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風来の闇  第七話 忍び込む
作者:霧露   2009/10/24(土) 17:40公開   ID:oiYqtHKDuXk
「えーと……。地図によればこの辺りのはずだけど――」
 手に持ったメモ用紙と辺りの風景を見比べながら呟く。どれが学校――いわゆる学び舎なのか分からない。キョロキョロと見回しているとどこからか鐘の音が響き渡ってきた。伸びやかな音が聞こえてくる場所を探り当てると、ニヤリ……と不敵な笑みを浮かべる。そして校舎へと素早く走って行く。白く塗られた、大きな校舎を門の外から見つめる。なかなかに大きい。自分が仕えていた主の城とどっちが大きいだろうか……と頭の中で比べてみる。
「――っと、それよりも早く綱吉に届けに行かなくちゃねー。黄色の旦那の頼みだし……」
 少し面倒くさそうな溜息をつくと、わずかに膝を曲げてタメを作る。そして自分の身の丈以上の高さがある校門を軽々と飛び越えた。


「なるほどな。やっぱり忍っていうのは嘘じゃなさそうだな」
 こっそりと後をつけていたリボーンが佐助の動きに満足げに呟いた。校門が丁度見える場所に位置する木の幹にいたリボーンは、佐助が奥へと進んでいくのを密かに追いかけていった。


 入り口と思われる場所に辿りついた。
 ――――が。閉まっていたせいで中へと忍び込む――というと語弊が生じるが――ことができない。こういうときはいつものように、空いている窓や隠し扉を探してこっそり――それこそ本当の意味で――忍び込めば良い話だ。
 やっぱり俺様にはこういう仕事の方が向いてるよねー……と、知らずのうちに浮かんでいた、自身の楽しそうな笑みに気がつかないまま歩を進める。
「結構隙が大きいな……この窓だって開けっぱなしだし……」
 そう呟きながら三階の窓を見上げた。
 もちろん只人ただびとならば、三階にある窓から校舎の中に入り込む――なんてことはできるはずもない。そんなことに思い至らぬ佐助は「まったく無防備だよねー」などと呟いたりしている。
 そして、早速入り込もうと膝をわずかに曲げてタメを作る。
「――ねえ、君そんなところで何してるの?」
 唐突に聞こえた声に素早く振り返る。
 そこには黒髪に黒の瞳、黒い衣を肩から羽織った一人の青年が、不機嫌そうにして立っていた。


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■作者からのメッセージ
 怒涛の更新! な第七話目です。
 ついに雲雀さんを出してしまいました。
 ……急展開過ぎですかね……。
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