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風来の闇 第四話 依頼
作者:霧露   2009/09/11(金) 19:30公開   ID:yE552F4UG.E
「――――という訳です」
 チラチラと佐助の様子を伺いながら話し終えた綱吉は何事か考え込んでいる佐助を恐る恐る見つめる。
 綱吉の視線を感じつつも佐助はジッと考え込む。"落雷の中から現れた"――そう言われたが、自分は魔王にやられて意識を失ったのだ。しかも主である幸村を庇って。……傷があるから戦場にいたのは間違いない。そこまで思考を進めると段々幸村のことが心配になってきた。自分がいなくなった後、幸村は魔王に殺されはしなかったか。
「真田の旦那……」
 ポツリと漏れた言葉に綱吉・獄寺・山本の三人は顔を見合わせると首を傾げた。
「――俺たちは知っていることを話したぞ。今度はお前の番だ」
「……そうだね。ま、害は無さそうだし良いかな……」
 「やれやれ……」と肩を竦めて苦笑する佐助に三人は再び顔を見合わせた。
「俺は真田忍隊隊長……猿飛佐助ってゆー者です。以後、お見知りおきを」
 まだどこか怯えが見られる三人の緊張を解きほぐす為に、嘘くさい笑顔をニッコリと浮かべる。そのおかげで怯えが消えたのか獄寺が反応する。
「"忍"って……忍者のことか!?」
 目が輝きだした獄寺に思わず苦笑が漏れる。「当たりだよ」という肯定の言葉に更に獄寺の瞳が輝きだした。
「――――"真田"って……戦国武将で有名なあの真田か?」
 黙り込んで何事か考えていたリボーンがそう問うと、佐助はあっさりと頷き肯定した。
「そう。"甲斐の若虎"真田幸村。俺様の主だよ」
「…………って! 戦国武将なんてもう生きてる訳……! てか何でリボーンが戦国武将の名前とか知ってんの!?」
 佐助が頷いたことに顔を引きつらせながらつっこむ綱吉にリボーンが飛び蹴りをかました。勢いよく吹っ飛び壁に激突する様子に佐助は己の主たちの姿を重ねてしまう。そんな思考を吹き飛ばしたい、というようにブンブンと頭を振った。そんな佐助を獄寺が怪訝そうに見つめている。 ダメージから何とか立ち直った綱吉がよろよろと顔を上げ、「いきなり何すんだよ!!」とキレ気味に叫ぶ。
「まったく……お前はこれだから駄目ツナなんだ。俺は最高の家庭教師なんだぞ? それくらい知ってるに決まってるだろ。お前なんかと一緒にすんじゃねぇ」
「いちいち酷いなお前! ……まぁ確かに俺は駄目ツナだけど……」
 ショボン、といじけた綱吉を励まそうと獄寺が聞いている方が恥ずかしくなってくるような言葉を紡ぎだす。そんな獄寺に山本が明るく笑う。
 すっかりいつもの調子を取り戻した三人を満足そうに見ると、佐助の方に向かう。
「おい、お前どうせ行くあてねぇんだろ? ならここに居候しろ」
「えー? 居候か……。何か依頼でもしてくれないと俺様の方が落ち着かない……っていうか?」
 コテンと首を傾けて二コリと微笑む佐助にリボーンはフッと不敵な笑みを漏らす。
「お前気に入ったぞ。じゃあ俺からの依頼だ。あの駄目ツナを護衛してやってくれ」
「……了解ー。じゃ、依頼料はここの居住代、ってことで」
 二人はニッと笑い合う。
 依頼は明日からスタートらしい。 


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■作者からのメッセージ
 第四話です。遅くなりました。
 佐助とリボーンが若干打ち解けた? かも。
 次回から佐助が異様にフレンドリーに!!
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