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レイハさんが実はロストロギアだったようです。 プロローグっぽいものその2
作者:くま   2009/08/22(土) 23:58公開   ID:2WkxvL3EczM

※注意事項※
 このSSは全てが作者の妄想から出来てます。
 ので、りりかるな主人公がオリ主と化して、別の作品内で暴れまわる内容になっております。
 所謂原作レ○ープモノですので、両作品のファンの方は読まれない方が良いと思います。
 今回も原作開始以前の段階ですし、今後の話が続くかどうかも不明です。
 それでも構わないという奇特な方だけ先にお進みください。
















麻帆良には鬼が住む。

数年ほど前からだろうか、こちらの世界ではそんな話が聞かれるようになった。

特に、関東魔法組織の主要都市である麻帆良へ、悪意を以て潜入しようとする者達、

そして当の麻帆良に住まう魔法使いの達の間では常識ですらあった。

曰く、

数十のグループをして潜入したら、それ以上の数の誘導性の魔力弾に同時に襲われた。

何とかそれらを陵ぎ麻帆良から脱出したが、5kほど離れて気を抜いた瞬間に直射型の魔法を食らった。

麻帆良の守備隊との混戦に持ち込んだが、味方ごと一撃の砲撃魔法で薙ぎ払われて一掃された。

等々。

こちらの世界では実力者として名を馳せているT・T・タカミチを有し、

コレまでの幾度と無く侵入者を撃退してきた麻帆良は、

鬼が住み着いて以降、難攻不落の要塞にも等しくなった、と。

それでも、手を替え品を替え、麻帆良へと侵入しようとする者は後を絶たず、

それが意味するのは、只いたずらに鬼に喰われた屍を積み重ねる事に他ならない。

そして、その鬼と呼ばれる存在は、何も外敵にのみ猛威を振るったわけでは無かった。

守備隊に代わり外敵を排除した後、鬼と呼ばれた存在は決まってこう言うのだ。


「でしゃばり過ぎちゃったみたいだね。

 申し訳ないから、私を仮想敵として、ちょっとだけ訓練しようか?」


そう一方的に告げられる事から始まるのは、訓練と称された地獄そのものだった。

そこでの鬼からの攻撃は、侵入者へと向けたものよりもさらに苛烈な攻撃だったからだ。


「動いて、動いて!そんなんじゃ、守りたいものも守れないよ!」


そいった類の激を飛ばしながら、鬼は幾千もの魔法を守備隊へと放つ。

鬼の魔法は麻帆良の守備隊が使うものとは違うのか、

不思議と肉体的なダメージは受ける事はないのだが、

それでも鬼の魔法の直撃を受ければ、容易に翌日まで昏倒するぐらいの衝撃は受けてしまうものだ。

かくして麻帆良の守備隊は、侵入者への対応などとは比べ物にならない位の戦闘経験を重ねる事になる。

その経験こそが余計に麻帆良を難攻不落の要塞と化しているのも事実だった。

鬼と呼ばれる存在とそして鬼に鍛え上げられた麻帆良の守備隊。

鋭利な矛先を外敵に面け並び立つ双璧に、麻帆良への侵入者はこれからも蹂躙されていくのだろう。

ある意味、麻帆良の鬼と呼ばれる存在は、麻帆良の守護神であるとも言えるのではないだろうか?















