ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

無名(タイトル未定 オリジナル) 研究所編 4話
作者:GireLize   2010/05/01(土) 13:16公開   ID:te6yfYFg2XA


"保管室" のドアが開きそこからの光で二人は眼を覚ました。

-スミダ-

眩しいです…暗い所に長時間居ていきなり光を浴びると流石にきついですね…。

-所長-

誰か…来たのか?…恐らく、 "成功作" だろう。

-成功作-

私は…この二人に何かをして欲しい…私も二人に対して何かをしたいという気持ちになれる…。
なんだろう、この感覚…いえ、感情? いえ、欲望? いえ、願い? よく…わからない。

-スミダ-
やっと眼が光に慣れてきまし…なんですかその格好は?

-所長-
ふむ…戦闘用の服装のようだな、一見オモチャに見えるが破壊力は抜群のはずだ。
核兵器なら勝てるかもしれんが使う前に…死ぬな。

________________________________________________________________________________

「あ…あの?」

スミダは、恐る恐る声をかける。
"成功作" は確か年齢7歳前後だったはずだ、決して14歳くらいの背じゃないはずだ。
でも、それなら誰だろう……誰かのお子さんかな?
それなら納得出来る…てか納得したい。

「君は、誰なんだい?」

スミダ君…君は自殺願望者かね?
背が14歳くらいになったからと言っても表情を見れば一発でわかるはずなんだが…?
大体、コスプレみたいな格好してても中身は猛犬を片手で捻る実力者…。あぁ表情が少し硬くなった。
"成功作" は私達に無意識ながらも "好意" というモノを向けてると思っていい、
しかしその1人である君がそんな事言ったら "嫌われ" て消されかねない…。

「プロジェクト認識ナンバーX Bプラン 第552473実験体」

「"成功作" !?」

「ふむ…それで、お嬢さんは私達に何をしてほしいんだい?」

「お嬢…さん…?」

「うん "成功作" という呼び方をやめて、私は "お嬢さん" と呼びたいんだ、
名前が無いからせめてそう呼びたいな?」

私…は、私の、名前…?
お嬢…さん…?、
いつも研究員さん達は "私" の事を "成功作" と呼んでいた。
私は、 "プロジェクト認識ナンバーX Bプラン 第552473実験体" を略されて "成功作" と呼ばれてた…言わば愛称みたいなモノだ。
なんでもよかった、 私という "固体" を表す為の "名" なのだから…。

でも、私は…"お嬢さん" と呼ばれた事に前に感じた事がある…"嬉しい"という感情が
渦巻いている…。 "嬉しい"…この感情は良い感情…なのかな?

だから、私は答える。

「う…ん…。そう、呼んで」

「そっか、じゃあよろしくね、お嬢さん」

よろしく…?

「こういうときは、"よろしくお願いします" と言うんだよ」

「よろしく…お願いします…」

「うむ」

そこで所長を呼ぶ声がした

「所長」

「何だね、スミダ君」

「私は思ったんですが、いっそ名前を付けたらどうです?」

「名前を? しかし生憎私はセンスないんでな。
スミダ君はどうなんだね?」

「私もあんまり…。あぁ、じゃあ "お嬢さん" に決めて貰いましょうか?」

「それがいいな」

"お嬢さん" はこちらを向いて無表情ながらも少し困惑な表情を混ぜた顔で見ていた。

「"お嬢さん" あなたの名前を決めたいんだけど、"誰" に決めてほしい?」

「私…は…」

私は…誰に…名前を…?
私はどう言えばわからないから、指をさした。

「私かね…」

「よかったですね、所長」

"所長" と呼ばれた人は少し困惑気味な表情だった…。
その隣の研究者さんは何の表情の浮かべているの? 笑い?違う… "私" の知らない "感情" と "表情"…?

「"アートゥラルナエ" っていうのはどうかね?」

「 "アートゥラルナエ" ?」

私は、考えた…"アートゥラルナエ"。
"アートゥラ"はラテン語で女性形の黒…"私" が生物学的に女性で服が真っ黒だから?
"ルナエ"はラテン語で月?
黒い女性の月…?

