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風来の闇 第六話 お使い
作者:霧露   2009/10/24(土) 16:37公開   ID:yE552F4UG.E
「佐助くん、本当ありがとうね。助かったわ」
「いやーこれくらい朝飯前ですよ」
 優しい微笑みを浮かべながら礼の言葉を口にする綱吉の母――奈々に佐助も微笑を返す。割烹着――ならぬエプロンを着けた佐助は異様なまでに似合っていた。 ……武田軍にいた頃にもよく真田の旦那の世話をさせられたからなぁ……と遠い目で思い出を掘り返してみる。
「――まあ! ツッ君たら……」
 やれやれ……と疲れたような溜息をついていると、奈々が急に声をあげた。何事か? と佐助が視線を向けると困ったような表情で桃色の巾着を手にしていた。
「どうしたんですか?」
「あのね、ツッ君がお弁当忘れていったのよ。後で届けに行かないと……」
 そう言うと巾着袋を机に置いた。それをジッと見て佐助は考え込む。
 ここはこのお弁当を届けに行くべきだ。けれど綱吉から「お願いだから学校には来ないでね!」と言われてしまったからには行く訳にいかない。――それにしても。”学校”というものは一体何なのだろう?
「届けてこれば良いじゃねーか」
「黄色の旦那…。でも――」
「お前の依頼主は俺だ。ツナじゃねぇ。違うか?」
 リボーンの言葉に「仰るとおり」と肩を竦める。この場合依頼主の言葉を優先して従うべきだ。 そう判断するとエプロンを解き椅子にかける。取っていた迷彩のケープを上に羽織り、用心の為に少しばかり武器――クナイを持つ。額にいつもつけている金属の額当ては悪目立ちするので外す。
「――で? ちょっと前から気になってたんだけどさ。その、”がっこう”? って何? どこにあるの?」
「ああそうか、お前はこの時代の者じゃねぇから知らねぇんだったな。学校は――要するに学び舎、だ。学問を学ぶところだな。場所は今地図に書いてやるぞ」
 疑問に簡潔に答えると、メモ用紙にサラサラとペンを走らせ地図を書きあげる。佐助に手渡すと「行って来い」と顎で示した。
「んじゃま、お仕事お仕事……っと!」
 ひょい、と巾着袋――弁当袋を掴むと軽やかな足取りで家から出て行った。
「――――忍、か。お手並み拝見だな」

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■作者からのメッセージ
 久々の更新です! な六話目です。

 早速学校に向かわせてみました。何気に騒ぎを起こしてツナ君の頭を悩ませそうですよね。
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