「…だっておwwww」


レポートを読み上げ、馬鹿にしたような声をあげつつ、

目の前の机を両手で叩いたのはレイジングハートだった。

無論、デバイスとしての本来の姿ではなく、

この麻帆良に着いてから手に入れた通常活動用の儀体、

ガイノイド用に開発されたものの予備を用いての行動だった。



「レイジングハート、自重」



ゴッという打撃音で儀体の頭部に左の裏拳を入れつつも、

そう忠告するのはレイジングハートのマスターであるなのはだった。

10台後半に見える彼女こそ、言わずもがないまの話に出てきた麻帆良の鬼の正体である。

吹き飛ばされたレイジングハートが、壁にぶつかりズルズルと床に伸びるのを無視し、

鬼と呼ばれてるなのはは右手に持った紅茶のカップを傾けた。

あ、おいしい、と何事も無かったかのように紅茶の感想を言っている。



「おい、なのは、私の家であまり暴れてくれるな」



なのはの正面に座り、眉を寄せながらそう忠告するのは、この家の主である少女。

エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだった。

外見上10才程度の少女にしか見えない彼女だが、

その正体は吸血鬼の真祖であり、600年の齢を重ねた老練の魔法使いでもあった。



「大丈夫だよ、エヴァちゃん。

 障壁は張ったし、レイジングハートもアレぐらいで壊れるほど柔じゃないから」


「ええい、私をちゃん付けで呼ぶなと何時も言っているだろうが。

 それと壊れる壊れないの問題ではなく、暴れるとホコリが立つのが問題だと私は言っている」



さらりと、エヴァンジェリンの言葉を受け流し、再びカップを傾けるなのは。

それに対してやはり不機嫌そうに眉を寄せたまま、声を荒げるエヴァンジェリン。



「あ、そうだよね。煩くしちゃってごめんね、エヴァちゃん」



両手を胸の前で合わせて、エヴァンジェリンに素直に謝るなのは。

そうしてあっさりと謝られると、対応に困るのはエヴァンジェリンだった。

少々捻くれた性格をしている彼女は、

なのはにこうした素直な反応を取られると、いつも戸惑ってしまうのだ。

コレまで彼女が相手をしてきた海千山千の実力者達と、

なのはとの態度の違いにどうにも違和感を感じてしまうが故に。



「ま、まあ、解れば良い」



とぶっきらぼうになのはに告げて、誤魔化すようにカップを傾けるエヴァンジェリン。

ちなみにちゃん付けの方が直ってないのは今更突っ込まない。

というか、なのはがある一面ではとんでもなく頑固である事を、

エヴァンジェリンもコレまでの付き合いから知っていたのだ。

そんな二人の出会いの場面は数年前に遡る事になる。

その時の彼女達は、敵対していた。

秘宝を狙う侵入者とそれを撃退せんとする警備員として。





























その時の対決は、エヴァンジェリンの敗北で終った。

見知らぬミッドチルダ式の魔法、それを馬鹿げた魔力でかつ熟練した技術を持って振り回すなのは。

対するは呪いと結界に縛られ、魔法薬を使わねば初級の魔法すら使うことの出来ないエヴァンジェリン。

およそ6倍の人生経験からくる戦闘技術などは、遥かにヴァンジェリンが勝っていたのだが、

インテリジェントデバイスの補助による的確性と、なのはの強大な魔力による強大な火力を前に、

エヴァンジェリンは敗北を記することとなった。

だが、エヴァンジェリンが見せた戦闘技術が逆になのはの注意を引き、

なのはの目的地であった図書館島への侵入を阻止するという結果を引き出していた。

戦闘の結果、気絶したエヴァンジェリンの回復を待ち、

情報交換も兼ねてエヴァンジェリンとお話しを望んだなのは。

一方の気絶から回復したエヴァンジェリンも潔く敗北を認め、

見知らぬ魔法を使うなのはへの興味もあり、なのはと膝を交えてのお話しをする事になった。

結界を張り、他者の耳と目を遮断した密室で始まった二人の話し合いは順調に進んだ。

特にとある一点、

魔法使いとは究極的に砲台であり火力こそが全てである

という点で激しく意気投合した二人は、

その会談が終るころには親しき友人と互いを認識するまでになっていたのだ。

その後、日本人として戸籍を偽造した高町なのはは麻帆良に移り住み、

今日のように、エヴァンジェリンの邸宅を度々訪問するようになったという次第だった。






























「で、如何だったんだ、向こうの世界は?」


もふもふと金色の毛並みを楽しみながら、エヴァンジェリンがなのはに問いかける。

今回、なのはの訪問が久々となったのは、彼女がちょっとした旅行に出ていたからだ。

それはただの旅行などではなく、なのはの実力の確認と修行を兼ねた魔法世界への渡航だった。

お目付け役として同行したT・T・タカミチの案内による2週間ほどの小旅行を、

エヴァンジェリンの脅迫めいた後押により、麻帆良学園側からもぎ取った結果でもあった。



「回れたのが転送ポート周辺の都市だけだったけど、それなりには楽しめたかな?