「気に入って貰えたかな?」

「…うん」

"嬉しい" でも何か違う、 私は何か言わなければいけない…
でも、なんて言えばわからない…。

「そういう時はね、 "ありがとう" って言うんだよ」

"私" の考えたことがわかるなんて凄い…。

「ありがとう、おじさん」

そう言った瞬間、空間が凍りついた気がした

「しょ…所長?」

「お…おじさ…おじさん…おじさん…」

「し、しっかり! 気をしっかりしてください!」

どうしたの…かな?

"私" の名前は、アートゥラ…"アートゥラルナエ"。
これからもっと色んなモノを見たり聞いたりして、"スミダさん?達"と生きたいな…。
おじさ…後で、"所長さん" の名前聞こうかな?

これは、私にとって…小さな事件だったけど大きな事件でもある…。

「"所長さん"」

ルナエの言葉に所長は ハッ となった

「平気ですか、所長?」

「あ…あぁ平気だ、ありがとう…。」

所長さんが数回頭を振ってからこっちを向いた。

「それで…ルナエ」

「何です? 所長さん?」

「その…非常に言いにくいんだけど、この固定台から外してくれないかな?」

私は、忘れていた 所長さん達は固定台に貼り付けられたままだった。
早速私は、ベルトを解き始める。

「はい、所長さんとスミダさん?」

「あぁ、ありがとう」

「ありがとうございます」

スミダはそこでちょっとした疑問を持った。

「そういえば、所長?」

「何だね、スミダ君」

「今回の件、上には…どうします?」

「ふむ…研究所は実験体の1人が暴走し人間を残らず殺し、実験体は研究所から逃げ出し、研究所は木っ端微塵に砕け散り、
そこから、何故か研究内容と実験の数々と過程や結果が書かれた無傷の"記録"を警察が見つける…
と、いうのはどうだね?」

「流石、所長。良いシナリオです…ですが、私達はどうしますか?」

「何、生きる方法は色々ある…」

「それにまず研究所をどうやって破壊するんです? ダイナマイトや爆弾なんて作れません。
あまり時間をかけると上の連中が感ずきます」

「ふむ…スミダ君、君は "優秀" だがどこか抜けてるな」

「はい?」

一体どういうことです?とスミダが所長を見ていると、所長はルナエの方に視線を向けた。
……まさか。

「ルナエに研究所を破壊してもらう。
幸いここには死体がたくさんあるから、眼暗ましにはいいだろう…」

「なるほど…」

そう二人が話しているとルナエが会話に入てきた。

「あ…あの」

「どうしたんです、ルナエちゃん?」

「そ…その、死体は全部焼却炉の方に…」

「なるほど…所長、どうします?」

「まぁ別にあってもなくても平気だから気にすることはない」

「は…はい」

ルナエは、自分の中にまた新しい感情を感じられたと、この時思った。

「では、所長逃げますか?」

「うむ…そうだな」

ルナエはどうしようか、と悩んでいた…。
所長とスミダはルナエに近づいて聞いた。

「ルナエ」

「は…はい」

「一緒に来ますか?」

「は…はい!」

所長とスミダの間で自分の両手を使って二人の手を取って歩いた時、感じた…。

"私" は…この二人と居たかったんだ…"私" はこの二人が "好き" なんだ…と。

研究所から少し離れた場所で3人一緒に立っていた。

「ルナエ、頼むよ」

「はい…所長さん」

そこから、ルナエは少し前に歩き始めた。
スミダは所長に近づいた。

「所長、本当に大丈夫なんですか?」

「あぁ…恐らく "魔法" の方を使うだろうが問題はなかろう」

「はぁ…」

スミダはいまいちピンッとこない様子だ。

ルナエが立ち止まって両脇にある短剣を片手に一本ずつで掴みながらクロスさせ、詠唱が始まった。


我が光、我が影、
我は全てを飲み込み光に返す存在なり
我は誓う、我に害成す存在を全て飲み込む者なり
我は全てを飲み込み影に返す存在なり
我は誓う、我に害成す存在を全て飲み込む者なり
"エキストラブースト"


ルナエがそう詠唱すると両手首のブレスレットに埋め込まれている青い水晶が、
それぞれ、金色とグレーになった。

「今のは、何です?」

「今言ったのは魔力増幅器の発動呪文だ…ここまでマスターしてるのは予想外だがな」


我誓う者なり、我裏切る者なり、
我らは影、我らは契約の影、我らは光の影、我らは闇の影、
全ての影を紡ぎ空間を切り裂け!
"エンドリーシャドウブレード"


