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Chance 第六話「勉強は大事なんだ!」
作者:ひいらぎ 由衣  [Home]  2011/09/06(火) 10:35公開   ID:k1thGKoNjk6
今日も、歌番組に収録が終わり、喉がからからで控室に戻った
皆疲れているのか、すぐに座り、お茶を飲み始める
冷房が利いているから、涼しいはずだが、体温は熱い
「今日も、疲れたねぇ」
愛蘭が、中央に置かれているテーブルに顔を付けた
長い髪がハラリと落ちる

「4人ともぉ、クイズ番組のオファーが・・・」
ユリさんが、控室のドアを思いっきり開け、上機嫌で入ってくるが
私達の目つきは、すごかった
「ど、どうしたんや・・・」
うろたえるユリさん
「ユリさぁん、バライティ番組は当分いいって言ったじゃないですかぁ」
前回の心霊番組で、もう嫌になった
しかも、あのコーナー2時間番組で15分しか使われなかったし・・・
「しゃーないやろっ、プロデューサーがどうしてもって・・・」
ユリさんは、そういい訳をした
「だからって、バンドの私達がなぜ、クイズ番組ぃ!?」
私達の疲労は頂点に達していた
仕事は毎日、朝の7時に始まり夜の8時に終わる状態
「分かってないんやなぁ、このクイズ番組は視聴率が17.5%や
これに出たら、アンタらの顔が多くの人に・・・」
確かに、高いけど、だからって・・・
「茉莉香ぁ、お前が拒む理由って、疲労がたまってるだけかぁ?」
後ろで、兄貴がニヤニヤしながら、あごに人差し指をあてる
コイツ・・・私のヒミツを・・・
「お前はただバカ≠ェバレたくないだけだろ?」
この野郎・・・私の最大のヒミツをぉ
「あ、そうなんやなぁ、それは失礼したはぁ」
ユリさんは、見下す表情で笑った
確かに、バカはバレたくない。だが、兄貴も相当なバカだぞ!?

私の拒みも空しく、クイズ番組には出演が決定した
歌番組の合間を縫って、控室で勉強をすることになった
「なぁ、自信ねぇやつ、あるか?裕也」
兄貴が裕也に問いかける
「うーん、理科と歴史がちょっとヤバイかも・・・」
以外とそういうのは苦手みたいだな
まぁ、裕也はそこそこ勉強は出来るタイプ
「そういう、真斗は?」
裕也はそう言った
「じ、実は、国語と数学がちょっとどころじゃねぇんだよ!」
兄貴も、私と同様バカだからな
そして、私は・・・
「茉莉香ちゃんは、どの教科が苦手なの?」
愛蘭がニッコリ笑顔で問いかけた
「私は・・・全教科全滅」
体育はいいが、中学校の平均の成績が5段階評価で「1.25」です
「そ、そうなんだぁ・・・私はね英語の英文が書けないの」
慰めようと、そう言ってくれた
愛蘭、気持ちは嬉しいが、お前は・・・お前は・・・
「お前、中学校の成績の平均4.38≠セったくせに」
そうだ、こんなマヌケ(?)な顔しておいて
体育と英語以外はほぼオール5じゃん
そんな奴に慰められたって、ただの嫌みに聞こえる
私は気を取り直し、持ってきた数学のドリルをやるが
「ま、茉莉香ちゃん、どの問題が分かんないの?」
愛蘭が必死に教えようとするが
「何が分かんないのかすら、分かんない・・・」
頭の中が真っ白だ
「こりゃあ、重症だね」
愛蘭は手を焼いた
私も、もうダメだとずっと諦めていると・・・
「教えてあげよっか?」
裕也が、私の隣に来た
「へ?」
私は、顔が近くにあって、素早く俯くと
「数学・・・俺、得意だし」
裕也は、冷静で柔らかな笑顔を少し見せた
「よ、よろしくお願いします」
私は素直に、教えてもらうことにした
「・・・っ」
愛蘭はなぜか、寂しそうな顔をして、そっぽを向き
「真斗君は、どこが分かんないの?」
兄貴のもとで、教えていた
「X=5で、2X×3は・・・」
中学生の問題から、やりなおした
裕也は優しく、丁寧に教えてくれた
私は、裕也の顔が私の頭のすぐ上にあるせいか、心臓がバクバクだった
神様・・・この恩は一生忘れません

クイズ番組撮影終了後
「いやぁ、愛蘭すげぇな、早押しクイズ、すごい押してたじゃん」
兄貴がそう言っていた
愛蘭は私達の中では、トップクラスの正解率を叩き出したが
「それに引き換え、私は・・・トホホ」
観覧客の人たちに超笑われた。私が答えるごとに笑われた
「でも、俺は頑張ったと思うよ」
裕也が、笑顔で私の頭をなでた
私は、顔が真っ赤になった
「や、ヤメろ!?」
私は恥ずかしくなって、つい可愛げのない行動をとる
いつになったら、自分に正直になれるんだろ?


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■作者からのメッセージ
おバカな人と秀才な人の差は激しいですね
4人の中学校の成績の平均は・・・
愛蘭「4.38」
茉莉香「1.25」
裕也「3.44」
真斗「2.46」

です
テキストサイズ:3360

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