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無名(タイトル未定 オリジナル) 研究所編 3話(題名無し)
作者:GireLize   2010/04/26(月) 02:43公開   ID:33E/nA6Ip9Y

暗い部屋の中で金属を擦っている音がしている。

-スミダ-

「所長、この金属で…出来た…やつは!…やっぱり…はぁはぁ…無理ですね」

「まぁいくらやっても、結果は同じだし体力の無駄だ…やるだけ疲れるだけだ」

「そうなんですけど…やっぱやりたくなりません?」

「下手に動いて、 "成功作" に "敵対行動を取られた" と思われてみろ・・・」

「うっ……」

また、自分の頭から血の気が引くのを感じる。 こう何回も青くなってて貧血にならないだろうか…?
と、少し暢気な考えに至り苦笑いした。

「それにしても、所長は冷静ですね。
私なんて所長が居なかったら今頃パニクって、 "成功作" に狩られてるかもしれませんよ」

「私は…感情だけで動くと痛い目みるのは経験で知っているからな…」

あ…あれ?
少し場を和ませようとしたんですけど、逆効果だったみたいですね…ハハハ。

「それはそれとして…所長は何故 "成功作" を助けようとするんですか?
私には…人生がまだ短い為そういう経験がないんです…。 所長…何故です?」

所長は真剣な表情になった。

「……私は、研究一筋なこの人生でいくつも研究対象を見ていた・・・色々な実験体や研究の被験者には、
今回の "成功作" のような子供や老人等、人間の弱い時期が多く、私はそれを利用した実験が嫌いだった…
しかも、裏の研究ともなれば拉致や強制連行されたのが普通だろう。
色々な被験者や実験体に接してる内に情が移ったのかもな…だが、私はあくまで平研究員だった。
権力が欲しかった…そして、そんな実験体や被験者をモノとしか見ていない奴を
一人でも多く実験体と被験者を人と見れるようにしたかった…そうすれば、いずれこんな研究でも表に出て大々的に募集出来たかもしれない…と。
まぁ流石に今回の研究内容は冗談にして欲しかったけどな…。」

「今回の研究内容…ですか?」

「あぁ、平研究員には基本的にデータ取り以外はほとんどやらせない
研究内容はその所長のみが知る事が出来る・・・私が平研究員の時は公開制だったが、
流石に今回の研究内容は冗談も程々にして欲しい内容だったから非公開扱いのはずだ…。」

「ですが、今回の研究の時に私みたいな平研究員にも上から送られて来た "紙" があったはずですが…?」

「確か、今回の平研究員の内容はデータ取りと実験体の観察…だったはずだが?」

「え…えぇ、それだけですね」

「いいか…もう、こんな状況だから話すぞ」

所長が更に真剣な口調になった。

「は…はい」

「今回の研究内容は
[不老不死、特殊能力、魔法…これを合わせ作り、死なない衰えない疲れない栄養を必要としなく従順で戦闘技術の成長をして諜報活動、
遺伝子単位で変身し組織に潜入し壊滅をさせる事が出来る完璧な人間兵器の開発] だ」

「なっ……!!」

私は上が何かを急いでるようだった事が気になっていたが流石にここまで想像していなかった・・・。

所長は苦い表情でそう言った。
確かに、こんな事を公開したら一気に首が飛ぶだろう…中には比喩なしで首が飛ぶ人もね。

「しかし、予想外な事態が起こったのだ」

「自我や感情の確立…ですね」

「そうだ…自我や感情は仕事上では邪魔なモノでしかない…だから自我が出来てしまった以上
今回の "成功作" を早めに手の内に置き自我や感情の制御を行う予定が…」

「私達の会話を聞き逆に私達を殺そうとした…ある意味これって自我や感情の自己防衛システムですか?」

「私達の会話を聞いたのは偶然だろう、だが聞いてしまった以上は自己防衛として我々を殺しにかかったと見るべきだろう…
もちろん、上の思惑などは知らんようだがな…。」

「なるほど…なんか上の信頼って地の底まで行ってる気がします…」

「まったくだ…だが、あの上にもどうにかしたい奴も居るだろう…、
しかし、そういう "力" が必要なのも事実なのだ」

「確かに…ですが」

「まぁ言いたいことはわかるが、我々には出来ることで最大限にするしかない…
それが最善なんだ、下手に動いて反感を買って降格なんてされたら、それこそ元も子もないからな…。
我慢することも大事なんだ…例え犠牲を払ってもその犠牲になってくれた者の為に進まなければ報われないからな…」

