捕らえてきてやる」

 それは不安を押し隠している太公望自身を鼓舞させる言葉。
 皆を鼓舞しても自分は鼓舞できない、そんな大将の背中を押す左慈の言葉に、冷たい表情が消えている。
 たとえそれが戦場としても、すぐ隣で誰かが誰かを殺し、その血肉に塗れている場所だとしても。
 そこにほんの少しの掛け合いだけで救いが生まれていく。

「……良し、ならば一騎打ちをして”何としてでも”捕縛せよ」
「承知したッ!」

 そして左慈は直属の部隊と現在干吉不在よって、混合している干吉隊を率いて戦列を離れる。
 その目的は張遼であり、彼女の捕縛。

「混合隊! 俺に続けッ!」

「左慈が敵将張遼の下へ行く! ワシ等はこのまま乱戦によって敵を叩く!」

 命令に続く全兵士の猛々しい雄叫び。
 敵を一方的に蹂躙し撃破していくその強さは、この戦場でもっとも光りを放っている。
 また戦車という旧式の兵器を運用しつつも、それによって確実な戦果が挙げられているのも光っている。
 敵を吹き飛ばす馬・敵をひき殺す車輪・荷台に乗り大型の戟矛を操る兵士・止められない圧倒的な破壊力。
 踏み潰し・ひき殺し・戟矛と弓矢と弓弩が敵を次々と屠っていくその姿は、この戦場で異彩を放つ。


 ―――だが異彩を放つのは彼らだけではない


 先陣を駆けていた公孫賛軍の兵士と白馬の一頭が薙ぎ払われていた。

「くそっ! 皆下がれ! 私達じゃ相手にならん!」

 もう一つの異彩は、群れる連合の兵士を”全て”薙ぎ払っていた。
 華奢とも思える身体は、鈴々同様……もしくは彼女以上の大きな戟を片手に暴れまわる鬼神。
 圧倒的な武勇が、群れる者達を薙ぎ払い、一撃の下に数人の兵士を悠々と薙ぎ払い死亡させていく。
 そもそも”軍馬”を薙ぎ払うと言う行為そのものが、異彩を放たせるには充分過ぎる代物であった。

「親父! アタシが!」
「従姉さん無茶だ!」
「周囲の敵を殲滅する事だけを考えろ! 太公望殿がなんとかする筈だ!」

 馬騰軍の馬騰・馬岱が呂布に挑もうとする馬超を懸命に押さえ、迫り来る雑兵の刃を回避する。
 そもそも軍馬は唯でさえ重い普通の馬よりも鍛え上げられ、筋肉が多く重い。
 それを斬り捨てる為に造られた斬馬刀は、鍛え上げられた筋肉を重量に任せた一撃の下に斬り捨てるのだ。
 だがそれには鍛え上げられた身体と、馬の突撃に耐えるだけの腕力などが必要になるのだ。

 それを呂布は平然とやってのけたのだ。

 これを天才と呼ばすして何と呼ぶべきなのか理解出来ない。

 しかもまったく疲労する事もなければ、腕を気遣う素振りすら見られない。


「……弱い」


 その一言の下に、迫り来る死である筈の存在達を無慈悲に薙ぎ払う圧倒的な力。
 既に戦の勝敗か決まるなか、彼女の降臨する場所だけは空気も、勝敗すらも覆ってしまう。
 虎狼の覇気が心弱き者達を薙ぎ払い、その身体に埋め込まれている本能を無理矢理にでも叩き起こす。

「張遼と左慈様の一騎打ちが始まりました!」

 陳到が叫ぶ。
 しかし呂布を囲む兵士達の動きは止まってしまい、魏・呉とやっと動き出した袁の軍が虎牢関に取り付いた。
 幾等不落の城砦と言えど、圧倒的な兵力差にその指揮を執る有能な将が相手では時間は陥落の問題だ。

「呂布よ、もう勝負は決した」

「……霞なら平気、勝つ」

 太公望の説得を信頼が込められた言葉と、その手に持つ戟の矛先で返す呂布の行動。
 それは将と言うよりも卓越した兵卒の行動であり、彼女が将としては無能である事を示す物だった。

 迫る戟の刃を弾き飛ばす青龍の刃。

「この関羽が相手をする!」
「……お前が関羽」

 赤い髪を更に赤く染め上げ、戦場に降臨する呂布の姿にはそれだけで敵を制するモノが存在していた。
 そこに覇気も合わさり、自分だけの戦場を作り出し、敵を圧倒していく一種の結界内での戦い。
 されどその強さもその結界内での強さでしかなく、完全に無視してしまえばそれこそ役立たずなのだ。

