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僕が時の冬に願ったら 〜アンダーワールドユニオン〜
作者:ひーさん   2011/02/13(日) 23:41公開   ID:H.MCxtv29co
プロローグ
立花さんの日常・満喫
 
ここは、前回の舞台であった慶光院寺……彼らはまだここにいた。まだ人生が求める事は残っているのである。

「師匠ありがとうございました」

 冬蘭はぺこりと頭を下げると、冬蘭の師匠である水郷先生は笑いながら冬蘭に話しかけたのであった

「いやいや、こちらこそあんまり構えなかったネ、おおっ、そう言えば君に渡すものがあった、ラティ君」

 そういうと、水郷先生は、そのままポケットから、ラティに石を渡すと、それを首にかけてくれた、その石はなぜか鍵の形をしていたがラティはさほど気にはしなかった……。

「なにこれ?」
「これは紅蓮石だよ、まぁ……いつかこれが君の役に立つはずだからネ」
「紅蓮石?変な石ね、どう見たって鍵よ?」

いや、『凄く関心を持った』の間違いであった。しかし水郷先生は話を変え

「まぁ、そう見えるならそうだろうネ。ところで、立花はどうしたのかネ?」

 水郷先生はあたりを見渡すと、立花がいない事に気がついた、冬蘭が不思議そうに水郷先生に尋ねると

「ん?師匠、たっちゃんをお探しなのですか?」
「あぁ、彼女はこの頃、自分の部屋の荷物もなくして、部屋にもいないのだが……」
「おかしいな、たっちゃんは部屋でいつも寝ているのに……」
「なんか見た目、彼女はグータラしているから埋もれているんじゃないの?」

ラティはけたけたと笑って話すと

「それはうーん、確かに彼女はよく洗濯物の山に埋もれているからなぁ……」

 水郷先生は、考えた末……腕をぽんと鳴らすと、シン達に提案をした

「いい事考えた、冬蘭、立花を君たちの指導員の任をやらせるよ」

本当に気まぐれたる発言にシンは『いきなり何を言い出すこの人は!?』という突っ込みをしたがまるで無視され、そのまま話は続いたので、冬蘭はこう尋ねた

「大丈夫ですか?彼女に門下生がいないのは性格と指導に難があるって言われたからですよ」

 冬蘭は友達でありライバルであるが故に彼女の事はよくわかっていた、彼女は短気であり、すぐに怒る。

「大丈夫指導をしてゆくうちに彼女も成長するさ」

水郷先生はお茶をすすりながら、のんびり話した
「そうでしょうか……」
「さぁ、わかったら立花を探してくれないかシン君」
「なんで俺が?」
「君の相棒だろうに、違ったのかな?」
「相棒って……」
「おや?冬蘭どうした?そんな顔をしかめる必要ではないはずだが?」
「いや、お言葉ですが、たっちゃんはこいつを人気の為の足踏み台にしようとしているだけですよ?」
「それがどうかしたかな?」
「いや…その……」
「まぁ、ごたくはそこまで。彼女を探さないと、餓死死体で発見されてはいやではないのかな?」
「たしかに」

 たしかに、納得できるのだが…納得できるが……。餓死するまで放置しているのもどうかと思うのは自分だけなのだろうか?そんな事はさておいて…、そのままシン達は立花の部屋にやってきた…

「ここが一応、たっちゃんの部屋なのだが……。」
「なにもないぞ?」

 そこには何もなかった。ほとんど何も置かれた形跡すらなくあるのは埃ぐらいであった……

「ここ屋根裏部屋とかないの?」
「いや、屋根があるからあるとは思いますが……アスカ嬢」
「ならそこにいるんでしょ」
「てか、あんた呼ぶこと出来たんじゃなかった?」
 そう言えばそうだ。忘れていた

「でもなんて念じればいいんだ?」
「私は肉まんなんだから、テキトーでしょそこは」
「うーん」

その時、いきなり壁が動き始めた、何か前にもこのギミックは見た気がするがあまり気にはしないでおこう。

「壁が動いた!?」
「ふわぁ……」

 そこにはよれよれのジャージと、グルグルの眼鏡を付けた立花がいた……正直センスはださいっ!!