「……」

「お前はまだ若い…だから気をつけろよ」

「はい…」

そうこう話してる内に結構時間が経った気がする…。
所長の顔が少しやつれて見える。

「所長…少し疲れてません?」

「…気のせいだ」

「……まぁ、無理してますと毒ですし少し休みましょう…。」

「くっ…」

所長は少し苦い表情で唸ったが、やはり体力が持たなかったようだ。


-成功作-

私は、二人の治療をロボットにやらせてその後 "保管室" にあった器具で固定させて置いた。

私は、自分の足で歩いてみたくて…外を歩いてみたくて。
研究所にハッキングして、試験管の周りにあるガラスを上から下へスライドさせた…。
すると、今まで中にあった液体が外に流れていき最後にはガラスは一番下へ行き、液体はなくなった。

私は、液体の中だったから浮かんでいたけど、無くなったから今は試験管の下の部分に座ってる。
私は、自分で立ってみた…なんてことはない、誰にでも出来るような動作だ。
でも、私にとってはこの動作自体が新鮮に感じた…。
そして、一歩一歩、歩いていく。 ピチャ…ピチャ… と音をする方向を見たら、水で濡れていた足元があった。
これも…新鮮に感じた。 ここまで来てびっくりした、2重に驚いた…自分にもちゃんと感情があると…。
私は…これは"嬉しい"という感情なのだろうか…?
もし、そうなら"嬉しい"と…思う。

私は隣の部屋まで来て、死体を放置していることに気が付いた…研究所のシステムを起動して、
清掃ロボットに、死体を全部焼却炉に放り込んで"火葬"?するようにした。 知識では死んだ人は
その肉体を焼き天国と言う所へと行くらしい…実際はわからないけど。


ふと、私は思い出した。

「私、服がない」

考えてみれば当たり前だ、例え "成功作" でも1実験体如きに着せさせる服なんて
与えられるわけがない。そこまで、考えて自分の中で何やら渦巻いてる…これも、感情…?

そんな感情を覚えながら少し歩いた…
研究者の服でも取ればいいだろう、と思ったからだ。

「あ…そうだ」

歩いていて思い出した、私は特殊能力やら魔法やらが使えるように、
作られているんだから、自分で作ればいいんだ…と。

そこまで考えると、頭にどんな呪文を唱えればいいかわかった。

「"エクイウス"」

そう唱えると、自分の体に光の粒子が集まり、何かを形成していく。
青い髪の毛と金色の瞳は黒色になり、背は14歳くらいまで一気に伸びた。
そしたら今度は、黒いTシャツ、黒いズボン、黒いブーツ、黒い手袋が形成され、腰にベルトがクロスして巻かれ、
両腰とベルトの間に短剣が形成される。ベルトを挟むようにぶら下がったホルスターが出来銃が収まっている。
その上に、黒いマント、黒い外套、首から少し下の胸元で黒い水晶が出来、マントと外套をくっつけている。
両手首、両足首にブレスレットが形成され、青い水晶が埋め込まれる。

「何…これ…?」

私は、あまりの出来事に呆然する。

……あまり深く考えないほうがいいと判断して、
さっきの感情とは別の感情が渦巻いているのを覚えた。


私は、歩く…二人の所に行くために。
二人に会えばわかる、何故かそんな気がした…。

私が何故二人を助けたのか…何故治療したのか…。
それが知りたい…でも、あの二人が私を見る眼は
実験体として見る時の眼と別の何かのように見ているような眼…。

私は、あの二人に何をさせたいんだろう…
それとも、私があの二人に対して何かをしたいんだろうか…?

わからない…だから、会う。
会ってみれば、わかる気がするから…会う。

私は、そう考えている内に "保管室" の前に立っていた。
なんだろう…さっきとはまた違うモノが私の中で渦巻いている…。
なんだか…苦しいモノ…これも、感情なの…かな?
そう考えて立っていても苦しいだけだから目の前にある "保管室" の入り口を開けた…。

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■作者からのメッセージ
はい・・・今回もありがとうございます。
筆者のギアライズです・・・今度はスルーですか、そうですか。

それは置いておき・・・
今回はやけに感情が出るようになりましたね・・・ちょっと出しすぎかな?
それにしても、所長さんにあんな過去が・・・スミダ君ーもとい、助手A としますか。え?ひどいって? いいじゃないですかー。

コホン、それも置いといて 今回は魔法が出ましたね! 私も魔法大好きですよ!
えー ちなみに、ぶっちゃけますが 魔法の術名は
別に何かの由来とかそういう意味は一切ございませんのでお気を付けて・・・。
え?何故言うかって? いやぁほらこういうのって言っておかないと後で文句とか言われそうで・・・はい。

PS.
やはり、誤字・脱字・質問等はどうぞどうぞ。
えーと、他に言うことは・・・(ペラペラ)。
何もありませんね・・・それではまた、ごきげんよう。
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