 だが今は彼女を倒さねばならない状況である。

 狼の群れを、最強の虎に無理矢理挑ませる状況を作り出してしまった。

 ―――これは完全な連合の失態である。


「鈴々! 愛紗一人で戦わせるな、支援せよ!」


 僅か数合い(一合いに付き互いの武器が打ち合う事)で太公望は両者の実力を見抜く。
 実力ならば均衡しているが、その立ち振る舞いから即座に呂布の膨大な体力を見抜き、鈴々に援護を指示する。
 そもそも”一騎打ち”は横からの援護は禁止であり、された側もした側も周囲からの罵倒などをかう。

 されどこの戦いは一騎打ちの宣言を行っていない。

 ならば援護しても罵倒をかうのは命令した太公望だけであり、愛紗達はされない。

「判ったのだ!」

 鈴々も何処かで呂布と言う名の武人と戦いたい……そんな気持ちを抱いてはいた。
 だからこそ抵抗なく素直に愛紗の下へと走り、呂布との打ち合いを始める。

「……弱い」

 愛紗の攻撃を捌きながら、呂布は平然とそう言いのける。
 史実において青龍堰月刀は約二十kgと言う重量を持った武器であり、それを自在に操る関羽の武勇は誉れ高い。
 この外史においても重さは約二十kgであり、それを女性ながら平然と操ってみせる愛紗の筋力は凄まじい。
 それに鍛えている技術が組み合わさり、一騎当千の武勇を誇るにも関わらず呂布は平然とその猛攻を捌く。

「なら張飛も相手するのだ!」

 腕力だけならば愛紗以上であり、それに伴う単純な攻撃力も必然的に愛紗を上回る一撃。
 だがそれすらも呂布は捌き、むしろそれの迎撃の一撃の威力の方が威力を持っている所為で逆に防御させられる。

 単純な攻撃・単調な攻撃と馬鹿には出来るだろう。

「甘い」

 ただの薙ぎ払いが、馬すら容易に斬り捨てる強烈な一撃。
 それを真っ向から防いだ鈴々の身体は、踏ん張りきれずに後ろへと二mほど吹き飛ばされてしまう。

「まだまだ!」

 だが吹き飛ばされても着地してから即座に体勢を立て直して、再度呂布へと突撃していく。

「……こんなモノ」

 愛紗と鈴々の義姉妹の連携攻撃を、あざ笑うかのように呂布は防いでいく。
 ただ腕力なら良かったが、実戦経験と天賦の才に裏付けられた技量が合わさって二人を圧倒していく。
 
 だが最大の要因は”決して崩れない”・”放つ覇気”である。

 愛紗達は攻撃の度に防がれ、その比類ない一撃によって体勢を確実に崩されてしまう。
 体勢が崩れれば満足に攻撃を防ぐ事は出来ない、そこに更に追撃の一撃が飛来する為、回避に体力を削がれる。

 切り上げは、切り払う風だけで立派な威力を持つ。

 突きは下手に真っ向から防げば確実に武器ごと身体を貫かれる一撃。

 振り下ろしはまるで巨大な斧の如く、地面を砕きその破片が周囲に襲い掛かる。

「…くっ重い」
「巧く動けないのだ」

 呂布の領域……それは圧倒的な殺意と覇気が支配する。
 それは戦場慣れした二人ですら飲み込み、抗えない本能が逃亡を優先させようと命令に逆らう。
 それは糸の絡まった人形であり、使い手の思い通りに動かない・動けない哀れな人形。
 本来ならば流れるような動き、もっと軽やかな一撃、もっと早く反応出来る筈な事柄を制限する本能。

「……昨日」

「何ッ!」

 呂布は愛紗達から少し間合いを取り、戟を肩で支える。
 驚くべき事に呂布は一切息があがっていない、愛紗達は猛攻に次ぐ猛攻と自分達の一撃を上回る反撃で疲れているのに。


「昨日の強いの」


 呂布はわざわざ『化物』を呼ぶ。
 その言葉に周囲の視線は全て太公望に集中し、呂布はその不自然さに首をかしげてしまう。
 
 彼女の眼には、ただの弱弱しい男にしか見えない。
 肌で感じ取る強さならば、今の今まで相手していた関羽と張飛の二人の方が何倍も強いにも関わらず周囲は彼を見ている。
 立ち振る舞いは隙だらけ、服越しに見える筋肉は雑兵と同程度か、それ以下程しかない弱弱しい男。

「ふぅ……あまり出たくないが、しかたないのぉ」

 そうとしか見て取れない男は小さな棒切れを片手に自分と対峙して来た。



「太公望軍の神脚が左慈! 敵将張遼を捕らえたッ!!」



 それは対峙とほぼ同時であった。
 呂布の視線は微かに仲間である張遼……霞へと向けられるが、すぐに太公望へと引き戻される。
 一瞬の視線の変化に気づいた太公望は、不敵に微笑みながら呂布と対峙し説得を始めた。