ルナエがそう言うとクロスしていた手の平にある短剣を媒体に、長さ5メートルはありそうな、黒い剣が現れた。
金色とグレーが電流のように流れ刃の部分は黒色だ。
柄を片手に一本ずつ持ち片足を少し後ろに下げ腰を低くして、抜刀術の構えをする。

スミダはルナエが動いたと思った時には既に研究所は、まさにバラバラに解体されたと言うべきだろう。

"魔法"もすごいが抜刀術などの戦闘技術も既に超一流…。

しかし、スミダは思った"そんな力"は欲しくない…と。

「お見事」

パチパチパチと所長が拍手しながら、ルナエのほうに近づく。

「あ…ありがとう、ございます」

少し恥ずかしいのか言葉がうまくでてない。

「あ、所長」

「何だねスミダ君」

所長はルナエの頭を撫でながら答えた。

「これから、どうするんですか?」

「スミダ君と私とルナエで、暮らすわけにはいかな「嫌」え?」

スミダも所長もビックリしてルナエの方を見た。
そしたら、急にそんな事言ってしまったのか、ルナエは "新しい感情" に戸惑っている。

「ルナエは、どうしたいんだい?」

所長が優しそうに聞きスミダも二人に近づく。

「私…は」

私は…どうしたいの?
"所長さん"と? "スミダさん" と?
わたしは…。

「私、は…3人で暮らしたい」(by ルナエ)

「え?」(by 所長)

「え"?」(by スミダ)

ええええええええぇぇぇぇぇぇ……。(by 作者)

第一部完…にしたいなぁ。


おまけ


次の日に、ある施設がバラバラにされ壊滅したと、匿名希望で警察に通報があった。
そして、施設がバラバラなのに中に埋もれていた、書類等は全て無事だという。
警察はそのことに少し頭を捻ったが気にすることはないという事で次は中身の問題だった。
人体実験、拉致、強制連行等の犯罪証拠の数々、研究記録に研究内容の不老不死、特殊能力、果ては "魔法技術"。
人体実験の被験者プロフィールは全員死亡扱いされていた、"不幸な事故" "不幸な拉致" の背景がそこにはあった。
当然これは、極秘扱いにされた…もし、万が一民間にでも知れたら…と、震えた。

そして、これを機に警察は裏の部隊を作った(企業で言えばSSのようなモノ)。
裏警察の仕事は研究者の"処理"、所長も"処理"、被験者や実験体は全員救出。
制圧した研究所で証拠を掴み裏で糸を引いている企業の幹部や政治家を見つけ他の罪で逮捕状を作り世間から追放。
世間から追放した者は、裏警察のブラックリストに載り、知らない間に処理されていく。
裏警察は一部から静粛部隊とも言われた。

裏警察の隊長は14歳程度の少女っていうのは超極秘中の極秘エクストラトップシークレットである。

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
はい……ありがとうございました…え?最後じゃないのかって?そりゃ短編だからね。
え?あ?ま…まて!私が悪かった!悪かったから怒らないでー!…と、

幻実共に暗いギアライズです。え?またスルー?ねぇ?

コホン、まぁでも皆様のおかげでいい作品になったと思います…
しかし、テロップって便利だなーと思う、今日この頃です。

最後のおまけ部分がありますがそこを中心に物語が進みます、
ルナエは裏警察部隊の隊長…いいなぁ…いえ、なんでもないです。

チナミニ、抜刀術に関してはそこまで詳しくありませんが
居合い・居合い術・抜合・居相・鞘の内・抜剣等と呼ばれることがあるらしいです。(Wiki参照)
後、元々は刀を抜く技術に限らず、座って行う技になっておりますがその辺りは大目に見てください。
"そのくらいの勢い" とでも思っていてください…って、ほとんどの方は言われなくても思ってますね。
むしろ、鞘すらありませんが華麗にスルーでお願いします。

PS.
そしてやはーり、誤字・脱字・質問等があればどうぞどうぞ!
さーて、次は…ぁー!紙がヤギに…オワタ
そ…それでは…えーと?…ご、ごきげんよう。
テキストサイズ:8653

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.