「おぉ…おはよう」
「たっちゃん……どこにいたの?」
「いや…寝ていたのだが」
「寝ていたにしては今、夕方の四時だぞ」
「そうか」
「早寝早起きとかしないのか?」
「しない。だって眠いもん♪」
 ここでかわいい顔しやがってこいつ…
「てか、そんな壁の向こうで寝泊まりしているの?」

ラティは自分が入ろうとしたらいきなりドアが閉まったことに腹を立てながら帰ってきて、質問をしてきた

「そうだ」
「部屋見せてよ〜今閉まったし」
「断る。生憎、貴様らに見せる価値はないからな……いやいいか。入ってこい」

 そして連れられるまま、部屋に入っていった……。その広がる光景は想像を超えていた。

「おいコサイン…コサインってば!!」
「なに?こんな近距離で叫ばなくても聞こえているって」
「今さら何だけどさ、お前……本当に何者なんだ?」
「ぼく?ふつーの一般人だよ」
「一般人がなんで……サラを……?」
「まぁ、気にしなくていいと思うよ、あれは旧式のPCで制御してあっただけだから、簡単に改造出来ただけって」
「そうなのか……?」
シンとコサインが話し合っている後ろで、二人はコサインの素性について話していた、歴戦の二人でも彼については分からないのだ

「うーーーむ…」
立花はすごい形相でにらむと…


「たっちゃん、戦場の時の目になっているよ、だめだめ」
「あの一般人……コサインといったな、一般人にしては隙がないのはなぜだ?」
「私も彼については知らないが…なぜか彼はサラについての技術も持っていた」
「何か怪しい奴だな、どこで知り合った?」
「シンの友達らしいのだが……あいつを学校で見た事は一度もない」
「ますます怪しい奴だな……」
「スパイの可能性もある、用心しておいた方がいいぞ」
「分かったよ…たっちゃん」
 
1章、
勉学での馬鹿は救えぬ場合もあるが人生の馬鹿は恥ではない時もある
「狭いし暗いな……」

この暗さは何なのだろうか?というよりこのお寺は、どれだけ広いのだろうか……

「それは仕方ないだろう、屋根裏なのだし、こんなところで広さを求める時点で愚問だと思うぞ、シン」

冬蘭は柱などをすいすい避けながら進んでいき……。あっぶつかった。そんなこんなで、歩くこと、三十分……

「ついたか」
「入口までの予定が…勝手に進みよって……許可かなんかとる気はないのか?」

立花はぶつくさ文句を言いながら、あとを追うと、そこには、銃とかペンやらが散乱している部屋だった……。

「凄い有様で荒んだ部屋だな」
「悪かったな」
「大体なんだこの武装は……銃刀法違反とかで捕まるレベルだぞ……」
「だからここにあるのだ」
「なるほどな、おーいコサイン」
「なに?」
「なにじゃない。いくつか鞄に入れていくな、泥棒とは見苦しいぞ」

はぁはぁと息を荒げながら鞄にあまり使ってなさそうな銃を詰め込んでいた……

「ばっバレてた!?」
「バレるさ、あからさまに詰め込んでいるし(だがなぜ、狙撃系統のみなんだ?大体普通にジャンクなどの経営とかを行うのならば、高価なライフル系統を狙うはず、しかし彼は需要の少ない狙撃用、いったい彼の正体は何なのだ?)」