 タカミチさんが居たおかげでトラブルとかもあんまり無かったし。

 特にこっちには無い闘技場が良かったよ。

 自分の、御神の剣士としての、未熟さを痛感するには良い機会だったからね」



私じゃ兄さんや姉さんには叶わないって実感できたし、

と苦笑いを浮かべつつ、エヴァンジェリンに答えるなのは。

対するエヴァンジェリンは、その答えに少々疑問を抱いていた。

なのはの言う姉はまだしも、兄に思い当たる人物が居なかったからだ。

それに御神の剣士という言葉も、調査したなのはのプロフィールの何処にも見当たらない言葉だった。

なのはには自分にも秘密にしている何かが或る。

それを改めて確認し、エヴァンジェリンは少し頬を緩ませた。

人間と言うカテゴリーの中でも、こうも興味深い人物と知り合いに成れた自分の幸運を、

エヴァンジェリンにしては素直に喜んでいたのだ。



「ん?どうしたのエヴァちゃん、私の旅行中に何か良い事でもあった?」


「いや、特に何もない、何時もと同じ、退屈な毎日だったよ。

 鬼の評判のおかげか、侵入者も無かったからな。

 強いて言えば、こうして久しぶりにくーちゃんをいぢれる事かもな。

 この最高の毛並みを持つモノは、麻帆良広しと言えどくーちゃんだけだからな」



なのはにそう返しながら、エヴァンジェリンは再び金色の毛並みにもふもふと楽しみ始める。

その毛並みをエヴァンジェリンに提供しているのは、

なのはの眷属に下った九尾の狐、なのは命名くーちゃんであった。

全長2.5mにまで育った妖狐の毛並みを、エヴァンジェリンはいたく気に入り、

なのはが邸宅を訪れた際には、決まってこうしてそのもふもふを楽しんでいたのだ。


『主殿、助けてくれ』


『ダメダヨ、くーちゃん。エヴァちゃんに負けたんだから、約束は守らないとね』


くーちゃんから届いた助けを求める念話に、あっさりと否を返すなのは。

その約束が交わされたのは3ヶ月ほど前にあった、エヴァンジェリン対くーちゃんの模擬戦の後。

エヴァンジェリンからの『もっとくーちゃんをもふもふさせろ!』という願い?を賭けての試合だった。

もちろん、なのはにはそのような賭試合を認めないという選択肢はあったのだが、

親友と言っても差し障り無い間柄となったエヴァンジェリンが、

たまたまもふもふしている時に見せた少女らしい一面を、好ましいものとも思っていたのだ。

それ故に、エヴァンジェリンとくーちゃんとの対決と賭けを認めたのだ。

かくして繰り広げられた勝負の結果、接戦ながらも敗北したくーちゃんは、

エヴァンジェリンに好きなだけもふもふされる事になった。

無論、四六時中と言う訳にもいかないので、エヴァンジェリンの邸宅の中ではという条件付であったが。

模擬戦での惜敗を思い出し、項垂れるくーちゃん。

その毛並みに半ば顔を填めながら、エヴァンジェリンはふと思い出したように顔をあげた。

なのはの方へと改めて視線を向け、その視線になのはが軽く首を傾げたのを確認して語りだす。



「そうそう、今度私のクラスを受け持つ新任の教師が来るらしい」


「この時期に新任の教師?」



エヴァンジェリンの言葉を受けて、なのはは怪訝な顔で聞き返す。

別段、なのはの反応がおかしいわけではない。

年も明けてから幾分経ち、1月も残り1週間を切っているような時期だ。

このような時期にわざわざ新任の教師を補充する必要性がないからだ。

何らかの形で教員の欠員があれば別だが、

エヴァンジェリンの担任であるT・T・タカミチは、

先のなのはの小旅行にお目付け役として着いてこれる程に、

身体的な不調とは程遠かったはずだから。

そういった教師以外の『お仕事』が忙しすぎるからと言う意味なら理解できるが、

この時期のその穴埋めに、あえて新任を使う理由もないだろう。



「予想は付くだろうが、そいつもこっち側の人間だよ。

 実のところ、前からそういった話はあったが、ようやくその正確な日程までが決定したと言う事さ。

 こっち側の世相を聞きたがらないお前にとっては、初めて耳にする事かも知れんがな」


「ふーん」