「ワシの仲間がお主の仲間を捕らえた……もう城砦も持つまい」

「……恋は負けてない」

「一瞬の武名と意地の為に死す等馬鹿らしかろう、それよりも生き抜き更なる勇を選び取らぬか?」

 その言葉に呂布は野獣と化す。
 そしてそれに伴い放たれる覇気も大きくなり、より多くの兵士達を飲み込んでいくが、太公望は平然としている。
 まるでその風を浴びるかのように平然として、公然として、その風を全身で感じ取っていく。

「……強さ故の孤独、乱世故の強さ、何よりも大切な友の為の強さ……放つ風は正直よ」

 自身と何処か似ている風に、太公望は親近感と哀れみを込めた言葉を紡ぐ。
 それには誰にも理解出来ない苦しみと哀しみが込められており、ほんの少しだが彼を理解させる。

「呂布よ、今ここで宣言しよう」

 太公望の気配が、姿が変わる。
 凛々しい青年の姿に変わり、手にしていた太極図は青空色で美しい彫刻が施された大剣へと変化される。
 だがその姿から放たれる覇気は、全てを貫く槍ではなく、全てを呂布の覇気から守り抜く巨大な盾と化す。
 あの時は袁紹への怒りから全てを槍にしたが、今回は冷静である為、放つ覇気は仲間を護る盾と化す。

「身体が軽くなった?」
「さっきまで怖かったのに」
「太公望様の力なのか?」

 ゆっくりと対峙する両者。
 城砦も陥落したのか、戦場は既に静寂に包まれていた。

「ご主人様」
「望兄ちゃん」

 二人に背中を見せたまま、太公望は振り返らない。
 そしてただ一言


「良くやってくれた、あとは任せよ」


 大きな背中に全てを背負い込んで、青空色の大剣『飛刀』を構える。
 だがその構えはあまりにも隙だらけ、攻めてくれと言わんばかりの構えで呂布の攻めを誘う。


「お主は今日此処で『誰よりも強い』から『誰かより強い』者へとなる」


 それは絶対の自信に満ち溢れた宣言。
 
 そして自分こそ呂布を超える者と宣言した様なモノ。


「恋は負けないッ! 誰にもッ!!」


 それは決意と怒りに満ち溢れた声であった。
 愛紗達の時とは桁違いの様な踏み込みから放たれる全身を一つの巨大な戟の矛先にした突き技。
 誰もがまともに受ければ即死であると理解できる程の、呂布と言う少女の全力の一撃であった。
 防ごうとすれば武器ごと貫かれて、無惨な死体を晒すだろうとも理解できる程の一撃であったのだ。

 ―――大きく散る火花

 ―――微動だにしない太公望とその武器

 驚愕に顔を歪めてしまう呂布の戟を、太公望は素早く飛刀を振り上げて弾き飛ばす。
 宙を舞う戟は、自身の重量から即座に地面へとその矛先を埋めてしまう。
 そしてそれを持っていた筈の呂布の首筋には太公望の飛刀の矛先が添えられていたが。


「―――拾え、負けたと認めるまで負かし続けよう」


 首筋から刀身を離し、呂布に戟を拾わせる。
 普通に考えれば自殺行為であり、呂布に武器を拾わせると言うだけで太公望の人間性を疑わせる。
 更に何度も負かせる、などと言う事すら呂布の前では世迷言にしか聞えない。

「―――勝つッ!」

「良い眼だが……戦士になり過ぎたな」

 呂布の横薙ぎ、張飛ですら受け止めきれずに弾き飛ばされてしまった一撃。
 今度こそと言う期待を撃ち砕くかのように、また一度大きな火花が散るだけ。
 驚くべきは二度も止めた事もだが……呂布の比類ない一撃を片手で平然と静止しているのだ。

 ―――どんな攻撃でも微動だにしない

「どうした? この程度かのぉ」

 強引に上にカチ上げられ、呂布は再び戟を手放しそうになるが、今回はなんとか踏ん張りきれた。
 だが戟を握り締める握力はたった一度の攻撃で根こそぎ削がれたかの様に、手の平は真っ赤になる。

 ―――微動だにしない姿勢から即座に反撃する

 太公望はまるで挑発するように、飛刀を振り回す。
 だが本来飛刀は意志を持つ妖刀であり、変幻自在の刀身を持つ刀であり本来の力を引き出せていない。
 今の飛刀はただ頑丈で丈夫で凄まじい切れ味と重量を持つだけの剣でしかない。
 
「この程度で負けない……笑わせる」

 再度呂布は太公望に挑む。
 今度は全てを一刀両断する斧よりも強力な縦切りであり、戟自身の重量が味方する一撃。
 それを太公望はほんの少しだけ身体を動かして回避する、縦と言う攻撃範囲の狭さを利用したのだ。

