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Chance 第十四話「裕也の本心」
作者:ひいらぎ 由衣  [Home]  2011/09/15(木) 17:51公開   ID:k1thGKoNjk6
「俺、茉莉香の事が好きだ」

裕也に思いを伝えられずにフラれた私。

そして、SHOWさんの言葉に驚く。

一体どういうことか?SHOWさんが何を言っているかすら分からない。

私は、地面に膝をつけたまま、呆然とする。

すると、SHOWさんは、それに気付いたのか、そう切り出した。

「返事はいつでもいい。くれなくても、別にかまわない」

そう言っている時の目は私をしっかり見ている。

裕也は、さっきの目は何も映そうとしていたなった。

ついこの間まで、気に入られてなかったのに・・・嫌われてたのに・・・。

「家まで送る・・・ほら、立て」

SHOWさんは私に手を差し伸べ、私はその手をギュッと握りしめ、SHOWさんの力も加わった状態で立った。

SHOWさんは帰り道、何も話さなかった。

わざとか、気まずいからなのかは分からないが、ただ無言のままだった。

SHOWさんに、告げられた瞬間、私は頭の中は混乱し始めた。

裕也の事は忘れ、SHOWさんの気持ちを受け入れるか・・・。

(SHOWさんと付き合えたら、楽しいだろうな。ケンカも多いだろうけど、でも、優しい所もある)

揺れ動く、私の心。

その夜は、その事で頭がいっぱいだった。



翌日

「茉莉香ちゃん、どうかした?また元気ないけど・・・」

この日も休みで、メンバーで裕也の姪の愛蘭と街をブラブラしていた。

愛蘭は、心配そうな表情で私を見る。

「何でもない・・・」

そう答えた。愛蘭にこれ以上心配はかけられない。

「その顔・・・さては、叔父さんと何かあったな」

見抜いたような顔で、言う愛蘭。

(やはり、愛蘭にはウソはつけないな・・・)

そう確信し、私は昨日あった事をすべて話した。

裕也の事、そして、SHOWさんの告白・・・。

「へぇ、それは大変だったね」

一気にテンションが下がる愛蘭。

「で?どうしたいの、茉莉香ちゃんは・・・」

「分からない。いろいろありすぎて、頭がパンクしそう・・・」

うつろな目をする私。

愛蘭は、それを見てか、こう言った。

「そっか・・・まぁ、ゆっくり考えればいい。茉莉香ちゃんは、どれだけ叔父さんが好きだった?」

愛蘭は、妙な疑問を投げかけてきた。

「どれだけって・・・」

すごく好きだ。言葉には表せる事が出来ないほど・・・。

数年前、裕也にもらったお守りは今でも、愛用のバッグに付けている。

いつも笑ってくれる、助けてくれる・・・。優しい・・・。

「本当に好きなら、ちゃんと、面と向っていいなよ」

私は、今まで、混乱していた頭の中が整理された。

やっぱり、裕也が好きだ。SHOWさんは、尊敬する先輩として好き。

だから・・・。

「ありがとう、また背中押されたな」

私は、愛蘭に笑ってみせると、愛蘭は安心した表情になった。



数日後、事務所へ行くと、まずSHOWさんに会った。

「茉莉香?どうしたんだよっ」

いつもと変わらないSHOWさん。あんな事があったなんて思わせない態度。

「SHOWさん、この間の事なんだけどね・・・私、考えたの・・・
私・・・やっぱり、裕也が好きです。だから・・・」

そう言うと、SHOWさんは壁を両手でバンッと叩いた。

そして、深呼吸をして、私に背を向け、こう言った。

「あーぁ、バカみてぇだな。俺
こうなる事くらい分かってたくせに・・・自信ありげに・・・カッコ悪りぃな」

おチャラけた口調で言うが、その背中は泣いているようにも見えた。

「カッコ悪く何か・・・ありません
私、SHOWさんのおかげで、救われた・・・ありがとうございます」

見えてはいないが、私は満面の笑みを浮かべ、お辞儀をした。

SHOWさんは、それに答えるかのように振り返り。

「お前、あのバカに今度こそ言えなかったら、承知しねぇからなっ」

わざと意地悪な顔をするSHOWさん、私にとっては嬉しかった。


1時間後、SHOWさんと別れ、裕也が私の前を通った。

「裕也・・・あの・・・」

私は声をかけたが、無視をする裕也。

「待ってッ!どうして避けるの!?」

私は、そう言ったが、やはり立ち止らない。

だが、私はめげずにこう言った。

「私の事嫌いなら、どうして、優しくするの?特別扱いするの!?こっちだって勘違いするじゃんッ、あのお守りだって・・・私」

すると、反応したのか、裕也が足を止めた。

だが、無言のまま振り返ってくれない。

「好きになるじゃん・・・裕也の事・・・好きになっちゃうじゃんッ!?」

私は今まで心のうちに秘めてきた事をすべて言った。

目の奥が熱くなり、手が震えだす。

裕也も、ようやく振り向いてくれた。その目には涙が・・・。

「裕也?」

意外な反応に驚く私。

「・・・ッ俺、姉さんを殺した・・・」

突然、そんな事を言い出す裕也。

(どういう意味?お姉さん・・・)

「16年前、姉は愛蘭を産んですぐ死んだ
理由は、出産だった。姉は病弱で、何度か入院をしていた・・・
なのに、俺は『産みなよ』って言ってしまった。産むか悩んでいる姉に・・・」

頬に零れおちる涙を手で拭いながら、少し鼻声で話す裕也。

私は、号泣しているのだと、察知した。

「裕也のせいじゃないッ!それに、愛蘭が生まれてなかったら、私は・・・
周りの人だって、未来が変わってたッ、お姉さんも後悔してた・・・だから」

必死に、慰めようとする私。同情なんかじゃない。

「茉莉香・・・俺は、幸せにはなれない。誰かを不幸にするだけと、思っていた。

そんな時に、茉莉香が現れて・・・小さくて暖かくて、無邪気で・・・
今は、すごく綺麗になっていたッ、大人になっていた・・・だから、俺は・・・」

その先は、泣きすぎて、言えない状態。

でも、分かる、何となく・・・裕也の気持ちが・・・。

「裕也・・・ありがとう・・・私、嬉しい」

私達は、数分間、ずっと泣き続けていた。


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■作者からのメッセージ
黒い鳩様

小説を読むのは好きなので、よく参考にすることが多いです

月に5冊ほど、父の部屋から持って行って学校などで読みますね

今回は、どうでしょう?やはり、裕也が難しいです

今回でラストスパートです

そろそろ、完結かと・・・(次回かその次か・・・)

茉莉香の癖っ毛はものすごいと言う設定ですが、私もなかなか・・・


koyomi様

読書してると、参考になるようなのがいっぱいあるので、はい(汗)

私は、読書が好きなはずですが、よくその最中に寝て、内容があやふやになります

自分で、小説を書いていても眠くなります・・・

変な話ですね

今回は、多分前よりは文章の量が増えたでしょうか?

今の私では、これが限界ですかね?

次回はもっともっと頑張ってみるので、よろしくお願いします


今回も少なくてすみません(汗)
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