そう自問自答しながら冬蘭は、コサインの招待について模索するがなかなか思いつかないのである…コサインの正体が…

「こら!!人の部屋の銃を勝手に持ち出すんじゃないぞ!?」
「だって、このままこんな雑に放置するより僕が持って帰った方がッは!?」

 うしろからラティが蹴り飛ばすと、コサインは前のめりで顔を強打した

「なんだろうと、どろぼーはいかん」
「だって…だって」
「だってじゃない、あんたが飛行機で捕まっても困るからね」
「そういや乗れなくなるな」
「乗れないのは困るな……仕方ない立花さんあとであなたの銃を鑑定して僕が買い取ります!!(キリッ)」
「鑑定して買い取る?勝手にしろ、あと気持ち悪い」
「気持ち悪いか…(結構頑張ったのに…)とっとにかく…サンキュー」

そう言ってコサインは鞄を閉じた、なんだかんだで詰め込んだまま…

「あっ、返さないのね」
「返す必然性はない!」
「めんどうくさいな……。勝手に持っていけ」
「いいの?」
「こないだのお詫びだ、まぁ……いつかはしようと思っていたからな、シン、お前もなんか勝手に一つ持っていけ」
「ありがとう、たっちゃん」
「きっ貴様までたっちゃん言うんじゃない」
立花は赤面しながら、怒った
「ちぇ」
 ここで和やかな会話をしていると、遠くから『うわーっ』とサラの声がしてきた、何か奥で見つけたらしい、また、厄介事だろうなたぶん…

「どうした!?」
「みんな来てー面白いものがあるよ」
「面白…はっ!?」

立花は何かに気付いて、疾風の如く、サラのところに向って走っていきサラを連れてきた三個のたんこぶ付きで。

「ったく、持っていいとは言ったが、本制作の現場に行くとは…」
「だって、面白いもの書いているじゃん」
サラは袖から本を取り出すと、それをシンに投げ渡した
「何だこ…うわぁ!?これは男と男が抱き合っている!?」
「……。」
「たっちゃんまさか……」
「…わるいか」
「え?」
「BLな本を書いて小遣いを稼いで悪いかって言っているんだよ!」
「いや、悪くはないけど……」

 立花はグルグルのメガネと、頭巾をかぶると、その本の続きを書き始めた


「まだ描き終わってないんだ…用事がないならさっさと帰ってくれないか?」
「たっちゃん、とうとうそんな本にまで、手を出して……」
「ふん、こんなのしか稼げんからな」

 そして、その部屋から追い出されると、完全に壁を閉められた

「まぁいいシン、仕方ないから忘れていた事をしておこう」
「忘れていた事?」

 シンはそのまま冬蘭に連れられ、地下のかまどに来たのだった…
「あー剣か」
「そうだ、剣をそろそろ作らないと、この先にどんな事が起きるか分からないからな」
「冬蘭…」
「勘違いするな、お前に死なれると、お前の母親に申し訳ないからだけだからな」
「なるほど…」

 シンはそのまま冬蘭に教えられながら鍛冶をしていると…
「何をしている?」
「姉者、姉者には関係ない事だよ」
「関係ない??今作っているのは、刀じゃないのか!?」
「……そうだ」
「シン!?」
「いいじゃないか、お姉さんにも手伝って貰いたいからな」
「シン…」
「はっはっは、シン」
 夏蘭は、笑いながらシンの刀を持ち上げると……
「何だ?このなまくら……」
「姉者、これくらいしか今の採掘場では採れんのだ」

夏蘭は、凄く不思議そうな顔をすると、背中の袋から何かを取り出した……

「そうか、なんで私に言ってくれないのか??」
「姉者に頼むと、危険すぎると鉱物を持ってくるからだ」
「そうか??私は普段から集めている鉱石を渡しているだけなのだが……」
「そう言って、空気中で発火する黄リンの塊を渡して、爆発事故を起こしたんだぞ!?」
「あれは間違えたんだ、そんなに怒るんじゃないさ」
「姉者は……」
そして、言いくるめられた冬蘭  
はしかたなく、姉に頼むことにした……
「さぁてやるぞシン!」
「はいはい…」