 地面を砕き抉る一撃で突き刺さってしまった戟を引き抜くよりも早く、太公望の脚が戟の柄に乗せられる。

 そして呂布の怪力を持ってしてもまったく振り上げれない太公望の力。
 
 ―――見下す眼は反骨の意志を蝕む

 その眼に呂布の心にも恐怖が生まれていく。
 まったく相手にもならずに負けてしまう武人としての誇りが持つ恐怖。

「―――恋は、恋はッ!」

 太公望が脚の力を抜いて”あえて”戟を引き抜かせる。
 あと少しで彼女を武人として負かせる事に気付いての行動。
 そして変化して写し取れた飛刀本来の力で、もっともエゲツナイ能力を使う。

 戟を振りかざす呂布に対して容赦なく剣を振るう。

 激昂して反応の遅れた呂布が捌くにはあまりにも速すぎる一撃。

 ――― 一閃で斬り捨てられる自分
 ―――戦場で味わう事のなくなった死の恐怖


 だが甲高い音と共に切り払われたのは持っていた戟。


 再び自身の手から離れた戟は、再び宙を舞うが赤くなってしまった手には戻らない。
 その柄は太公望の空いている片手によって握られ、呂布は地面に崩れる。

「呂布……お主は確かに強い、おそらく人間ならば最強であろう
  しかしワシは仙人、生きている間に様々な事を見つけ身につけた
  だがお主は自分の武を過信し、相手の力量を測りきれずに戦いを挑んだ」

 死への幻想。
 強さ故に死から遠ざかるのは過信に繋がり、過信は死へと繋がってしまう。

「悔しいか?」

 その問いに呂布はただ頷くのみ。

「……これ以上強くなってしまえばお主は本当の孤独へと辿り着く
  誰も自分を人間として見てくれず、利用され縋られる人生となる
  重荷を背負い、前へと歩かされ、休む事を許されない日々となる
  負ける事も、退く事も、躊躇う事も、立ち止まる事すら出来ない身体となる
  挫ける事も、嘆く事も、傷つく事も、いつか笑う事が出来ない心になる」

 戟を地面へと突き刺し、呂布……恋と言う名の少女の頭を優しく撫でる。
 そして涙目の恋に見えた太公望の顔は、とても凛々しく温かい何かを持っていた。

「それでもお主は強くなりたいか?」

 頭が横に振られる、誰だって孤独を受け入れたくはない。
 たった百年も生きられない人間なら、笑いたい筈なのだ。
 だが強さがそれを許さない、許してくれない、赦してくれなかった。

「ならばワシと共に来ると良い……主よりも強い化物がおるから、お主はほんの少し強い女子でしかないから
  少しずつその言葉を紡げるようにしてゆけば良い、そして納得できる何かを手にすれば良い
  共に朽ちて逝ける仲間が、友のおるお主ならば見つけられる筈よ」

 その小さな身体を、太公望……否、その肉体を持つ神『伏義』は抱き寄せる。
 声も出さずに恋と言う少女は彼の胸のに隠れてほんの少しの涙を流して倒れる。
 幻想の威力が強すぎたのもあるが、ただ暖かさに身を任せたのもあった。



「太公望軍大将太公望! 無双の称号を持つ呂布を下し、今ここに新たな無双となる事を宣言する!」



 太極図を掲げての勝利宣言。
 一騎打ちを見守っていた兵士達も逃げ出し、あるものは敗北の現実に打ちのめされて倒れていく。
 太公望軍から湧き上がる勝鬨の雄叫び、虎牢関陥落の報とも重なり、その雄叫びはやがて全軍へと伝わる。

 新たな無双の降臨。

 連合軍の勝利。

 そして残すは董卓が待つ都『洛陽』

 ―――もう一人の神が支配する場所

 ―――彼女に付従う道士達の巣窟

 ―――出会いの時は近い



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■作者からのメッセージ
ソウシ様
ご感想ありがとうございます
まぁやはり自分の責任と言う面が一番大きいですね
そして呂布すら下す圧倒的な実力と身体能力差
あの呂布が赤子の如くあしらわれてしまいしました

兎月様
もともとの地力が人間vs神ですから
ただ人望関係に関しては一刀の方が上手でしょうね
今は本命や本来の目的を隠しながら行動していますから
疑心の牙が迫りますよ

春都様
初めましてですね、ご感想ありがとうございます
あくまで一刀に勝ったり負けたりして出来た左慈ですら
でも原作と大分違うのはいけませんね……もっと改善しないと
まぁお互い消えてしまう存在ですから、少し位は覚悟が出来てますよ

ボンド様
ご感想ありがとうございます
総取り完成です
結果として出たくなかったのに出さされました
そして勝負はやはりは失礼かも知れませんが太公望の圧勝です
まだですね、下手に明かせばそれこそ大変ですから

皆様、ご感想ありがとうございます
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