エヴァンジェリンの説明にこちらの側と言う言葉が混じり始めた途端、なのはの態度が一変する。

嫌悪感こそ示していないものの、まるで関係が無いという素振りの反応だった。

その態度が示すとおり、なのははエヴァンジェリンの言うこちら側の事情を、

これまでの数年間でも殆ど訊ねていなかった。

むしろ、いつの間にか復帰し、

なのはの隣で大人しく話を聞いている振りをしているレイジングハートの方が、

昨今の裏の世界の事情には詳しいぐらいなのだ。

麻帆良への襲撃者への対応は積極的にするが、

守備隊への訓練以外、なのはは魔法関係の組織に一切関ろうとしなかった。

むろん、この地の魔法組織である魔法協会側としては、無関心で居られる訳も無く、

先の旅行に同行したタカミチのように、ある程度の関与はしていたが。

無関心な態度を見せるなのはに関らず、エヴァンジェリンは話を続ける。



「なんでも立派な魔法使いになる修行の為に来るらしいぞ、イギリスの片田舎からわざわざ日本へな。

 まったく協会の連中も何を考えているのやら。

 ああそれとな、そいつの名前は、ネギ=スプリングフィールド、かつての大戦の英雄の息子だそうだ」



エヴァンジェリンの口から告げられれたネギ=スプリングフィールドの名に、

なのはの表情がピクリと動く。

その動揺とも取れるなのはの些細な変化を見て、エヴァンジェリンは口元を歪ませた。

これまで何事が起ころうとも平然とした態度を取ってきたなのは。

そんななのはのウイークポイントを見出したように思えたからだ。

別にいつもいぢられてる仕返しができるから喜んでいる訳では無いからな!

心の声を聞くことが出来る能力者なら、今のエヴァンジェリンからそんな声が聞こえたかもしれない。

魔法協会に依頼した調査の結果、

なのはとネギ=スプリングフィールドの関係を知っているエヴァンジェリンは、

ややヒネタ感じの笑みを浮かべたまま、なのはに問いかける。



「どうした、なのは。ひょっとして知り合いだったのか?」



直接的には、何もなのはから事情を聞いていない事を盾にした問いかけだった。

が、エヴァンジェリンの予想に反して、なのははにっこりと笑みを浮かべて見せた。



「その子の事は良く知らないけど、お父さんの方は人聞きで知ってるってところかな?

 なんでも大戦の英雄らしいその子のお父さんがね、私の親友の初恋の相手なの。

 ねえねえ、親友のエヴァちゃん。

 どうしてその人にポッてなったの?その人って格好良かったの?

 優しくしてくれたの?魔法が凄かったの?」



放たれたなのはのカウンター口撃に、エヴァンジェリンは飲みかけていた紅茶を吹いてしまう。



「お、お前、ど、何処でその事を!?」


「あ、やっぱりそうだったんだ」



動揺を露に聞き返したエヴァンジェリン。

にんまりと笑みを向けて返すなのは。

エヴァンジェリンがしまったと思った時には、時既に遅し。

攻守は逆転し、なのはがナギ=スプリングフィールドをダシにしてからかい始め、

やや顔を赤くしたエヴァンジェリンは防戦一方になる。

何時もどおりのとなった二人の様子に、

同じテーブルで黙ったまま成り行きを見守っていた茶々丸は、

紅茶のお代わりを淹れるべくキッチンへと向かう。

同じくテーブルに着き、懸命にボケのタイミングを伺っていたレイジングハートは、

己のマスターの左手が、未だ強く握られたままである事に、心の中でため息を吐いた。






それから10日後、麻帆良の地に一人の少年が降り立った。








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■作者からのメッセージ
何故だか思いつきの方が筆が進むという罠にはまりました。
それでも原作であるネギま!の開始時点まで進めていないので、
プロローグっぽいものその2になっております。
こんな駄文に最後まで付き合っていただけた方に感謝を。
ではまた…があるといいなw
テキストサイズ:11k

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