夏蘭は袋から鉱石を出すと…

「では、まずこの鉱石を使うか」
「何だ?その鉱石…」
「これは石じゃないぞ」
「……じゃあなに?」
「これは、血とか、怨霊の呪いを固めた物だ」
「血!?怨霊!?」
「はっはっはっは!安心しろ、ちょっと悪魔の声が聞こえる様になるだけだ!!」
「いやいや!?怖ろしいからさ」
「シンは怖がりすぎるぞ!!お前ちゃんと股に付いているのか?」
「あんたが鈍すぎるだけだ……」
そう言った話をして、結局12の石を組み合わせて、刀作ることになった……

「おい、また黄リンがあるぞ」
「おや、本当だな」
「そんな軽くでいいのか?」
「大丈夫だ、空気中に出さなければ燃えはしない、だいたいすぐに混ぜればっ!!」




そして、勢いよく空気中に塊を出して…発火した。

第二章、
人生はもっと輝いて

「え?もう一度言ってみろ」
「だから、雷の槌がほしい」
「……。」

立花は冬蘭だけという理由で扉を開け、入ってきた途端にこんな頼まれ事をされた……

「冬蘭、あれは生半可では扱えない代物だぞ……」
「それで、シンの刀を打つ」
「……。」
また立花は、奥の戸棚から槌を持ってくると……

「これでいいか?」
「あぁ」

立花は煙草に火を付けると…
「……あれを作る気か?」
「……。」
 冬蘭は黙って頷き……
「名刀―烏村雲(からすむらくも)あれは、生贄のいる剣だぞ……」
「もはや作るしかなくなったんだ、わかって……たっちゃん」
「…シンには話したのか?」
「まだない」
「……。」

 立花は煙草を捨てると……
「たくっ……お前と言い、如月と言い……第4次世界大戦でも始める気か??」
「それは、たっちゃんに聞くよ、こないだの戦闘機…あれは軍用機のステルスだ」
「あれはな、頼まれたんだよ……如月上官にな」
「あのくそじじいか」

 冬蘭は、飲んでいるコップを握りつぶすと……机に叩きつけた。

「冬蘭、コップはあんまりないから、つぶさないでくれ」
「ごっ、ごめん」
「如月はな、私の軍役を復活するのを条件にシンを私に殺すように仕向けたんだ」
「あいつらしいさ」

一方ここは、寺前……

「デルタよりアルファ、哨兵ラインに到着。状況よし、RPは座標M・45、変更なし」
 草むらに軍服に包んだ兵士が4人、潜み連絡を取り合っている
「アルファ、了解……」
 空には、ヘリが飛んでいた……
「エコー、哨兵ラインへ到着。動作なしトラップの類なし座標N56待機します」
「アルファ了解、両分隊は0635時をもって周辺偵察を開始せよ」
「……0700時了解」
そう言いながら、兵士たちはじりじりと寺に近付いていた……

「まったく……日本兵士がなんの用なのかねぇ……」

それをぼんやり眺めながら、夏蘭の直属の部下の田中は眺めていた……
「曹長、いかが致しますか?」
「……夏蘭さんの意志を待とうか」
「彼らは我らの軍の一部……。曹長、我々は、本当にここにいていいのでありますか?」
 田中は、眼鏡を外すと……
「君は……そうかこの隊で蒼かったか。軍曹、我々の規則を知りたいのかね?」
「……。」
 田中は、部下に頼むと、スイッチを取り出した……
「『隣の便所には顔を突っ込まない』これが我らの唯一の規則だ」
 そして、田中はスイッチを押した…
「さて、狩りを始めようか。偽善という服を着た羊狩りだ、今回は歳とったオオカミの先導だがな、さて軍曹……」

