ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

風来の闇 第伍話 朝の会話
作者:霧露   2009/09/13(日) 17:29公開   ID:yE552F4UG.E
 ジリリリリリ――!!
 けたたましい音を立てて目覚まし時計が鳴る。綱吉は布団の中でもぞり……と動くと片手を伸ばして未だにうるさく鳴っている音の根源を止めようとした。 …………が。
「……あれ?」
 どれだけ手を伸ばしても音の根源へと辿りつかない。布団から顔を出さないまま辺りを探ってみるが見つからない。しかし音は鳴り止まない。もしかしたら下に落ちてしまっているのかも、とベットからようやく顔を出す。
「……ったく……何だよも――」
 「何だよもう」と言おうとした綱吉の口がそれより先を言うのをやめる。あまりに目の前にあるものが衝撃的すぎたのだ。
「おっはよー沢田の旦那。ところでさ、この音が出るもの何?」
 ニコニコと微笑みながら片手に目覚まし時計を持ち、興味津々に聞いてくるこの人は――。
「さ、佐助さん!? 何でここに……!」
「えー? 何でって俺様がここでお世話になることになったからだよー」
 時計を眺めたり弄ったりしながら佐助はあっさりとそう返す。
「ええ!? 聞いてませんよそんな事!!」
 初めて聞かされる衝撃の事実に綱吉は驚愕する。 佐助と初めて会った昨日は、いつのまにか姿を消していたからすっかり安心していたのに……! と昨日の自分の浅はかさを呪う。 そうだ。あのリボーンなら凄腕(そうな)佐助をファミリーに勧誘せずに行かせるだろうか。いや、そんな事はありえない。だってクラスメイトからさえファミリー候補を物色するような奴だからだ。
「黄色の旦那から沢田の旦那を護るように、っていう依頼を受けたからさー。報酬は暮らす所の提供って事で。宜しくねー」
「え!? 依頼ですか!? ったく……またリボーンの奴勝手に……。あ、ちょっと気になったんですけど。"黄色の旦那"や"沢田の旦那"って……何?」
 頭を抱えてリボーンがしでかした事を恨むと、はた……と佐助の言葉を思い出す。そして不自然な単語が入っていた事に首を傾げた。
「ああ……黄色の旦那はあの赤ん坊のことで、沢田の旦那はあんたのこと」
「ああなるほど。って! 旦那って不自然じゃないですか!? 俺まだ中学生ですよ?」
「ちゅうがくせい?」
「あー……えっと、十三歳なんですよ!」
 年齢に直されたことに「ああ」と頷く。
「いやー年齢は別に関係ないんだよね。この呼び方俺様の癖でさ。真田の旦那とか竜の旦那とか?」
「癖ですか……あの、嫌だったらいいんですけど、俺のこと沢田の旦那じゃなくて"ツナ"か"綱吉"……って呼んでくれたら嬉しいなーなんて……」
 恐る恐る見つめてくる綱吉に佐助は思わず吹きだしてしまう。そんな些細なことでも人の機嫌を伺っていては疲れてしまうのではないか? と心の隅で思う。
「別に良いよ。ツナ、ね。俺様のことも"佐助"って呼んでくれればいいから」
 二コリと微笑んで言うと綱吉は途端に明るい顔になる。そんな事で嬉しそうな顔をされることは無かった。初めての反応に佐助の口の端が吊り上がっていくのが分かった。
「あ。でさ、これってどうすれば止まるの?」
 けたたましく鳴り響く時計を指して佐助はコテンと首を傾げた。

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 第伍話目です。
 佐助とツナが軽く会話します。
 佐助はオカン設定になるのでしょうか。それともかっこいい凄腕忍になるのでしょうか。 どっちが良いですかね?
テキストサイズ:2588

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.