その瞬間、軍曹は崖から突き落とされ、爆発させられた。その爆発によって、寺の周りの草むらが大爆発を起こした

「新手か!?」
「慌てるな、ただの爆発だ!!」
「しかし、この爆発はC4だ! 一般が持ち込める弾じゃねぇ!!」

 その刹那、兵士の一人の首がふっ飛んだ…

「なっ!?」
「狙われている?どこだ、どこなん……ッ!?」

 探した兵士の右腕がふっとんだ……
「どうした!?」
「死神だ……この森には死神がいる!!」
「エコーより指揮分隊、分隊応答を!ポイント・マンの遠藤、副長の鴨井がやられた……!?」

 その兵士らはどこからか飛んでくる、ライフルにおびえ戸惑っていた

「ぐはぁ!?」
 そしてまた、頭を打ち抜かれた……
「もう一人やられた!防弾チョッキを貫通している、相手はキラーだ!」
「炸裂弾のあたり方だぞ……」
「相手はどこの部隊だ!?」

 ここは崖上の寺の居間……そこにはコサインは座っていた、長いロングライフルを構えて…

「あんな狙撃で戸惑っているなんてどこだけ、日本の兵士は馬鹿なのだか……いや、平和ボケなんだろうな」

 コサインは砲筒を戻すと……弾を込めなおした、しかし次の弾は打てなかった何故なら…

「コサイン……?」
「おや、ラティさんどうも」
「あんた何、今のライフル……」
ラティがいたからである。
「……気にしなくていいよ」
「気にしなくていいって!?ああああっあなた殺し屋!?」
 ラティは腰を抜かし、こけながら逃げて行った……
「まった!ちょっと待って!たく……」
そこに立花の所から戻っていく途中の冬蘭が通りかかった……

「今アスカ嬢が、走っていったが…何をしている?そんな物騒な物を持って」

 コサインはバツが悪そうな顔をして、ため息をつきながら……

「ばれたんだよ」
「……」
 冬蘭は何がだ?と不思議そうな顔をしながら、聞いた
「……気付かないのか?」
「本当に…何なんだお前は……」
 それを聞くや否やコサインは、常に持ち歩いている傘を取り出すと……
「俺の正体?これ、持ってみろよ」
 コサインは傘を投げ渡すと…
「これは……CIAとかの御用達の狙撃ライフルか、うむ…使い古しているな」
「親父のだ」
「親父?」
「小崎 丹正(こざき たんまさ)聞きおぼえがあるだろ?」
「……あるさ」
冬蘭はその名前を絶対に聞きたくなかった……その名前だけは……

 十五年前……
 ここは中国の戦場区……
「……。」
「おいおい、どういうつもりだ?小崎少尉」
 そこには、少女と兵士が十二人……
「こんな少女を殺す必要はあるのか?」
「勘弁してくださいよ、あんたは新参で、名前だけの少尉だ……」
「あんたはどっかでしょんべんしていればいいのさ」
 他の兵士は大爆笑していたが、その少尉だけは静まり返っていた
「生憎ですがね少尉、ここは戦場だこいつを殺せば、上層部も大喜び、ここあたりの貧乏くせぇチャイニーズを殺せばな、みんな大喜びなんだよ。それで満足だろ?」
「……この追剥ぎが」
「は?」
「俺は何とミスを犯したのか……こんな兵士というホコリを被った追い剥ぎを連れて歩いていたとは……」
 その少尉は、銃を抜くと……
「この村の奴らを見殺しにいたのは臆病者の大間抜けな俺のミスだ」
 少尉は、それを他の兵士に向けると……
「だが…この少女だけは生き残った」
「何が言いたい?」
「ここで、お前らをこのまま残しておくわけにはいかない」
「はぁ??正義の戦士ぶっているの??」
「……あぁ、正義の戦士ぶっているさ、でもな……」
「俺は追い剥ぎでもないし、戦士でもない……さぁ、お前らは、祖国の恥だ……」
そうして、彼は仲間と銃撃戦をし、その結果死んだ。いや、相打ちが正しいだろう……

「……!?」
「おぉ、生きていたのか」
「なんで……?」
「お前は気にする……な、笑っていろ、そうだな……この証をもっておけ」
 そこで、渡されたのは救護の証だった……
「これをもって海に行けそして、女が待っているからそれに乗って行け……」
 そうして、冬蘭はシンの母親に助けられた。しかし、他の場所にいた姉の夏蘭は捕えられて、肉体実験の素材に回された……
 
「俺の父親が……?」
「そうだ」
「ラティさんには後で説明しますから今は手伝ってくれませんか?」
「……しかしあんたは、いいのかい?このままだと殺人鬼だぞ」
「……うるさい!!」
「え?」
「あんたは、このまま兵士を見逃して戦火を広げる気か?本当の兵士は……兵士はな、その時にするべき行動をしないといけないんだ、たとえそれが血生臭くてもな」
 コサインはライフルを構えると……
「では行こうか、本当の正義の為にね」
「あぁ……そこまでの決意ならいいのだが……(こいつ武器扱えるのか?)」

その心配は全く要らなかった。彼はその時点で10人は射殺していたからである。

第三章
嘆きのトラウマ
「……。」
 いきなり立花に呼ばれたシンは応接間に座っていた……
「立花…?」
「攻めてきたか……」
 立花は煙草を吸うと……
「シン、これからの事を見ておけ、ここからの一歩を踏むか踏まないかでお前の位置が変わる」
「何が言いたいんだ??」
立花は、あるものを手渡した……。
「これは?」
「これはな、お前がいない間に打った刀だ」
 刀は黒光りし、禍々しい波動を放っていた……
「これを前使った奴はな、すぐに死んだ……呪われて世界に失望してな」
「……。」
 立花は煙草を捨てると……
「そんなに硬くなるな、お前に死ねと言っているのではない。私は、これをお前にやるのはいやなのだが……これの宿命なのだろうな」
「立花?」
 見ると立花の左目は、失明して右腕はボロボロになっていた……
「何があったんだ?」
「私はな……」

 さて、場所は移り、ここは森

「おい!?誰か返事しろ!?」

 ある隊長だが、どんなに通信機で応答を願っても、誰も出ない、嫌でないのではなく、すべて死んでいるのだ

「まさか……全滅だと…?」
 そう、心配しながら恐る恐る進んでいくと……
「あの…どうかされたのですか??」

 草むらから頭巾をかぶった冬蘭が現れた……
「おっおじょうさん?びっくりさせるんじゃないよ」
「こんな、夜遅くにこの森に……?どうかされたんですか?」
「いや、なにもないよ……ここの者かい?」
「そうですが?」
「なら、お寺に行きたいのですが」
「ほう…道案内なら、条件が必要ですね……」
「条件?」
「貴方の命ですよ……」
その女はナイフを刺すと勢いよく滅多刺しにした……
「あの世のお寺に案内してやるよギャップ野郎が……」
 冬蘭は血を拭くと……
「終わったぞ」
草むらからコサインが顔を出して、惨劇を目の当たりにした…まぁさっきまでコサインも惨劇をしていたのだが。

「うわぁ……ひどい殺し方、ここまで刺す必要はないんじゃない?冬蘭さん……」
「頭のみを撃ち抜く、お前に言われたくはないぞ」
「そうかなぁ、頭打ち抜けば、痛みもないよ?」
 冬蘭は、はぁ……。と言いながらそのまま進んでいき…

「そろそろ全滅かな?」
「だな……」
「あーぁ、服が血だらけだよ」
「あとで洗ってやるさ」
 冬蘭はニヤニヤすると……
「何だそのニヤニヤした顔は?」
「いや、よく隠せていたなと思っていただけだ」
「簡単だよ……所詮、日本は金さえあれば簡単にだませる」

この後、この寺の周りには、射撃の音も断末魔の叫び声もなくなり…それから、四時間後……

「撤退したか」
 シンは崖から観察すると、撤退していた……
「オーバーキルはすごいな」
「……。」
「どうした?ラティ」

 そこには青ざめた顔をしたラティが立っていた……。
「なんで、軍と戦って勝っているのよ……」
「それは俺も疑問だけどな……よく生きていたな」
「もぅ……起きたら、銃撃戦で血生臭い戦いが起きてさ、この世の終わりかと思ったわよ」
「ははははっ……」

そこに冬蘭たちが帰ってきた……
「お帰り」
 冬蘭は疲弊した顔をしながら返事した

「ただいま……」
「……。」
 コ…サイ…ン?
「……。」

 コサインはだまって、銃をなおすと、部屋の奥に入っていった

「コサイン……(あいつも兵士だったのか)」

そして、その日の夜
「……。」
 コサインは完全に沈黙し、黙って食事していた……
「おい」
「……。」

 コサインは完全に黙っていた
「お前…殺し屋だったんだな、もしくは特殊部隊卒の兵士か」
「そうだよ、絶望するならすればいいさ……これでまた僕は、孤独でいられる」
「コサイン、別に絶望しないぞ?」
「……そんなことはない、そう言って何度も俺は警察に売り渡されたんだからな」
「たぶんその点は大丈夫だ」
「大丈夫?ラティの反応はどうなんだよ、なぁラティ」
 コサインはご飯をがつがつ食べると……
「え?私は大丈夫よ?」
「……はい?」
 コサインは、ラティの言葉にびっくりした
「だって、私たちの為に再び剣を取ったなら、恩人じゃない」
「そうなのか…?」

ここで、ただいまという声が聞こえた……
「お帰り、立花……?」

 そこでシンはびっくりした…そこに立っていたのは、血にまみれた、立花だったのだが、あきらかに、食べた跡がある……

「お前……」
「仕方あるまい、これが私の呪いなのだ、相手の肉を貪り食う衝動が抑えられなくてな」

 その瞬間、ラティは消え去った……吐きに行ったのだろう。食事中に見る光景ではなかった。

「一体お前は……」
「さて、そろそろほんとの事を話そうじゃないか」

 コサインが口を開くと……
「まずは、僕からだ……俺の職業は狙撃屋、アメリカの特殊だ」
 コサインは、銃を取り出すと…
「ある任務で日本に来ていたんだが……」
「任務?」
「君が言う、サラの製造工程の図を手に入れ、アメリカで大量生産すると言った作戦だ」
「言っていいのか?」
 コサインは、真剣な顔をし……
「このまま、姿を隠してやり続けるより楽になるからな、その代わり裏切ったら後ろからでも打ち抜いて、天地ともおさらばだ」
「……そうだったのか」
「シン、ラティさん達を騙してすまない」
コサインはあやまると……
「騙してはいないさ」
「冬蘭?」
「その代わりに我々の為に戦ってくれたじゃないか」
「……いやそれは」
コサインは少し恥ずかしそうに、照れていた
「さて、私の話をさせて貰おうか」

 立花はある文章を出すと……

「今回攻めてきた兵士はこの第三部隊なのだが、これが撤退した今、政府に喧嘩を売った事になった」
「喧嘩を売った…?」
「そうだ」
「どうするの?まさか……これから戦争するの!?」
「ちょうど良い時に来たな。それもありうる」
「だから向こうが揃う前にこちらから奴らを叩く……まぁ簡単には進行作戦を考えるのだが……」
「だが?」
 立花は煙草を吸い……
「二十万を、こんな小人数で相手をするのは無理というか無謀すぎる。こんな事をするのはヤクで狂った奴か、自殺願望者だ」
「だよな」
「だから、ある奴に支援を頼もう」
「……ある奴?」

立花はある写真を出した……誰かに似ている様な気がするが…
「ラティ…お前の母親だ」
「え!?」

 ラティは、目をぱちくりしながらもう一度尋ねた

「えっ!?どういうこと!?」
「ラティ、お前の母親は生きている……」

 立花は地図を広げると……ナイフを地図に刺した

「ここにお前の親は幽閉されている」
「ここって……」
「そうだ」
その地図に刺した場所は……

「国際警察の留置所……、デスバレーアイランドか」

 こういった話を展開しているうちにあるものが扉の前に立った……

「おいおい……こんどは、私に黙って襲撃か?お楽しみはいつもお預けにされるねぇ」
「姉者?」

 夏蘭は部下を連れて、立って
いた
「お前、日本軍だろ?」
「ギャップ(日本)の軍だと?馬鹿言っているのか?」

夏蘭達一行は、日本の軍の軍服を脱ぐと……

「我らは、軍ではない……傭兵団の死神だ」
そこには、だれも普通の人はいなかった……いるのは機械の人間だけであった……
「我らは、カテゴリーDと呼ばれる強化人間だ……まぁ、国に捨てられて強制的に改造されたのだが……我らは痛みも感じないし暑さも感じない……」

夏蘭は外にいる兵士に向って号令すると……

「さて、軍曹というナチュラルで、あり惜しい逸材を無くした今、攻めるべきだな、諸君!!」
「サー!」
 田中が、前に出ると……
「Занятъ лозиции!(整列!)」
この号令を言い放つと全員が整列した
「我々、旧第七ソマリア自由軍は、シン殿の護衛の任務をまっとうし、諸君らの手となりましょう……。頼むぞシン殿」

そこにはかつての戦場の忘れ形見達が立っていた、祖国に捨てられ人である事も認められずひたすらオオカミの如く生きてきた人々がそこにはいた

「あぁ……たのむよ」
「全員敬礼!」
「じゃぁ、俺はちょっと用事があってね」
コサインはどこかに走っていくと、お寺の仏間に入っていった……

「そう言えば……師匠はどこに行った?」
「師匠なら……」
「ここにいるぞ」
 そこに立っていたのはサラを抱えた水郷だった
「なっ!?」
「残念ながら……私は、敵なのだ」
「なぜ!?あなたの様な方が!?」
冬蘭は、師匠に向って叫んだ…
「……全て彼の仕組んだ事だったのか」
 シンは理解した。いきなりの襲撃の時も彼はいなかった……いや、いなかったのではない。彼が指導していたのだ
「それではまた会おう……」
そういって、水郷は消えた…。

「最初からサラが目的だったのか……」
 シンは地団太を踏み、サラがいない事に気がつかないことを悔やんでいた……
「くそっ!」
 シンは近くにあった箱を蹴る
 と、怒りをこらえていた
「シン?何を暴れている?」
 コサインが何をしているんだ?といった顔をしながら、戻ってきた
「コサイン…サラが水郷にさらわれた」
「それがどうした?」
「何だそのいいぐさ!?お前、騙されていたんだぞ!?」
「騙されたも何もサラはさらわれてないよ?」
 
 一同はえ?といった顔をしながら、コサインに詰め寄った
「どういう事なんだ?」
「サラは、僕が分解しているからね、ちゃんとスペアもあるんだ」
「スペア?」
「今頃彼が持っているのは、僕の作った紛い物だよ、大丈夫、サラは、そこにいるから」
 コサインが指差した先にあったのは、さっき蹴った箱だった………


■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
どうも、ひーさんです。今回は血生臭いですね…。実際、戦争なんてこんな血生臭い話なんですよね
しかし、今は平和になりました、この平和で我々は何か大切な事を忘れてしまっているのではないでしょうか……?
次回予告
「カオス・オブ・エンデミオン」
次回はどうなるのかは考えていません。
さらに血生臭くはならないと思います。
どうぞご期待!!
テキストサイズ:22k

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